選手1人マイナス3万円 〜宮古島トライアスロンと自主財源率19%の宮古島市財政との関係
みんな大好き宮古島トライアスロン大会(※トライアスリート限定)、大会予算は1億1736万9000円 (2018年)。
参加者からの収入は最大で6,800万(4万円×1,700名)=選手自己負担率58%。
(実際には成績上位者&うつくしま大会など招待選手分だけ減る)
マイナス分は4,937万円以上=出場1人あたり持ち出し2.9万円。
この差額をスポンサーが埋める。ほとんど地元企業なので(JALも沖縄・宮古路線の収益を還元しているわけで)、大会の経済効果によってカバーされる。たとえば出場一人あたり平均10万円を出場料以外に使うとして、その3割を大会に還元しているとすれば、計算が成り立つ。
コスパ至上主義者である僕の2015年大会は 滞在1週間で6万円 ほど、大会への還元率5割ってことになる。こんなヤツばっかりなら大会は成り立たんw
大口スポンサーのJALや東急ホテル(2015年で300万円支出)は、大会関連の売上が数千万円規模であるわけで、その収益還元で大きい額を出せるけど(ANAは漁夫の利)、他のスポンサーは小さな地場企業ばかり、そう出せるとも思えない。主催の琉球新報も、参加者から何百人かが買って帰っても1部100円ちょいなわけで。てことは、宮古島市も結構出してるのかも。
<財政>
そんな市の財政状況について、宮古毎日新聞2018.4.27に記事があった。
「親の仕送りに頼る/宮古島市 生活苦が浮き彫りに/18年度予算を家計簿で見る」
- 一家の年間支出500万として
- 自分で稼いだのは86万円=自主財源比率19%
- 344万円=7割が親の仕送り
- 人件費(ここでは食費あつかい)だけで77万
- 医療系111万円=22.2%
と、要は国依存で成立していることがよくわかる。
正確な内訳は 宮古毎日新聞2.14記事 ご参照
(グラフは宮古毎日新聞より)
ふるさと納税の獲得に熱心てわけでもないようだ。まあ、実はおカネに困っていない、という一面もあって、ただでさえ地政学上の予算がつぎ込まれる地域、さらに国境に近い離島なので、領土保全目的で特別におカネ積まれやすい。だから380億円かけて伊良部大橋(4.5万人の宮古島と6千人の伊良部島をつないだ)も作られる。
ニッポンの財政問題たいへんだーとつきつけられるのが、自主財源の総額よりも多い医療費だ。高齢化に加えて、田舎あるあるなクルマ依存による運動不足もあるだろう。トライアスロンとか熱心に応援はするけど、決して自分では運動しない、という人たちは田舎にとても多い。そして人口規模からは不釣り合いにもおもわれる立派な大病院たちが。。
<市民アスリートの経済学>
トライアスリート的に考えてみたいのは、出場料の妥当性。1人あたり3万円の支援を、おカネのない地元から受けて、大会に出てるわけだ。
その補助金(とあえて言おう)がなければ出れない経済状況なわけでもないだろう。
ためしに「時間の経済価値」を計算してみると、たとえば手取り年収525万円の人なら1時間の金銭価値は600円(1日24時間×365日を基準とした場合)。練習、大会出場、その他のトライアスロン関連活動に1日平均1時間=年365時間を費やすとすれば、当人にとってトライアスロンの年間経済価値は22万円相当となる。年間労働時間2000h基準なら時間価値2,625円、年365時間で95万円だ。
この数字は仮想的な机上のものだけど、労力をかけるものとは大切ななものになってゆくわけで、大切なものには人はおカネを使うものだ。現実に、この数字に相当するようなおカネの使い方を、多くの方々がしているのではないなか? (という話を、『覚醒せよ、わが身体。トライアスリートのエスノグラフィー』 p134に書いた)
市民トライアスリートであるということは、それ自体が、おカネを使いがちな存在であるということ。中高生の部活とはわけが違う。
<スポーツ・ツーリズム>
大会の立ち上げ時期に、マーケティング&プロモーションとして、地元からの補助金を積むことはありうる。ただ宮古は倍率2倍以上の人気が長年続き、明らかにその状況にはない。
国内ロング大会の佐渡五島皆生と似たような状況があって、ロング大会難民トライアスリートが大量発生(といっても1,000人くらいかな?笑笑)し、海外大会に出ざるを得ない。
観光産業は日本の貴重な成長ビジネスであり、トライアスロン大会もその1つと見た場合に、国家経済の成長機会を、低すぎる出場料によって、二重に得られていないともいえようか。
といっても、せいぜい500〜1,000名×海外大会出場予算20万円=1〜2億円程度の小さな話ではあるけども、苦笑
地元の方々がおカネのためにやっているのではないことは、出てみてよくわかるのだけれども、かといって「安いこと=オモテナシ」というわけでもないよね。
東京マラソンもコスト比較で出場料が安すぎる大会だけど、そもそも東京都にはカネがある。
<必要なおカネとは>
僕の個人的考えとして、宮古島大会は5.5万円くらいの出場料を設定していいと思う。
本土からの参加者なら普通(私以外)総予算10万円以上なわけだし、宮古大会以外にもアレヤコレヤとおカネ使われてるわけだし。1〜2万の値上げに問題があるとは思わない。
一方で、参加者のみなさんは基本忙しく、できるかぎり滞在期間は短くしたい。地元におカネを落とせといっても落としようがない。ならば、はじめから出場料でカバーする仕組みなほうがお互いフェアというものだ。
1.5万円(地元参加割引とかあってもいいかな)×1,700人=2,550万円。その分を地元が儲けてもよいけど、その一部でも、バイクマーシャルの全国からの招聘、カメラ増設、等々の運営レベル向上に使うのがベストかなと思う。
写真は2015年大会
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