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2018年6月17日 (日)

やはり日本の市民アスリートは練習し過ぎ? - 世界標準Dave Scottセミナー2

「長距離だから長距離そのまんまの練習」なのではなくて、「必要な要素を分解し、それぞれに対策する」要素分解の1つのあり方を、先週デイブ・スコットの"KONA Challenge supported by MAKES" 講演は示していた。世界の市民アスリートにとっての標準の1つであり、かつ、少なからぬ日本人アスリートが気付いていないと思われる部分を含めて。

< 速筋の重要性 >

その核心部が、速筋(2a=中間型)の重要性だ。

稼働時間は25秒〜2分、最長5分。それをトップ選手でも8時間かかる226kmレースに向けて鍛えるのには理由があり、つまりはメインエンジンである遅筋をセーブできるからだ。

2a速筋は遅筋(1型)よりパワー5倍=エネルギー消費も5倍で、乱用は危険なのだが、トレーニングしていれば消費されたグリコーゲンはレース中に回復される。

つまり、長距離レースを高速で展開でき、途中で回復させてタフなレースもできる。それがHIIT系の速筋トレーニング。伝説のマーク・アレンとの死闘も、これ抜きにはありえなかっただろう。

「ウォークブレイク」と併用すれば、さらに効果あるだろう。(とまではDaveは言っていなかったが)

ウォークブレイクについてはこちら過去記事ご参照:

< 高負荷トレーニングのメニューつくりかた >

その練習法は、高強度での稼働時間で25秒〜2分、最長5分。レスト抜きのトータル時間は8−12分でOK、上級者でも20−24分が上限

間のレスト比率は、高強度2:休1、とか。レストの目的は心拍を下げることなので、蒸し暑い日本の夏では時間がかかり、1:1とかでもいい。メニューの数字に縛られたらダメ。

ということは、本体部分が、上級者で36分間くらいが上限となり、ウォーミングアップ&クールダウンを含めて、1時間あれば完了する。

参考メニュー: 

  • アップ12分
  • 2*50s + 6*30s + 3*40s (計6:40)×2、セット間5分イージー
  • ダウン6分=計45分

週あたりでの実行頻度は、Bike-Runは各週1、Swimは2回まで(回復が速いので)。つまり週合計4回=4時間ほどに相当する。

< 長距離トレーニングのメニューつくりかた >

では、長距離専用の練習は? というと、毎週やるのは75分間まで。それ超えると故障が一気に増えるし、疲労の蓄積が動作の質を落とすから、トレーニングとしてのコスパが低すぎる。

その頻度は、BikeとRunでそれぞれ週1として、ウォーミングアップ15mとして、計3時間だ。

4時間のロングライドとかは3週置きくらいでいい。かつての女王、クリッシー・ウェリントンでも、Bikeロングライドは最長4.5時間、2-3週に1度くらいだったとのこと。

参考ロングライド用メニュー(うろおぼえ): 

  • ウォーミングアップ30m
  • 20分ごとにペース変えて、はじめハーフの90kmレースより速いペースで20分
  • 同じく5mを4本(同じだけ休息、だったかな?)
  • 同じく2.5mを8本
  • この set間20m
  • 最後Easy=エアロビックペースよりちょい遅

この時間の短さをおぎなうのが、前回に書いた高脂肪食だ。この点は(僕の考えでは)マフェトン理論の最新形であり、いまだ2018年になってマフェトンをそのまんま実践しようとする危険性でもあるだろう。

< 結論 >

てことは、コアの練習は週に7時間。計算あってる?と3度くらい検算したくなるくらいの時間数だよね。

あとはリカバリー&つなぎの軽めの練習(=これはこれで重要)で埋める。

日本人のトライアスリート、ランナー、長距離志向の人ほど、練習し過ぎではないだろうか?

週当たりトレーニング時間・月間練習量といった総量の数字を気にし過ぎではないだろうか?

< 実例 >

本当にこれでいいの? と思われるだろう。しかしこれが、カリフォルニア大で運動生理学を学び、実践して元世界王者となり、さらにコーチとして複数の世界王者を育てたDaveの教えなのだ。

そしてこの教えは、僕の実体験とも重なる。

僕のRunメイン練習は、1kmのレスト長め(心拍が60−70%域に落ちるまで、時間はみない)での4−6本。3m30s*6で21分間。かなり仕上がってるときでも、これ以上はやりたくてもできない。Bikeでも同様の練習を多用していた。多摩堤通りの2−3kmの直線路を45km/h超目標で、実際にアクセル踏めてる区間が2−3分前後とかになる。ローラーも同じくだ。

実戦での効果は、KONAのレース中に実感したことで、Bikeでレース終了かと思ったくらい消耗してしまったのに、地上に降り立って2分もすれば脚にエネルギーが戻り、Runで暴走を始めることになった。

このあたり詳細は、『トライアスリートのエスノグラフィー』 トレーニング法は2-3章、レースはp205-209あたりご参照。(なお自著の略称を『覚醒〜』から変えてみる、意味がわかりやすいので

逆の失敗例もあって、たとえば2015宮古は高負荷トレーニング不足が主因。3月に出てみた板橋マラソンでもそう思った。

2013年の僕にそれができたのは、51.5kmレース最優先だったのもあるけど、そこからの226km対応法を英語情報から探ったのが大きい。2015年はようするにやる気なかったんだろうな。

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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