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2018年4月の5件の記事

2018年4月30日 (月)

選手1人マイナス3万円 〜宮古島トライアスロンと自主財源率19%の宮古島市財政との関係

みんな大好き宮古島トライアスロン大会(※トライアスリート限定)、大会予算は1億1736万9000円 (2018年)

参加者からの収入は最大で6,800万(4万円×1,700名)=選手自己負担率58%。

(実際には成績上位者&うつくしま大会など招待選手分だけ減る)

マイナス分は4,937万円以上=出場1人あたり持ち出し2.9万円。

この差額をスポンサーが埋める。ほとんど地元企業なので(JALも沖縄・宮古路線の収益を還元しているわけで)、大会の経済効果によってカバーされる。たとえば出場一人あたり平均10万円を出場料以外に使うとして、その3割を大会に還元しているとすれば、計算が成り立つ。

コスパ至上主義者である僕の2015年大会は 滞在1週間で6万円 ほど、大会への還元率5割ってことになる。こんなヤツばっかりなら大会は成り立たんw

大口スポンサーのJALや東急ホテル(2015年で300万円支出)は、大会関連の売上が数千万円規模であるわけで、その収益還元で大きい額を出せるけど(ANAは漁夫の利)、他のスポンサーは小さな地場企業ばかり、そう出せるとも思えない。主催の琉球新報も、参加者から何百人かが買って帰っても1部100円ちょいなわけで。てことは、宮古島市も結構出してるのかも。

 

<財政>

そんな市の財政状況について、宮古毎日新聞2018.4.27に記事があった。

「親の仕送りに頼る/宮古島市 生活苦が浮き彫りに/18年度予算を家計簿で見る」

    • 一家の年間支出500万として
    • 自分で稼いだのは86万円=自主財源比率19%
    • 344万円=7割が親の仕送り
    • 人件費(ここでは食費あつかい)だけで77万
    • 医療系111万円=22.2%

と、要は国依存で成立していることがよくわかる。

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正確な内訳は 宮古毎日新聞2.14記事 ご参照
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(グラフは宮古毎日新聞より)

 

ふるさと納税の獲得に熱心てわけでもないようだ。まあ、実はおカネに困っていない、という一面もあって、ただでさえ地政学上の予算がつぎ込まれる地域、さらに国境に近い離島なので、領土保全目的で特別におカネ積まれやすい。だから380億円かけて伊良部大橋(4.5万人の宮古島と6千人の伊良部島をつないだ)も作られる。

ニッポンの財政問題たいへんだーとつきつけられるのが、自主財源の総額よりも多い医療費だ。高齢化に加えて、田舎あるあるなクルマ依存による運動不足もあるだろう。トライアスロンとか熱心に応援はするけど、決して自分では運動しない、という人たちは田舎にとても多い。そして人口規模からは不釣り合いにもおもわれる立派な大病院たちが。。

 

<市民アスリートの経済学>

トライアスリート的に考えてみたいのは、出場料の妥当性。1人あたり3万円の支援を、おカネのない地元から受けて、大会に出てるわけだ。

その補助金(とあえて言おう)がなければ出れない経済状況なわけでもないだろう。

ためしに「時間の経済価値」を計算してみると、たとえば手取り年収525万円の人なら1時間の金銭価値は600円(1日24時間×365日を基準とした場合)。練習、大会出場、その他のトライアスロン関連活動に1日平均1時間=年365時間を費やすとすれば、当人にとってトライアスロンの年間経済価値は22万円相当となる。年間労働時間2000h基準なら時間価値2,625円、年365時間で95万円だ。

この数字は仮想的な机上のものだけど、労力をかけるものとは大切ななものになってゆくわけで、大切なものには人はおカネを使うものだ。現実に、この数字に相当するようなおカネの使い方を、多くの方々がしているのではないなか? (という話を、『覚醒せよ、わが身体。トライアスリートのエスノグラフィー』 p134に書いた)

 

市民トライアスリートであるということは、それ自体が、おカネを使いがちな存在であるということ。中高生の部活とはわけが違う。

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<スポーツ・ツーリズム>

大会の立ち上げ時期に、マーケティング&プロモーションとして、地元からの補助金を積むことはありうる。ただ宮古は倍率2倍以上の人気が長年続き、明らかにその状況にはない。

国内ロング大会の佐渡五島皆生と似たような状況があって、ロング大会難民トライアスリートが大量発生(といっても1,000人くらいかな?笑笑)し、海外大会に出ざるを得ない。

観光産業は日本の貴重な成長ビジネスであり、トライアスロン大会もその1つと見た場合に、国家経済の成長機会を、低すぎる出場料によって、二重に得られていないともいえようか。

といっても、せいぜい500〜1,000名×海外大会出場予算20万円=1〜2億円程度の小さな話ではあるけども、苦笑

地元の方々がおカネのためにやっているのではないことは、出てみてよくわかるのだけれども、かといって「安いこと=オモテナシ」というわけでもないよね。

東京マラソンもコスト比較で出場料が安すぎる大会だけど、そもそも東京都にはカネがある。

 

<必要なおカネとは>

僕の個人的考えとして、宮古島大会は5.5万円くらいの出場料を設定していいと思う。

本土からの参加者なら普通(私以外)総予算10万円以上なわけだし、宮古大会以外にもアレヤコレヤとおカネ使われてるわけだし。1〜2万の値上げに問題があるとは思わない。

一方で、参加者のみなさんは基本忙しく、できるかぎり滞在期間は短くしたい。地元におカネを落とせといっても落としようがない。ならば、はじめから出場料でカバーする仕組みなほうがお互いフェアというものだ。

1.5万円(地元参加割引とかあってもいいかな)×1,700人=2,550万円。その分を地元が儲けてもよいけど、その一部でも、バイクマーシャルの全国からの招聘、カメラ増設、等々の運営レベル向上に使うのがベストかなと思う。

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写真は2015年大会

2018年4月15日 (日)

最先端の医学では「白米は体に悪くない」が常識だ 〜東大卒トライアスロン王者が教える「好都合な真実」  …え?

あ、タイトルに1つ補足、王者の前に「元」を追加ください。ハッタリかよ。それ以外はエイジグループ(市民年齢別カテゴリ)だけどもIOC系列の正規競技団体によるナショナル・チャンピオンであります。そんなJTUランキングレースも4/15石垣島にて開幕、みなさんがんばってー!

さてさて、2018年4月刊行の『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』が早速ベストセラーに。
著者の津川友介医師はUCLA助教授、良質かつ良心的な本だと思われる。本は今時点では読めておらず(いずれちゃんと読みます)、東洋経済オンラインの著者ご本人による記事→ 最先端の医学では「白米は体に悪い」が常識だ~ UCLA医学部助教授が教える「不都合な真実」を、まずは紹介しておこう。
 
糖質の健康への影響を考えるにあたり、加工法によって2種類に分けている。
  • 白い炭水化物=白米・小麦粉など精白されたもの
  • 茶色い炭水化物=玄米など
//// 茶色い炭水化物 ////
  • 欧米、80万人対象の大規模研究によれば、摂取したグループは死亡率が22%低い
  • 動脈硬化、糖尿病のリスクを下げる
  • 体重減少効果
ほうほう素晴らしいですね。
 
1つ注意点は、この手の研究成果は、「医学」だけを見ていることが多い。
見落とされがち(or 意図して切り捨てている)のは、「社会学」的な面。
生々しく言えば、お金持ちか貧乏か、例えばね。
 
この研究についてありうるのはは、欧米社会で全粉粒のパン・パスタや玄米を日常的に食べる人は、そもそも食事に意識が高い人たちであるというストーリーだろう。欧米でこれら食品を日常的に売ってる店とは、僕のイメージでは、たとえば最近Amazonが137億ドルで買収したWhole Foods Marketとか、高級めの食品店。低所得層の多い地域で普通に売っているのだろうか? (日本だとダイエーとか東京のオオゼキとか、庶民向けの店にも普通に置いてあるけど)
 
つまり、「茶色い炭水化物を取るグループ」とは、食への知識があり(学歴高め)、高いお金を払うことができ(経済力高い)、同時にスポーツとかも十分にしているだろう。「茶色い炭水化物を取らないグループ」とは、食事への意識&経済力ともに低いことが多いだろう。アメリカとか低収入ぽい人達には、子供含めて太ってる人たち多い。高そうなカッコしている人達はたいていスリムだ。
 
//// 白い炭水化物 ////
 
日本人を対象にした研究では、男性では1日に白米2杯から、女性では1杯半ぐらいから糖尿病になるリスクが高くなると。なるほど。
 
でも僕のブログ読者には、別世界の話であることだろう。なぜなら、「1日1時間以上の筋肉労働や激しいスポーツをする人に関しては、統計的に有意な関係が見られなかった」から。
統計的な有意差がない、を普通の日本語で書くと、アスリートなら白米で糖尿病リスクは上がらない、ということだ。おそらくは、そもそもの糖尿病の発症率が劇的に低下するから、差が付きようがない。
 
あと、この研究は糖尿病限定。ガンや心臓血管系、足腰が動くことの健康寿命…と他の健康要因には触れられていない。スポーツして、白米を食べ、同時に野菜果物も食べ、しっかり寝れてる人であれば、なおさら白米の害は無効化される。
 
こうゆうことを書くと「スポーツは身体に悪い」説が登場しがちなんだけど、これこそエビデンスが粗悪、もしくは存在しないケースがほとんどだ。
 
つまり、耐久アスリート限定では、最先端の医学では「白米は体に悪くない」が常識だ ということになる。それはこのブログを読む人たちの大多数にあてはまると思われ(今年トライアスロンやらない僕も、米を美味しく食べれる程度には動いとります)、標題の表現でも問題ないはずだ! すくなくとも東洋経済オンラインとかがいつもやってるPV狙いのタイトル操作よりは笑
 
情報の意味は文脈次第。誰が何の目的で使うのか?
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↑ こちらは実家のキャバリアくん。甥っ子が大学進学で近所から出ていったら、2週間近く忠犬ハチ公化してしまった。そのキャバリアくんの世界観において、「少年はこの道から出ていった」という事実は、「この道で待っていればはいつか返ってくる」という解釈されたのだろう。

彼はいつかってくる、すくなくとも、まちがってはいない。
//// 耐久アスリートと糖質 ////
 
ケニア発の情報に強いアメリカの巨大ランニングサイト、LetsRun.com(日本版)が、ケニアのエリートランナーたちの食事について、栄養士による解説付きで説明している記事: 「ケニア人の強さの源となっているケニアの食事について」 によれば、「長距離選手であれば、炭水化物の摂取量は、トータルの摂取カロリーの少なくとも55%は摂らなければいけない」
 
またTriathlete.com記事" New Research Is Changing the Game for Female Athletes " によれば、女性アスリートは糖質制限時のパフォーマンス低下が男性より大きい。理由は記事にはないけど、糖質制限とは「筋肉の分解」と表裏一体であるからだと僕は推測する。筋肉量の多い男性は、糖質が枯渇した時に筋肉を分解しケトン体を再生してエネルギーを生み出すことができるが、筋肉量の少ない女性ではエネルギーの総量が減ってしまう。女性に甘いもの好きが多いのも理由があるということだな。
 
ひとつのおすすめは、飴ちゃんを常備して、血糖値が下がった時になめる。これなら血糖値を上げすぎることもなく、素早く血糖値を補充できる。
 
これらパフォーマンス系の話は長くなるので、後で別に書くかもしれない。
 
//// 最新科学 ////
 
このように、数値の裏側をみにいくのが「社会性」の視点。まあ公衆衛生学などなら、これら考慮した研究がなされてることも多く、結局は、元の論文を読んでみないとわからない。そして「収入、運動、等々の何を考慮(統制=Control) しているか」は、論文の冒頭「研究の方法」(Method)などに書かれている。
 
ただ、普通そこまで読む人はいないので、結論だけが「エビデンス」として流通しがちだ。
 
ちなみに、「エビデンスエビデンス」言う方をたまにみる。元論文を読む人なら論文名を知る必要があるので当然な行動なのだけど、結論だけ欲しい人ならそれは論文というものの仕組みを知らないことを自ら示すようなもの、ただ本人は知的だと思いこんでいるという、、ま相手にしなければ問題ない。
 
「最先端の医学研究」とは、さまざまな医療情報から幾つかの数字を抜き出し、統計処理する。ちなみにスポーツ科学との大きな差は、その研究に投じられる資金量で、医療保険、新薬開発と成果が莫大なので、扱う情報量も、分析体制も、ケタがかなり違う。つまり統計データとしての信頼性は高く、得られる成果は大きい。ただ同時に、抜け落ちているものも多い、ということだ。そして往々にして、スポーツ関係は、その脱落部に入っている。

この限界を超えるには、たとえば、インスタグラムとかSNSを使いながら、日々の食事の写真をビッグデータ解析することになるだろう。まず、色が違うことだろう。「茶色い炭水化物をとるグループ」は、食事全体はカラフルなことだろう。色鮮やかな野菜や果物をたくさん食べてるから。合間にトライアスロンとかもしてるだろう笑
「茶色い炭水化物を取らないグループ」では、全体はむしろ茶色ぽいのではないかな。フライドチキンとかフライドポテトとか。

さらにSNS使えば、経済力とか社会性もいろいろ推測できるわけで。ですよねザッカーバーグさん?笑

こう考えると、21世紀なかば以降、圧倒的な質×量の情報にアクセス可能な()新興大国さんの医学研究が世界をリードするかもしれないね! かどうかはともかく、これから「最先端の医学」にも、ビックデータ以前か以後か、という大きな断層が生まれてゆくだろう。
 
最後に念のため、もしあなたが耐久アスリートでなければ、白米は身体に悪い、が常識だそうですからご用心。
 
・・・
 
読書メモ:おもしろかった!→ ←これから

2018年4月 8日 (日)

よくある質問「八田さん今トライアスロンやらないんですか?」

4月第1週 「粉飴」さん 総会にお招きいただいた。100人近くいて半分以上が市民トライアスリート? こんな場では

「はじめまして ※リアル世界では」

的なご挨拶をFacebook友達さん達と次々交わすことになる。一度も会ってなくても既に友達な幻覚もたされてるのはザッカーバーグ氏の魔術か。その流れで頻出する1つが

「今 (or もう) トライアスロンやらないんですか?」

的なご質問だ。直接の回答は、とりあえず今年はやらないですねー、となるのだけど、ちょっと説明してみよう。

まず、僕は自分のことを「トライアスリートという存在」だとは、そんなには、思っていない。まして「速いトライアスリート」だとは思っていない。ゆえに「速くあり続ける」という願望はない。

ただ、「速くなってみたい」という願望を持ち、そして実行してみたという経験があるというだけ。37歳ごろから5年くらいの期間のことだ。それは人間全体(存在・実存)というよりは1つの経験というレベルでの話。

//// 第1のゲーム ////

この時おもしろかったのは、運動に苦手意識のあった僕がアスリートとして急上昇してしまうジェットコースター急発進感。本の2章前半に書いた通りだ。

この「ゲームの設定」は、30後半の身体、という放っておくと性能低下してゆくマシンを使うこと。スイッチを入れてから3年、予想を激しく越えた成果にノッていって、41歳を越えた2013シーズンに、僕の最高性能に近いところまできたかな、と思った。

同時に、本の元になった修士論文を書くという異常事態wにより、トライアスリートである、ということを表現する新目標が出現。これは「トライアスリートとしてのハッタリくんというキャラクター」を「現実の八田益之」が他人として観察し操縦する、すなわち客観視することになり 、その適度な冷静さは安定した競技成績も呼び寄せたかなと思う。

こうして初期のゲームをクリア。その感覚は本の最終章あたりが近い(けど書ききってもいないかな)

//// 第2ゲーム ////

次のゲームは短くて、翌2014年の1シーズンだけかも。40前半の身体でパフォーマンスを維持するゲーム。それまでのゲームほどには、、と感じはじめていた。ここまで続いたんだから、というモッタイナイ感というか義務感的なものもあったかも。

とはいえこれはこれで、JTU4連覇目(=翌年シカゴ派遣)、伊良湖総合優勝(=地域誌への初の有料原稿執筆)と、ここにしかない収穫もあった。

//// 第3ゲーム ////

そして2015〜2016とグライダーを降下させる。2015年5月末の横浜大会後には 「トライアスロン開始5周年、その変化について」 と題したブログでゲーム変更をほぼ宣言してたり。

この降りる感覚はそれはそれで楽しくて、なぜなら、上昇したからこそ下降もできるのだから。笑

同時に始まったのが、表現、執筆という活動。前のゲームがあって、始めて突入できた新世界。このための精神的エネルギーは、レースで最高を目指すのと、僕にとって両立しない。(たとえば為末大さんの表現活動は、世界トップを争った選手としてのピークを終えた後に本格化している)

//// 本題 ////

と、ここまでが前置きです。長! つまり、見てる景色、願望、舞台であり道具である身体、、、いろいろ違うということ。

すると、どうなるだろう? 僕にはわからん笑

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1つ確かなのは、37歳ごろに「速くなりたい」という願望を実行してみた4−5年くらいの僕の経験を、見ず知らずの多くの人たちがおもしろがっていただいているの、嬉しい。

この年度末、出身の中学&高校に自著を直接寄贈。中高生には難しいだろうけど、2章からなら、スポーツに興味あって読解力あれば、それなりに読めるだろうとも思う。

上写真の岡崎高校の職員室は、質実剛健の美名のもと、20世紀な地味さそのまんま。

幸田中学では、当時数学を教わった伊藤先生が校長先生として定年最後の年。在籍最終週にまにあった!

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「難しい本だよね笑、まず先生方に読んでもらおう。」と伊藤校長。いかにも難しい自覚はありますが、、部活指導などにお役立ていただければ嬉しいです。

//// 結論 ////

とはいえ幾ら表現がおもしろかろうと、レースで最高の成果を目指し、実現するということにしかない興奮はあって、それを忘れることはない。

なにしろ僕はトライアスリートという存在なので ←オイ

それを再現しようとしたとして、37歳からのジェットコースターと同じものにはならない。KONA'13でのパフォーマンスは、仮に僕が20代〜30前半ころにトライアスロンしてたとしても、それ含めた生涯ベストに近いものになったことだろう。でも今からそれは無理。かわりに、当時のジェットコースターとはまた別の何かになるだろう。

その時々に楽しめるものを楽しめればいい。

・・・

「粉飴」は吸収速度が運動時に有利な「マルトデキストリン」を主体にしたエネルギー補給食。発売元のH+Bライフサイエンス社は、食品化学の名門、林原をベースとした医療用製品の会社で、品質・信頼性は最高レベルだと思う。コスパが圧倒的で、トレーニングから気楽に使えて、レースシミュレーションもしやすい←ココ大事

本はアマゾン には在庫ないこと多いので、 私の直送ショップ ←もご検討ください。

2018年4月 3日 (火)

リオ五輪からのクロール姿勢の変化 & 三浦広司講座 4-5月の日程

名古屋ミニ講演は19−21時の設定。なお22時頃まで残ってた方々へほんの数分間ほど三浦クロールの要点を説明してみた。使ったのは会議室のイスだけ。「おーーーーっ!!」と超納得いただけた。

2015−16年頃に好評の講座、でも僕は執筆が2016年初夏から始まったのもあり、手を着けられず。

この2年間には、リオ五輪で世界最速の泳ぎが判明するというビッグイベントがあり、その分析も進んでいる。

特徴的な変化を見せるのが、リオ五輪のレデッキー。

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800mの最初50mターン直後にこれだけの差を付ける。単に持久力だけでなく、泳ぎ自体が完成されているから。しかもこの間レデッキーはキックをたいして打っていない。 (たとえばイアン・ソープのかっこいいクロールは、40cm近い足ヒレによる板キックだけで50m20秒台という超絶能力によるもの、一般人には参考にならない)

注目は、頭を上げ、胸を反らせ、腰を沈めた姿勢だ。

ロンドン五輪2012の「最先端」は逆で、腰を浮かせ、頭を沈める「フラット姿勢」が最速とされていた。僕が「伏し浮き」について説明してたのもそれら影響による。

たとえば実験室で人形を使って計測するのなら、「伏し浮きによるフラット姿勢」の方が抵抗最小になるのかもしれない。しかし水泳とは

  1. 人間が (身体構造)
  2. 動き続ける (流体力学)

もの。人間だから、水に浮いたままで、筋力を自然に出せることがまず必要。これは難しい。さらに、複雑な形の人体が常に動き続けることで、水の抵抗状態も複雑に変わり続ける。実際「伏し浮き」のような単純な姿勢は、どの泳法でも、一瞬でも取ることはない。

このように、自然な泳パワーの最大化 × 実戦環境における泳抵抗の最小化 とのバランスが必要。でもこの分析は複雑過ぎて、現在のスポーツ科学では無理だ。

そこで、一番速いスイマーの泳ぎが最も合理的である、という仮定が必要だろう。つまり「レデッキーが最も合理的であるとするならば、その理由は何か?」と帰納的に考えるわけだ。 

 

<4−5月の公開プール講習>

そんな考察結果を、三浦スイム講座では、複数の外部専門家の情報も踏まえてお伝えしている。僕からみて最も自然法則に沿って論理的に考えられている方法で、トップスイマー特有の技術を前提にしておらず(たとえば男子長距離パルトリニエリのキックほとんど打たないクロールは上半身のパワー強烈に必要だと思われる)、100m2分の大人デビュー組スイマーにも適応可能な、汎用的な技術だと思う。

とにかくライブの実技で教わるのがベストです。ここまで書いといてなんですが笑

4−5月の公開講習では、貸切プールで、泳ぎながら、理解できます。

  • 日時: 4月4日(水)、18日(水)、5月2日(水)、5月23日(水)、全て20:00~22:00
  • 場所: 東京代々木青少年スポーツセンター、 プール、1レーン貸切
  • 料金: 各回¥2,500

お問い合わせ&お申込は、三浦コーチへメールください→ hiros.since2001@gmail.com

・・・

僕はそーゆーのをロジックで説明するの大好きなので、そろそろこっちも進めていきたい。

まず第一歩で明日プールに入る予定だけど、いつ以来だろ? もしかして2016年9月の伊良湖トライアスロン以来??

2018年4月 1日 (日)

講演「市民トライアスリートの社会学&高い目標の実現法」 @名古屋トリニティーグループ

桜を見に、そして地元産の旬の苺を(大量に)食べに、愛知の実家にふらり。ついでに1月の幸田駅前書店トートクショー で知り合った岡崎高校の先輩に連絡取ったら、やってみますか、とクイックに企画され、Facebookで募集して、3/30金曜夜に名古屋・伏見にてミニ講演を突発開催。

年度末の金曜夜にお集まりいただいた12名のうち市民トライアスリートは10名、そうでない2名にも通じる話を、と「高い目標を達成するには」というテーマを新たに加えた新構成とした。

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//// 内容 ////

大人の耐久スポーツが流行るのは、「ゴールの達成感」が今の世に求められているから。その裏には大きな社会の変化がある。人は自由に考え、行動しているつもりでいても、社会の大きな構造にいろいろと操られているものだから。

個人の「身体」(しんたい)に注目すると、30代からの性能低下という誰にも不可避な現象がある。つまり身体の客観的価値は下がってゆく。同時に、 有限性=希少性でもあり、主観的価値は逆に上がる。身体を大事にしはじめ、時間&精神を投資するようになる。

こうして現代社会と身体とがクロスする。その1つの先が耐久スポーツだ。

若者ほど身体性能の高さをアタリマエと受け止めがち、 若さを無駄使いしがちなんだけど笑。だから市民スポーツの年齢層は30後半以降に急増する。いや、ダメだダメだと自虐しながらなんにもしない中年以降も多いか笑笑

・・・

後半は、30代以降の身体性能低下の正体とその対策について、八田経験論を軸に。質問などこっちのが多い。特に、限られた時間内での3種目トレーニングの組み合わせ方、レース前調整、など具体的になるほど、質問も熱が入る。

トライアスロン競技だけ話してるほうが僕も楽なんだけど、社会、身体、哲学、三位一体(=トリニティー!笑)で扱うことには独自の意味があるとも思ってるので。

当日のスライドはこちら ↓ (少々更新済)

//// ライブの意味 ////

人に向かってある程度の長さを話すのは、話す側にとって気付き・収穫が大きい。誰のどんな関心に合わせて進めるか、によって進行はかなり変わる。 前に似たようなこと話していても、ちょっと内容や相手が変わると、全く違うゲームが出現する。結果的には似たような話をするにしても、その場で頭の中で考えることは、毎回変わる。

しかも新構成、前半イメージ通りに話せずグダグダした苦笑。

結構な量の文章を書いた上での話なので、情報量は十分すぎるくらいある。でも、「昔書いた文章」に頼って話そうとするとダメ。発表は発表専用の準備が必要だ。準備は入念にすべきなのは複数人の時間を頂く以上は当然なんだけど、かといって固め過ぎてもいけない。遊び部分を含めての準備。

固めすぎないことで、話しながらアイデアが生まれる。話す際に思考が整理される上に、「この人の、この関心に、どう応えるか?」という刺激が、新しい思考をうみだす。今回も、新テーマ関連で見えてきたものがあったかな。今後は各回ごとのテーマをより明確に、深めていきたい。

良いライブできて嬉しいです。

参加者はこちらプラス2名。会場のトリニティーグループは見ての通り→  www.trinity-g.com ダークスーツに身を固めた総合経営コンサルティング会社。「銀行融資必勝法」的なセミナーは当然として、知的障害児の運動サポート・企業就職プロデュースなどの講座まで幅広く開催されている。そのはしっこの方の限界領域を今回すこし広げた笑。みなさま、ありがとうございましたー!

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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