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2018年1月 3日 (水)

駒大・工藤も"ぬけぬけ病"? 「反復性のトレーニング原則」に潜むリスク

箱根駅伝2018、最も応援するのは大学院の法政でも東大近藤(一区予定がインフルエンザで流れた〜ま来年またチャレンジの方が注目されて美味しいとおもう)でもなく練習パートナー(自称)である駒澤大さんだったのだが、7区でエース工藤選手が「脚が抜ける」という症状に襲われてしまった。この差でシード落ち。残念。

この症状を、箱根駅伝OB俳優さんがツイートしている。

まだ断片的な報道しか出ておらず、工藤選手の本当のところはわからないのだが、ランナーに多い症例であることはわかった。以下、一般論として話を進めよう。

そのツイートで紹介されて突如注目されているのが、福岡の治療院の西山理学療法士による「足が抜ける陸上長距離選手の為のからだドック公式ブログ」の記事

足が抜けたら最初に読むブログ

さっそく翌朝の「めざましテレビ」に電話出演されていた。速!

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それによると、長距離ランナーの足が抜ける症状とは、

カックン病、ローリング病、ランナーズジストニア、足に力が入らない、ふわふわする、棒になる、足を前に持ってこれない、踏ん張れない、ぬけぬけ病…

といった表現をされているようで、過去多くのトップランナー達をひきずりおろしてきたらしい。

この症状の特徴とは、モモを前に出そうとする(=股関節を前側に曲げる)と、土台である骨盤が後ろに下がってしまうこと。それが上記ブログの動画。筋肉の部位でいえば、本来使われるべき腸腰筋に指令が渡らずに、モモ(ハムストリングス)だけで動かそうとしてしまう。無意識に。

腸腰筋にダメージを受けているわけではないので、間違った動作意識が脳に刷り込まれてしまった、ということだ。

西山療法士の見立てによれば、

  • 原因: 繰り返しのトレーニング刺激
  • 対策: 動きのリズムを変える
  • 理想: 症状が出る前に走るのをやめる

とのこと。

やめる、とは、間違った動き(の指令)を脳と神経回路に刷り込まないためだろう。この間もスイムやバイクでクロストレーニングは可能だ。

迷いがあるならサボる、はトレーニングの基本、だと僕は思っている。「迷いがある」とは、つまりなにかが引っかかっていて集中しきれない、という心身の状態をいう。

こんな話、室伏広治さんも新著『ゾーンの入り方』で書いていた。繰り返し練習から脱却しろと。

この本は、体力的にかなわない若いライバル達(=その幾らかはケミカル製)に対して中年がオーガニックに対応するための考え方についてのもの。体力勝負をかければ過労故障は必至。そこで室伏さん、反復的トレーニングをしない、という選択をした。意識を変え、様々な身体部位を活用しながら、潜在能力を引き出すのだ。

その中で、トレーニングの大原則である

  • 反復性の原則=同じ動作を繰り返せ
  • 斬新性の原則=負荷を上げ続けろ

にツッコミを入れる。

これら伸び盛りの若者ならまだよいのだが、あるところから生理的限界にぶちあたる。とくに30過ぎてこの勝負にこだわると、過労故障は必至なのだ。

そこで彼は、単純反復の動作から離れて、不規則な動きに即興的対応をする、という動作感覚を磨いてゆく。「感覚が常に内在する動き」という表現をしている。感じ続けなければ成立しないようなヤヤコシイ動きにより、体を慣れさせる、ということをしない。

筋力のない赤ちゃんが、生まれてから立ち上がれるようになる1年間の動きをマネして、そこに人間本来の動作がある、なんてこともしている。筋肉ムキムキの大男がハイハイの実践研究。

「安定した人工的状態でしかトレーニングしてないから、体性感覚を失い、怪我をする」という室伏さんの仮説は、長距離ランナーにもあてはまるのかもしれない。

自分を成長させるために、あるレベルを超えた先に必要なのは、変化し続けること。 地道な繰り返しは、成功体験を得やすいし、努力という社会全体の価値観にかなうものでもあるけど、どこかで手放してみるべきなのだろう。

・・・

<おしらせ:愛知・三河な方へ>

本屋さん少人数トークショーやります。

日時: 2018/1/7 (日) 14:00-15:30ごろ

会場: 幸田駅前書店(愛知県JR幸田駅前)

料金: 900円、ワンドリンク付き(ビール、コーヒーなどなど)

定員: 10名程度(先着順)

詳しくはこちら: https://www.facebook.com/events/1495205834114131/

(フェイスブック見れない方は http://morrisseyhonwatomo.wixsite.com/kotabooks からお問い合わせを)

 

<ついでのおねがい>

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