マラソン欧州記録更新、ソンドレ・モーエン選手(とカノーバ コーチ)トレーニング説明は金言の宝庫!
福岡国際マラソン2017、リオ五輪から1年経ち、TOKYO2020に向けた世界レベルでの変化の兆しが現れたかもしれない。
- 欧州選手によるケニア流への適応
- 市販シューズでのカーボン素材の使用本格化
の2点、とくに1つめは大注目だ。
優勝タイムは2:05:48、ノルウェーの26歳ソンドレ・モーエン (Sondre Nordstad Moen ←wikiノルウェー版のGoogle英訳)。欧州記録のみならず、アフリカ生まれ以外で史上初の2時間5分台の公認記録。歴史を刻む偉業だ。
ソンドレ・モーエンのトレーニングその①【ハーフ59:48】 2017年11月23日ソンドレ・モーエンのトレーニングその②【練習メニュー詳細】 2017年11月25日
ソンドレ・モーエンのトレーニングその③【補足の説明について】 2017年11月27日
- アフリカ選手の優位性は遺伝ではなく、練習の雰囲気やトレーニング条件の違い。高地、大きなトレーニング集団、精神的限界を作らない、身体の感覚を重視する
- トレーニングとは、刺激に対する身体の反応
- 刺激とは、量と強度の2方向だけ
- 選手のキャリアを通して、高い質で量を増やす=つまり両方必要
- こうして徐々に段階を踏めば、これまで不可能だった事を当たり前にすることができる
- マラソン選手にウエイトトレーニング(器具〜おそらくバーベル・ダンベル含めて〜を使って収縮性繊維を鍛えるもの)はしない。コアと反応性を鍛えるためのバウンディングなど弾性繊維を鍛えるトレーニングはしてる模様
- フラットな場所だけで練習するなら、それ以上のトレーニングが別に必要 (ケニアは起伏豊富なので他人事として言っているっぽい)
- 可動域を拡げる動的ストレッチはするが、静的ストレッチは反応性を低下させるので時間を使わない
- サプリメント使わない、例外はエネルギー補給用のマルトデキストリン
- 基本目標は中距離のスピード改善。トップレベルのマラソン選手として育成することを視野には入れつつも
- この1年間で高地トレーニングが累計217日間。血液値がケニア人ランナーに近づいてきた (※たぶんヘモグロビンなど増加している)
- 80~100m×10の上り坂のスプリントトレーニングは週1〜2回
- 食生活: 主にパスタや米、野菜や果物をたくさん。肉や卵の動物性たんぱく質はあまり摂らず、牛乳だけはよく飲んでいる
- 睡眠: 毎日8~9時間の睡眠をとり、昼食後、午後練前に1時間の休憩も
※追記※コーチ・カノーバ:福岡国際マラソンのソンドレ・モーエンに関するコメントについて
2017年12月4日上記ブログの続報、レース後にカノーバが早速語っている。(相手がブロガーというのがおもしろい) 僕の注目は最後の、
「この1年間 ・・・ これまでのマラソンより1kmあたり10〜15秒ほど余裕を持てるようになった」
との点。これが「マラソンを視野に入れた中距離重視トレーニング」の狙いであり成果だろう。短い距離が速くなれば、長距離の余裕になるのだ。
- ケニアでは、国内無名選手ならドーピング検査がマトモに実行されていなかった(だから摘発事例が最近多い)
- ケニア選手でも、世界トップ選手では、IOCが入念にチェックする
- 欧州では国内機関がちゃんとテストしており、特にノルウェーは反ドーピング機関が最も進歩している国の一つ
ついでに書いとくと、テレ朝の中継、モーエンの5分台という記録の意味を全く解説できていない。単に大会記録との比較のみだ。レース後インタビューも日本人1位の2時間7分台の選手。モーエンはケニアで合宿までするノルウェー人、英語も話せんてことはないだろう。世界レベルでの偉業に対して、残念なことだ。
<NIKE Vaporfly 4%>
Vapor & Zoom-flyでは、大迫のような「フォアフット着地」がとりわけ目立つ。大迫も他のアフリカ選手も、土踏まずよりは前&指より後ろの、外側サイドが先に接地している。だから「つま先着地」ではありえない。
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