最新トレーニング理論 「Reverse Periodization」 序説
2013秋のアイアンマン世界選手権KONA226kmは、僕にとってロング初挑戦の一発勝負。
しかしロング用の練習は直前の6週間だけ。その年の目標は51.5kmでのランキング三連覇にあったし、前年秋の救急車事件もあって年末にゼロから身体を作り直し、ショート専用のトレーニングで手一杯という事情もあった。8月末にランキング確定させてようやくロング対策を開始したのだった。
その際の方法が "Reverse Periodization" だ。(といって明確に意図したのでもなく、結果的にそうせざるをえなかったのだが)
<Periodization=標準的な「期分け」について>
Periodization=期分けとは、月単位くらいの期間で、トレーニング目標を分ける方法で、世の練習計画と名の付くものはほぼ全てそうなっている。
長距離でよくあるのは、オフが明けたポストシーズン(orオフシーズン)から
- 長時間×低負荷のLSD=ロング・スロー・ディスタンスから始め
- 次第に負荷を上げ、それに伴って練習時間を減らしてゆく
これは耐久系プロ・アスリート達の伝統的な手法。古くは自転車ロードレースがそうだし、最近でも長距離トライアスロンのプロはそうしているケースが多い。
ただ最近では例外も目立つことは、僕のブログとFacebookでも紹介してきた通り。
端的に言えば、多くの市民アスリートには向かないと思っている。
例外は、基本的な耐久能力が未発達の、つまりは初心者。僕もこの過程を2009年11月頃〜2010年2月頃まで実行している。僕は基本 LSD否定論者 だけど、完全なLSD否定論でもないのです。「それ、状況が違うよね?」という話をしているだけ。
プロ選手が僕ら市民と違うのは、冬の時期から、毎日、一日中、トレーニングし続けられること。彼らの多くは、寒い時期に暖かな地方に長期合宿したりもする。全く前提条件が違う。自転車ロードの選手なら、3週間ほぼ休みなしに4,000kmを移動するようなレースにも出るわけで、その状況へのシミュレーションも必要だ。
<Reverse Periodization=最新手法について>
そんなピリオダイゼーションをリバースするので、つまりは、
- 「短時間×高負荷」から始めて
- 「長時間×低め負荷」へと移行させる
その大きな目的は、レース直前に、レース同様の練習を増やすこと。実に合理的だ。長距離レースとは、「長時間×低め負荷」で進行するのだから。
僕の個人的感覚では、51.5kmのスピードでは押しきれない4時間以上のミドルレースから、こうした対応が有効になる。
<僕の2013年の経験>
10月に書いたブログ→ 量と質の関係:序論 〜「ポストシーズンの魔法」に向けて の図に加筆すれば、こちら上側、青いラインの流れだ。
<参考文献>
その方法論をブログで何度か説明しているのが、大御所ジョー・フリール先生。こちら公式ブログなどに情報あります(英語)
- Joe Friel ブログ: "Reverse Periodization" 2013/10/21
- TrainingPeaks ブログ: "Reverse Periodization For Triathletes" 2016/9/27
彼の「トライアスリート・トレーニングバイブル」第4版が紙の英語版ながらも国内でも売れているようだ。詳細は人気ブロガーによる解説シリーズ→ http://rumiokan.com/?cat=14 ご参照。ただしトレーニングの基本に徹しているため、「Reverse Periodization」など応用的な最新理論は深く書かれていないらしい。
(つづく)
<おしらせ>
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