6月の決戦レースへの長期計画案 〜リバース・ピリオダイゼーション4
前回→ 「トライアスリートの冬マラソン〜 30kmの壁への新対応」 とは、「主トライアスロン+ついでにマラソン」な層を対象とした話だ。「主マラソン+ついでにトライアスロン」 なら、ランのパフォーマンス最優先なので、後半スタミナ強化のための走り込みも有効なのは当然。とくに日本はトライアスロン大会出場コストが総じてかさむ一方で、ランニング系の大会なら気軽に出ることができ、ランに比重を置くのは合理的だし。
ただ、ワタシはあくまでもトライアスリートですよ、という場合に、優先順位リストの上にはもっと大きなのがあることが多いので。
日本では、ランニング分野の指導者や指導本が豊富。かれらはトライアスロンを知らずに、ランニング至上主義なアドバイスをすることも多く、それは口コミなどにも影響している。でも、トライアスロンには、トライアスロン独自の視点が必要。
先の要点である「ペースを低く抑えて我慢すること」は、長距離トライアスロンでは最重要項目の1つ、この実行度の差は、より大きなゴール・タイム差として表れるだろう。ならば、トライアスリートがマラソンに出る場合に、頑張らずにユルいままで=ぶっとばす誘惑に負けずに=抑え続ける能力は、なおさら大事ってことだ。
<冬春→夏前への3種目トレーニング戦略>
また「Reverse Periodization」は欧米発の考え方なので、殺人的に暑い日本の夏への対応も、日本人が独自に考え出さねばならない。これまで当ブログでは→ カテゴリー 「耐久スポーツの暑さ対策」 の8件の記事で、辛抱我慢に頼らない方法論を示してきたわけだが、まとまった年間計画としては未だ書いていない。 僕がトレーニング計画を持たないことによるのだが、その中で得た経験の断片はたくさんあり、それらをロジックで組み上げて、策を弄してみるとしよう。
唯一解のないのがトライアスロン、幾つもある妥当解をあれこれ考え出すのも、楽しみ方だ。
つまり、Bike&Runともに、夏前にロングレースに向けた距離対応を済ませておく。これに尽きる。夏前とは、殺人的酷暑がやってくる前、6月くらいまでのイメージだ。欧米の多くの真夏はこんな感じかな?(ただし雨&湿気は抜きで)
よく言われるように、日本の暑さは、努力によって対応できる限界を超えており、トレーニングによって耐暑能力を上げることは、現実的だとは思わない。普通に生活していれば、人体に適応可能な上限レベルまで鍛え上げることができるだろう。
僕は暑さに強く、そこには幾らかの体質や育った環境が影響しているかとも思うのだけど(蒸し暑い愛知県で、8月生まれ、高校まで学校にクーラーなし、家でもあんまり使わせてもらえない笑)、ともかく殺人的暑さのレースでの成績は良くて、そのためにしたことは、我慢せずに済ませる「逃げ方」の工夫に尽きる、という事実がある。
まして、「暑さが苦手」という方が、努力によって対応できるようになるとは、どうにも思えない。
<スケジュール>
ここで想定する各フェーズ時期は:
- 冬: スピード 1−2月
- 春: 移行期 3−4月
- 夏前:距離対応 5−6月 (レースシミュレーション期)
各フェーズは2ヵ月とってみた。これは、人体の環境適応に必要十分な時間だと思うから。人体に適応可能な最高峰であろう「ヒマラヤ8,000m無酸素登頂」では、事前に4-5,000m前後に6週間くらい滞在する高所適応フェーズを取るが、それ以上の期間は不要、という例から考えている。
※練習が薄い(=質×量の総量が低い)場合には、各フェーズの仕上げにもっと時間を要する。ただ、薄いと、その間に退化も進んでしまうので、ある時期に集中して練習できたほうが効率は良い。まあそれは理想であって、薄くしかトレーニングできない場合には、年間コンスタントに、できるときにできる限りやっておくのが良いだろう。
このスケジュールの場合、勝負レースが6月後半なら対応可能。6月前半なら、各フェーズを1-2週づつ短縮する、スピード期か移行期かをその分だけ削る、などで対応すればいい。
では、決戦が8〜10月の場合、どう考えればよいのか?
これは当記事の応用問題となる。また次回書こう。
以上のように考えると、6月決戦だとして、2月くらいまでは自由にトレーニング内容で「遊ぶ」 or 冒険することができる。 やたら理屈っぽいどっかのブログとか超無視してランニング徹底強化の限界チャレンジしてみるのも良いアイデアだ。それで故障したって治療時間はたっぷりあるのだから。
僕のオススメは、動作の探求そのものを楽しむこと。オフロード・ランを薦めているのもその一部。
確実にいえるのは、フォーム改造にチャレンジするなら今。そこで・・・
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