量と質の関係:序論 〜「ポストシーズンの魔法」に向けて
いわゆるスポーツ界の「オフシーズン」は、英語では "post-season" と言う。Offとは本当に練習しないことで、勝負レース後の2週〜2ヶ月で身体にエネルギー(脂肪ふくむ)を充填する専用の期間。その後、自分に足りない要素を時間をかけてじっくりと育てるのが、ポストシーズンだ。ここでの過ごし方は、魔法も起こす。
そのための考え方、これから少し紹介していきたい。
先月からFacebookで、質重視トレーニングの考え方について連載しているのもそう。この2016.9.19投稿→ 【トレーニングの量と質の関係】 が最初で、いろいろ質問など答えているうちに、きちんと説明する必要あるな、と書いてみたものだ。そのコメントなどにまとめて返答しようと書いて、そのまた、、と結果的に連載化していたパターン。
「質」というと、スピードとか、高強度とか、イメージされる方が目立つ気がする。実際はそんな単純なものではなく、本数冊ぶんくらいの情報量は理解すべきだろう。かといって、この1冊、という決定版も知らないし、そもそも絶対的な教科書なんて存在しないと思う。だからここで書くのも、あくまでも僕の経験と理解の範囲内に留まるもの。1つのヒントになればと思う。
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はじめに定義: ここで「質」とは、「"練習距離"以外の全て」としておく。(本来は"練習距離"は無数に存在する変数の1つに過ぎないのだけど、どうも過剰に評価されている状況を感じるので、ことさらに取り上げてみる)
すると、「量と質の関係」とは「"距離"と"距離以外の要素"との関係」に単純化して理解できる。このイメージだ:
量偏重トレーニングは、下側の流れをたどる。
- 初期は、練習距離を伸ばすほど速くなる。つまりトレーニングの量と質は一致 (ここで「量が質を作る」という「成功体験」を誰もが得るだろう)
- この「量的成長」には限界があり、いずれ伸び悩む。化学的には「飽和点」に近づき、ミクロ経済学でいえば「限界効用逓減の法則」が作用する
- ここで、過去の成功体験を強化すると、幾らかの成果は得られるだろう
- しかし量(とくにラン、とりわけ舗装路の)は、故障リスク・健康リスクを高める
- ただし、豊富な練習量の中で技術進化ができていれば再成長が可能
ここでポイントは、2〜3での意識の切り替えだ。「量が質を作る」という成功体験は、「距離に逃げる」という状況を作りやすい。技術進歩はそこから脱却するカギなのだが、慢性疲労があると、その兆しに対する感度を鈍らせる。もちろん故障・病気のリスクも上げる。
- 2' 量的効果の伸び悩みの兆しを捉えて、「距離以外の要素」への探索を始め
- 「新たな成功体験」を得て
- 3' そこで得た新技術を、量的効果によって向上させる
※強調しておくと、量には量の効果がある。問題は、量に偏重することにより、「量の正しい効果」を引き出せないケースだ。
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