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2016年10月の4件の記事

2016年10月29日 (土)

KONA'16、稲田弘さん225km地点動画にみるランニング技術

稲田弘さん、去年6秒差で逃したアイアンマン世界選手権での最高齢完走 を、今年ついに果たされた。レース当時83歳10ヵ月。(大会では年末カウントのため84歳扱い=だから去年記事は83歳と表記しているが、最高齢記録では誕生日基準なので。1932年11月19日大阪生まれ、和歌山の熊野古道沿いの田辺市育ちの、元NHK記者さん。

ライフヒストリーはこちら日経系の記事 「「人生に限界はない」 御年84歳のトライアスリート、世界の歓声を浴びてゴール  参照)

アイアンマン226kmを完走するだけでも凄いことで、それを今年の予選で実現されたから出場されたわけだ。

70歳でトライアスロンを始めた稲田さん、所属チームは「稲毛インター」で、オリンピック女子代表にして2016世界ランキング年間3位の上田藍選手、リオ出場を果たした加藤友里恵選手などいるのだが、彼らと同じ量のトレーニングをこなすことが、たしか、週1くらいであると聞いたような。(正確には山本淳一コーチにお聞きください)
 
その時点で、既にすごい。

だから、予選突破した(=完走した)とか、あるいは藍選手と同量の練習を終えたとか、それだけで大騒ぎされてもよいようなものだが笑、それくらい当然、みたいな雰囲気もあり。やはりトライアスロン界において、ハワイ島KONA世界選手権での達成には、 特別な意味がある。

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こちらネット動画でゴールの瞬間を画面キャプチャーに成功した。僕は通過速報からペース計算して、現地応援からのリアルタイムコメントももとに、完走できるかFacebook実況をしていて、ゴールに入ってくる数秒間のタイミングも逃すことはなかった。ただ、予想した範囲中で最も速いペースで入ってきたので焦った!
 
現地情報源のおひとり、淳一コーチがゴール1.6km手前で撮影したのが、この動画。ここまでの225kmを16時間半にわたり、自らの力のみで移動してきた83歳の走りだ。
ペースは、1km10分、健康な現役世代なら速歩きペースではある。しかし、実質4kmの海を泳ぎ、180kmの暴風&獲得標高1000mくらいの自転車を走った後の、フルマラソンだ。それを、83歳の身体で。
 
ランニングフォームとして見ると、そこかしこでみかける脚筋と体力に依存した走りとは全く技術レベルが違う。
 
肩甲骨の柔らかで大きな動きに、僕は注目した。これにより骨盤も大きく動き、この年齢にありえない脚の耐久的な動きを生んでいる。見事な全身の連動性。それにより、上体の重さを「振り子」として推進力に転換させている。あるいは、「きちんと歩く」という平凡な技術を、超非凡なレベルにまで完成させている。単なる「とても元気な83歳」ではない。
 
そして最後、花道からゴールゲートまでがこちら動画。加速しているのが凄い。世のほとんどの83歳は、100mだけでも、これだけ走れないだろう。
この盛り上がりが、アイアンマン世界選手権KONAだ。この9時間ほど前にその年の世界王者が決定した同じ場が、この近さで誰にでも開かれている。その日の終り、人は何歳までこの道を走りきることができるのかを決めて終わる。応援者に加えて、自ら走りきった選手もシャワー浴びて着替えた後で見に来たりして、狭い場所にすごい人が集まる。
 
ついでにすごいのが、この人垣の中をかきわけながら最後まで撮りきる淳一コーチの運動能力! しかも普通のi-Phoneなのに手ブレ少ない! さすが元全日本チャンピオン!
 
 
<いつかは稲田さん、という希望について>
こうした活躍は、戦前生まれ世代ならではの芯から強靭な心身と、健全な生活習慣ならでは、という気がする。
 
市民トライアスリートには、「私も80歳まで続けて稲田さんのように・・・」といった希望があったりする。それは「80歳でもアイアンマンを『完走』できるような健康を維持したい」という目標なら現実的だし、素晴らしいことだ。ただ、「予選を通ってKONAに出場し、あわよくば優勝」という願望であるなら、それはファンタジーのまま終わるだろう。
 
今年の男子50−54歳カテゴリの優勝記録は9時間18分。デンマークのBENT ANDERSENだ。30年後、彼が出場したとして、どれだけの速さで完走することだろうか。あるいは、彼を目標にレベルを上げてゆく同レベルの選手なら、どうだろうか。
 
稲田さんが世界一なのは、1932年生まれ、という世代でのこと。自分の世代での「競争的な達成」〜たとえばKONA出場や表彰台〜を目指すのなら、何十年と待たず、今できることをがんばったほうがいいだろう。
それとも、自分のしたいことは「自分自身に対する達成」〜たとえば83歳になってどこかの長距離大会での完走を目指すこと〜なのかを考えてみてもいいかもしれない。
 
 
<社会的認知>
ちなみに、ここまでの報じられ方を時系列で並べてみた:
と来ている。やはり、大手のウェブメディアに載り、さらにYahoo!のランキングに入ると、この人なんだ?すごい!と関心を呼び、検索とかブログアクセス数にも表れる。
 
とはいえ、それでも僕の記事アクセス数とそう変わらないレベルでもあり、まだまだかな、という気もする。
 
難易度からすれば、80歳で(酸素ボンベとかいろいろ使っての)エベレスト登頂、とかよりもよっぽど凄いような気もするのだけど、まだまだ、という印象。ただこうゆうのは継続による知名度の蓄積が効くと思うので、さらに、全国のメジャーなメディアさんはとりあげていただきたい。(まあそうなったら人気が出ちゃって、大会不足とかになっても大変だけど、笑)
 
 

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2016年10月27日 (木)

Tri&OWSスイムの要素分解と、「エッジを立てるクロール」の実戦活用術について

あらゆるスポーツにおいて、練習の基本は「試合のシミュエーション」であるべきだ。幾らかの変化を付けた上でのね。トライアスロン(とOWS)のスイムにおいて、実戦シミュレーションには、3つの「要素」がある。
  1. スタート直後、密集の中で位置取りをする、スプリント&パワー
  2. 落ち着いた集団内でのリラックスした巡航
  3. 状況確認
だが、これらはアタリマエのようで、あまり実行されていない。多くの練習は、
  • レース距離を一定ペースで単独泳すること
に割かれているのではないかな? でもそれを必要とするのは、集団をぶっちぎって単独泳するトップスイマーにほぼ限られるといえる。(彼らも3状況確認は行う)
 
多くの場合、 1と2がどっちつかずな、「中途半端に速過ぎる」練習になっていないだろうか?
 
現実のレースの進行を考えてみよう。200名くらいのウェーブスタートならスタートから50〜100mくらいで、1000〜2000人規模の一斉スタートでも200〜400mくらいで、だいたいの位置が決まり、以降は概ねその中で進行してゆくのではないだろうか。
 
そこで、自分が今どこにいるかを「状況把握」し、留まるか脱出かを「判断」する。留まるなら「脱力して浮かぶ技術」で省エネ泳法。脱出するなら、何処へかを判断して、後は「短‐中距離」だ。
 
この状況で必要なのは、絶対スピードと集団内リラックスとの「振り幅」だ。プール1.5kmのタイムを上げに行く練習は、レース直前期の(たとえば1-2週前の)最終シミュレーションくらいでも構わないと思う。
 
 
<10/22練習会報告>
そこで、2,の集団泳をテーマにした練習会を10/22、29と開催してみた。(29は募集中)
 
最近Facebookで紹介している「上側の体重を推進力に活かす」というラン&スイムに共通する技法について陸上で説明した上で、プールでは前半はその実技を重点に、後半で集団泳、だんだんカオス状況を濃くしてゆく。
参加者さん感想も:
 
「50mプールで〜うまく集団に収まった時の水流に引っ張られる感覚は、まさに「これか!」と思いました。この集団に入るために必要なのがダッシュ力、集団に入ったら脱力して水に乗る、というのを身をもって学びました。」 
 
「以前三浦コーチの講習の時にはつかめなかったのですが、昨日はエッジを立てるイメージで泳げた感じがしました。集団泳で身体を傾けて追い越すのも何度か体験出来て今後使えると思いました!」
 
と、この特殊状況をつくりだす効果を確認できた。
 
普通プールの練習では、5秒感覚などで単独泳をし、抜かすときも一気に抜かすのだが、実際には、直後にスタートして、抜かす前にヘッドアップでの状況確認=前泳者の向こう側が見えるか?とか、試したほうがよい。それくらいなら、一人でもできる。それでも、集団が作り出す乱流と水塊移動は、集団状況を実際に作ってみないとわからないものだ。
 
 
<斜めクロール or 反フラットスイム
感想もいただいた技法とは、下の写真だと、右呼吸で右手入水時に、また右エッジが水面に浮かんで、左エッジを沈めている。後ろからみると " / " な形だ。
 
1500Fr王者パルトリニエリは最後までこのフォームを通し切る。ただしトライアスロン&OWSでは左右呼吸で出来る必要がある。

「エッジ」については、6月の記事 『「2軸クロール」の終わりと、新たな「スノボ」泳法について』  をご参照。

 

ただしこれは速い泳ぎというわけでもなくて、プールでタイムを測っても最速というわけでもない。1つのカードとして切れるとおもしろいかもよ、という程度。プールで最速の泳ぎが、実戦で最後まで通せるわけでもないのがトライアスロンのスイムだから。

明確な問題は、下側の左キックが横にはみ出すぎ。
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集団泳での活用
そして、この「斜め度合いのコントロール」は、集団内で使える武器となりうる。
これは高橋雄介コーチの「フラットスイム」無い考え方だ。ビート板を浮かせて滑らせるイメージなのがフラットスイム。これ自体は見事な理論で、基本として習得する価値が絶大なものではあるが、彼の主戦場は水深3mを波消し極太ロープで区切った静水プールだ。さらに、50m30秒を切る強力キックで身体を浮かせる、という前提もある。
 
かたや斜めクロールは、ビート板を斜めに水面に突き立てるイメージの反フラットスイム。キックが弱くて身体が沈む場合、あるいは水面が荒れてフラット姿勢では逆に抵抗になる場合など、むしろ前投影面積と造波抵抗を減らすとも考えられるし、実際、僕の感覚では、その通りだ。
 
僕がこれまで撮ってきた動画では、ズバリを撮ったものはなくて、下記、3月のリハビリスイムで説明する。画面右に進む前半では、左呼吸で、右エッジ(肩〜腰)を水底に押し付けたクロールを試みている。
ここでの要修正点は、
  1. 左ストローク時のローリング過剰=呼吸側である左エッジを沈め過ぎ(推進力につながらない回転は無駄&抵抗増)
  2. 入水腕(特に右腕)と頭とのスキマが作る抵抗増
そこで、左ストローク時に左エッジを水面近くに保てば、常時右エッジ(=呼吸しない側) を沈めることで、「常時斜めクロール」になる。さらに、頭と腕のスキマを埋めたい。
 
この傾け方を大きくすれば、かなりな密集でも抜け出しやすいことを、僕自身も、前回確認することができた。

2016年10月20日 (木)

トライアスリートのバイク練習環境の作り方 〜固定ローラー最強説

アイアンマンKONA'16、直前にサーベロP5Xが発表され、計4種の異型バイクが投入されて注目されていたけど、主役は人間、という(当然の)結論が今年の結果だったといえる。(来年はまた別だが)。空力的にも重要なのは、まずもってライダーの姿勢。そしてレース結果は、その姿勢を作りながらパワー出力を上げてゆく、ライダー自身のものだ。

最新マシン、パーツに心躍るのは良いことだけど、もしも目的が「速くなること」なら、まっさきに見直すべきは練習環境であるべきだ。どんな最新器材でも時間が経てば陳腐化・劣化するが、練習環境とそこで磨いた技術の価値なら高め続けることができる。

例えば、東京近辺なら、湘南の134号線(箱根3-4&7-8区)の海岸線、相模原あたりの丘陵エリアなら、家を出てすぐに良質なトレーニングに入ることができる。愛知県幸田町の実家も、家を出て5分で三河湾スカイラインや幡豆農道(群馬のサーキットに似ててクルマのほとんど走らない〜じゃ何故つくった?てツッコミはおいといて〜良質なテクニカルコース)のアップダウンを出ることができる。そうゆうとこなら、ただただ走っていればいい。

僕が藤沢にいたのは2009.05-2011.05の2年間、引地川沿いに10分で134号線に(そしてライフガード常駐の海に)出ることができる最高の環境に育てられたのは間違いない。

家を出て20分以内(=アップ&ダウン時間)にそうゆう環境に入れないのなら、ローラーの室内練習を検討したほうがいい。練習場への往復に1時間以上かかるならその時間はジャンク・トレーニングで、プールかブリックランに回した方が速くなる。

<僕は固定ローラー派です>

ローラーは、三本か固定か、という議論があるのだが、僕の結論を先にいえば、固定ローラーが良い。2009年末に3万円くらいで買ったELITEのを使っている。パワー値もシミュレーターもないローテクな固定だけど、質実剛健、だから良い。それがゆえに、自分の身体との対話ができるから。

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(図書館が放棄した大型本を積んでフォーク置いてます。水平器で位置確認)

<固定ローラーの優位性>

人気ブログ「ITU技術者ロードバイク日記」2015/03記事 「固定や三本ローラーを使った人達の体験談から見えた「違い」とは」  に両者が体験的に比較されている。文中、「トライアスリートと固定ローラー」の項のH・M氏とは我らがハッタリマスユキ氏であります。ここから引用:

長時間同じ姿勢で一定出力でいかにエコノミーに走るかが問われる。

これが第一の理由。レース想定錬として、レース時間の1/3以上、僕ならショートなら最低20分間、ロングなら100分間は、脚を止めずに回し続ける練習が必須。日本でそうゆう練習ができる場所は限られる。

固定なら、そうゆう長時間の練習がしやすい。 三本で2時間回し続けようとすると、バランス確保に意識を回さざるをえないのではないだろうか?(やったことないので知らないけど)

そして最大のメリットは:

固定ローラーは「安定」したトレーニングマシン 〜 「筋肉」を注意深く観察するには持ってこいの装置

実走中に感じられない細かな点を固定ローラーならば安心して確認することが出来る。後輪が「固定」されている 〜 「安定」を作り出すことにより身体と対話することが容易になる。

BGフィットに代表されるポジションの最適化の際も固定ローラーを用い(当たり前だが)細かなミリ単位での調整を施していく。固定ローラーは 〜 非常に細かな身体の情報をキャッチできる道具といえるだろう。

そう、車体を安定させることにより「身体との対話」が可能になることが固定ローラーの本質的な役割。よくいわれる「負荷を上げられる」のは二番目だと思う。

速度(=パワー値と同じ役割)、回転、心拍(さいきん使ってないけど)の数字をみながら、さらにチェーン音を聞き、何をするとどうなるか、という関係を考える。これは日本の公道ではまず無理。

チェーン音は、ペダリング効率を示す最高のサインだと思う。パイオニアの分析値よりも実戦的ではないだろうか。音楽でかき消すなんてもったいない。

※物理の大基本として加減速は無駄(スイムも同様)、ゆえにチェーン音は安定しているべき 

音楽きかない、何か映像見ないと飽きるのは、意識の向け方の問題ではないだろうか。本当の固定ローラー練習には、2時間走り続けても飽きることのない豊富な情報が溢れている。なぜ気づけていないのか?を問い直してみるといい。

逆にそれができないのなら、負荷付き三本ローラーのほうがまだましだろう。あくまでも「それよりは悪くない」という意味で。

※以上、レベルを1ランク以上上げるために、なにか、を必要とする方に向けて書いてます。既に技術があり、目標達成のためにあとは練習するだけ、というレベルの方なら、なんでも良いです。 

<三本ローラーのデメリット>

三本には特有のデメリットもあると思う。実走では考える必要がない「バランスをとる」という点に気を使うことだ。これは「練習のための技術」であって、レースでのパフォーマンスにつながらない。

三本でバランスを取る過程で磨かれる技術もあるだろうけど、その程度のことは固定ローラーでも、意識次第で、十分にカバーできる。「三本でないと練習できません」という場合、固定の乗り方を見直したほうがいい。

使用実績でいえば、日本では三本ローラーを奨める声が強い気がするけど、日本人が全く勝負させてもらってない欧米の強豪は、プロアマ問わず、固定ローラーが基本だと思う。にもかかわらず日本で三本が人気な理由は、プロショップ経営者に競輪出身者が多いからでは?という気もする。シングルギア&フリーなしの競輪では回転技術が勝負で、それを鍛えるのには三本しかない。

逆にいえば、競輪orトラック競技でなければ、三本である必然性はないと考える。

GROWTACの優位性>

こうゆうのは結局、自分の感覚に合うかどうかなので、どんな製品であれ、体験して、これだ!と思ったものを選ぶのがベスト。Zwiftのようなギミックがあったほうが速くなれる人も、余計な情報は要らない人も(=僕)、いる。

今なら僕は、「グロータック(GROWTAC)GT-Roller」を買う。理由はただ1つ、試乗した感触が完璧だったから。 他より高いけど、費用対効果でいえば、自転車競技においてこれほどお買い得な買い物はないと思う。フレームなりホイールのグレードを1つ落とせば、あるいはロング大会の遠征を1つ飛ばせば、買える。

詳しく知りたい方には、「ITU技術者ロードバイク日記」2016/10記事 「GT-Roller Flex 3 インプレッション 優れた設計思想を備えた本格ローラー」 も一読を。文中引用される設計思想:

GROWTACが考える「自転車との一体感」とは、トレーナー上で”全身の筋肉と自転車”を調和させ、効率的な推進力を得ることが出来ること (結果として、実走でそのトレーニング効果を発揮できること)

この点、その思想どおりに実装されていることが、乗ってみればわかるのではないだろうか。アレコレ読むよりも、会社サイトに 試乗可能店舗の一覧 があるので、自分のバイクを持ち込んでみるといい。僕は成城のBEX-ISOYAさんでお店のバイクをスニーカーでベタ踏みしただけだが、十分にバランス感覚の良さがわかった。

(ちなみに同ブログ、英文記事も用意してるところがおもしろい。たしかにグローバル展開するべき製品。そしてブロガーもグローバル展開すべき時代?) 

<固定の注意点

普通の固定ローラーは、固定するエンド付近のカーボンフレームを痛めるリスクがある。僕は基本は退役したロードバイクを使い、レース直前期だけレース車も使う。

このリスクが、GROWTACでは低いのも大きなメリット。フォークを固定するのだが、動きを吸収する構造なので、TTポジションで動かす限り、フォークを痛めるリスクは少ないと思われる。

 

<僕の練習法>

成功例は2013KONA前のFacebook記事:
https://www.facebook.com/Masuyuki.HATTA/posts/10200601659619621 
本番2週前くらいに、ローラー130分の後でラン20km走を平均3:57/km。今読み返すと誰の数字なんだか感が。。30℃超の室内で、家庭用小型扇風機2台で冷却しながら。

スピードはレース想定域(この数字は自分なりに把握する必要がある)に維持したまま、ケイデンス60から10分ごとにシフトを軽くしている。重たいギアは筋肉との対話に向く。こうすれば最適ケイデンスも探り当てやすい。僕は遅筋比率が高いせいか、72以上、せいぜい80まで、という低ケイデンス派だ。この問題に絶対解はない。

その日の心拍は145からなかなか上がらず、110分過ぎてようやく150超え。そうゆう状況もレース実戦に近い。2015宮古前は(冬なのに)こうゆう練習をサボった結果がアレだった。

ローラーの役割がレースシミュレーション走であるということは、そこでできないことを実走では補完すればいい。家から15分で出れる直線3kmコースを往復して、平均40kmhオーバー目標のインターバル〜レペティション的な走りで、現実に必要な感覚と筋力を作る。2013年9月にこの平均値(一往復分)はアルミの練習ホイールで44kmhまで上がった。

なお、ポジション変更は、ローラーでも実走でも同様にほぼ毎回行う。ローラーでは感覚を上げるため、実走では実戦仕様へのフィッティングのため、目的が違うけど。

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<ローラーは飽きる、という方へ>

134号線沿いにでも引っ越してはいかがでしょうか。はい次の質問?

似た仕組みなのがミノウラの540らしい(実物を知らないので紹介のみ)

疲労回復には、たぶんこれが最強

2016年10月 8日 (土)

量と質の関係:序論 〜「ポストシーズンの魔法」に向けて

いわゆるスポーツ界の「オフシーズン」は、英語では "post-season" と言う。Offとは本当に練習しないことで、勝負レース後の2週〜2ヶ月で身体にエネルギー(脂肪ふくむ)を充填する専用の期間。その後、自分に足りない要素を時間をかけてじっくりと育てるのが、ポストシーズンだ。ここでの過ごし方は、魔法も起こす。

そのための考え方、これから少し紹介していきたい。

先月からFacebookで、質重視トレーニングの考え方について連載しているのもそう。この2016.9.19投稿→ 【トレーニングの量と質の関係】 が最初で、いろいろ質問など答えているうちに、きちんと説明する必要あるな、と書いてみたものだ。そのコメントなどにまとめて返答しようと書いて、そのまた、、と結果的に連載化していたパターン。

「質」というと、スピードとか、高強度とか、イメージされる方が目立つ気がする。実際はそんな単純なものではなく、本数冊ぶんくらいの情報量は理解すべきだろう。かといって、この1冊、という決定版も知らないし、そもそも絶対的な教科書なんて存在しないと思う。だからここで書くのも、あくまでも僕の経験と理解の範囲内に留まるもの。1つのヒントになればと思う。

・・・

はじめに定義: ここで「質」とは、「"練習距離"以外の全て」としておく。(本来は"練習距離"は無数に存在する変数の1つに過ぎないのだけど、どうも過剰に評価されている状況を感じるので、ことさらに取り上げてみる)

すると、「量と質の関係」とは「"距離"と"距離以外の要素"との関係」に単純化して理解できる。このイメージだ:

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量偏重トレーニングは、下側の流れをたどる。

  1. 初期は、練習距離を伸ばすほど速くなる。つまりトレーニングの量と質は一致 (ここで「量が質を作る」という「成功体験」を誰もが得るだろう)
  2. この「量的成長」には限界があり、いずれ伸び悩む。化学的には「飽和点」に近づき、ミクロ経済学でいえば「限界効用逓減の法則」が作用する
  3. ここで、過去の成功体験を強化すると、幾らかの成果は得られるだろう
  4. しかし量(とくにラン、とりわけ舗装路の)は、故障リスク・健康リスクを高める
  5. ただし、豊富な練習量の中で技術進化ができていれば再成長が可能

ここでポイントは、2〜3での意識の切り替えだ。「量が質を作る」という成功体験は、「距離に逃げる」という状況を作りやすい。技術進歩はそこから脱却するカギなのだが、慢性疲労があると、その兆しに対する感度を鈍らせる。もちろん故障・病気のリスクも上げる。

そのリスクが顕在化すれば、やりたくてもできないわけで、ゼロ以下だ。
しかし、そうゆう「量依存」への強い誘惑は、現実にそこかしこにあふれている。

質への転換とは、
  • 2' 量的効果の伸び悩みの兆しを捉えて、「距離以外の要素」への探索を始め
  • 「新たな成功体験」を得て
  • 3' そこで得た新技術を、量的効果によって向上させる
という図の上側の流れだ。
新たな技術を得ることができれば、それを伸ばすための「初期の量的効果」が働く。上図のフェーズ1を、より上位ステージから開始できるから。
 
以上のことは、量と質を逆転させてもほぼ同じだ。例えば、スピード系の練習ばかりしてた人が、量を増やすことで、再成長できる、というケース。ただし現実にはあまりいないだけで。
 
※強調しておくと、量には量の効果がある。
問題は、量に偏重することにより、「量の正しい効果」を引き出せないケースだ。
 
・・・
 
では具体的に、どう考えるのか?何をするのか?という話は、時間の許す範囲で当ブログにも書いていきたいのですが、手が回ってないのもあり、読者のみなさんには3つの方法があります。
  1. 八田のFacebookのフォロー
  2. 1万7000字にわたり、僕の考えを書いた地域情報誌「渥美半島の風」のご購読
  3. 練習会の参加
 
1.Facebook
→ www.facebook.com/Masuyuki.HATTA は、日頃の気付きのメモ帳的に、まめに更新しています。なお全記事公開しているので、友達申請は不要です(リアルでお会いしたことがなく友達設定ご希望の方は、メッセージで自己紹介ください)
 
 
2.「渥美半島の風」
おかげさまで増刷かかりました! こちら販売サイトから購入いただけます。
 

https://spike.cc/shop/user_3986276548/products/LUaWObSx

 
読者さん感想は、例えばこのブログなどご参照  
八田哲学に触れよ!「渥美半島の風」面白い!!!  (人気ブログ「オカン、アスリート始めました」より)
 
 
(3.練習会情報 開催する場合、Facebookに告知を集約しております)

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    『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

    • 初著作 2017年9月発売

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