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2016年4月18日 (月)

これが世界の強豪エイジ! 宮古'16総合2位ヒューム選手は週14時間練習の40歳医師

<お盆?>

国内トライアスロン界が一年で最も盛り上がるのは10月の日本選手権(51.5km)&アイアンマン世界選手権(226km)ウィーク。同じ週末に重なることが多く、土曜がクリスマスで(この競技にとってのイエス様のような存在だし)、日曜お正月(お台場だけに)的な。その次に盛り上げるのが4月の宮古島大会ではないだろうか。申込3,231名から参加1,700名が決まるクリスマスからじわじわはじまる国内最大規模のお祭り。こっちは日本のトライアスロン人気の「ご先祖様」のようなものだから、お盆と認定しよう。暑いし。

今年の僕はパンフレットにだけ登場して→13022279_10209144921999197_14554479 気楽なネット観戦。40代選手の表彰台の行方を一部友人にネット解説しながら。

<経過>

2016年大会の結果は、超おおざっぱに書くと、

現役国内プロ > 海外勢 > 国内超ベテラン > 沖縄勢 > 国内ベテラン

て勢力関係かな?

戸原さんが二連覇(or '15デュアスロン & '16トライアスロン二冠)へ独走。海外の3名が続く。

去年深夜ギリギリに苦悶の完走を果たしたベテラン松丸さんが5位、見事な復活を遂げた。次いでM45-49カテゴリのお二人が強さを見せ、48歳の谷さんが6位、おそらく翌年の招待選手対象に滑りこむ。去年に長いブランクを経て復活した強豪エイジ松田さんの8位も素晴らしい。

これら展開は、以前書いた「トライアスロンSwimパートは「初回限定の先発投手」 〜本当の重要度&練習頻度を考えよう」 に沿っている。「バイクで上げ、ランで逃げ切る」のが長距離トライアスロン。バイク終了時点での位置は、野球でいえば「6回終了し、7回から最強クローザーが相手」という状況で、ランからの大逆転は難しい。

ちなみに谷さんのバイクフレームはたぶんTNI "Fighter" 19万円なり(=安いという意味ですm(__)m一般人のみなさん)。車体が幾らしようが結局エンジンだ!

さらに沖縄の30代3名が絡む。おもしろいのはみな内地からの移住組なこと。常連の地元エネルギー企業ヤマモトさんも関西&東北大出身だったのは始めて知った。

そして総合10位表彰台への最後1枠は、M40-44森田・西内さんvs.地元30代の桑原さんの争い。いずれも長距離レースの走り方を知っている元プロだ。この結果次第で、少し離された秦(=かぼすくん)・星さんの両方がM40-44年代別表彰台に乗れるか、片方だけかが決まる。そんなランの開始。みんな知っている僕としてはかなりおもしろい!

バイク終了時にかぼす君に5分差を付けられていた☆さんは、折り返しの計測地点で背後にまで追い着き、盛り上げる。1kmあたり15秒詰めたわけだ。丁度折り返しでネット中継に登場しており、雰囲気は対照的。かぼす君は力強さは感じないけど、余裕ありそうなリラックスした走りとも取れる。☆さんは気迫に溢れるが、既に30km過ぎのような余裕度でもあった。

そして30km計測地点では、桑原さんが森田さんを逆転する勢いで猛追し、M40-表彰台はかぼすvs.☆対決の勝者に絞られると予測。数分後の通過データで、かぼす君☆さんを突き放す。陥落の☆さんだが、その気迫はネットの短い画面からも、タイム推移からも、十分に伝わってきた。

桑原さんのラン逆転は、高難度だと思う。特に上位ほどランで崩れないし、しかも相手は森田さん。かぼす君は環境の変化で十分な練習ができなくなってしまったようだけど、ペース配分などの経験でギリギリの成果を得た形だ。そして去年ワタシが獲得した「表彰台を逃した中で最速王」の座は☆選手に移管されましたとさ。めでたしめでたし??

ところでこうゆう途中経過、もっと中継データが多ければ、みんなが勝手解説をSNSとかに持ち寄って、もっと盛り上がれそうだよねー笑。技術的にも、もっといろいろできそうなもんだ。タイム速報だけでも、「指定した選手がタイム計測ラインを通過すると通知されて、その少し後の定点カメラで姿を見れる」とか、「上位選手の位置関係が折れ線グラフでわかる」とか。さらにGPSまで絡めればすごい(けどシステム構築にカネかかりそう)

単純にタイム計測ラインや定点カメラを増やすだけなら、たいしたコストを積まずにできそう。あとはこっちが勝手に解説するので(出てなければね!)

かくして総合10位内に40代は4名。その筆頭が総合2位サム・ヒューム選手40歳、オーストラリアの招待選手だ。

<これが世界の強豪エイジ!>

ところで当ブログ読者のみなさまはここの筆者が検索魔であることにお気づきであろう笑。そして今回もまた例外ではないのであった! その調査結果を紹介しよう:

オーストラリアのウェブ媒体らしき2015年インタビュー記事: AGE GROUP FEATURE – SAM HUME

swimstyle-magazineとやらのFacebook2010年ノート: In Focus - "the Iron Doctor" - Dr. Sam Hume

彼はメルボルンの感染症の専門医さん。複数の病院を掛け持ちするフリーランスみたいな勤務形態かな? 娘さん二人がかわいい。そしてトライアスロンでは、2015年のアイアンマン・メルボルンで8:39でエイジ総合1位(KONAは不出場ぽい)。(なお今年はメルボルンが開催されないこともあって宮古に呼ばれたようだ) KONAでは2008年に総合27位(=プロの半分くらいに勝っていると思う!)、エイジ2位入賞歴もある。本物の強豪エイジだ。
 
興味深いのは、トレーニングの内容。2015年記事によれば:
  • ふだんトレーニングは週13−14時間
  • 平日は1回45−75分だけど、できる限り朝夕2回
  • 週末にはバイク3時間と90分ラン
  • 十分ではないけど、1年間しつこく続けるのが、結果につながっていると思う

ただ勝負レース前の強化週はたっぷりで:

  • スイム12km(1時間×3回) 〜これはふだんとそう変わらない、週3回
  • バイク300-400km(ポイント練習が180-200kmロングライド)、週4-5回
  • ラン65-80km(ポイント錬2時間00〜15分走)、週4-5回

テキトーに推計してみると:

  • ふだん週: 週末ポイント錬5h+平日1h×6コマ+スイム2h=13h
  • 強化週: ポイント錬(Bike6h+Run2h)+それ以外(Bike1.5h*3+Run1h*4)+Swim3h=20h(より少し多いかな?)

くらいの練習コマの配分だろうか。

・・・

こうゆう「山頂の高さ」みたいなものが、大事なんだろうと思う。

世界強豪エイジの情報漁りはたまにやることがある。層が厚いだけにおもしろい作業だ。そしてこの情報を、長短の世界選手権で対戦した際の(圧倒的な実力差による)身体感覚とを突き合わせて考えるのは、とてもおもしろい。(だからブログで共有したい)

いまのところ僕は、ワールドクラスで戦うためのトレーニングとは、

  1. 「瞬間の強さ」が大前提
  2. それらが折り重なった「結果としての積算練習量」ならば、ある程度の意味はあるが
  3. 単純な足し算ではない

のだと思っている。その重要度は、1つめが過半数を占めるくらいな感じ。
 
たとえば今年1月に書いた:
 
も、これら情報と考察を踏まえたものだ。
 
宮古島トライアスロンで「招待選手の外国勢」は名物なんだけど、紹介のされ方は、それ止まりで、「黒船の異人さん」扱いのような気がしなくもない。ただそれは僕らの受け止め方、接し方の問題であって、こうゆう人達と一緒にレースでき、間近に見れる機会が現実にあるのもまた事実だ。そして、その差を詰めるきっかけともなりうるものだと思っている。
 
 
<災害に備えましょう>

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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