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2016年1月15日 (金)

勝つためには「強度6割+量4割」で練習する 〜まだ月間走行距離で消耗してるの?

Joe Frielコーチは2016/01/14投稿ブログ "How Should I Train? It Depends..." で、トレーニングでの必要要素をこう説明する。

  • 初心者: 頻度
  • 中級者: 量(=頻度×時間)
  • 上級者: 強度6割+量4割

その理由について、僕なりの理解を補足しておこう。

初心者は技術的にも体力的にも基礎を作る必要がある。そのためには、量も強度も抑えて素早く回復させ、週に何度も練習することが近道。いきなり量と強度を上げると怪我するし、実際、してる人は多いと思う。(僕のブログを読んでから始めればよかったのに)

その時期を過ぎ、量に耐えるだけの基礎ができた後は、やればやるだけ速くなる。

そこから表彰台〜KONAレベルなどを目指すには、強度を上げないと勝てない。(※元トップ選手は除く=身体が高強度動作を覚えているから)

ここで注目は上級者向けの、強度の重視だ。以下原文引用:

too many advanced athletes ・・・ continue to believe that the key to their performance is how many hours, miles, or kilometers they put in during a week. They’re wrong.
how fast (or slow) and advanced athlete trains has a greater impact on performance than how much volume they do in a week. And this holds true across all endurance sports.
determined 60% by the intensity of their recent training and 40% by their recent volume.

つまり、レースパフォーマンスは、直近のトレーニングの強度が6割、量が4割と言う。実感として僕は完全支持する。

それでも、量信仰が生まれる理由を考えると、

  1. 日本人的な(?)勤勉の精神の誤用 (でも欧米にも多いようだし)
  2. 自分の中級者時代の、量によって速くなった成功体験の誤用
  3.   「量を積んで速い人」の練習内容の誤読

だろうか。

最後の点について、正解をいえば、「量を積んで速い人」は、明らかに質の高い内容で量を積んでいる。ネットに上げる個々の練習内容からもわかるし、現実に、同じレースを走って動きを見れば、その練習の質の高さがわかる。ネットに全てを正確に書いているわけでもないだろうけど(=いちいち書いてられないし、こっちだっていちいち読んでられない)、レース中の動作は、嘘をつかない。
 
例えば、毎日1km4:30ペースで10㎞休まず走れば月間走行距離300km。少なくとも4−50代男子ではそれでは勝てないだろう。週に1度25kmを4:30で走れば月間100km。これならチャンスが生まれる。(数字はあくまでも例です)
4:30でそんな走れません、という場合、短時間高強度が足りない可能性が高い。アイアンマンを速く走りたいなら、1km走で十分なスピードを出せるべきだ。それが世界の標準。

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それから、このフリール氏の記事もそうだけど、量の管理は、欧米では「週単位」で行うものだと思う。「今月は何km走った」という表現は、日本語でしか見ない印象がある。

僕はこの差も大事だと思っている。月単位では振り返りとして不十分だから。最低でも週ごとに振り返るべきだ。月まとめはそれと別に、「1月第一週は何時間、第二週は・・・」とやればよい。(ブログに書くのは面倒だし月一でなんの問題もありません、いうまでもないが)

その際に、練習量はあくまでも4割の要素に過ぎない、という視点で振り返ろう、という話だ。

僕の過去の月間トレーニング量グラフでは、振り返りはほぼ毎日行い(3日移動平均グラフを毎日更新するから)、強度も3レベルで管理していた。掲載が月に1度なだけ。ただ、毎日振り返りは頻度が高すぎて気疲れするので、週一くらいがちょうどいい気がする。

なお僕が低負荷での量重視で練習していた「中級者」時代は、2010年始めごろの2-3ヶ月間ともいえる。その3月に自転車レースに初出場し、高負荷のなんたるかを身体で知ったのが、その夏からのトライアスロン・デビューの成功に繋がっているのは間違いない。以降僕は徹底的に高負荷派です。

・・・

ジョー・フリール氏はいわずとしれた「トライアスリート・トレーニング・バイブル」「サイクリスト・トレーニング・バイブル」の著者、この分野の世界最高権威であらせられます→

写真は蒲郡トライアスロンのランコースの先、竹島お正月の夕暮れ。奥には伊良湖がうっすら見える。

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