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2015年11月22日 (日)

宮澤崇史さん講演 「日本人が世界で戦う術」

<日本のトライアスロン・スイムを底上げしよう>

11/15夜のオリンピアン三浦広司コーチの「体幹クロール講座」 は、座学に最も向かないであろう水泳の、しかも初回としては、集客も反応も上々。12月の2回めも発表直後にキャンセル待ち。その先を準備中。

この対応もあり、しばらく情報発信をFacebookに集約している。今、トライアスリートの間のコミュニケーションは、Facebook内部での「閉じた相互コミュニケーション」が主流になっているように思う。そこで、独自価値のある情報を提供できている限り、マスメディア抜きにでも、ある程度の発信は可能だ。

さらに、Facebookのイベント主催機能はなかなか優れている。これは実名制SNSならではで、参加希望者がどうゆう方かわかるのは大きい。欠席者も必ずメッセージを頂け、無言ドタキャンがゼロ。今回のような実験的な試みをSNS内でほぼ完結できるのはとても便利だ。

3回目は年明け以降。Facebook内の募集だけで満席になる可能性は高いので、興味ある方は、八田のFacebookをフォローしといてください。

・・・

翌11/16夜は、「プロアスリートと欧州のエコノミストに学ぶ日本人が世界で戦う術」なるサクソバンクFX証券のセミナーへ。会場は青山通りと外苑銀杏並木の交点、華やか。東京駅から6kmバタバタ走って移動。

皇居の玉砂利エリアでウォーキングしてから、と入ると、ちょうど天皇陛下がお帰りになる直前で止められた。せっかくなので見学エリアに移動し、ほか6名の通りすがりの見学者と共に待つと、アンテナを幾つも立てた黒マークXに挟まれ、あの黒塗りクルマが登場。夕暮れの中、室内を明るくされて、鮮明に陛下の笑顔を見ることができる。こんな7名だけの野次馬にまで手を振られて。感激。

皇居〜国会議事堂〜246と走り、Tシャツ短パン汗まみれという場違いな登場をキメる。(で着替える)

12219617_555625287919790_66271720_4 (写真:浅海健太さんFacebookより)

<宮澤崇史さん講演:海外で生き残るということ>

高卒後すぐイタリアに渡った宮澤さんは、空港で待ち合わせてチームに連れてかれ、以後は日本からの連絡なく半年間放置されたと。世界で戦うとは、一面でそうゆうことだ。

自転車ロードレースは「個人を勝たせるチーム競技」なので、コミュニケーション=語学力+関係構築力が重要。

語学について、周りはイタリア語しか使わず、全然わからないとこからのスタート。競技と生活の合間に勉強し続けるほかなく、自転車の練習中に知らない言葉が出てきたらイタリア語の辞書をハンドル上でめくったりしてたそうだ。

その上での関係構築は 、「まずチームの、お山の大将に話しかけて、仲良くなること」から人間関係を作っていったと。すると周りの扱いも変わる。サバイバル能力高い。

外国語がわかるようになるのは、ある日突然すーっと入ってくるようになるわけではなく、幾つか聞き取れる言葉を繋いで、その場の雰囲気とあわせて、想像し続けることが大事、とも。この食らいつく姿勢はすごく大事なことで、英語苦手、という方は、この曖昧領域に耐えられない、という面があるかもしれない。

僕も最近、高校受験を控えた知人のお子さんの英語テストを見直して、思った。公立高レベルの英語は、英文解釈がテキトーでも、「似たシチュエーションでの、日本人同士の会話」に置き換えてイメージさえできれば、テストで8割以上を正答できる。でも、英語苦手という意識があると、2-3行目に「あーわからないもうダメ!」と思考停止しがちだ。ただその子は実際には、「日本人同士の会話」をイメージできるレベルでの英文読解力はあった。もったいない。そうゆう状況下でも上位3割くらいにはねじ込める受験テクニックはあり、それを教えたら、たちどころに理解してくれた。

その数十分間の変わりようを見ながら、同じような罠にハマっている日本人はかなり多いんだろうな、とも。

11114320_986958801364836_7284163129 (写真:宮澤崇史さんFacebookより)

<欧州の日本人自転車選手というキャリア戦略>

ヨーロッパではもともと競技レベルが高い上に、フランスのチームなら当然フランス人選手を優遇するので、日本人が選手キャリアを続けるのは難易度がかなり高い。

この成功要因を宮澤さんは、「1つのピースとしての自分」が、「チームにとって必要なピースであること、ただし大きなピースである必要はない」と説明される。自分だけの強みを明確化し、そこに徹底集中する、ということだ。あれもこれでも中途半端にできます、という選手は、すぐに契約を切られてしまう。

講演の質問タイムで訊いてみた。「生き残れた日本人選手と、そうでなかった選手との違いは何ですか?」と。すると踏み込んだ回答をいただく。

10年後なりたい自分の姿を明確にしておくことだと。そこから逆算して、5年後、3年後、1年後、1ヶ月後、、、とやるべきことが決まる。この時間軸がズレるのは一向にかまわない。でも、なりたい姿からブレたらダメ、そこだけは絶対にこだわり抜かなければならない。

また、最近の若い選手は、すぐに「幾ら貰えるんですか?」と気にすると。でも実際、条件を考える事ができる立場にいるのは上位数%で、それ以外は、相手(チームとスポンサー)が望むことを徹底的にやりきるという以外に、選択肢はない、とも。

つまり、自分の将来という軸、相手の期待という軸、いずれも徹底実行する、という当たり前ができるかどうか。

海外進出も視野に入れる若手アスリートからの質問では、さらに熱を込めて、ずばっと切り込んでくる。メモしてないのであやふやだけど、たしか、こんな感じ。

「一番伸びる時期に、日本にいることのメリットとデメリットは見えている? 

現地に居続けることで、始めて蓄積できるものがある。日本にいて、それと同じレベルのことができる?

日本にいれば(休学等を抜きに)大学を卒業できる、親もそう期待するだろう、でもそれは親が「本当に望んでいること」だと言い切れるか?

みんな、自分は違います日本でもできます、と言いながら、何も出来ずに終わってゆく。もちろんキミがその例外となる可能性はあるだろう。でもぼんやりとした期待でなんとなく考えちゃダメだ」

一般向けの(しかも金融業主催の)講演→ その枠内での一般人の質問(=私)→ 懇親会での将来を賭けた立場からの質問、と、場が深まるほどに、やりとりも深くなる。スリリングな過程。まじかで接することができるのは、なかなか無い。

<レールの上の速度競争ではない世界>

日本国内の人気スポーツの多くは、「レールが敷かれた世界」だ。レールの上でより速い者から順にキャリアが用意される。(ただし現役アスリートである間に限る)。一方で、海外自転車プロ選手というキャリアにはそれがなく、戦略から実行まで、自分で考え決めてやりきる、ということが重要になる。

そして、日本国内でも、そんな世界がこれから増えてゆくはず。その最前線を18年間にわたり体験したのが宮澤さんだ。そのキャリア論は熱く尖っていて、日本の高校・大学生世代にも、ぜひ伝わってほしいと思う。

 

<世界経済の行方は?>

宮澤さんとご飯との合間の、いや、、、メインイベントであるスティーン・ヤコブセン氏のマクロ経済分析は、パンチが効いててかなりおもしろい。やはり経済の王道とは、

教育→ 国民のIQ向上→ (女性参加度up ※必要な国の場合) →生産性向上→ 通貨価値向上

という流れだと確認できた。ほぼ同趣旨の概要はロイターのインタビューで読める。アベノミクス的なものは、短期的にはイージーマネーを動かすことはできるけど、長期では上記のシナリオが勝つだろう。

「世界経済がドル建ての(実物による裏付けのない)債務により膨れ上がるが、資産価値が上がってるわけでもなく、資本コストも既に上昇中、さらに上がる。

そんな中でのドル高は米国外での債務を増大させ、世界経済の巨大なマイナス要因。

1年後には2-3割の調整が入るべきだ。さもなくば不況突入。IQの高い国の生産的な会社なら生き残れる。」

というシンプルなストーリー。実際どうなるかは誰にもわからないのが金融マーケットだが(中でもSAXOBANKは大胆予測で有名)、骨太なストーリーを幾つか理解しておくことは大事だ。

最後のアドバイスはチャーチルの言葉、"If you are going through hell, keep going." 投資家にとっては修羅場が始まるかもしれない。そんな時には、戦い続けるしかない。怖がってすくんだら負け。なかなかシビアな認識だ。

 

文字で読むのと、生で見て聞いて伝わるものには、大きな違いがあるものだ。適切な話者によるものである限りは。そう感じることができたのは、良いセミナーだったてことだ。

・・・

 

★★ おしらせ ★★

フランス的な細かなデザインセンスが光る高性能ウェアZ3R0D=ゼロディ、ただいま「oスーツ」で「JPNロゴ入りの名前入れ」がなんと1円。代表選手ぽくてかっこいいし、レースで名前で応援されやすく、キツいRunパートでの素晴らしいモチベーションとなります。

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

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