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2015年9月の14件の記事

2015年9月29日 (火)

【技術解説】サガンそこ振り向くとこじゃナーイ\(@@)/ UCIロード世界選手権に表れた妖怪2匹を解剖しよう

今回は脱線し、世界選手権でも UCIロード世界選手権2015 。2匹の異常生物を発見したので解剖を試みる。
 
<妖怪「ふりむき」、別名サガン>
ロードレース エリート男子動画。注目は最終アタックのかかる4:30からの4分間。
石畳の急坂アタックで付けた差は、ゆるい下りに入った5:10時点で数m。そこから30秒間で50mほどに広がり、このリード分で逃げ切っている。下りの得意なピーター・サガンとはいえ、ほんの数百m、しかも直線で、これほどの差を付けるとは。ここまで高い下りスキルには、集団の追走力も通用しない。
途中でみせた妖怪技。そこ振り向くとこじゃない! レース局面的にも、乗車技術的にも、、
20150928_234009
まず基本から説明していくと、下りの傾斜がきつくなった時、サドルからトップチューブ(=競輪みたいな自転車の上の水平なパイプです)へ、座り直している。
 
これは下りで空気抵抗を激減できる技術。ここでは時速6−70kmでてそうなので、かなり速くなる。試しに時速70kmのクルマから上半身を乗り出してみると、幸運なら警察に逮捕され、不運なら死神さんに逮捕されると思うけど、まあ、どれくらいの空気の重さがあるのかわかるだろう。まあ良い子は掌くらいでお試しを。
 
もちろん不安定極まりない。自転車を自在に操れるプロだからこその技術だ。たまに衛星のTV中継で目にすることもある。ただし、まっすぐにペダル回すだけならば。
 
問題点を3つあげよう。
  1. ただでさえ下りで前荷重する場面で、さらに前荷重させる乗り方。ハンドルと前輪に体重が乗った状態で、上体を揺さぶるのは、危険な力を伝え、コロンとイキかねない。ほぼ刑罰レベルだ
  2. 空気抵抗を減らすためにやってるわけで、頭を横に突き出す分がブレーキになり、もったいない。試しに時速70kmhのクルマから頭をつきだしてみようか。ギロチン注意で
  3. レース局面的には、世界王者の座をかけた一番大事なところ、差を少しでも開くことに集中すべきで、後ろ確認なんていう自己満足なことをするべきじゃない
1.の前荷重の危険性については、人気の過去記事、【図解】TTバイクの重心特性を理解すれば、IM北海道もTTで乗りきれる! (カモ? にて説明した通りだ。
 
・・・そんな常識が通用しないのが、妖怪の妖怪たる所以である。。
 
後を追う集団では危険過ぎて出来ない技なので(サガンが先頭ならやりかねないが)、想定外の差を付けることができる。急坂を上り終え、さあこれから追撃、と気合を入れた瞬間に見せつけられた坂の下の小さなサガンに、集団は世界王者の夢を諦めたのではないだろうか?
その後の高速直角コーナーも、集団ほどスピードを上げられないため、差はさらに拡がる。ここでのサガンのコーナリングは実に美しい。時速どっかに出てないかな?
 
Facebookで紹介したら、上記記事でもコメントいただいている安藤隼人コーチから早速解説を頂いた。(こうゆうのも、トライアスリートにFacebbook必須という理由です)(そこのコメントの流れ、福山ショックに揺れる世間からそーとー浮いている気もするが、、)
  • 一見、トップチューブに座っているようだが、内股で軽く挟む程度
  • 実際は、左右のペダルにバランスよく荷重してるはず
  • これにより、BB付近に重心を保ってる
  • ハンドルに荷重したらダメ (振り返るときにバランスを崩すはず)
つまり超絶技とはいえども基本には忠実らしい。とはいえ、どうしても前輪に荷重するわけで、実際、後輪が振られている、怖い! それでも平然と走り切る妖怪。
 
1つの注目は、5:18、サドルからチューブ位置へドスンと降りる感じで、この瞬間に重力落下エネルギーを利用して加速度を得ているように見える。その直後、3回転くらいペダルをまわして、さらに加速している。傾斜が急になることで得られる加速度と、タイミングを合わせて。
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肘を外に張り出し、腕と胸で、腿を引き付けて、押し出す。窮屈なようだけど、「腿と体幹との角度」は、Castroviejo選手のDHポジションと同じ程度かと思う。そしてチューブは身体を合わせてるだけで、ダンシング同様に体重はペダルに架けている。こうして、幾つもの「加速度」を積み重ねてゆく。こうゆう物理法則を身体で感じ、自在に操っている。
 
それら動作の1つ1つが、いちいちキマっている。かっこいい!
 
<妖怪「まえのり」、別名Castroviejo
こちらは、UCIロード世界選手権2015タイムトライアル エリート男子、Jonathan Castroviejo=ヨナタン・カストロビエホ選手。よなタンとは有名フィギュアスケート選手のことではない。
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西薗良太選手が
 
世界戦TT、前々から着目しているモビスターのJonathan Castroviejo選手は4位。なにがすごいかというと、あの重戦車が活躍する1時間TTの間で、172cm、64kg(Wiki)しかないのにトップレベルで戦っているところ
ちなみにフォームが異次元

とツイートする映像は2:58-3:13あたり。


アゴがサドルより低いのでは。ヒザは上腕の中ほどにぶつかりそうなくらいに、上体が低く、かつ、腕と脚が近い。
 
時速50kmh近くで走り続ける個人タイムトライアルでは、最大のマイナス要素は、「脚の回転動作が生む乱流」だ。
 
このスタイルでは、前方から衝突してくる空気の圧力を、前腕で切り裂き、上腕で拡げてエアポケットを作って、その後ろにヒザから上の回転部分を収めることができる。
さらに、低い頭が、胴体下から腰へと巻き込む風を押し退ける。
どちらも、FIマシーンなどの先端の「ノーズ」のような働きをする。
 
最新の超高額な自転車は、ハンドルやブレーキなど、「ノーズの後ろ側」の空気抵抗を極限まで下げることをウリにしてるけど、こうゆう身体レベルでの抵抗削減効果は、それらを圧倒的に上回る。パーツのサイズも、動きも、比較にならないほど大きいよね。しかも、最初に空気を切り裂くノーズ部分で作用する。
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ただし身体がついてこれるかどうかは別問題。腿がほぼ胸に付いてるし、腹筋と同時に攣ったりして。このあとラン走れる気もしない。。
 
ただ、サガンの下りのフォームと共通する動作もあり、ここにも普遍的な学びを得る可能性はあるのかもしれない。
 
結論1:よいこはマネをしてはいけません
結論2:バイクは器材じゃない、技術だ
 
あれ微妙に矛盾?
そうゆう僕はCastroviejoスタイルを秋冬に少し試してみようかな?
 
・・・

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2015年9月27日 (日)

ITU世界選手権Chicago レースレポート#1 〜Swimは世界基準に届く

<シカゴ大会のコース
レース全体の様子は、公式動画がよくわかるだろう→https://www.youtube.com/watch?t=2&v=a62a-QTogVM 写真は1:20、スタート2-30分前、福岡からの応援団と一緒に。
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公式コース図と、SUUNTOのGPS画像を並べる。特徴は:
  • スイム: 折り返し後、1kmほど岸壁に沿って真っ直ぐ
  • バイク: 地下道がほぼ半分(コース図の黄色点線)、ただし青天井の半地下含み(GPSの軌跡がある部分)完全な地下道は川沿いに下に向かう部分
  • ラン: 華やかな公園の折り返し周回路。大噴水を4周したらゴール
予想通り、横浜大会に似ている。シカゴのほうが広く、走りやすく、水も綺麗。
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航空写真の黄緑ラインがGPSの軌跡。スイムの始めと、バイクの地下付近(中では電波通らない)以外、かなり正確。噴水4周回での軌跡がここまで重なることは国内では無いと思うし、ゴール後のエイドをウロウロしてたのの捕捉ぶりは、GPS衛星から狙撃されかねない精度。。
 
GPSも米軍技術で、アインシュタイン博士の理論を人工衛星を飛ばして実現するとは当時そーとー大胆な気がする。まあ米軍さんはこうゆうことを世界規模で仕組み化したうえで民生転用してくるので、東の果ての下々の者までその性能にあずかることができる。コンピューターとインターネットも、ある意味では原爆の副産物だ。核実験の代替品と、核戦争中の連絡手段と。。んなわけで米国本土でのGPS精度は日本より明らかに高い。まあ日本でも、やろうと思えばいつでもできる、てところだろうけど。
なお2年前のKONAでは、当時Garmin310が古いせいか、ハワイという地域のGPS能力か、あるいは太陽フレアか、はたまた当時のストライキが設備運営に影響したのか? 不正確だった。
 
というわけで、国内ではズレまくるSwimの軌跡が、かなり鮮明に出ている。少し岸側にズレてはいるけど、せいぜい数m程度での地図とのすり合わせの問題で、軌跡自体はかなり正確。ラップタイムは一部で変だが、地図上での距離と時間を基準にすればOK。
(なお時折、国内でのスイムGPS軌跡をみて、まっすぐ泳げていない、とボヤく方をみかけるけど、単なるGPS精度の問題のような気もする)
 
<データ>
Swim21:52(24位/125名中=上位2割に入った!)
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(↑T1後のBikeスタート時点。赤字は6位以内、黄帯は3位以内)
 
順位からみると、表彰台組とバイクスタートを比べて、1位と1:38遅れ、2-3位とは16−25秒先。十分に世界を狙える位置にあると判断する!
 
GPS数値は、中らずといえども遠からず、といったところだろう。
折り返しまでの公称375m区間でのペース(100m)は、160m@1:13、もしくは、230m@1:18。(SUUNTOでの範囲指定と、距離&時間からの手計算の2通りやってみた)
 
折り返し後の1125m区間では1360m@1:26−7。
区間を分けると、150m@1:31, 230m@1:15, 540m@1:13, 160m@1:25
中盤800mは速く出過ぎかな。でもペース変動を、ある程度は捉えていると思う。
 
折り返しまでの400mを1:10ちょいペースで泳げるようになれば、さらに別の展開ができるだろう。
 
<レース展開>
M40-44の約130名は2ウェーブに分かれる。少し遠慮して2列目からスタート。結果的には最前列から出れる実力を持っていた。少々の手先、足先の接触はあるものの、バトル無くスーッと前へ進みながら、互いの泳力を見極め、位置取りが決まってゆく。
 
最近始めた4キックで、キックは呼吸する右1+左3。いつもよりも前泳者に長い時間を付いていられる。でもおそらく100mあたりで前から離される。まだまだ泳力不足。横から上がってくる1名に付け、2キックに変えて体力セーブ。400m近くのブイまで早かった。調子悪くない。
 
折返すと、だんだんと楽になってくる。いやいや安心してはダメだ、前泳者が落ち始めるとこうゆうことが起きるから。どうしようかな、と考えながら、推定 600mあたりで前に出ようと外側に出る。
このたるんでた区間は、GPSでの最遅、150m@1:31区間とデータ的にも一致する。
 
そして前に出ると、きちんとヘッドアップして前を見ざるをえない。この時気付いた、前泳者と5−10m離れている。「中切れ」状態だ。4キックに変えて追いつこうと試みるが、追いつかない。
 
この間、追いついた相手としばらく横並び、僕が右呼吸で左側、右の相手は左呼吸で、たまにお見合い、ちょっとおもしろい。向こうもニヤリと笑ってる(気がする)。
 
諦めて少しペースを落とすと、外側から一人上がってきたので、その後ろに付く。立て続けに上がってくるのは、さすがに世界選手権。
 
そのままスイムアップ。僕の真後ろで3秒後に上がったパナマ人PAVONI, RONAN さんが2位表彰台に入っている。世界基準でもトップレベルを最低限クリアする泳力レベルといえるかな。もしかして目があったあの人?
 
トランジションでのタイム短縮は、丸儲けだ。
ラン距離が長いのは事前情報で聞いている。トランジットの100mもRunゴール前の100mも同じ100m、Runのつもりで走る。ただでさえ着脱の速いゼロディの ウェットスーツVFLEX、内側のヒジ先、ヒザ先にワセリンを塗った効果もあり、いつもは手間取るウェット脱ぎも速い。
T1はカテゴリ5位、一気に6人抜いてBikeスタートは18位。2−3位の2人より早く、十分戦えるレベルだ。バイクに入ってその差を逆転され、すごい速度差で追い抜かれるのは、すぐ後のことだったに違いない。
 
<教訓:前方確認>
Swimでは誰かの後ろに付いている間でも、中切れしてないか、そのまた前泳者の位置をたまに確認しておくべきだ。
 
3m離れた時に、がんばって追い付けるかどうかで、ゴールでの30秒くらい差は簡単に付く。それが2度起きれば1分差に開く。そのために必要なのは、「前方確認をしてから3m差を詰める」ということであり、1500mタイム計測で1分縮めることではない。
これまで知識としてあっても、実行できるだけのレース現場がなかったと思う。泳力が高レベルで揃ったレースほど重要になる技術でもある。
 
レースは、自分のレベルが上がるほど、周りと一緒に作る展開という要素が大きくなる。優勝争いは最たるものだけど、その手前、お互いが十分なスキルを持つことで実現するレース展開というものはある。世界選手権ならではの楽しさ。
 
・・・

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2015年9月26日 (土)

ITU世界選手権Chicago4日目①スタート前 〜当日準備はトラブル続出

トライアスロンでは、スタートラインに立った時点でほぼ結果は決まっている。気合と根性で最後に伸ばせる量も、練習段階で決まっている。ただ、必要要素が多く準備も複雑なので、マラソンなどよりは不確定性が大きいけれど。

当日朝の直前準備は、この事前要因の最後。実際、そうゆう一見しょーもないような要因で大きな結果が動く場面を、僕は何度も見てきた。

頭でわかっていて、実際にできないのがトライアスロン。レースに慣れるに従い、経験が増えて対応しやすくなる一方で、油断もおこしやすい。たぶん30レースを超える僕でも、未だに失敗する。そして今回も…

<9/19土>

朝4時過ぎ目を覚まし、天気予報を確認。ビーチ域には遊泳ほぼ禁止の警報が出され、強風による2-3mの高波と、沖まで一気に流される危険な潮流=リップカレントの発生可能性があると。ミシガン湖はリアルに海だ。ちなみに琵琶湖の約200倍の水量があり、飛行機から見下ろしても対岸が見えないのは連載初回の写真の通り。

しばらくウトウト。5時にSwim含めた3種目開催決定がアナウンスされる。よかった。準備開始!

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<預託ほぼ失敗!>

レース準備は、どれだけ慣れても、手順と時間をメモ書きすべきだ。僕は慣れるに従いサボることが増えたけど、やはり紙に書いてかないとダメ。今回は、急な日程変更により、修正前の手順が中途半端に頭の中に残っていた。反省のために書いておこう。もともと、

  • 2日前:夕方に選手受付。ゼッケンとかもらう
  • 前日: 昼までにバイク最終チェック、午後にヘルメットと一緒に預託
  • 当日: 7:00-9:20にランシューズ他の残りをセット、スタート付近集合10:45、スタート11:05

という日程。そこに毎日のように変更が入った結果、1日づつズレて

  • 前日: 朝受付
  • 当日: 6:00-9:20に、「バイクを含めた全部」をセット

となった。よくある国内レースと同じになっただけなんだけど、「2段階でセットする」イメージが残ってて、

  • 当日6時過ぎ: バイク関連一式(ヘルメット・シューズ・ボトル込み)をセット
  • 残りは、2度目でいいやー

と行動してしまった。おわかりであろう、最新日程に2度目はない! 笑

当日、バイク持ってロビーへ降りると、日本チームマネージャー斉藤さんがお出迎え。話しながら、ボトルに水入れてバイクシューズも持ってこう、と一度部屋に戻ってロビーに降りると、ユニフォームチェックもあるらしい、と情報が入ってまた取りに戻り、と既にバタバタ。実際にはユニフォームチェックはなかった。運営側も、急なスケジュール変更のため、手順を省略したりしてるんだろう。

<バイクにもトラブル!>

ヘルメットかぶりバイクシューズ履いてバイクを漕いで会場へ。するとハンドルバーのリア変速スイッチが効かない。最も多用するところだ。停まって確認。電動変速の前ジャンクションのコードが浮いていた。手でギュッと押し込めて復活。気付いてよかった! 最終チェックは本当に大事だ。(同様のトラブルでレースが壊れた方を知っているが、彼は復旧しないままカテゴリ優勝していた。。)

DHバーの左右高さのズレも今更発見。実は昨日のバイクで気になって、部屋に戻ったら直そう、と思った箇所だった。その後変速不良が発生し、その記憶が飛んでしまったのだった。しかし、六角レンチを持っていない!

トランジション入り口ではJTUエイジ担当理事のキリヨさんと吉田メカニック。吉田さんに六角レンチ借りて修正。居ること知ってて安心してる面もあったかな。

教訓: 機材チェックは直前までやるべきであり、その修正は前日に完了させておくべきだ。

<トランジットの位置関係を確認しよう>

トランジション内での自分のバイク位置も、確認しておく。これは非常に大事で、トップレベルの選手でも、このミスにより軽く数十秒をロスするケースは多く、今回の日本人にも複数おきた。やるべきは

  1. トランジット・エリアの入口に立つ
  2. そこから、どの方向に走るべきか、最初の目印を決める
  3. 最後に立ち止まるべき場所を確認

の全てを事前確認すべきだ。つまり、まずこの景色を見ておく。

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Swimからの入口。左下のゼッケン表示に注目。日本と違い、大きい数字が上にくるので、いつもの感覚では見逃してしまう。この確認を、BIKE INのゲートからも行う。

<エネルギー戦略: ありません! or お腹いっぱい食べる!>

戻って朝食、スタート4時間前なので手を抜かず4皿使用。

ゴール5時間前までは食べ続けていい、という話を聞いたことがある。ゴール13時として、今回なら8時まで。僕の胃袋だと、実際のレースで消費する以上に胃に貯蔵することができてしまい、無駄にオモリとなりがちなのが注意点だ。

すなわち途中に補給食は要らない。電解質補給用のポカリスエット内の糖分くらい。

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<セッティング>

というわけで、6:00−9:20は最終セッティングだったのに、「設定は二度」という思い込みによって10時過ぎに最終設定に向かい、ゲートの方に「ブーーー」という不正解音を真似されるアメリカンジョークをかまされる。

「何を置くの? 置いておいてあげるよ」とのことで、ゼッケン番号を見せながら、ランニングシューズを預ける。「どっち側に置くか?」と聞かれるなど、対応は親切だ。この際、日の丸必勝のハチマキを預けるのを忘れた。また最終チェックができないことで、少しのタイムロスにもなる。まあ、結果オーライの範囲かな。

おかげで、裸足で本来歩く必要のなかった長距離を歩き、さらに荷物預け(Baggage Check)を探して無駄に遠回り。このために、使い捨て紙スリッパを使う方もいた。かしこい。

<スタート前>

30分前にスタート付近へ。日本人同カテゴリの4名全員で記念撮影。

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早めに入口付近に移動しておき、前から10名以内の位置を確保。スタート準備位置へ誘導され、5分前の前ウェーブのスタートと同時に、ウェットスーツの中の時計をスタートさせておく。時計をウェットスーツの袖に戻さないといけないので、いつも早めに行っている。ついでに、「On your mark」の声からホーン音までの時間差がほとんどないのを確認。

周りはデカく胸板も厚いガイジンさんばかりだが、スイムに少しでも自信をもって臨めるのは、気分がいい。

レース直前の緊張感は、いつも楽しい。嫌な緊張感ではない。僕はいつもこうして勝ってきたしね!

2015年9月24日 (木)

ITU世界選手権Chicago3日目 〜目の前のジョーゲンセン、変速不良、前日準備

<9/18金>
朝、部屋の窓から。米軍レーダーの予測通りとはいえ、実際に好天を目にすると嬉しい。でも安心できない予報が続く。

シカゴ名物の建築群は新旧入り混じり、1つ1つに個性が強く、サイズが大きい。でも全体では調和されている。
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朝食は$20だが、税金とチップで値札より3割高くなるのがアメリカ(ファストフード除く)。僕の山盛り3−4皿分はBMWさまがお支払い済なので安心だ。

ウェーターさんが料理を説明するに、「プロテイン、プロテイン、プロテイン…(続く)、グルコース、ソースウィート(=砂糖たっぷりの菓子パン的な」と極端な構成。パンとシリアルはある。野菜はほぼ生のスティックのみ、あと果物。最近流行りの「MEC食」=肉卵チーズそのもの。文字通りにアメリカンなブレックファスト。

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午前10時から受付。そのまま会場を散歩してたら、女子エリートが召集中。スタート2時間前。 日本チームがメカニックスタンド付きで何人か集まり、最終確認中。ホテルから会場までにタイヤについた傷や異物まで確認している。

NHK「アスリートの魂」も佐藤優香選手の取材中。NHKは計5−6人で入っている。これらクルーは写真公開禁止。この種の人達を写す時には、先に確認した方がいいね。
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目の前に絶対女王ジョーゲンセン。ハイジャンプ選手のように細い。ゼッケンNo1.のシールはバイクも身体も金色で威厳がある。

予備サドルをシートポスト付きで持っていて、車検で違反だったらまるごと変更する目的ではとFLEETの相田メカニックは推測。高さより、前後位置と傾きのがセンシティブてことかな。

ホイールは見ての通り、みなさんが練習で使ってそうなアルミリム、HED製。雨と風の予報で安全策を取ったのだろうけど、加減速の多いコースではカーボンの軽量リムの方が有利なのにね。女王、ホイールを選ばず。

かわりに女王が限界まで攻めているのが、ポジションだ。違反ギリギリまで前乗り化させ、違反時の対応も事前に用意している。モノより技術、自転車の王道だ。

肝心のレースそのものは見逃した。
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昼からサイクリングロード沿いのビーチへ、一人でレース車で。持ち物は、ウェットスーツ+ゴーグル+キャップ、ワイヤー鍵、ホテルのカード型キーをナイロン袋に密閉したもの(=ウェットスーツに入れて泳ぐ)のみ。

V型水着、赤Tシャツ、エアロヘルメットの出で立ちは現代アート的だったようで、市街地では警備員の男女二人に超ウケし写真まで撮られた。ハッシュタグ付けてどっか投稿してもらえれば良かったか。まあ、普通にユニフォームのトライスーツを着てゆくのがオススメです。

ミシガン湖には普通にビーチが幾つもある。水は冷たいがウェットスーツなら問題なし。ただし試泳のガイジンさんは水着のが多い。なんて身体だ!

昨日流水プールマシンEndless-Poolで掴んだ泳ぎを実戦環境でテスト。左手の入水位置が外側に定着してきたが、すると左側に曲がりがちになった。反呼吸サイドの入水位置はハンドルの役割をする。修正しようとすると、こんどは右に曲がる。こうゆうのは、日々の練習での意識の低さをつきつけられる。

でも全体の進みは良いかな。新泳法の理解が少しづつ形になってゆく。スイムだけは結果が楽しみだ。だけは…

帰路、リアの低い方の変速がガチャガチャし始めて、メカニック部屋へ。

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名古屋の有名店ニコーの二代目爽やかイケメン吉田メカニックによると、ディレイラーハンガーが歪んでるのが原因とのこと。2年半でもう歪むか。。とりあえず変速を調整して頂いた。こうゆう時メカニック付きツアーは安心。吉田さん昨日は夜12時まで仕事されてたと。。

ここで時間と気を取られて、自転車の細かな最終調整ができたなかった、というか、忘れていた。ウェットなど荷物なしで走りを確認しておきたかったし、実際そうすべきだったことが翌日判明する。

・・・

レーダーの豪雨予測はかなりやばく、前日のバイク預託は明朝に延期。雨雲が襲う直前、17時頃に1ブロック先の中華テイクアウト「パンダエキスプレス」で、肉と野菜の中華惣菜を6ドルで調達。主食は前日のパンの残り、副菜にナッツ類を足して。栄養価とコストパフォーマンス「は」最高レベル。

18時頃に大広間で日本チーム向け説明。その場でMac-bookにタイプし、終了と同時にFacebookグループに投稿。これは「ハッタライン」=Hot-Lineもどきと名付けられて(僕の命名でわありません)感謝される。今やトライアスリートならFacebook必須。

翌日は時速26kmの強風予報のため、スイム中止=デュアスロン化する可能性があり、ディスクホイール禁止の可能性もあると。(遠征時は注意しましょう=今回は吉田メカニックが1組予備ホイール持参)

スイムはもちろんやりたいけど、ここまできたら、スタートさえ出来ればなんだっていい。21時半すぎ寝る。

・・・

2015年9月22日 (火)

ITU世界選手権Chicago2日目 〜U23小林大哲選手、湖岸サイクリングロード、雷雨接近

<シカゴ 9/17木>

前夜は現地23時過ぎ、ブログとFacebookを更新し終えると(日本でいえば昼寝を挟んで徹夜した昼13時)、泥睡へとひきづりこまる。朝5時前から目を覚ましたりまた寝たり。現地am4:43にブログ更新のおしらせをFacebookに載せている。7時頃、朝食に出かけると、「U23男子やってるよ」と声掛けされ、そのままホテルから100mくらい前のコースへと出る。

私、エリートレースというものをマトモに観戦するの、これが初めて。横浜大会はシカゴと同格で、同レベルの選手が集まるのだけど、翌日の自分のレースの準備中だし、日本選手権のお台場は自転車で行くのが面倒だ(←電車でいけという反論もある)

ちょうどバイク中で、谷口白羽=しるば(ブラジル人ではない)選手は大きな第一集団内で良い位置。小林大哲=ひろあき(だいてつ、と呼んでください、と本人)選手は後方で4人の機能してなさそう集団で厳しい。こうなると脚筋を酷使し、ランで力を出すこともできない。

応援には何組か日本人もいて、エリート担当スタッフ、応援の家族風の方なども。「ひろー!」と応援される男女に話しかけてみると、 小林選手ご両親だ。

<驚愕の新人:小林大哲選手>

6月の愛南大会でたまたま声掛けしたら、日本食研の新人プロ選手で、平松選手を抑えて2位と言われてちょっとびっくりしたのだが、「トライアスロン始めたのが今年の2月で、51.5kmレースは今回が初めてです」と言われて超ビックリした。さらに聞くと、箱根駅伝にギリギリ出場できなかったレベルのランナーで、駅伝部の合宿地でたまたま日本食研チームも合宿中で、たまたま就職先が決まってなかった頃に新人募集のトライアウトがあると聞き、参加したら、通ってしまったと。その決定が今年の2月。「え、今年のですか?」と僕は耳を疑い、聞き返したような気がする。そこから初めて競技用自転車を始めて4ヶ月だ。水泳は中学時代水泳部だったが、歯が立たなかったので高校で陸上に転向したという経歴はあったそうだが、7年のブランクがある。それで4ヶ月でベテラン平松選手を倒す。すごい。

とんでもないことに、3週後、このシカゴ派遣を賭けた酒田のU23選手権で優勝してしまわれて、こうなった。

下の写真3人目、軸の強い、正統ランナー系フォームがわかるだろうか。ラン単体ならともかく、バイク直後に普通こうは出来ない。しかもラン後半にだんだん走りがよくなってゆくのがわかった。

レースは谷口白羽=しるば(ブラジル人ではない)選手が世界大会自己最高の15位とこの先が楽しみな大健闘。彼は2013天草でたまたま同宿で、体重計を持ち込んでいたのが印象的であった。愛南で小林選手は、「当面の目標はU23選手権での優勝で、そのためには谷口選手に勝たなければならない、彼はスイムが速い上に、強靭な身体で(=強靭過ぎて体重が気になっているわけだ)当たりに強く、実戦で強い」と目標としていた。

そんな二人が一緒に世界に出てゆく。そして目の前を走っている。

経験を結果に結びつけた谷口選手は素晴らしいし、小林選手のランはバイク第一集団から見たい。楽しみだ。

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<耐久トライアスリートは食べてナンボ>

ゴールのアナウンスを聞いて、予定より遅い朝食へ。おかげでお腹がすいた。

トリップアドバイザーでは不評のコングレス プラザ ホテルの朝食だが、あくまでも自費でのコストパフォーマンスの話。たくさん食べれるだけで嬉しくなってしまう単純型食いしん坊の僕には十分なビュッフェ、てゆうか俗にいう「バイキング」=根こそぎ奪い取る暴力集団的な=の名称こそが僕にふさわしい。いろいろ山盛り3皿と珈琲ガブガブ。自費で払うと税チップ入れて3,000円超、高!この写真分だけで2,000円に迫るかな。

日本人選手団でおそらく最も大量に食べていたのが私かもしれん。まず食べる、だと太っちゃうから動く、これが僕の順序だ。

宿泊客はTeam-USAが多いが、朝食レストランには日本人率が高い。朝食込みツアーの参加者が多いからかな。現地なり英語圏の人は、カフェとかへ出掛けてるのだろうか。僕は延々と食べ続けているので、はじめに入ったテーブルが食べ終えると別のテーブルに移動し、、と連日朝パーティー状態であった。

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<サイクリングロード>
大蛇の如く食べた後は大蛇の如くダラダラししながら、時計を見て、は!と気付いて自転車を段ボールから出して組み立て始める。いつも通りに無駄に時間をかけて組み終わって、午後、トリップアドバイザーでも人気のサイクリングロード "Lakefront Trail" へ。  
 
「サイクリング」という言葉は、競技用自転車によるレース的な乗車を含まず、レンタサイクルでふらふらしてる観光客やジョギングお散歩の地元民のためのもので、時速40km巡航をするわけにはいかない。それでも、公道はクルマでえらい混雑してるが、サイクリングルートは、綺麗なヨットハーバーや公園を沿い、水色の湖と主張の強いビルの眺めが広がって、気持ち良い。どこまでも走っていきたい気持ちになる。
Img_3067
軽くポジション調整(=ネジ回してパーツ位置を変える)しながら軽めに5kmくらい行き、パンクするとやだなとか考え始めて(修理セットを携行してないので)、引き返す。
今思えば、
  • 軽く、ではなく、レースペース上限域をもっと入れるべき
  • そのために、もう少し距離を乗っていい
  • そのために、パンクに備えて、シーラントスプレーとスペアタイヤは携行すべき
だった。これらの結果、中途半端にサイクリングロード向きな設定をしてしまった感。レース2日前なら、少々負荷をかけてもよかったのに。
 
シカゴのバイクコースは、無風の直線平坦が延々続き、平均時速40kmhをどこまで超えれるか、を競う高速設定。高いサドル位置から前荷重していく超攻撃的ポジションでも良い。ただ今季はそうゆう練習をしてないなー。だから、そう設定できていても、持続できてないだろうけど。
 
今季は、そんな最盛期との比較文が多いなあ。。まあ、両方を経験できていることで、理解はより深まるものだ(という言い訳も多い…)
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<エンドレスプール>
帰り、エキスポの小型自動プール ”Endless‐Pool” でスイム練習できんじゃないか?と考えた。スイム会場での試泳は昨日の一度きり、当日もダメでいきなりスタート。現地のプールも移動タクシーと入場で$30くらいかかるようだ。聞いてみると、「強風予報で今夜撤収するかも」「30分後?ならOK!」とのこと。慌ててホテルからトンボ返りで、水着はき、ウェットスーツ持って、走る。おかげで、伊良湖以来のウェットスーツ泳が出来た。後ろに待ち行列もなくたっぷりと、15分くらいかな。
 
これが良いのは、前側底に斜め上に鏡が置かれてること。見ながら泳ぐことで、悪いクセ、たとえば下半身が横にブレてることがわかり、ブレないように修正してゆくと、自然とストローク数が減ってゆく。設定を100m1:30から1:17まで上げてもらいながら、ゆったりと、1ストロークの動作を目視してゆく。 (ペースはたぶん吹き出し口の流速なので、実際の泳速度はもっと遅い)ブレがある程度収まると、今度は力の入れ方を意識してみる。するとさらにピッチを落とすことができる。
 
こうゆうの、ふだんのスイム練習で絶対必要な要素だ。でも僕できてないなーと突きつけられる。
 
ゼロディVFLEXのキャッチ力は変態的で、上級スイマーのキャッチ技術が自動で備わってしまう感じ。「体軸のブレが改善されたが、キャッチがまだ下手」という中級スイマーに超向いてる気がする。普通、ハイエンド製品は上級者向けであることが多いけど、これは中間層を引き上げる要素もある。その分、普通のより数万円高いが、バイクにはみなさん大して速くもならない装備に何倍も投入するわけで。まあみなさん、機材を投資効果で選んでるわけでもないのだろうけど。
 
<観光>
用意の良い方々は、到着2日目にしてレース2日前の日に美術館・博物館・市街巡りなど入れていた。
 
10年前、フィラデルフィアのミュージアムで、巨大さに驚いたことがある。シカゴのが質が高いんだろう。でも美術館なんて誰でも何千円か払えば幾らでもいけるもの、トライアスロンの世界選手権は選ばれた者が今ここでしかできないこと。その環境をどっぷりと味わうのが、最高のスポーツ・ツーリズムというものだ。(と自分を納得させる)
本当はレース翌日に、もう1日滞在できればベスト。
 
なお、昼食はナッツとシリアルバーと水。夕食はスーパーTrader’Joeで買ったパンとチキンサラダのカップ。合計数ドル。朝のエネルギーで日中を過ごすわけだが、部屋に冷蔵庫がないので、打ち手が限られる、笑
 
Googleマップでスーパーを検索すると「食料品店」登録でJoeさんが出てきた。ホテルからわずか0.5マイル=800m、5分かからない近さ、と喜ぶのはランナーかトライアスリートくらいなもんか。スーパーは日本と違って手作りお惣菜お弁当類が貧しい。日本は安くてそこそこ良いものがあちこちで手に入る、機能性が超高い国だと思う。
 
<雷雨予報>
夜、豪雨が雷付きで襲来。この予報で夕方の受付が明日に延期。こいつにはレース朝まで3日間ひやひやさせられる。ちなみに4-5日経った今日22日には、これら雨が川に集まり始めたのか、川の洪水警報が出ている。これが大陸の気象。
気象レーダー:http://chicagoweathercenter.com/radar は街の区画ごとのレベルの精度で、1分更新される。米軍レーダー情報を使ってるらしい。なにごともデカいアメリカ、軍事力もスケールが違う。
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2015年9月20日 (日)

ITU世界選手権Chicago2015結果:世界Top10が見えたと思う (で何位だったの?? 笑

5年半の到達点:世界Top10入りが見えたと「思う」。
 
Total2:09:31(38位/126名中=上位30%) Swim21:52(23位)T1=3:07(5) Bike53:42(30) T2=2:56(86) Run42:44(43)
 ・・・なんだよ38位かよ!
開催国アメリカは、1年前の全米選手権の上位25名の多くが参加。あるスプリント部門の優勝者に聞いたら、KONAで複数回の表彰台経験があり、今大会に集中するためにスピードを鍛え直して、3年くらいといってたか?時間もかけて準備していたそう。噂では、元プロ級もゴロゴロとか。
 
それでも、僕の最盛期のパフォーマンスならBike平均時速で2km、Run1kmペースで20秒以上、速かっただろう。最高で2:00:00あたりで8位、くらいを狙えたかと思う。
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なお数字なら幾らでも言える的ツッコミは僕には通用しません(微笑
なぜならこうゆう分析の連続が、僕の5年半の全てなのだから。
 
ただ、そこまでが僕の限界だとも思えていて、そこから1分4秒先の表彰台は遠い。これまでの僕の延長では。
 
そのブレークスルーとは、なによりもバイク。上位とは2-4分の差を付けられている。国内レースで例えれば、元五輪自転車選手である竹谷賢二さんが何人も上がってくる感じ。ディスクホイール使用率も高い(前日に禁止の可能性がアナウンスされてたので、もっと多いのかもしれない) が、日本人ではごオオオ、と低く鈍い走行音を立てるところ、もっと周波数の高い音、高速オートバイのような音で抜いてくる。そしてあっというまに消える。
 
スイムも現状突破が必要だけど、これは実現の途中にある。ついに21分台に突入したそのタイムはコースで変わるものだが、クラウチさん、ワタルさんなど若いライバルさん達との比較でも、1-2分の向上が出ていると思う。ただ、ブイが流されていると思うので、あまりアテにならない面もあるけど、、まだまだ未完成なので、対等に渡り合えるようになる可能性は十分。
 
ランは、最盛期の1km3:35−40ペースを取り戻せば、十分戦える。
 
こうシミュレーションしたところで、先日書いた気持ち:「序 〜極められることのない競技の、1つの到達点として」が大前提の話なので、いつ、て訳ではないけど。百獣の王かw
 
こうゆう分析の連続が、僕のトライアスロン。進化は続く。
 
日本チームとしてのブレークスルーは、来年メキシコのカリブ海カンクーン大会に新王者として出場する疋田選手にお願いする! 彼は上記ブレークスルーの条件を既に達成している稀有な日本人だ。この点で、以前、激戦の30代で金メダル獲得した永田さんもそうだ。日本人が世界で戦うなら、まずバイク、次にスイムだ。

2015年9月18日 (金)

ITU世界選手権Chicago2015Day1シカゴ編 〜ミシガン湖とパレードと

現地朝9時(日本23時)シカゴ着陸。夜更かしであり、新たな1日の始まりであり。
 
日本チーム初らしい貸切バスでホテルへ入り、自転車ほか荷物を別室にチェックインまで預ける。天井がタイル貼りされた見事なロビーで日本チームへ説明後、テキトーに自由行動で散歩、合間にサンドイッチ食べ、行動食としてナッツ類の缶と期限切れ前のシリアルバーを6ドルほどで買う。
15時からチェックイン。のはずが、ホテルの混雑で部屋によっては遅れて、僕は16時頃。でも本来は7万円追加する一人部屋(=ダブルベッド)が割り当てられてトータルでオトクである。ツイン予約が多くダブル部屋が余ったんだろう。おかげでベッドも無駄に広い。
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シカゴは、東京丸の内と横浜港をあわせた雰囲気。しかし1つ1つのサイズが圧倒的に巨大。そしてアートだ。写真はエキスポ会場で、いろんなブースが出展されている。KONAのように主要メーカーが最先端製品を誇示する戦闘的雰囲気はなく、平和だ。
 
会場での試泳は16-16:30と聞いていて、5分だけでも、と慌てて用意して走る。実際には16:00-17:30で十分に泳げた。
 
ミシガン湖は前回の写真の通り、普通に海だ。小さな波も潮流もある。水質は意外と綺麗で、透明感では天草・村上・伊良湖級。日本だと山が近いため緑が入るが、こちらは古い大平原を流れるため、淡い青色だ。この点では宮古にも近い。暑いくらいの天気と冷たい湖水の対比が気持ち良い。
 
ウェットスーツは、大手メーカーの既成品が主流。日本のようなセパレートは全く見ず、また生地の雰囲気が新しい。さすがに世界選手権、Z3R0D・ROKA・HUUBなど日本では少ない最先端最高級のウェットスーツもいっぱい。そうゆう僕もZ3R0DのVFLEXで周りのガイジンをブチ抜きまくるが、偶然まわりが遅い人ばっかり説もあった。
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夕方は国別パレード。
ITUは五輪主催団体なので、国ごとの組織性が強い。オリンピックを狙う選手と同じイベントに参加することもあるだろう。パレード参加は選手団が多い主要国中心で、アメリカは当然、イギリスとメキシコが目立つ。JAPANの前のJAMAICAは女性1名、ボルト選手でお馴染みの色のジャージ。
 
各国とも、それぞれのコダワリが感じられるデザインのウェアを揃えて、「自国代表」としての意識を高めている。日本チームにも「デザイン戦略」の余地は大きい。あとで話してみよう。
 
メキシコは来年カリブ海のカンクン・ビーチでのグランド・ファイナル開催を控えているもあって熱心で人数多い。そして陽気。プロレスの覆面をかぶれば民族衣装になるという稀有な国である。でも日本にも相撲がある。日本人はやっぱり浴衣!
 
KONAの国別とはまた別の雰囲気かな。この話はまた帰国後にでも。
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中華のテイクアウト8.5ドルを買って夕食。大会会場の雰囲気は横浜大会に似ていて、シカゴの大きさは圧倒的だけど、横浜が勝てるので唯一おもいつくのはご飯だ。中華街みたいなのが手軽に安く食べれるのはシカゴの中心地でありえん。中華街にでも行けば別だろうけど。
 
ブログ書いてたら、突然谷底に突き落とさるかのような眠気。長い一日の終わり。「3時間昼寝したあと徹夜して15分うたた寝してまた動きまわった1日34時間」が、ようやく終わる。

ITU世界選手権Chicago2015 Day1国内編 〜準備と移動

今回はダラダラ書きます。纏めていえば、移動は面倒、はい以上ですまた明日。この先はマニアな方だけどうぞ。
 
<自転車輸送>
9/13(日)朝、自転車の空港宅配の依頼電話。120㎝超の大型荷物を成田空港へ直送できるのはJAL-ABCだけ、大型の依頼は電話でだけ。その電話は数十分に渡り繋がらない。「順次お繋ぎして参りますので…」の自動音声を机に置いた受話器から聞き続ける。フリーダイヤル使える固定電話で良かったとこうゆう時に思うけど、でも本当はネット電話に切り替えた方が安いんだよねー。かつて7万払った加入権をまだ捨てる気にならない。サンクコスト。。直前の鬼怒川水害と翌週のシルバーウィークが重なってコールセンターがパンクしてたそうで、担当の方にお疲れ様とひと声かけつつ無事手配。
(※はやめに準備しましょう)
 
段ボールは2個。203㎝以内2個まで飛行機の超過料金を取られない。往復3万円の差。シーコンなど専用ケース買えば合計10万円ほどだ。自宅‐空港宅配は往復1.2万円ちょっと。 帰国後2つとも資源ごみで廃棄。
箱の1つは4月宮古6月愛南と使い回してるもの、もう1つを、ほぼこの目的のために会員となっているBex-Isoyaで予約し、前日に搬入。自転車1個分の巨大な箱を1kmほど運ぶのは大変で、クロスバイクのペダルに下部を乗っけて、横をサドルに押し付ける技を発見している。
カッターナイフとガムテープで3辺計200cmと170cmにサイズ調整。先にモノが収納できるのを確認してからハコの長さ・高さを決めて切ってゆくので、作業はわりと複雑だ。短く作りすぎてテープ剥がして曲げ直したり。分厚い段ボールは曲げるのも大変で浅く切り込みを入れる。
 
両輪とシートポスト・ペダル・ハンドル・リアディレーラを外し、本体とホイール1つを200㎝に、もう1つのホイールを170㎝に入れる。隙間にレース用品・工具・服などなど詰め込み。200㎝は超過料金がかからないよう小さめに作り過ぎて、空港実測値は188㎝。もう10cm大きく作ればもっと楽できた。
段ボール1個に収めるなら、3辺290㎝=機内積込の上限いっぱい欲しい。ただし、クランクやフォークまで抜けば、203㎝以内にも収まる気がする。フレームサイズによるが。
 
空港へはリュック1つと、機内用防寒着を詰めたヘルメットのみ。
(※ヘルメットは預入荷物に入れずに携行しましょう)
 
<当日>
9/16午前5時起き=シカゴでは既に15:00。睡眠4時間、眠いまま我慢することで、機内で早く寝こむ作戦。なお「毎朝4時起きを続ける」という当初の時差対策は失敗した。
バナナ、ヨーグルト、パン、紅茶、をつまみ、6:06に家を出て6:13成城学園発に滑り込み、千代田線二重橋から八重洲口へ走り、バスやっぱり満席かー、と総武線ホームへ移動し(=二重橋駅近く)、7:08の空港行き快速へ。と面倒なことをしたのは朝錬を兼ねていて計画通りデス(本当か?
(※1,000円で1時間とオトクな成田空港バスも、はやめに予約しましょう)
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9時前に空港で荷物を受け取り、リュックで運んだ追加荷物を入れ、Di2バッテリーは逆にリュックに入れる。ラウンジで慌てて伊良湖のレースレポートを公開し、でもRun編まで間に合わなくて、11時前搭乗。
 
<機内>
シカゴ行きの飛行機はほぼ満席。13時頃=シカゴ23時、機内で「遅い夕食」。伊良湖のレポートを書き終え、Macの時刻設定を変えて、午前1時過ぎ=日本の午後3時、伸びる帽子(ヘッドスウェット=遠征時のアイマスクがわりにも愛用してる)を目に掛けてブラックアウトさせ、就寝。
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3h後の午前4時に電気が再点灯しパンを配り始める。無視して寝とけばよかったところを、反応してしまう。お節介なサービスだと思うけど。。そのコスト掛けられるならLCCで良いし、こうゆうのメニューだけ渡して勝手にリクエストさせれば十分だと思うけど、元ナショナルフラッグとしてはサービスの姿勢みせてナンボ、てとこだろうか。3時間のウトウト睡眠で目が覚めしてしまい、少しブログを書いた。(そしたら、ああなった、笑。極められることのない競技の、1つの到達点 、だと??) また1hくらい寝て、トータル4hくらい寝れたのかな。
 
全体に、JALのエコノミーは頑張ってると思う。ご飯も工夫が感じられ、座席も身長165㎝には広い。寝るときには枕をむしろ椅子先端に置いて腰クッションとし、下側に目一杯潜り込んだりしながら、身体はほぼ休まる。
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機上からの夜明けは美しい。
地上からは曇、雨でも、その雲の上から見れば快晴だ。
そして、アメリカはでかい。この風景を見下ろすのは10年ぶり、フィラデルフィア出張以来だ。最後にシカゴ市街、しかも大会会場を見下ろす絶景をプレゼントされた。この一瞬のために半日窮屈な窓際席で耐えぬいた、笑
 
午前9時前、再び地上へ。日本では午後11時。長い1日が終わるやいなや別の1日が始まる。がんばろー!

2015年9月17日 (木)

ITU世界選手権Chicago2015 序 〜極められることのない競技の、1つの到達点として

僕にとってこの競技の核心は「中途半端さ」にある。
 
限られた時間の中、3種目それぞれを極めることはできない。ある1つを高めることは、別の1つを高める機会を捨てるような面があり、それら全てを満たすような練習はとても無理。トレーニングは妥協の連続のようなもので、結果としてトータルの成績に結びつけばいい。
 
そしてその成績も同じく、極める、ということがない。
 
トライアスリートになってみたいと思ってなり、表彰台に上がりたいと思って上がり、年間ランキングにハマって駆け上がる。年齢無制限の総合表彰台に上がり始め、総合優勝も果たし、年間チャンピオンジャージまで棚から落ちてきて、4年続いた。総合ランキング1位のご褒美である世界選手権派遣は遠い憧れで、どうすれば僕にその可能性がでてくるかと考えてはいたけど、「駆け抜けるよろこび」と共に新制度が登場し、行けることになって今ココなう。
 
でも、そうして出て行った先には、いつも、もっと強い人達が表れる。獲得したものを同じレベルでもう一度続けるだけでも大変だというのに。
 
そんな中で、「自分の身体の中で、その限界が更新されてゆく感覚」を楽しんできた。白戸さんが先日書かれていたようなこと、そしてそんなようなことは、70年くらい前、フランスの偉大な哲学者メルロ=ポンティも書いてたっけ。

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今回、日本代表としてナショナルユニフォームを着て、さらに近藤真彦選手とは違い公式派遣。(※なお財源は皆様のJTU会費ではなくてBMWジャパン=BMオーナーの皆様ごっつぁんデス)
この立場から、大事な役割の1つは成績で、「日本人トップアマは世界でどこまで戦えるか」を示すことだろう。特に同世代に対して。また僕のように100m15秒的な駄馬系の皆さんに対してね。
 
しかし、僕のパフォーマンスのピークは2013年KONAの頃。それでカテゴリ上位13%。もしも同等以上の力があれば、M40-44出場110名の1割=Top10を目指す、と宣言するところだ。けど今年の僕はそうはいかん。
 
かわりに、これから世界選手権を目指す方々へ、また世界へチャレンジすることがどういうことか関心ある方々へ、参考となる情報はのこしていく。僕より速い日本人選手ならたくさんいるけど、僕のレベルで書いてる人はそれほど多くはないから、それも1つの僕の役割。
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本レースをもって、JTUランキングもいったん終了。
 
今年はシカゴで7戦目。うち飛行機遠征3、自転車担ぎ移動4、宿泊6(うち実家から1+招待1)。毎年そんな感じ。
レースに合わせて身体を作り、自転車を箱詰めしたり担いだりで遠くへ出掛けて、レースして、帰って、後片付けして、、、という時間と精神集中とお金のトータルはキツい。今年からの制度では、レース数と開催地の両面で負担が増えた。これまで続けていたのは、年間王者が続いてたからだ。
 
その過程で僕の発信への読者さんが増えてきたのは、嬉しい副産物。今年の宮古以降にアクセス数が一段と増えたのは、レース成績の低下と「反比例」している。それだけレースはエネルギーを取られるんだと思う。来年からは年2レースくらいに集中させていきたい。
 
そんな5年半の果ての、1つの到達点、シカゴ。そして最高の舞台が始まる。

伊良湖トライアスロン2015総合準優勝レポート vol.4 Run編 〜振り子走法は「デブほど上りが速い」

シカゴでイラゴのイチゴ。伊良湖’15レポートをシカゴで公開。せっかくシカゴなのにー宿題をやり残してはいけません! と行きの機内で書き終えたです。ただいま1日目の夜9:30。気持ち良くつかれたー!
 
イラゴ最終回はレースRun編と、そこで使った、体重を推進力に変換する「ディフェンス系」ランニング技術についても少し解説。そう速くはないが、少々コンディション不良でも崩れず、そこそこな順位を防御できるしぶとい技だ。
 
◀ Run ▶
レース、Bike3周目後半にさらに一人抜かれ、5位でT2通過。
ランは、入りの1km近くがほぼ唯一の平坦区間。ピッチ重視の力をかけ過ぎない走りで、ラン用の筋肉を落ちつかせたい。GPSが示すペースは1km4分。上がらない。去年はここで3:40くらい出してた気がする。でも、レース中に対話可能な相手は「今ここにある自分の身体」のみ。
 
片道5kmに50mの岡を2つ超え、その間は完全な平坦が殆ど無い。脚は去年のようには動かず、肩甲骨を激しく揺さぶって発生させる遠心力でイモムシのように着実に鈍く進む走法を選択。1つ目の登りに入り4位通過さんが「キツいですね、、」私「そうキツいよーここは!」と声を掛けながらパス。2つ目の上りに入り3位通過さんをパス。ここで今日始めて総合3位表彰台に乗っかる。
 
途中、太平洋を見渡す絶景ポイントでは、強烈な向かい風。山中のランコースでは気付かなかった嵐。Bタイプの多くはバイク中で、大変な状況であろうことに気づく余裕は無かった。ただ、風の抵抗を最小限にするようゼッケンベルトの位置を治しただけ。
 
折返しで、1-2位との差を確認。1位ヤマモトさんは去年のざっと2倍のリード、2位イマエダさんは去年のヤマモトさんと同じか少し近いかな。復路=3つ目の登りに入り、後続をチェック。コンドウさんは見事なスピードだが、安全リードと判断。最終目標を2位と設定し、ペースを上げる。
 
写真は、復路3つ目の上りを終え、なかなか見えてこない前2人を追う緩い下り。
すれ違う背中はいわゆるイケノチヒロとして知られるクラウチめだか選手の往路。上りなのにまっすぐ伸びた綺麗なフォームだ。
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撮影はシバタタクヤ学校(正式名スカッ!とタクヤ、だっけ)応援団の反保 秀明氏。嵐の今回は、応援し続けるほうがたいへんだ。彼らどの大会でも、ゴールまでもうひと頑張り、という苦しい箇所に陣取って応援してくれる。でもカネ払ってない僕まで応援していいのか!?笑
こちらは前後するが、同じポイントの往路=2つ目の上り。1-2枚目の位置関係から、A-typeの後続選手との明らかな速度差がわかるだろうか(エヘン)
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◀ Runフォーム解説 ▶
僕のRunの基本は、たびたび書いてる通り、振り子運動により、体重を推進力に変換するイメージ。
上りでは、体幹で推進力を作る。肩のローリングで腰を回して、その結果として脚が振り回される。デンデン太鼓みたいな。肩が動くのは肩甲骨を動かした結果で、肩に意識は無い。「腕ふり」というが、腕はもっと意識が無い。
下りでは、上体を揺さぶりながら身体を前に放り投げてる感じ。着地でブレーキを掛けない脚の末端に意識を向けるのが上りとの違い。
 
実際には、上りでも脚の末端部をより使う=足で蹴る走りの方が速い。(→足底筋炎などのリスクも上がるけど)
また下りの写真からは「かかと着地ブレーキ」も「ヒザ曲げすぎ筋酷使」が多発してることがわかる。今季、良質のトレーニングが不足している結果だ。
まあでも、今回の保守的レースとしてはこんなもんで上出来かな。
 
◀ 秘技「ナンバ走り」 〜デブのが上りが速い現象 ▶
ゴール1.5km前からの最後の上り、イマエダさん(次に登場)に追い付き2位へ浮上した直後の動画をFacebookに上げている。3人めはA4位のエンドーさん。僕のがドタドタと醜い走りだが、ピッチが高い分だけ速い。GPSによれば1km4:15くらい。
上体をデンデン太鼓のように振って末端=脚を振り子運動させる、先述の走法。しかし、Bikeでの大腰筋酷使もあり、モモが上がらない。すると、摺り足で上体をハネさせない古武道の「ナンバ走り」のようになる。
接地時間が長く筋稼働効率は悪いが、上下動は少なく対重力効率は悪くないため、デブのマイナスは相殺される。
さらに、動力源である体幹部の質量に比例して出力は上がる。
これが「デブの方が上りが速い現象」の理由かな。
 
◀ でも1kmペース25秒落ち ▶
今年のゴール地点を起点とする9.2km区間でペース比較をすると、今年は往路1km4:18, 帰路4:15の平均4:17。去年は3:55-3:49で3:52(はや!) 1km25秒差はトータルで4分超の差。今年の1位とのゴール差は3分55秒だ。Runだけで1位を逃したと言えるが、まあBikeとRunは一体であり、Bike練習不足が効いている。
 
このパフォーマンス差は、結局は目標設定と意思の問題。先に書いた通り。
まあ、何年間も高く保ち続ける気は僕にはないので、まあこんなもんだ笑
 
繰り返しておくと、僕はそう速くはないのです。しぶとく結果を手にするのです。
 
◀ 装備 ▶
起伏が連続するコース特性上、クッション性重視のシューズが最重要で、Brooksのローンチ2を使用。基本使わないヒザから下は、CEPのスリーブでサポートする。
足首丈のショートソックスも用意したものの、トランジション短縮のため使用せず。ただ、これは数秒のロスをかぶってでも履いた方がよかった。シューズ自体は裸足で問題ないのだけど、雨で濡れた砂が靴に入り込む状況では、擦れてしまう。
 
Z3R0D(ゼロディー)ウェアは極上のフィットで「おせーよデブもっと速く走れよ」と急かしてきた。先の在庫処分セールで買った知人も高性能ぶりに驚いてたよ〜

◀ おしまい! ▶
話をレースに戻す。
最後の数百mの下りではデブの僕が絶対有利とみて、峠がゴールのつもりで駆け上がり、下りを体重任せにフリーフォールさせて、そのままゴール。
 
今年の出来で総合2位は、いま出来るベストを尽くした結果。Bike-Run, とくにBikeを、7月に練習しておけば勝つチャンスは十分あっただろうけど、それは客観的な分析としてであって、主観としては大満足。
 
伊良湖へは4度行き、1位1、2位2、台風中止1。ずいぶんと楽しませていただいた。インターハイ予選みたいなJTUランキングシリーズ大会と違って、地元に根づいたローカル大会は楽しい。て両方あるのもあるけど。
 
できれば、少し時間を置いて、この地域と大会の魅力について書いてみたい。トライアスリートではない普通の人達を対象に。
追記: その詳細は、1年後の2016年夏、地域情報誌「渥美半島の風」への1.7万字の寄稿となりました。お買い求めはこちらサイトから ▶ 

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2015年9月16日 (水)

伊良湖トライアスロン2015総合準優勝レポート vol.3 Bike編

シカゴ世界選手権へ向かう成田なう。2010年からのJTUランキング参戦の最後を飾る日本代表公式派遣、5年半よくがんばったオレ。自分を褒めてあげる。いまのうちに伊良湖レースレポート書いとかないと。
 
◀ Swimまとめ ▶
前回、伊良湖Swim編をまとめると、3位への付き位置(=真後ろに付く戦術)を取れたことに満足し、結果、それほどタイムが伸びてはいない。まあそれでも、2位今枝さんとの差は、距離差(GPS実測で去年1.0km、今年1.7kmとか聞いたような)と最後のコースミス15秒?とを考慮すれば短縮しており、また去年少し先行されたヤマモトさんに1分30秒差を付けることはできたけれど。
 
このように、レース中の自信の程度は、レースタイムにも反映するものだ。
練習まで含めれば、もっとそうだ。
 
自分のことを、どれだけのトライアスリートと認識するかで、練習の質は劇的に変わる。僕はその上下ともに経験しているから、確信を持って言える。
パフォーマンスを決める根本は、セルフイメージの度合いだ。
 
◀ Bike ▶
ウェーブ4位通過で、前を追う。前に居るはずの今枝さんとの差を少しでも詰めたい。後から追ってくるであろうヤマモトさんやコンドウさんから、少しでも多く逃げたい。
 
はじめは90回転前後の高回転で直線7kmを38kmh台、折返して少し落ちる。1周目おわりにビューンという風切音と共に一人抜かれ、抜き返すが、再び抜かれる。先の写真はこの頃。
二周目に入って、さらにゴーーーというディスクホイール特有の太鼓が響くような音とともにヤマモトさんに抜かれる。つまり、Swimの1:30差(=Bike1km)を14kmほど(20分ちょっと)で追い付かれた=1km6.4秒、時速差は3km近い?
伊良湖のBikeコースは狭くて混雑するので、距離を10m以内に保って前にペースメークしてもらうのがベスト。
Img_3553Img_3554写真はBike21-2km地点か、Yosuke Kashima氏撮影。
 
とはいえ急場ヤッツケなBike, 次第に離され、3周目に入ると見失う。
でも意外と維持できてるなあという気もして、最後の3周目、55×11のアウタートップにギアをあげて、70回転代でグワングワンと回す。
この感覚が本来の僕の走りに近い。1周めにこれをしていれば、二人に追い付かれるのも、離されるのも、幾らか遅らせることが出来たろう。
さらに練習からそうしてれば、二人に追い付かれることもなかっただろう。ベストパフォーマンスであれば。
 
◀ 技術解説 ▶
写真前からは、僕の「姿勢≒空気抵抗」の低さが見える。も少し小さいヘルメットならもっと減るか。
 
みんなから言われるのはサドルの高さ。
どちらも、しっくりくる位置を微調整した結果とりあえずこうなっただけ、根拠も自信も一切ない。
3周目の低ケイデンス走では、よりサドルの前側に移動した前乗りで、ハンドルからの上体筋力で体重をペダル上に移動して、ペダルに体重を落とすイメージ。
きちんと練習できていれば、この回転数を80台に持っていける。(1−2枚くらいギアは落としてでも)
その中で動作をスムーズにしていけば、筋肉疲労も抑えることができるはず。
そのイメージだけ、思い出した。
 
前日、Ceepoをロング向きアップライト設定で試乗した時、こうゆうポジションは試してもいないなあと少し驚いた。まだまだ探求は続く。
その前に来季は、ITUドラフティングレース仕様を新たに探る。
 
◀ レース経験 ▶
こうゆうのが、直前3ヶ月くらいの期間でのレース経験だ。
去年までは、こうゆうバタバタしたレースを5−6月に経て、トレーニングで修正してから、勝負レースを迎えている。
このように、レースは最高のトレーニング。とくにBikeはコース特性として、1時間の全力平坦走は実質的にレースでないと出来ない。一方で、準備、時間、費用、気持ち、あらゆるコストを浪費する。
効率を重視するなら、日々のトレーニングへの集中度を高めねばならない。
 
◀ ウェア ▶
Z3R0Dのパッド無しモデルを使用。たまたま代理店さんで余っていて、優待いただいたという裏事情があり、少々宣伝に協力しとります。
ISMサドルが柔らかいので(そのぶん重い)、ウェア側にパッドはほぼ要らない。その分、ランで軽快に走ることができる。
このウェアの生地の軽やかさ、柔らかさ=伸縮性、は圧倒的で、従来のASICSとは全く別物。空気抵抗も低いはず。
 
とかいって、転倒時のガードを兼ねてDesotoの掌一体型のアームカバーと、CEPカーフスリーブ(ウルトラライト)をしていて、これは少し空気抵抗を発生するだろう。そこまでは気にしない。
 
◀ 痙攣対策 ▶
痙攣を怖がる人は多いけど、なりそうでならせないのも、技術の1つだと思っている。
練習不足の脚は、レースでの高強度の筋使用にびっくりして痙攣を起こしがちだ。
その理由の1つは、必要以上のパルスを大脳から筋肉へと送っているのだと解釈している。攣りそうなら、筋肉に出す電流の量を抑える。この微妙なサジ加減と、塩ほかミネラル分のバランスとが、両輪だ。
 
ボトルには、750mlの水に粉末ポカリスエット1L分と塩少々の濃いめボトル、650mlに水。時々の状況で飲み分ける。
案の定、バイクで巡航速度に乗せてほどなく、内モモが、次いでフクラハギが、ピクピクし始める。
 
フォームを体幹駆動へと落ち着かせ、脚筋の稼働率を下げることで、モモは落ち着きを取り戻すものの、フクラハギのピクピク感は残る。
濃いめポカリの大部分を前半に飲み、ミネラル分が回るのを待つ。その間、CEPカーフスリーブは薄い生地でフクラハギを強力サポートしてくれる。
これも高性能ウェットスーツと同様に、「装備と技術の相乗効果」で、装備があるから痙攣しない、というわけではない。「技術を装備によって強化する」のだ。言い換えれば、装備抜きでも出来る、ということが基本。
  

2015年9月13日 (日)

「トライアスロンにおけるドラフティング問題」 竹内鉄平さんの決定版まとめと、僕の意見

竹内鉄平さんのブログ記事 『トライアスロンにおける「ドラフティング問題」について』 は、本件の現時点での決定版となるだろう。まずは以下リンク参照。長いが、ざっと目を通そう。
①歴史を紐解きながら、②ルールを解説し、③問題の核心である「グレーゾーン」に踏み込み、④どうすべきか示される。全くその通り。歴史はともかく、②以降はトライアスリートならば既に知っているべきであり、もしも「勉強になった」のならば、それはオノレの過去の不勉強を恥じていい。トライアスロンとは、このようにヤヤコシイ競技なのだ。
 
当ブログではこれら踏まえた上で、
  • トライアスロン・バイクの本質は「一騎打ち」である
  • 耐久アスリートとして「自分はどうありたいのか」という価値観について
  • お互い指摘し、文化を育ててゆくこと
  • テクノロジーの利用=動画撮影
と僕の意見を以下、書いてゆく。
 
<トライアスロン・バイクの本質は「一騎打ち」>
僕が強調したい1つは、②「ドラフティング禁止ルールを理解する」のこの箇所:
 
抜くときは15秒以内に一気に追い抜く。15秒以内に追い抜けなかった場合は、一旦加速をやめて、ドラフトゾーンの外に出る。逆に追い越されてしまった場合は、加速をやめて、先行者のドラフトゾーンから速やかにでなくてはいけません。ここを取り違えている選手が多いため、ドラフティングが起きるのだと自分は考えます。
 
これが意味するものとは、トライアスロン・バイクの本来的な在り方は「一騎打ち」であるということ。目の前の相手に勝つか、負けるか。オレはオマエより速いか遅いか。それをクリンチ禁止で行う。ボクシングではクリンチ=攻めてきた相手へ抱きつく防御法が認められてるけど、トライアスロンでは、そうではない。引き分けなし、決着はその場でつける。自転車の楽しみ方は人それぞれでいいのは当然だけど、トライアスロンのルールが定める競走のし方は、こうだってこと。
 
この「一騎打ち」が出来る条件とは、Swimをある程度上位で上がれて、Bikeで高い独走力があること。少なくとも国内レースでの現実としては。両方の合計点があるレベルを超えて始めて、その醍醐味を味わうことが出来る。これはSwimが本当は重要である大きな理由だと思っている。
 
実際、複数の有名大会でオートバイ・マーシャルをされる方もこう仰る:
 
「エイジ世界選手権の権利が取れるような上位レベルでは、それは見事にバラけてます」
 
ここには、「見られているという栄誉 or 抑止力」も作用する。あるレベル以上では、選手同士お互いを知っているから、 「今日のオレはオマエより強い!」というバトルが成立しやすい。またその他の選手からも観客からも見られているから、カッコつけるために、強さをアピールしたい。(※そうならない人も居る)
 
<しかし、ルールを守るだけではダメだ>
もう1つ重要なのは、ルールの範囲内でもグレーゾーンが出来てしまうこと。7m空ける。その中に15秒だけ入る。これ守りながらでも、トレイン=先頭交代を繰り返すことも可能だ(※レフェリーに悪質と判断されたら違反となりうる)。それが③「ルールとモラル」での議論だ。
 
このグレーゾーンを減らすため、世界の最先端はドラフティング・ゾーンを12mへと拡大してる。車間距離は5mから10mへ倍増。ただし、それが出来るコース幅、参加人数、レフェリー配置が必要で、それは国内では実際難しい。
ルールを理解し、守っても、出来てしまうグレーゾーン。そこでは、価値観の問題へ行き着く。耐久アスリートとして「自分はどうありたいのか」というこだわりだ。
 
たとえば競泳では、鈴木大地さんは「現状ルールの裏をかく」(※バサロ泳法は生命を危険にさらすので禁止されて当然)ことで今に至る地位がある。サッカー・ホッケー・水球などは、レフェリーが見てないところでは格闘技、ほぼなにやってもOK!て価値観があるだろう。
 
つまり、「ルール」の位置付けとは、「その分野での価値観」次第であって、社会一律で通用するような「正々堂々とルールを守って」と言って解決するものでもない。
 
「自分は耐久アスリートである」、ということの本質の1つは、「自分はどうありたいのか」というこだわり、ではないだろうか? 自分はなぜこの競技をしているのか? その原点へ立ち返った時に、どうなのか?ということ。
 
<価値観を育てよう>
自分はどうしたいのか、を決める。そんな個々の価値観が空気のように集まって、文化は出来あがる。みんなで育てるものなのだ。特に、トライアスロンやトレイルなど新興競技では「運営者と競技者は一体」という歴史的な成立過程がある。
 
だから「レフェリー取り締まれよ!」とだけ言うのは、トライアスリートにふさわしくないと思う。それは「お客様気分」の表れであり、「当事者」になれていないから。それは自分自身の役割。その場で、自分が、言うべきことだ。
 
ただ、文化だけの問題でもなく、たとえば、国内有名大会へ招待出場する外国人選手も、レフェリーが居ないとくっついて来る、なんて国内上位選手の内緒の証言があったりもする。だから、「仕組み」によって対応するのは、両輪として必要だ。
 
現に、世界選手権レベルでは「ルールの範囲内のグレーゾーン」削減へと動いているわけだ。ただ、車間5mを10mへ倍増するにはコース幅が必要だし、取り締まるマーシャルも十分配置する運営は高コストで、現実の国内レースでは難しい。だから、片輪だとしても、選手と観客も含めた個々が、当事者として文化を育ててゆく、という姿勢が求められるのだと思う。
 
<即効性を求めるなら、撮影する>
そして文化が育つのには時間がかかる。即効性を求めるなら、テクノロジーを活用する。カメラ装着・動画撮影・早回し公開。前方撮影なら「ワタシやってません」と証明でき、取り締まるなら後方撮影。
 
なお、Ironmanのルールではカメラは禁止。思うにIronmanは、聖地KONAがNBC独占放映権への価値を高めたい(=放映権料を釣り上げたい)、またマーシャルも多いから問題ない、などの背景がありそうだ。このKONAルールを予選にも拡げたんだろう。(ただアジア開催ではマーシャルが追いつかない)
 
最も問題になるのは国内レース、特にシード権がかかるがマーシャルが少ない(かつての)宮古100位前後だろうか。だから宮古は2015からシード廃止したのかな?  あと、練習中から動画撮影すれば、万が一の事故時の責任明確化も出来る。自動車にも付けておきたい。(5,000円のでちゃんと撮れるのかな??)
 
<付記>
僕だと、今回の伊良湖でも狭く密集したところで距離が詰まる局面も実際あったし、100%クリーンですと言うつもりもない=過去グレーゾーンには居たこともあるかなと思う。僕のSwimとRunのレベルからは、Bikeは独走で順位あげてリード稼げないと、ここまでの成績はないとはいえね。
 
僕の姿はかなり知られてて、ほぼ常に見られてるわけで(だからレース中の写真を初対面の方からも頂ける)、それらトータルの評価へ委ねます。僕が変なレースしてないか、見てただけるとすれば、ありがたいこと。

2015年9月10日 (木)

伊良湖トライアスロン2015 vol.2 Swim編 〜三浦理論とZ3R0Dウェットスーツの相乗効果 (のキザシ)

もう来週末はシカゴ世界選手権。ブログ書く気力なく、小さな分析報告をFacebookに小出しにしてきたけど、情報として残るのはこっち、今伊良湖を書かないともう書けない気もするし、がんばって書こー。
Imgp9576
撮影:シバタタクヤ学校応援団の反保さん、共演イケノめだか選手
 
◀ 当日9/6
本来、Bikeポジションは直前に悪あがき急変更してはいけない。短距離とはいえレースに近いペースを繰り返すので、疲労が残る。わかっててもやめられないワタシである。
 
当日朝になっても身体は重く、睡眠は足りてるのに、ベッドで寝転がってたい。前夜にちょっと咳も出たのは、新幹線など移動でマスクくらいしとけってことかもしれん。物理的にも重たくて、当日朝食前で過去最重レベルの63.0kg(165cmです)。少々脂が乗っておる。ちなみに過去最軽量は59.5kg。
ただ、こうゆうのは、それほどパフォーマンスと関係なかったりもする。淡々と準備するのみ。
 
7時から朝食、バイキングで、米、味噌汁、魚、トマト、山芋、カレー、珈琲牛乳、甘いもの少々など、30分間ひたすら食べ続ける。かつては1時間近く食べ続けたこともあったけど、最近は控えめにしている。あと最近は、甘いものの割合をかなり減らし、インシュリンが作動しないようにしている。
ゴール予想は13時過ぎ、その5時間前=8時まで食べても、スタートまで3時間あって十分。これだけ食べれば、ショートレースなら途中の補給はスポーツドリンクだけでいい。
まあ細かい変更はあっても、過去30レースか、一度も胃腸系トラブルの兆しもなかった頑丈な内臓さんにはつねづね感謝。
 
招待宿泊の伊良湖シーパーク&スパは、スイム会場をテラスから見下ろせる。伊良湖のホテルでは、山の上の伊良湖ビューホテルが圧倒的に素晴らしく、その差は拡大してるようにも思われるのだけど、レース宿泊なら、会場すぐ近くなのは本当に便利だ。
 
8時過ぎ、当日受付と同時にBikeも置くつもりが、時折激しい雨、直前に持ってくことにした。伊良湖の運営は全体にユルめで、預託時間の制限もなく、Aタイプ選手がSwimアップする中でも遠慮しながら持ち込めばいい。 トランジションに開放的な明るさがあって良い。
 
Aスタートの9時、テラスから見下ろす。しかし選手は出てこない。もしやデュアスロン?と不安になるが、ほどなく隣室さんから情報いただき、AタイプはSwim3周を2周に短縮し30分遅れでスタートだと。Bは予定通り実施。
前回書いた練習状況から、今回はスイムが無ければ困る。短縮でも不利。3種目開催できて本当によかった。
 
◀ SWIM ▶
1.5km(実測1.7との情報も)、25:54、カテゴリ4位(女子2名が速く全体6位)
まだまだ改善余地は大きいが、変化への兆しはつかむことができた。
 
今枝誠コーチは後述するコース特性を見抜き、左端に陣取る。たしか去年は右側でバトルを避けた。的確な判断。そしてその隣に私。
 
スタート3分前の「気合入れ」を頼まれる。Aは谷さん担当、Bはたぶん今枝さんが担当されそうなところが、今枝さんが隣の私に振って頂いて、お受けして、なんかワーワー叫んだけど、どこまで届いたかな? 38度線スピーカー的に遠くに飛ばす体育教師のような発声は難しい。いや、聞こえなくてよかったか。
 
スタートし、今枝さんの後ろにつくが、ほどなく少し離され、かわりに少し外側に良いペースの方が表れて、後ろにつくことにする。
初のZero-Dウェットスーツ、前日に、ぐるぐるピッチを上げるよりも、浮力とキャッチ力を活かした「伸びるクロール」が合うだろうと判断したのは前かいたとおり。まだ開発途中の泳ぎではあるが、パチンとハマった。
少し離され気味なところでは、開発中の「呼吸側ストローク1+反対で3キック」の4キックを使うと、簡単に追い付ける。スタートで今枝さん相手にこれが出来れてれば、もっと迫れたかもしれない。
 
1周めの帰り、前の選手がコースロープの内側を泳いでいる。ブイは回っているで反則ではないと思うけど、一応、僕は外側に出て、ドラフティング効果を失う。けど、意外と速さは変わらないもんだ。
 
一度上がり、最も有利な内側コースロープ沿いまで砂浜を大周りし走ってから泳ぎ始めるが、前の方は、直線上の最短距離から早めに海に入る。先行できたが、再びドラフティング効果を失ったということでもある。ブイで合流し、後ろに付く。
途中キャップが脱げそうになり、頭にクラゲがベチャーと絡まると嫌なので、一瞬キックだけ打ちながらはめ直す。僕はアタマがでかいので、通常キャップでは、耳までかけると無理があり、こうなりがちだ。館山もそう。耳は基本、出していこう。大きめキャップを内側に被ってもいいかもしれない。
 
最後のブイを回ると、途端に周回遅れ組が大量に表れ、前の方を見失い、今度は僕がコースミス=SWIMゴールから離れてしまって、幾らかロスをする。
 
実質的に3位同着でSwim終了。過去2大会は9位くらい前後だったので、すごい進歩だ。
 
新技術と新装備とを、おそるおそる試しながらなので、使いこなせるようになれば、まだまだ伸びる。
 
◀ SWIMのスタート戦術 ▶
9:30のA-typeスタートを、テラスから撮影。
見ての通り、今年は左のイン有利のコースレイアウト。去年が第一ブイまでの距離が短すぎた反省から、斜めにして距離を取ったんだろう。それにしてもちょっと、、、そして参加者は去年の記憶から、アウトに陣取る方が多かった。
 
なお最後5秒は、B-type 3-4位の上陸&再入水。後から走って抜いてゆくように見える(=カメラ位置の関係)のが僕で、砂浜を遠回りしてイン端に走っている。泳ぎ始めると、僕の方が実際に先行できた。
こうゆうコースと潮位に合わせた戦術もトライアスロンの一部だ。
 
◀ Swimドラフティング戦術 ▶
今回の反省を踏まえた結論は
  • スタートなど、前に追い付くためのドラフティングは重要だが
  • 巡航に入ったら、前を攻めていい 
2つ目について慎重になりすぎて、前の今枝さんとの差が拡がってしまったし、そうしたとしても、体力ロスはそれほどでもなかったな、という印象。
 
◀ 新技術 ▶
練習会の元ネタである三浦広司コーチのアドバイスから、このところ新たな感覚が急速に芽生えている。ここから泳ぎこむことで、レースタイムに反映されてゆくだろう。Facebookでは、
と小出しにしてきたので軽くご参照を。シカゴ終わったら纏めます。
 
◀ 新装備 ▶
Z3R0D=ゼロディ社の最高製品VFLEX=ブイフレックスを投入。
 
高額装備も、それだけで劇的な成果を上げることは、ありえないと思う。
ただし、装備が、感覚・技術を伸ばす、ということは十分ある。
今回も、Z3R0Dとと三浦理論、どっちがどれだけ効いてるのか? というと、相乗効果、ということだと思う。
 
まず技術/スキルが普遍的なものとしてあり、Z3R0Dはあるべき泳法技術に基づいて設計されてる印象。この順序に沿って、Z3R0Dを活かす泳法の詳細は、技術論のあとに説明しよう。
 ←大手ショップが投げ売り中。基本構造は同じはず。今回贅沢にも使用したエリートレース用 "o-suit" も6割引。極上のフィット感には周りで買った人達がみな驚いとります。水着は7割。
こうゆうマニアな製品は、大手には向かない気がするから、こうゆう事態はもう起きないと予想。つまり早い者勝ち!
ついでに書いとくと、季節柄かわいいミズクラゲはいっぱいいて、途中、ストロークの手がグニュっと柔らかいものを掴んだり。クラゲの触手は下側なので、上からアタマを抑える限りは問題ない。問題は顔で、たまに頬に軽くピリっとした刺激があるけど、SafeSea塗ってるので痛くない。  (Bike&Runに続く)

2015年9月 7日 (月)

伊良湖トライアスロンB総合2位、超きもちいーー! vol.1準備編

前年優勝による招待選手として出場の伊良湖トライアスロン大会、B-type総合2位でゴールできた。レースは僕がゴールした数十分後の午後2時頃から酷い嵐となり、途中中止。表彰対象者も発表されていないけど、2番目にゴールできたという事実で十分。
 
今年は4月の宮古の後、もーやり尽くした〜!感が出てきて、完走て楽しー! と書き続けてきたけども、やっぱり、今できる範囲内での限界ギリギリまで力を尽くせるのは、気持ちいい。こうゆうのは、レースだけにしかない。
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(Facebook鹿島洋輔氏撮影「2015伊良湖トライアスロン応援」より)
 
伊良湖は、全国的には「佐渡トライアスロンの裏」的なポジションだろうけど、こちらも開催29回目を迎える伝統大会、東海地区トライアスロン界の大きなお祭りだ。最近は地元の若手が運営に入り、毎年、工夫のあとも見える。とりわけランコースは、僕の知る範囲では最高に楽しい。この大会の魅力については、もしかしたら後で、一般人向け媒体=無名ですけども=に書くことになるかも。
 
レースレポート、記録未発表なこともあり、まずはレース前だけ。
 
◀準備▶
自転車は6末の館山大会から7週間、完全にサボる。たまに普通ペダルのクロスバイクで10-20kmくらい走る程度で。今回の3週間前に慌てて1週間ほど山で乗リ始めたのは、Facebookに書いた通り→ https://www.facebook.com/Masuyuki.HATTA/videos/vb.1103416877/10204712737834007/?type=2&theater  その初日は固定ペダルと高いサドルに戸惑ったが、なんとか身体の感覚は戻った。で安心してまた乗らなくなり、1週前に再び慌てて平坦3km走を6本くらい。2日前の金曜に短距離を繰り返してポジション調整。前日にも試走しながらポジションをいろいろイジって、途中シートポストのネジが締めきれておらずズドンとサドルが下がったりして。(それくらいでバランス崩しはしないけど、レースなら大変だー)
 
ランでは、伊良湖の特徴である起伏ばかり続くコースに向け、1週ほど前に想定練習を一度だけして、まあ悪くないタイムだったけど、以後、筋肉痛とか言い訳して、続きを出来ず。去年までよくやってたBikeとの組み合わせも殆どしていない。
 
唯一マトモに練習してたのが水泳。三浦広司さん理論を直伝され、資料化する作業を進めていて、その過程で僕の頭と身体の中にあったクロールというものが、ガラガラと解体され再構築されている途中だ。新技術はようやく掴み始めた途中ではあるけど。
 
さらに装備面で今回、Zero-D社さんの協力で、最高級ウェットスーツ「Vフレックス」を投入。10万円オーバーのハイエンドを使って結果を出さないわけにいかない!
 
◀慣れ▶
Bike-Runとも、これくらい練習すればこれくらいは行ける、という想定が、わりと出来るようになった。「サボってる間も、最低限これくらい続けてれば、3週間であれくらいには戻せるかな」とか。完全に一致することはないけど、8割がた見える感じ。
 
わかっているならやればいいのではないか? という疑問はもっともだが(明日やろうはバカやろう理論)、わかっていることをやる必要もない、ともいえる(明日やればいいことは明後日やってもいい理論)。優勢な勢力は僕の中で時々に入れ替わっている。常時スイッチを入れっぱなしにしてるわけにもいかないし。
 
Swimには、そうゆうある種の自信のようなものが無い。そんな中で、未知の希望の道が表れると、新鮮に取り組むことができる。というか、ハマる。(明日やろうは今日やろう理論)
 
◀前日▶
朝11時頃会場に着き、クルマでBikeコース1周、次いでBikeで。路面が粗い箇所が幾つかあり、タイヤは7.5気圧では高過ぎる。岡崎の有名店とらいあんぐる=伊良湖には顧客67名が出場されたと=の神谷店長に相談すると、「ハッタリくんなら7気圧、あと天気次第かな」と。当日は6.8‐7.0とした。
 
CEEPO田中社長が神谷店長と一緒に試乗ブースを出していた。自分のポジション調整に集中するため試乗する気は一切なかったのだが、田中社長の言葉巧みなセールストークに意思に反してちょっと試乗してしまい、さらに、あーこれなら宮古の失敗はなかったかも! と思ってしまった! 恐るべし田中社長!
社長御自らBayamoに跨って数十m走り、ポケットから巻き尺を取り出しあちこち測り、「やっぱりBayamoはTTバイクだね、うちのはトライアスロンバイクなんだけどね」と。フロントセンター長の差により、Bayamoは加速力はあるが、速度維持がしづらい。自転車レースのTT=タイムトライアルでは、せいぜい30kmくらい、後の無い一発のスピードが大事。Runを後に控えたロングのトライアスロンでは疲れる。これが、TTとトライアスロンとの差。この説明でも超納得、恐るべし!
ここにはポジション設定も影響し、僕のは空気抵抗重視で窮屈なのに対して、Ceepo試乗車の設定はとても楽。
 
12時過ぎに受付、13時過ぎにZero-Dフジワラ社長と会えて新装備入手、14時半に一緒にV-FLEXを試泳して、特徴をつかむ。これが効いた。
僕はピッチを上げる意識が、レースでは出過ぎて、泳ぎを乱し、体力も浪費する傾向がある。試泳でも最初はピッチを上げた泳ぎを試す。その感触をフジワラさんと話す中で、
  1. V-FLEXの浮力を信じて、グライドを効かせる大きな泳ぎでいい
  2. 腕部分の変態的なキャッチ力を信じて、ゆったりとキャッチに入ればいい
  3. スネ部分の変態(同上)、キックを効かせていい
  4. 体幹の横、脇から脇腹ののラインの柔らかさを活かすといい
と、特徴を理解。うち、2と4は「三浦理論」どんぴしゃ。
理想的には、この理解のもとでの泳ぎこみをしたいところだが、本番ぶっつけで挑むほかない。体力を消耗しないように、ゆったりとイメージ重視で泳いで終了。
 
3時半に説明会、4時半から前夜祭に出席、5時半から子供向けクイズ大会に参加、合間にお弁当食べて、ちょっと現地関係者と別件の打ち合わせて。6時半にホテル戻り、少し準備、風呂、夜9時くらいに寝る。
(つづく)
 
◀おしらせ▶
そのゼロディ社のウェットスーツ、普及価格帯のが期末在庫処分で4割引→   試着&試泳するのがベスト。せめてサイズ合わせは慎重に! サイズチャートはこちら リバーシブル水着はほぼ7割引、こんなバーゲンもう二度と無い。本当に無いよー。僕はブリーフ派です(価格と在庫は執筆時点)

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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