(こっちは安くてリバウンドしない)減量講座'15 〜RIZAPはつまり「芸能人気分」を売っている
今回は珍しく、トライアスロンもランニングもしない一般人向けに書いてみる。Facebookで先行して書いたら、過去最高に迫るいいね!がついた話だ。
<100億円>
話題の「ライザップ」、親会社の健康CPのIR資料によれば、事業開始3年で売上高100億円見込だそうだ。最低価格35万円で会員数2.9万人突破。新規顧客からの売上の多くはこれからなので、やはり平均客単価は50万くらいかな。
その手法は、
- 糖質カットを軸とした食事制限で体重を削りつつ
- ボディビル的な筋力トレーニングで(目立つ部分の)筋肉を増やす
というもののようだ。
ただし、筋肉が欲しければ、普通にボディビルでいい。脂肪を落としたければ、今から書く方法で十分。
それでもカバーできない要素が、「芸能人のような」=見せるための身体を、「短期間で作る」という点だと思う。本来的には、役に合わせ激太りしたり急痩せしたりで知られるロバート・デ・ニーロのような芸能人向けのサービス。彼らにとって撮影開始までのボディメイクは絶対義務、その支援にコミットするサービスなら、数十万円でもリーズナブルだ。そこに彼ら独自の価値があるのだろう。ここが出発点。
でも日本にデニーロは3万人もいない。では一般人がなぜ? と考えると、「主演映画に向けて身体を作り替える芸能人のような気分」を体験することに、数十万円分もの価値を見出しているのではないだろうか? だから芸能人をCMに使うのは理に叶っている。
仮に、デニーロ的なもの(あるいは「あしたのジョー」的なもの)に300万人が憧れているとして、その分が潜在市場であり、その1%を既に会員化したと考えることができる。その1割を開拓できれば、彼らはあと10倍成長できることになるが、さて・・・
そうして作った「見せるための身体」を、誰に見せて、その金額に見合う価値がどのように正当化されるのかは、まあ、本人が財布とか見せたい相手との関係性とかと相談して決める自由というもの、そこに立ち入る気はない。というかトライアスリートにとって返り討ちに遭う予感すら(笑)
ただ、トライアスリート目線では、「見せるための筋肉づくり」とは「使えないオモリを積む」行為でもある。僕らがあの広告に憧れるということはない。そもそもの価値/目的が全く違うわけで、同じ身体を鍛えているようで、似て非なるものだ。
<減量への道>
僕らのような耐久アスリートにとって、減量自体はものすごく簡単なこと。ただ、体脂肪自体は大事な身体の構成要素だと僕は考えているので、普段は脂肪を軽く乗せるようにしている(てことにしとく)。それは「いつでも出来ると思うことは、いつまでも出来ない」というアレとは違うぞ!(てことにしとく)
このあたりの詳細は、過去の「減量講座」シリーズ などご参照
減量という簡単なことに35万円もの価値ないはずと考えれば、RIZAPが「本当に売っているもの」は別の何かにある。それは多分に「気分への消費」で、自転車とかだって幾らかは共通するだろう。
<一般人の場合>
運動習慣がない一般人の減量なら、まず、ここから始めよう。
- 座らない
- 座る→ 立つ→ 歩く→ 速歩き、と強度を上げる
- 夕食の糖質・脂質を抑える
「座る」という動作(不動作)は、脂肪蓄積マシーンに身体をセットするようなものだ。それを裏付ける最新の医学研究なども次々と発表されている。
「都会の通勤ラッシュが嫌だ」という人は多い。時間的拘束としてはそのとおりマイナス だけど、その間の車内で空きスペースへと身体をよじりながら立ち続ける動作には、けっこうな脂肪燃焼効果がある。田舎のクルマ通勤なら、この間ずーーと「脂肪蓄積装置」上なので、対照的だ。この点に限れば、平均的な田舎暮らしは、身体に悪い。
そして駅に降りたら、エスカレーターでなく階段を駆け上がるべきだし、目的地が遠ければ喜んで速歩きだ。これらが習慣化され、さらに、夕食で糖と脂を減らせば、体重はコントロール可能なものになる。
糖質カットには劇的な減量効果がある。ただし、かわりにタンパク・脂質を十分に取る方式(=最近流行っている)ならともかく、カロリー全体を抑えるのは、生活全体のクオリティーを著しく下げるので、ぼくは勧めない。大脳には良質なブドウ糖が必要だ。ただし、夜ならすぐ寝てしまえばOK。
なお35歳過ぎまでの僕は、これらだけで体重56kg前後を20代からキープしていた。自転車始めて増え始め、それ以前のズボンはくとモモやお尻がはちきれそうで危険だ。(1度やられて腰にシャツ巻いてストリップ状態で過ごしたことがある)
<アスリートなら朝トレーニング>
運動習慣ができると、全身の筋肉量が増え、基礎代謝が増える上に、大きくなった筋肉をより長時間より高強度で使えるようになるので、さらにエネルギー消費力が上がる。それに伴って食欲が増え、胃腸の消化能力も上がるけれど、それら全体では「体重コントロール能力」が上がるということだ。
それに一番いいのが、朝食前の持久系トレーニング。これができれば、前夜の晩御飯でお腹いっぱいに脂や糖を食べまくってもOK。それらを使い切ることが出来るから。
朝は、身体のエネルギーが睡眠中に自然に枯渇気味になっており、脂肪活用度が上がりやすい。日中の空腹は脳の働きにマイナスだが、寝てればOKだ。
そして体脂肪をエネルギー源としてトレーニングし、栄養たっぷりの朝食をお腹いっぱいに食べて、身体に栄養を浸透させる。トレーニング後にはしっかり食べるのが義務。超回復には、(普段は悪者扱いされる)インシュリンの分泌が必要で、甘いモノ好きな方はこのタイミングに集中させると良いと思う(=僕の独自理論ですけども)。逆に、運動前にはインシュリンはダメ、絶対。
こうして、日中はエネルギーに充たされて活動できる。
夜トレーニングでは、そのあとで酒のむと、筋肉の成長が妨げられてしまうけど(でも飲むけども)、朝トレーニングならその心配なく、夜あんしんして酒飲めるというメリットもある。ただ、翌朝おきにくいだけだ。
<最新のクエン酸利用法>
そんな朝の脂肪燃焼を加速させるのが、最近トライアスロン界の一部で大流行する「クエン酸」法だ。朝、水とともに、3gほどのクエン酸(体重60kgの場合)を摂り、30−60分間の運動をする。
ここは以前『宮古'15敗戦記3 〜長距離バイクの「エネルギー戦略」』の後半で書いた通り、量の管理が必要だが、逆にいえば、2倍摂っても効果が下がるわけではない。そのための計量の方法は、正しい順に、
- 精密なハカリで0コンマ何グラムまで測る
- カプセルに詰めて、個数で管理。3gは、1号カプセル7個、00号で3個
- その時の量をスプーンに戻して、3gの量がどれくらいか、目測で覚えておく
なお石橋剛さん(いわば市民サイエンティストでもあるトライアスリート)の本来の研究は「レース中の脂肪活用」であり、その真の目的は「グリコーゲン節約法」であって、減量法ではない。しかし目的がズレども、その作用プロセスは共通するはずで、実際それによる成果は短期間にもかかわらず幾つも報告されている。
本来のレース前の摂取では、レース3時間前に朝食を終え、レース1時間前にクエン酸を飲む。このときはカプセルを事前に用意しておく。
ただ朝練ではその時間はないので、いきなりクエン酸で走り始めてOK。胃酸の分泌を促す作用があるので、事前に豆乳とか口にする方もいるようだ。僕は朝一でコーヒーを飲む習慣があるので、牛乳多く入れて飲んで、そのあとでクエン酸投入。
クエン酸は自然界の基本的物質の1つで、掃除で洗剤として使われるくらい安価なのも良い。1kg780円送料無料、1回3gで333回、所要コストは年間で780円ちょっとだ。1kgは多いので、ガラス瓶に一部を移して使う。ただ夏の湿気には注意が必要そう。(冷蔵庫いれようかな?) 余ったり湿気でダメにしたら洗剤に転用すればOK!
さらに「カプセルディスポベンリーナ」など、ジョウロのようなカプセル投入器?を併用される方もいるようだ。僕はテキトーです。またカプセル利用の計量法は、人気ブロガーRUMIOKAN氏による「クエン酸、カプセル号数と個数の目安」 ご参照 ↓
※ 酸は歯を痛めるので、直接飲んだら確実にすすぎましょう。緑茶とかいいかな? カプセルで飲めばその対策にもなる。
<トレーニング>
完全な空腹=低血糖になってしまうと、トレーニング効果が出ず、一定以上の血糖値は必要だ。そこでいつでも飲み食いできるよう、朝は近所 or 家の中に限っている。家から5分のトレイルを走るか、ローラーか。クエン酸が脂肪燃焼スイッチを入れ、さらにコーヒーのカフェインまで効いて、ぐわーーーんと内側から炎上しはじめる。
とはいえ、高強度トレーニングには、米などの糖質が必要なので、高強度錬のあいまの日の朝練がメインだ。
なお昨今、低糖質食が流行っていて、それはそれで超長距離では合理的な方法だとは思う。こちら「GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス」は読んでて科学的発見も多く、おもしろい本だ。でも、僕のスピード域では「遅すぎるエネルギー源」だと思っている。米こそスピードの源だ。僕と同等以上のトライアスリートでは、同じ考えの方しか知らない。
<クエン酸の効果>
宮古前、64−5kgの体重をなんとかしようと少し取り入れたら、あっという間に2kg減らせた。その後オフモードに逆行してサボってて戻ってるが。。
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