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2015年3月30日 (月)

30km走しなくても、ロングレースで勝てると思う

1ヵ月前に書いた「マラソン30kmの壁」を超えさせるのは、技術だ」 は、1日半で約2,000名から4,000ページほど閲覧があり、僕のブログとしては反響多め。ランニングの話は全般に増える傾向はある。逆にいつものトライアスロンがマイナーともいえる、涙。

僕がこのブログで書いているのは、とくに最近は「量に依存しないトレーニングの考え方」。量により既に成功済みの方々には要らない情報だろうけど、みんなが量を積めるわけでもないよね。そんな効率重視の方々のために僕は、最新理論を集め、日々の練習で思考を深め、レースで検証する。
 
<欧米最新理論>
僕の情報収集先は、今はほとんど欧米発の英語情報になってきた(みなさんのブログとか読んでませんゴメンナサイ笑)。それにより、情報の質も量も明らかに充実してきた。この話は、いずれ書いてみよう。
それで、 欧米人気コーチたちのいろいろな方法論を総合すると、「Run30km走」のような練習は、226kmのアイアンマンレースにおいてさえ、流行遅れかなと感じている。それら考え方は僕の経験からも納得できるもの。
 
そこで僕の判断は、連続走なら90〜120分、つまり*20〜25km走で十分、ということ。 
 
その僕なりの理由は、動作が共通するからだ。あるいは、「長距離の速さ=筋力×有酸素能力」という公式で説明することもできる。2015宮古は、その考えの実証実験の場となる。
 
<時間基準>
*僕は「距離ではなく時間」基準で考えるので、90〜120分とは、レースペースが1km6分なら15km〜20kmでいい。(距離が少なくて不安になりますか?)
このペースで30km走ると3時間、上限120分に対して+50%とダメージが大きい。
 
これが1km4'30ペースなら所要2時間15分、+13%と誤差の範囲なので、僕は30km走してもOKな人といえる。仮に僕が3時間走れば40kmくらいだろうか。さすがにトライアスリートが40km走はそうはしない。つまり、「30km走」とは、僕とアナタとでは全く違う練習なのだ。
 
故障リスクも、距離ではなく時間に比例して増大するだろう。遅いほど、フォームに何らかの無駄がある場合が多い。たとえば筋力が体重に対して不足している場合 (=痩せ過ぎの女性や太り過ぎのオジサン) 、上下方向の運動量(=つまり無駄&ヒザ腰への衝撃 )の割合が大きいのではないだろうか。
 
疲労の蓄積も考えるべきだ。長時間錬による「トレーニング効果」と「疲労ダメージによる練習頻度低下」とには、最適バランスがあるはず。それが30km走を許容するのなら何の問題もないのだが、僕にとっての境界線は、まあ2時間が限界かなってところ。
 

<実験データ>

2月のRun距離は過去最高を更新し306km。3月は1-2割減らしている。問題はその中身だ。

レース系連続走は、宮古68日前(2月10日)から開始、2月中は20km走を繰り返した。その 「宮古まで"X日前"での/距離/@平均1kmペース/(平均心拍数)/5kmごとラップ」 を列挙すると:

  • 68日前) 20km@4'07(HR153)  4'11(148) 4'04(153) 4'07(155) 4'06(156)
  • 66) 22km@4'09(HR150)  4'16(145) 4'13(148) 4'07(151) 4'06(152) +1.5km3'56(161)
  • 64) 23km@4'14(HR146)   4'09(146) 4'13(146) 4'14(145) 4'18(145) +3km4'18(146) (ここまでは2/15投稿の通り)
  • 54) 20km@4'15(HR147)   4'12(146) 4'14(148) 4'16(148) 4'18(149)
  • 50) 21km@4’02(HR155)   4’05(151) 3’59(157) 4’03(157) 4'01(157)=6km分 (エネルギー枯渇状態で実施)
3月に入り、距離を短縮。
  • 46) 10km@3'59(HR157)  4’02-3’55
  • 26) 10km@3'49(HR154)  後半5km@3'46(157)
  • 24) 16km@3'48(HR160) うち前半に1.6km@3'35(161)、後半に8.5km@3'45(165)
  • 22) 7.5km@4’23(HR138) 高負荷Bike後のスロージョグとして
  • 20) 7km@4’08(145) うち5km4’00(147) 高負荷Bike後の身体ほぐしとして
46日目からシューズを「BROOKS GHOST7」に変更(型落ちの「6」なら4千円からとオトク)
 
<データの解釈>
はじめ3回は中1日で繰り返したため疲労蓄積で遅くなっていき、次は10日後と開きすぎて伸びず、開始18日後の50日前に、低血糖気味な中でタイムを伸ばす。
この結果から、トレーニング効果は2-3週で表れると解釈してもいいだろう。
 
「4週サイクルの最終週を休養ルール」からは、その最後は40日前となり、39日前から再び負荷を掛けてゆくべきだ。だが実際の僕は、そこから2週、ランは5km先のプールや2km先の八百屋まで移動して玉葱や林檎を背負って走るだけで、レース系の走りは全く出来ていない。
それでも、26日前に少し上げて走って身体を戻し、その2日後に、ポンと跳ね上がり、16km@3'48。このペースのまま20kmまで出来そうだったが、動作が乱れそうだったので、手前で切り上げ。これが僕の「頻度重視&技術最優先ルール」だ。 感触として、1km3’35-45域が軽く出せるようになってきた。心拍域は高めだけど自然に上がった結果で、乳酸閾値も明らかに上昇している。1km4'20域はスロージョグ化。
 
この結果から解釈できることは、身体は寝かせてるうちに適応が進むということ。高負荷走をしたくでもてきない、という時期に焦る必要はない、その前に十分出来ている限りは。
 
<「多ければ良い」という誤解>

いろいろ周りを観察していると、「がんばるほどいい、多いほどいい」「地獄を見るほと強くなれる」 的な価値感がしみついた耐久アスリート達は多い気がする。個々のココロは自由なわけだが、そこで気をつけるべきは、「精神論に依存する結果、速くなるための合理的思考から逃げてしまう現象」ではないだろうか?

それによる負の副産物が、「距離への不安」「練習不足からの不安」により、やり過ぎてしまうこと。それによる動作の乱れ、故障、過労により、逆効果を招くこと。

しつこく書いておこう。

不安に駆られての練習はすべきでないし、する必要もない。

 

 

(といいつつ日本語の本を紹介するのは洋書読まれる方が少ないから、、英語苦手な方は僕のブログ熟読くださいな)

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コメント

しゅうぞうさん楽しんでいただけてよかったです!

練習量を増やす効果は確実にありますが、いろいろ問題も多いわけで、代替策も必要ですね。
まず短め距離での走力&筋力を高め、重要レース直前期に量を増やして適応させる、のが1つの総時間圧縮の方法と思います。
短時間では当然ながら集中力が必要で、疲労回復や睡眠も大事になります。

私は3/18板橋マラソンが全然走れなかったですが、これも1kmの走力・筋力の不足だと実感しました。

著書の方、楽しく読ませて頂きました!
私の周りにはトライアスロン競技をしている知り合いは少ない為、世のトライアスリートがどんな事を思いながらレースやトレーニングに取り組んでいる様を覗けて何だかニンマリとしてしまいました!

さてブログの内容を拝見致しまして本質に立ち戻れました!
数少ないトライアスリートの方(大分ベテランの方で、かつ速い!)で練習量が物凄く多い方がいます。
やはりそういう方を目の当たりにしていると「やっぱり沢山トレーニングをしないとあのレベルに近づけないのかな?」と思ってしまいます。
ですが当方、妻の理解があったとしてもあそこまで練習時間を算出することが困難なので今回のブログの内容は凄く勇気となりました!
本当にありがとうございました!

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

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