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2015年2月23日 (月)

「マラソン30kmの壁」を超えさせるのは、技術だ

「30kmで潰れたから、30km走を繰り返す」なんて考えてない?
 
まずは、東京マラソン2015で好成績を収めた今井正人選手についての記事を引用:
 
 
つまり、「技術」によって30kmの壁を超えることに成功している。
 
<解説>
「ひざ&肩」よりも、「股&体幹」の方が、より「身体の中心」に位置する。中心に近いほど強く、かつ安定する。このシンプルな物理学は、幼稚園児くらいから理解できるだろう。そしてシンプルなものほど、極限状態で使える武器になる。
上りに強い今井選手なら、体幹を使った走りはこれまでも出来ていたはず。そんなプロ選手をして、30歳で今更ながらに股関節の重要性に気付けた、というのが、驚くべき注目点だ。それだけの潜在能力が体幹にはあるんだ。
 
でも現実には、多くのランナーが、30kmで潰れたから35km走だ、月1でなく週1だ、と「数字」に走っているのではないだろうか。 
 
〈長距離ランニングの技術とは〉
ランに限らず、長距離移動系競技では走力 = エネルギー生産力 × 技術 (× 筋力)が成立する。
 
<解説>
ここで筋力は、エネルギー生産にも技術にもそれぞれ含まれるので、外した方がシンプルかな。
耐久競技における技術とは、純粋に技術(=神経系)だけではなく、筋力の範囲でのもの。(水泳で水をつかむ技術はやや例外だが、それでもハイエルボー姿勢には独自の筋力が必要)。
エネルギー生産力も同様で、筋肉内のミトコンドリアが生体エネルギーATPを発生させるのだから、それは筋肉の働きでもある。脂肪をより多く活用できるようになるのは、エネルギー生産力の向上であると同時に、筋力の向上でもあるわけだ。
 
トライアスリートの場合、3種目を組み合わせてトレーニングするから、とりわけエネルギー生産力を高めやすい。自転車で筋力が落ち技術を保てなくなった後でも、ランや水泳は、比較的フレッシュな状態で始められるから、トータルで生産するエネルギー量は増える。(=痩せやすい、という意味でもある) ゆえにエネルギー生産力は高まる。
そこでボトルネックとなるのが技術。だからトライアスリートならば、なおのこと技術に集中すべきなのだ。
 
とはいえ、「30km過ぎの技術は30km以上走ってみないとわからない」のも、1つの理屈ではある。
ただそれは、たまに実験してみればわかるべきこと。「あーこうゆう動作が大事だ」とわかれば、極論すれば「1歩だけ」でも磨くことはできる。ランニングとは、1歩の積み重ねなのだから。自転車なら1回転の積み重ね。
 
〈事例:KONA2013〉
とかエラそうに書いている私にとって、過去唯一のフルマラソン経験はアイアンマン世界選手権2013のRunパート42.2km。 その5kmラップは:
131012_052013
  • 0-5) 21:44
  • -10) 22:43
  • -15) 23:03
  • -20) 23:16
  • -25) 24:10
  • -30) 24:37
  • -35) 26:22
  • -40) 26:05
  • -42.2) 8:52
と、もののみごとに30km過ぎの大失速を経験している→ https://masujiro.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/111km4-1b39.html
各ラップが綺麗に落ち続けてて、典型的オーバーペース事例だ。
 
事前の30km走は1度(生涯にもその1度)、20km走が3回くらいだ。
じゃあ、対応として、「30km走を繰り返す」とうトレーニングをしていれば、対応できたかというと、それはその通りだろう。
 
ただしそれは「スタミナを鍛える効果」よりも、長距離向きの効率的な動作感覚とか、 マトモなペース配分とかの技術、もっといえば「アタマを鍛える効果」の方がより重要だったと思う。
 
そして30km走では、「最後の1kmで最高の技術」を発揮できているべきだ。それが技術重視のトレーニング法の必須条件。そのための「集中力」なのだ。
 
・・・おしらせ・・・
最近読んでおもしろかった本。

 
痙攣防止には塩分に加えてマグネシウム(大豆とか)+カリウム(バナナとか)が有効で、錠剤だとマグネシウムとカルシウムはセット販売。クエン酸は脂肪燃焼回路に、BCAAは、まあ牛乳や納豆でもいいんだけど、筋肉ケアに大事ですね。
 

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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