ノロ罹患体験から考察する、ポカリのアクエリアスに対する優位性
<ノロ罹患!>
私の最大の武器である強力な胃腸が、この月曜朝に壊れる。どうやらノロウイルスの侵入を許したのであった。
昼過ぎ、平熱、前夜の食あたりだと思っていた。何か飲まねばと、5L特売248円か何かで買い置きしてた粉末アクエリアスをお湯で飲む。なんかスカスカだ。なおエネルギー枯渇感が強く、少量の牛乳に蜂蜜を入れて暖めて飲み、布団乾燥機で暖めながらベッドに潜ってると、15分くらい後から、牛さんの赤ちゃんが育ってゆくかのようなエネルギー感が全身にふわーーーと行き渡る。まだ足りないので、オレンジも食べて寝てるとやはり、オレンジの糖分とビタミンがすーーーと全身に浸透してゆくのがわかる。CMなら金色のキラキラ特殊効果が付く勢いで。
残念ながら、ノロ発症後数時間の胃はその全てを受け入れるほどには回復はしていなかったのだが。
夕方になり37℃に上昇。ノロは高熱は出ない。他の症状もあわせてどうやらノロ確定。気力は少し戻り、林檎とポカリスエットはなんとしても今日中に身体に入れねば、と自転車で買い物へ。最初の500mが何倍にも遠く感じる。ドラッグストアでは薬剤師さんに聞いて胃粘膜を補修するというセルベールを入手。 計3kmを軽いフラフラ感の中で帰宅すると37.5℃。おもいのほか消耗してしまったが、苦労して獲得した林檎とポカリ湯はすーーっと身体に入る、ああ、これが製薬会社とコーラ会社の違いだなあと。
風呂にも入れて、寝て起きたら食べれるようになっていた。火曜朝の体重は激減し61.5kg、水曜朝は脱水から回復し62.6kg、短時間で心拍あげながら9km走れた。木曜朝は62.8kg。週末まで筋力回復系、週明けから本格耐久系のトレーニングに入れそうだ。
ノロが半日ちょいで治るとは胃腸側の勝利ともいえるかな? ここまでが経由。
<考察:極限状態の身体が要求するもの>
まず果物についてちょいと調べると、弱った胃腸に柑橘系は刺激が強いらしい。やはり病気には林檎だ。2日経って蜜柑を再開すると、なるほど刺激感がわからんでもない。次に良いのはバナナかな。走りながら食べれるくらいだし。
より重要なのは水分補給で、ノロで乳幼児と高齢者が亡くなるのは主に脱水による。僕も脱水は火曜昼まで続き、冷たいジュース(ふだん飲まないコーラとか!)一気飲みしたい気分だった。
スポーツ系ドリンクが良いわけだが、こんな極限状態で飲み比べると、違いが身体でわかる。結論として、ポカリとアクエリの二択ならば、ポカリだと判断したのだけど、いきなり書くと問題ありそうなので、まずは成分表示から事実関係を確認していこう:
- 炭水化物=糖分量が多く、ゆえにカロリー高め
- しかし吸収が遅い複合糖類であるデキストリンを含むので、血糖値変動は緩和されている
- ミネラル系の成分が濃い
- 痙攣防止のマグネシウムを含む
- 人工甘味料アセスルファムKによりカロリーを抑えている
- 単糖類のみ、血糖値変動が急でエネルギー枯渇を起こしやすいと想定される
- ミネラル類は総じて少なめ
- BCAAを微量含む
- その他、海藻エキスやらローヤルゼリーやら
これら明白な事実を元に、論理思考に基づく考察を進めていけば、炎上するスキを与えないであろう!
当日昼に飲んだアクエリでは、成分上のミネラルの薄さ、そして人工甘味料の存在は、スカスカした印象を与えると推測され、僕の感覚はそれを実証した。
<人工甘味料とは?>
とりわけ甘味料とは「高効率エネルギー源としての糖分の衣を被っているけど中身はカラッポ」という化学物質によって「偽の甘さ」を演出し、「脳を騙す偽エサ」なわけだ。(もともと農薬として開発されたものが、偶然そうゆう性質を持っている事が判明して食用に回されたりしてる)
食べるとどうなるか? 脳はエネルギーが入ってきたと喜ぶ。だから甘いモノは美味しいのだ。しかし、血液レベルでは期待したエネルギーが入ってこない。
ここには2つの問題がある。1つは、脳と血液センサーとの感覚のギャップが想定されれること。この連動性は医学的に証明はされていないが否定もされておらず、統計的に「うつ病を誘発する可能性あり」という研究成果もあるくらいだ。
そしてその感覚ギャップは、トライアスロン級のより大量のエネルギーを必要とする場面では、さらに拡大するであろうと考えられる。僕らアスリートは、競技レベルが上がるほど、身体の感覚のわずかな差異に対して敏感になってゆくもの。わざわざ感覚を狂わせることがわかっているものを取り込むべきではない。
(ちなみにアルコールは脳と血液が「同時に同程度に狂う」ので、ギャップの問題はない)
<歴史を紐とこう>
大塚製薬はもともと病院向け点滴の会社だ。私の記憶が確かならば、1950年頃の朝鮮戦争特需で大儲けした後の反動不況を、「オロナイン軟膏」という一般消費者向け商品の大ヒットにより乗り切り、その後、やはり医療用ビタミン剤を一般向けに展開した小さな巨人「オロナミンC」もヒットさせる。「それほど高度ではないプロ向け製品を一般人向けに売る」というマーケティングが同社の伝統だ。その流れで、点滴液を日射病(今でいう熱中症)対策など一般消費者向けに展開できないかと開発され、当時国内に存在しなかった市場を苦労して開拓したのがポカリ。スポーツドリンク自体は「ゲータレード」がアメリカにあったけど、1980年頃の国内スポーツはドラマ「スクールウォーズ」みたいな体罰と根性主義の最盛期で、あんなもんが売れる余地は無かったんだろう。それで、日常生活にターゲットを変更したようだ。
その成功を見て、儲かるぞと同類をぶつけてきたのがアクエリアスだ。このマーケティング手法はシェアNo1企業にとって教科書どおりで正しい。
つまり、ある効能を普及させる手段としてうまれた製品か、売れるからというマーケティング戦略の産物か、という誕生の差がある。それはその後の製品開発に大いに影響しているなあと、過去の新製品リストを眺めながら感じたのだけど、説明が難しいので、ここではデータのある部分をとりあげよう。アクエリだけが含有する「BCAA」だ。
<BCAAについて>
大塚製薬ではBCAA飲料は別製品で発売しており、そのサイトのデータによれば、運動中のBCAAが効果を発揮するためには2000mg必要。しかし、アクエリ粉末1L分では計25mg。1Lがぶ飲みしてもわずか1%に過ぎない。そんな微量でも効果があるという論拠があれば問題ないのだが、その公式サイトにはギャラ高そうな有名選手のかっこいいイメージだけが目立ち、成分の論拠が見当たらない(あれば教えてね)。この事実から、アクエリのBCAAはマーケティング上の演出ではないか?との仮説を提示可能である。
だとすれば、いわんや含有量が表示されていない海藻エキスやらローヤルゼリーをや。と推測してみても、関係筋に名誉毀損で提訴されるスキは与えていないであろう。
運動中のBCAAの効果には、実は議論がある。「最近」の流行ではBCAAを摂るのだけれど、「最新」の研究では、「BCAA不要&クエンサン必要説」が登場してる。
BCAAは高価なので、運動中不要ならば無駄使いは避けたいところ。いずれにせよ運動直後の摂取には回復効果が認められているので、BCAAだけ別に購入すればいい。高いからオトクなのを選びたい。グラム単価で有利なのは「ファイトクラブ」かな。
レース中のドリンクには、安いクエン酸を別に購入して混ぜればOK。配合量やタイミングなどは改めて書きます。
<結論>
というわけで、病人とか本気なアスリートとかは、世の中の少数派であることを十分に自覚した上で(笑)、純粋に「効果」を求めればよい。
二択ならば明らか。ただし選択肢を増やせば、マジで熱中症に入りかけてればOS1(=より点滴液に近く、かつ不味い)とか、競技専門でもっと高い専用ドリンクとか、もちろんいっぱいある。「ポカリよりもどうゆうところがこれくらい良い」というおすすめあれば教えてねー
<僕の運動中ドリンク>
僕はトレーニング中は、水道水を沸かしただけの水が殆ど、たまに、水+100%果汁+塩少々、というスペシャルドリンクを作成する。あまり長時間練習はしないのもあるし、夏の暑さ対策は水分補給よりも「身体に水を掛ける」のを重視するのもあるし。
レースでは、昔はPOWER-BARドリンク(ネスレ本社製)を取り寄せてた。しかし日本の真夏では粉末モノは冷蔵庫保存するべきで、湿気で2本連続でドロドロにしてしまった。。しかも円安で高くなって、今年はやめた。
去年は少しアクエリ使ってしまった(?)が、今年はポカリだな。これに食塩を足し、おそらくクエン酸も別途購入して混ぜて、軽くカスタマイズしたものを使う。痙攣防止のマグネシウム&カリウムは錠剤をドラッグストアで安く売ってるので、事前にローディングしておけばいいだろう。
<余計な考察: 優秀なマーケティングとは?>
以上、別にアクエリさんを批判しているわけではないよ。
現実に、日本人の多数派には日常的なランニングなど有酸素系運動習慣がないし、ましてや競技能力を求めるのはごくごく少数。東京マラソンの応募者だって「たったの30万人」、日本人の400人に1人という奇人変人に過ぎない。(暗算を間違え4,000と書いてたので訂正! 首都圏からの応募者に限ると100〜200人に1人くらいかな? 十分に変人だとおもうけど!)
そしてコーラ社の最大の営業資産は圧倒的なシェアを占める全国多数の自動販売機たちで、そこで必要とするのは、アスリートなボク&健康志向なワタシ、という気分を消費したい大衆向けの商品だ。彼らは血糖値変動に興味はなく(いやホントは彼らこそおおいに気にするべきなのだが!)、カロリー総量が低い方がヘルシーだと思い込んでいる。そこに、ナントカ茶とかでマーケティング効果を確認した神秘的なエッセンスをちょいと飾る。
こうして「スポーティーでヘルシーなワタシという気分」を消費するお手伝いをすることで、高収益と高株価を生む。これぞ世界超一流の消費者マーケティングの教科書だ。
缶チュウハイとかもそうで、カロリーオフ系のが売れてるそうだ。僕はやはりあの味は無理で、ましてアルコールと混ざることでさらにNG度が高い。でも売れてるわけで、スポーツとかしない普通の方々の感覚はそうゆうものなんだろうし、それに合わせるのがコーラさんにかぎらず優秀なマーケティングというものだ。
そう、僕は褒めているのです!w ただ唯一の願いは、アセスルファムKなんて脳を騙す化学薬品をスポーツドリンクには使わないで欲しいだけ。アクエリ関係者さん、読まれてたら、脱アセスルファム商品の開発のアドバイザーに就任してあげますから!
なお、大塚製薬も低カロリー系のイオンウォーターとOS-1にはスクラロースなど使ってる。そこは本家ポカリとの選択は消費者に委ねられており、製薬会社なりのコダワリとマーケティングとを両立させてるかなと思う。
<まとめ>
とにかくね、栄養って素晴らしいよねー。枯渇体験の中で価値に改めて気付かされる。
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