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2014年11月 8日 (土)

「その時間内でベストを尽くす」 〜最強市民レーサー高岡亮寛さんに学ぶ

自転車ロードレース界でプロ選手をも倒す最強市民レーサーの一人、高岡亮寛さんの著書「レースに勝つための最強ロードバイクトレーニング」は、社会人トライアスリート(たぶんランナーも)にとっても十分に参考になるだろう。なぜなら、時間が限られているという大前提の中での、トップレベルの競技力を維持するための耐久スポーツのトレーニング法は、他競技を含めても希少だから。

こちら→ 竹谷さんの→栗村さんも外せないw

竹谷賢二さんも同様の成果を挙げておられ(サラリーマン時代にマウンテンバイク競技でプロ選手達を倒し日本選手権優勝)、プロ転身後にオリンピックまで出られているが、著書はフルタイムワーカーという立場からはいったん離れて基本自転車について書かれているので。

高岡さんの本の独自性とは、フルタイムワーカーの立場でいかに勝つか、というテーマへの絞り込みだ。それは彼自身の生き様でもあるだろうから、情報量は少なくとも、筋の通った良質なものとなっている。練習メニューの紹介なども、「フルタイムワーカーなら、何(だけ)をすればいいか?」という選択と集中がある。その分、トレーニング手法を体系的に網羅したり、それぞれの定義を明確にしたりはしない。戦略とはそうゆうものだ。

よりマーケットがでかいはずのランニングでも、たとえば「忙しい銀行員がフルマラソン2時間10分キープする方法」(=高岡さんの競技レベルはランニングなら多分そんな感じ)的な本を、僕は知らない。 

本全体を通しての最大の学びは、表題にも挙げた、「その時間内で最もキツい強度で走る」ということに集約されるだろう。これハッタリくん完全同意っす。

たとえば週末の午後に家族の行事があって、朝7時から12時までトレーニングできるのなら、5時間を走るのに最もキツい強度に上げる。そこには「いわゆるLSD」の入り込む余地はない。初心者なら低強度でも5時間走るだけでキツいだろうが、それは「本人にとっては最もキツい強度」であるわけで、本書の定義に沿うよね。つまり全部終えてキツければOK。でなければわざわざ強度を抑えるのは、もったいない。

繰り返しておくと、この本は、「トップレベルの競技力」を「自転車ロードレース」で維持するための方法を書いている。楽しく完走できればOK,て方は別なので、そこは各自の選択です。

それから、平日の練習時間が豊富なら、強度を意図して落とす日が必要だろう。(これは言うまでもないことか)

細かな注意点として、「高岡さんにとってのロードレース」と「それ以外の競技」との違いはあり、そこを読み替える必要はある。彼の勝ちパターンは、レース後半〜終盤で集団が疲弊した中でのペースアップにより、一人もしくは少数で抜け出すことだと思う。だから、勝負はアタック=つまりペース変化への対応力で決まる。一方で、トライアスロンのBikeはペース配分にムラを作ってはいけない。

この違いは練習法にも表れていて、ロードなら複数人で一緒にミニレースっぽく走ることが実戦シミュレーションになるのに対して、トライアスロンではむしろ一人でペースを安定させた方が実戦的だ。本書で「仲間と走る」ことが何度か推薦されてるのも、そうゆう理由だと思った。なんだけど、トライアスリートなのにロードレース的チーム練をしてしまってるケースとか、その逆とか、けっこうあるような気もするけど。

いずれにせよ、基本はどちらも同じ。その発揮の仕方が少し違うだけだ。

ちなみに僕はバイクを最大の武器とするトライアスリートだけど (他も十分に武器ですけども)、そもそもバイクが得意になったのは、トライアスリート化して2シーズン(=年)終わった後に出たバイクレースのゴールスプリントのさなかに、バイクの奥義が見えてしまったからだ。

バイクレースは危険だけど(実際にね)、他のどの競技にもない極限状態がある。トライアスリートのみなさん全員にはオススメしないが、興味があるなら、チャレンジしてみるといいと思うよ。

「その時間内でベストを尽くす」 とは、そもそも本業においてこそ、いえること。仕事では限られた労働時間の中でベストを尽くす。そうして創りだしたトレーニング時間の中で、またベストを尽くす。

フルタイムワーカーにとっての生き様そのものではないだろうか。

・・・・お知らせ・・・・

* 「2日間で6回のパンク」に見舞われた経験を持つ自転車乗りとして、パンク修理キットを常備することの重要性を訴えたい。でもいちいちチューブ交換する必要もなく、左のシールを貼れば済む事が多い、時間がなければ右のスプレーをビューーーと入れるだけ!

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

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