あれから1年〜 2014アイアンマン世界選手権KONA、見る感想
トライアスロンという競技の実質的な起源※にして最高峰であるハワイ島のアイアンマン世界選手権が昨日開催。日本時間では未明1:30から19:00までの長い1日、トライアスロン界は1年で一番盛り上がる。
(※1974年サンディエゴが起源とされるが、当時はアメリカ西海岸に幾つも登場してたらしいマイナー新スポーツの1つに過ぎない。3年後オアフ島で開催された「第一回アイアンマン」が今に至る人気のキッカケとなり、同時にSwim3.9km-Bike180.2km-Run42.2kmという競技の「型」も出来た)
公式サイトでは、移動バイクによるネット中継と、全選手が付けるGPS付きICチップによる途中計時が流れてゆく。
GPSは今回初登場のサプライズで、精度は粗かったようだけど、ほぼリアルタイム知りたい選手の位置関係が地図上に表示される。通過タイムを見ながら、各年代5位以内の表彰圏争いに絡む日本人選手のGPS情報を、ライバルと選手と一緒に、地図上で表示できる。
今年はアイアンマンに興味なかったはずの僕だけど、気がつけば熱中していた・・・ やっぱりKONAは特別な大会だ。
<プロ選手>
後ろは優勝のセバスチャンぽい。記録によれば、ふたりとも96km〜144km地点まで約48km区間の平均時速が49.8kmhくらいだ。 地上1mを滑空するグライダー。追い風とはいえ、これが世界トッププロのスピード。同じ区間をバイク日本人トップのオリンピアン竹谷さんですら平均40kmhだ。(ラップは"LEADERBOARD"からクリックしてゆけば簡単に見れる→ http://www.ironman.com/triathlon/events/americas/ironman/world-championship/ironfan/2014-oct-11/leaderboard.aspx#axzz3G1RMjouH )僕も距離40kmではこのレベルで走れるようにしたいものだ。
反対車線も選手なんだけど、、時刻はたぶん11時何分か、バイク往路のこの位置を走る選手はおそらく高齢の方々、完走ギリギリくらいかもしれない。がんばれーー
こんなふうに、トップ選手達の走りをすれ違いざまに同じコース上で見れるのは、1本道折り返しのKONAならでは。
2008北京五輪優勝(51.5km)のフロデノはバイクでドラフティング違反とパンクでタイムを大きく失ったようだけど、195cmの巨体でランを2:47で走り3位入賞。ショートでスピードを高めてから距離を延ばしてゆくのが、アイアンマンで成果を上げる有力な道であることを証明していると思う。
<日本人選手>
今年表彰圏内に居たのは、女子25-29の西村さんと東さん、男子50-54の田中さんと高橋さん(川島さんも健闘!)、75-79のお二人、80-84の稲田さん。
KONAのバイクは、太平洋を渡る貿易風が遮るものなく向かって来て、日本でいえばほぼ台風レベル。今年はとりわけ強いらしく、高齢組が軒並みバイク制限時間オーバーを喫してしまって残念。バイクの強いガイジン選手との差を開けられたであろ中で、西村さんが6分差で6位、田中さんが5位と1分半差の7位、共に、30分レベルのバイク差をランで猛烈に追い上げての健闘。
初KONAの西村さんはラン初め5kmを4:13で入り、以降16.5kmまで3関門を、1km平均4:33-26-26、とカテゴリ優勝選手とほぼ同じペースで攻めている。客観的にはオーバーペースだけど、本気で表彰台を狙った走りだったんだろう。熱いぜ! そして去年の僕のラン記録3:21:57を3秒破られた! バイク差をもう少し抑え、ランをイーブンペースに持ち込めば表彰台だ。
アイアンマンは身体が大きくてバイクが強い欧米勢が有利な競技。日本人が勝負するなら、まずバイク。
<最終ランナー>
そして最終制限時間のハワイ24時(日本時間19時)、7−8時間前にゴールした男女総合優勝のプロが戻り、最終ランナーを迎える。
大きく一回りしたものが、今ここで終わろうとする瞬間の華やかさ、そして寂しさ。
僕は去年、雨で靴が濡れるのが嫌で寝てしまったのだけど、せっかく宿が近かったしライブ参加すべきだった。その前年まで興味なかったレースだし、ここまでのものだとは知らなかったんだよねー。
そこには、「トライアスロンの原点が見える」、とその場を知る友人が言った。世界最強のプロと、その倍の時間をかけてヨタヨタとゴールする70歳以上の高齢アマチュアが並ぶ。共通するのは、最後まで走り切った、ということ。
KONAを走る大きな魅力は、世界最強選手が通過した興奮が残るゴールに、僕のような一般市民までゴールできることだろう。去年の僕だと2時間くらい後かな(スタート時間差もあるので)。スター選手になったような気分だ。草野球ではいくら上手くても満員の東京ドームではプレーできない。
その盛り上がりは、最終ゴールを前にした深夜、最高に盛り上がってゆく。
今年は、制限時間1分過ぎにNZのおじいさんがゴールラインに入り、その場で崩れていた。1990位はMichael Ramsay さん? だとNZトライアスロン界の重鎮の元海軍司令官(?)のようだ。百戦錬磨の方だろうに。
走り切る、っていいなあ、と思った。
華やかさ、その後の寂しさ。そして次の1年が始まる。この波のようなものの大きさが、この大会だけにある魅力なのかもしれない。
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