みなさんの疑問が残らないよう、徹底して説明していこう。中途半端な情報発信は災いのもとだ。
前書いたことを言い換えると、「LSDという練習法」は存在しない。
今LSDと呼ばれているものは、「30年前の日本のプロマラソン選手のアクティブ・レスト法」から、「欧米の自転車プロツアー選手のシーズン前の中負荷ロングライド」まで、全く別のトレーニング法を含んでいる。
動作、練習目的、強度、タイミング、時代、背景の生理学的理論、、いろいろ違い過ぎるものに、同じ名前を付けるのは、言語としておかしいでしょう。
唯一の共通点は、長距離であること。ただ浅井選手に由来する超スロー走だと距離すら稼げない。あえていえば「Long」だ。エル。
そこで、僕の第一の提案は、もうLSDと言わずに、「練習目的」と「心拍ゾーン×時間」で説明すること。
なぜそれが必要なのか。
トレーニング理論とは、道具であるからだ。自分の現在の課題を解決するために、幾つもの道具の中から最も適切なものを選び、そして実際に作業する。自分で使いこなせることが大前提。
「LSD」は、あまりにも抽象的で幅広い目的を含みすぎている。効果、限界、コスト(=時間対効果)を理解した上で、でないと使いこなせない。どれだけ認識されているだろうか?
その曖昧さゆえに起きている問題とは、「Slow」という言葉に引っ張られ、必要以上に緩い練習をしてしまうこと。実際、今回の僕の情報発信で、気付かされました、と何人かからフィードバックを頂いている。
(だから、僕のこのブログは、みんなに読んでもらえる価値がある思っている)
また、その曖昧さゆえに、今回のタイトルも、「ある種のLSD練習」としか書きようがない。
で、「すると良い場合」とは、「レース/練習で、十分に補給食を用意したのに、ハンガーノック=エネルギー不足により、大失速」という失敗経験=課題を持つ方だ。
この課題を克服するためのトレーニングとは、「代謝効率の向上を目的に」と表現するのが正確だろう。
ロングレース特有の身体能力とは、大きく分けると、
1)「FTP」=一時間以上平均して維持可能な出力、つまり「走力」と、
2)エネルギー供給能力=いわゆる「代謝効率」。
もしもあなたの課題が、後者であるならば、負荷を落として長時間練習することで、脂肪活用能力を上げ、エネルギー=糖分の枯渇を遅らせることができる。別の手段として、朝食前のエネルギー枯渇状態で、水分補給だけで少しトレーニングする手もある。
僕のアイアンマンレースでの課題は明確にFTP(=長続きする走力)だし、僕の周りも、多くはそう。だから、僕の情報発信は、FTP向上を中心としたものになる。(そこは読み手の側で割りきってね)
FTP向上を目的としたトレーニング法は、最新のものほど、より短時間高強度のインターバルの効果を強調している印象がある。
実際、KONAでも、時間の限られたエイジ選手が、年々、プロに食い込んで上位に上がってきている。今年は男子16位、女子ではなんと10位入賞だ。
こうしたもろもろを判断して、僕は、長距離レースでも、短時間高強度トレーニングを活用するのが、2013年という今の流れと見て、発信しているわけですよ。それは、練習時間の限られた僕ら市民アスリートにとって、良い流れであるはずだ。
その中であえて、低負荷長時間トレーニングをするのなら、自分の課題を明確にし、かつ、「いわゆるLSD、とよばれるもの」をより具体的に定義した上で、場面を限定したほうが、速くなると思う。
意見や反論があればコメントくださいね。
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