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2013年12月の12件の記事

2013年12月20日 (金)

2013年トレーニング量グラフ

今年は過去最高に充実したトレーニングができた。こんな年はもうないだろう、というくらいに。そりゃあ結果が出て当然だ。当然のことを確認してもしょーもないのだけれど、、お陰で、僕にできる最高の瞬間を幾つか得ることができたのは、これまで書いてきたとおりだ。

 
そんな今季のトレーニング推移を、最後に掲載しておこう。
1月の本格開始からKONAほぼ2週前までの、週次グラフだ。
Photo
元データは、
  1. BIKE+RUN時間=SUUNTO心拍計の心拍域ごとに3レベル
  2. その強度=Training-Effect (高い方から週4つの平均)
  3. SWIM=プールの中に居た時間
時間は1日平均の分(minutes)数、
1.はHR111以下は除外、Total時間は1+3。
だから実際の練習時間には、HR111以下分だけ増える。
 
2-3週単位で波うちながら、高負荷トレーニングの波(下の赤系)が後半にぐーーっと上がって来たのがわかるだろう。
 
注目は、バイク+ランの高負荷域(赤線)と中負荷域(オレンジ)だ。
八月から増え、
  • レース八〜九週前(第三十〜三十一週)に山篭りで上げ
  • 会津大会の調整と回復を挟み
  • 三〜五週前(第三十四〜三十六週)に過去最高のビッグウェーブを作る
  • 直近の第三十七週(六〜九日前)は難しく、高負荷錬を意図して抑えたが、絶対量は七月のピークに達している
もう一つは、波を下げた部分だ。
熱心な耐久アスリートのみなさんは「上げること」ばかりに眼を向けがちなのだが、それは「下げること」で始めて実現できるものだ。「正しくサボる」ことができないと、自分の壁は破れないと思っている。
こんなことは、二度できる気がしない、笑。
良い1年だった、と言いたいけど、まだ早いな。
でもお礼なら言える。今年もみなさんありがとう!

2013年12月18日 (水)

また財布落とした&戻った(日本はいい国だ!)&アスリートへの教訓

アスリートである僕にとって全ての移動はトレーニング機会なのであり、本をいっぱい詰めたリュックはラグビーボールのごとく抱えて突進するわけだ。

それで地元図書館から自宅まで重いリュックを変なかっこで抱えて500m走。その途中にチャックが開いたのかそもそも開いてたのか、隙間から財布がジャンプした模様。

しかし&またもや、届いたのである。

現金1,135円(ええ4桁ですがなにか?)と、失くすと厄介な各種カード10枚ちょっとも、そのまま。届けられた方は、急いでいるから、とそのまま立ち去ったそう。

まったく、日本てとこはすばらしいですよ。五輪プレゼンの滝クリさん良いこと言った。でもお礼も言えないので困った。。そんな行き場をなくした謝意は別の善意に換えて誰かに向けてゆくしかないね。こうして社会は回ってゆくのだろうから。読者なみなさんにも、

「あ・り・が・と・う」。(なんだって?)

データによると、拾得届÷遺失届=3割未満。http://www.asahi.com/articles/TKY201311280470.html?ref=com_top6_2nd

僕は20年前にも遺失届出して届いたので、確率8%てことになる。今年はこんな幸運が多い気もするなあ。宝くじでも買っとくか。

さらに記憶を辿ると、2009, 2010とマッサージ椅子の隙間に落とし、2011は落下はお休み(したがいろいろあり)、2012に施設内に携帯とか入れた小袋を置き忘れ、全て届ける前に回収。ほぼ毎年恒例のスケジュール化しておる。

いわば僕は毎年、日本社会の善意を感じながら生きているのである。さらに今回、なくしたはずがない! と家宅捜索をかけたお陰で、部屋が少しだけ綺麗になって尚よかった。

ちなみに駅前交番で居合わせた、メガネを失くして届けてたマダムは「このあたりで財布二度落として二度届いていた」だと。

紛失のシチュエーションが大事で、今回の僕は、地元住民しか通らない日曜夕方の住宅街、文字通りの「善良なる隣人」に拾われる確率が非常に高い状況だった。電車内など雑多な人間が交差するところでは、スリとかプロも目を光らせているので、大変厳しいだろう。

なんて話してたら、友人から「車上狙いのキャッシュカードで限度額いっぱいの200万」なんて話も聞いた。某銀行が全額補填してくれたそうだが、くれぐれも暗証番号に誕生日とかやめようね。

教訓: 移動ランは慎重に。

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週末、表参道ヒルズでちょいと調査。7年経ち、華やかさに加えて馴染み感が出てきた。安藤忠雄さんの名建築を、森ビルさんの良い運営で育ててる感です。

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2013年12月16日 (月)

【減量講座'13】 食べ過ぎないために、食べる。※アスリート限定

※Facebookで反響大きかった2012.1.30記事を改訂。僕はブログのページ数が増え過ぎるのは嫌いなので、過去記事にちょくちょく手を入れてます

・・・

2012大阪国際女子マラソン優勝の重友梨佐選手は168cm49kg、1ヶ月前は53kg。しっかり肉を付けた状態で練習し、レース前に減量する方法だ。理想的にはレース3週前からは急激に落とさないほうが良いらしいが、トップ選手なりのやり方ってあるからね。

重友選手フォームの特徴

  • 体幹の筋肉が強いので、上体がブレず効率が良く
  • そして、モモを付け根から動かせる
  • モモも比較的重そうだが、遠心力を効かせて振り子のように動かすことで、確実に地面に力を伝えてゆく
  • また、軽い前傾姿勢(骨盤の前傾)により、重心が前になって、体重を推進力に換えることができ
  • 同時に前傾してる分、モモを後ろに振れるので、力を地面に伝えられ、ストライドが延びる

ぴょんぴょん飛び跳ねるアフリカ系の走りでは体重はマイナスだが、この走りなら、重さをカバーできると思う。

福士選手は161cm45kgだが今回は軽すぎてスタミナ切れを起こした模様。

全体的に日本選手のBMIは低め、とりわけ女子は(参考:http://yagimamo.ko-me.com/考察/減量についての話

ついでに調べた有森裕子164.5cm47-8kg、高橋尚子163cm45-6kg、野口みずき150cm40-1kg、松野明美147cm35kg。あと伊達公子163cm53kg、寺川綾172cm61㎏。

アスリートの体重とは、産出可能なエネルギーの総量を示す。あとは重力とのトレードオフだ。

とはいえ、「動いてるのに痩せない」のも、よくあることだ。

  • 身体は、エネルギーを燃やしたぶん食べようとする(エネルギー保存の法則)
  • しかも、動いた後のご飯は美味い(真理)
  • そして、食欲を精神力でコントロールすることはできない(断定)

でも問題ない。

「運動後30分以内に食べる」だけで良いのだから。

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60分以上強めに運動すると、血液/筋肉/肝臓に貯蔵されたエネルギーを消費する。そして心拍が落ち着いた頃に身体は修復モードに入る。

ここで必要な栄養は、構成比で糖分4:タンパク質1、量的には牛乳/豆乳コップ1杯で十分。僕は帰宅後数分以内に、バナナ+あれば他の果物(なければジュース)+無調整豆乳を飲みたいだけ、とかが多い。

この効果は、疲労回復、筋力アップ、血液量増加、食欲抑制、いっぱいだ。血が多いほど体温調節力が上がるので、節電の2011夏、熱中症対策としても話題になっていた。

この知識がないと、「せっかく運動したから食べちゃダメ」とか考えがちだ。でもここで食べないと、身体は「エネルギー危機」に突入し、克服のため貯蓄増加モードに切り替わり、食欲も、脂肪吸収力も、高まってしまう。

逆なのだ。痩せるために食べるのだ。こうして必要な栄養を補充しておけば、普通の食事で食べ過ぎることも無くなるだろう。そして修復中の筋肉は休ませていてもエネルギーを消費する。

問題は、量ではなく、タイミング。だからプロテインは不要。そこまでタンパク質を必要とするのはボディービルダーか、ラグビーやアメフトで体重100kgを目指す場合だ。

ただし微量のBCAAは、吸収の速さを目的とするものなので別だ。なんだけど、高いし、トレーニング前に牛乳を飲んでおく程度で十分なような気もする。牛乳はBCAAが豊富な上、吸収時間が長いので、飲んで数時間は体内に残留してくれるはず。

運動直後のビールが美味いのも当然だよね。枯渇した水と糖分を、麻薬作用つきで、摂れるのだから! でも、身体が本当に必要としているものは、似て非なるもの。先に牛乳の1杯でも飲んでおくべきだろう。

2013年12月15日 (日)

【減量講座'13】 トレーニング1時間=脂肪50g公式

※反響の多かった2012.1.23記事を改訂。最大のポイントは、表題の僕なりの公式の紹介だ。このブログはあくまで個人的メモ。自分なりに応用してね

・・・

僕は食べ物屋では「一番カロリー高いのください」と注文する。食べ物の価値、「コスト/パフォーマンス」とは「コスト/カロリー」の高さだ。栄養豊富なほど美味しいのは自然の摂理だからね!

でも世の中、逆な人が多いようで、500Kカロリーのタニタ食堂なんてものが話題になっている。1000Kcal分動いて1500Kcalの大盛食べればいいのに?? マイノリティーなワタシはアイデンティティーの危機を感じ、なぜカロリーの高いものを食べても細マッチョなのか、Facebookでプチ連載を書いてみた。ここでまとめ直してみよー

・・・

体重の増減とは、食べて、動いた、その差し引きだ。

俗に言う「ダイエット」とは、本来は「Diet=食べ物」でしかない。ただ広い意味で解釈すれば、「Dietの摂取量を抑えるという方法によって減量すること」と言うこともできるだろう。(減量そのもの、という意味で使われてる国もあるようだけど、きっと鎖国とかしてて英語が教えられていない国なんだろう) →僕にはそんなストイックなの無理。

まー不思議なことに、「トライアスロンやってます」など言うと、「ストイックですね! 食事制限とかするんですよね!」 的に断定されがちだ。で鶏肉料理屋になってたり。しかし真実は逆であり、食欲完全解放で食べたいだけ食べ続けるワタシである(黙ってた方がよかったか)

いくら食べても、それ以上動けば、体重は減る。

脂肪1kg=7200kcal消費。脂肪1gは9kcal分のエネルギーを含むが、人体において脂肪が減ると、2割の水も減るから。

では、7200Kcal燃やすのに何時間運動すればよいか? 

運動時のカロリー消費量は、その人の「体重・心拍数・運動能力」などにより変わるが、良い心拍計をつけて運動すれば推計してくれる。ワタシのトレーニングでは1時間で500〜1000Kcalかな。

そのうちの、脂肪消費の割合が問題だ。

エネルギー源は、脂肪+糖分(=グリコーゲン)+ごく微量のタンパク質だ。この割合は運動強度で異なり、平常時で脂肪5割:糖分5割。強度が上がるほど糖分使用割合が増えるので、最高強度で脂肪使用は0に近づく。

なお強度が上がるほど消費エネルギー量が増えるので、脂肪も「割合が減るだけ」で、十分な量が消費される。つまり高強度でも脂肪は落ちるのだ。ただし、この研究成果は比較的新しく、知らない人が結構多い。

もう1つ重要なのは、運動すると、リカバリー時にもエネルギーを余計に消費するということ。

そこで僕は大雑把に

「1時間で脂肪50g消費」

と計算することにしている。とりあえず決めることが大事。正確な計算をしてるヒマがあれば動けばよいのだから。よって、

「1月で3kg減らすなら、週15時間トレーニングを継続」

とか見積もりを立てる。ちなみに、これだけ練習できれば、アマチュア部門なら国内チャンピオンくらいになったり世界選手権で上位に入ったりくらい十分できます。

通勤などで毎日1時間動くなら、1.5kg相当。普通の人が目指すレベルはこのへんだろうな。

しっかり食べるが、あまりにも食べ過ぎる、という事態にだけは注意する。実際には、ご飯が美味しくなってたくさん食べることになるので、上記の半分くらいに落ち着くだろう。

なお、「久しぶりに運動したー、体重1kg減ったーー!」と喜んでる方の場合、ほぼ全て脱水による変動です。2日もすれば腎臓の水分調節機能で戻ります。

2013年12月13日 (金)

【レース体重論4】 オフの筋力強化と栄養 (西薗選手のの最終回)

まずは超ア然なロードバイクのアクロバット映像をごらん。静かなオフィスや満員電車の中で変な声ださないように。

最後のNG集が、逆に凄さ、リアルさを引き立てるね。
はい、以上。
 
でいいのかも? こんなもの見ちまった日にはね、、一応、前の続きを書いてみる。
 
引用部は西薗良太選手のブログ http://blog.nishizonoryota.jp/blog/2011/03/racing-weight.html
 
オフシーズンはストレングストレーニング(いわゆる筋トレ)に良い時期です。
筋力はエンデュランススポーツにとって非常に重要なものですが、シーズン中はおろそかになりがちです。筋肉をつけることによって、脂肪がつきにくくなることも期待できます。
 
コメント)
長時間の耐久運動でも、筋肉量はある方が余裕を持って動き続けることができる。
自転車とトライアスロンは筋肉量は大事だし、ランニングでも川内優輝的な筋肉系フォームもあり得る。ま、人によるところ。
そして、筋肉の増量のためには、脂肪の存在が重要。ここまでは基本知識。
ダルビッシュはアメリカ行き前のオフに10kg増やしたんだっけ。
 
筋肉の増加はそれほど急激には起こりません。それほどトレーニングをしてこなかった若い選手がストレングストレーニングに打ち込んでも、1年に2.5kgがいいところでしょう。
よって、それ以上の体重増加のいいわけにストレングストレーニングを使ってはなりません。

耐久系アスリートは筋肉を付け過ぎないように、といっても、現実には、そんなには付かない。ボディービルダーのようなトレーニング法を取らない限り。1セット2-30回の持久的なのならOKでしょう。

僕の場合、5kg近く増やしたうちのほぼ半分が筋肉だとTanitaのテスト品に出てたけど、体重落としたら筋肉量もほぼ元に戻った。

 →結論として、筋肉量はいちいち気にしないことにしました。

大事なのは、しっかり負荷をかけること。

<栄養>
ピークパフォーマンスへ近づく際の激しいトレーニングをこなす時期には、筋肉のグリコーゲンの量を維持するために体重1kgあたり7g~10gの炭水化物が必要です。しかしオフシーズンには4gまで落とすことが望ましいとされています。
オフシーズン時には炭水化物を減らすだけではなく、タンパク質を増やすとよいでしょう。ストレングストレーニングの効果を増すだけではなく、過度な食欲を抑えることも期待できます。タンパク質は同じエネルギに対して、炭水化物や脂肪よりもより食欲を満たす効果があることが研究によってわかっています。
 
僕は食事量は一切気にしないけど、ほぼ半分(というかシーズン中は倍というべきか)、という指針は頭に入れておくとしよう。
 
最後に、大原則をもう一度、確認しておこう。
 
「理想とする身体の構成」に向けてできることは、身体に「脂肪を減らし、筋肉をつけて、パフォーマンスを上げよ」というメッセージを送り続けること
 
質のよい食事を続けることができていれば、質・量の高いトレーニングをこなす時期には自然とエネルギの収入と支出が赤字となりRacing Weightに近づきます。
 
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2013年12月11日 (水)

【レース体重論3】 オフシーズンは+8%まで太っていい (西薗選手その2)

今回も、ランナー&自転車乗り&トライアスリート達へ、必須知識お届け。僕の成績の秘密込みでね。ハッタリ八兵衛だしおしみせず。
 
寒い冬でも、自転車とトライアスロンはオフシーズン。増やした筋肉に脂肪を纏って暖かく過ごすことができる。(ランナーさんは逆に脂肪を剥がすから大変だ!) 
という生活を僕が自信もって始めれたのは、2年半前に西薗良太選手のこのブログを読んだおかげ。
2011−2012年末と増量して過ごし、春に落として、毎年速くなり、今に至る。と秘密の1つをバラしてみる。
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今回は、そんな「体重の季節変動」の考え方を紹介。
以下引用(段落下げ部分)
 
Racing Weight=レース体重、を年間を通じて保つことは非常に難しいだけではなく、時に害になりうる。
Raing Weightではスポーツパフォーマンスは最大化しますが、比較的ゆるいトレーニング時期に一般的な意味での「健康」を保つにはそれほどよいものではありません。
 
つまり、オフは太って構わない。いや、むしろ太るべきなのだ。
川内優輝選手が4kg増えて福岡を走ったのも、年間戦略の一環とみることも可能だ。本人は練習不足で増えたといってたけど、夏にピークをあわせるには理想的な状態だとも考えられる。
 
KONAのトップ・トライアスリートも、1年で最も絞るピークだからこそ、ああなのであって、年中ああいうわけでは全く無い。
しかもレース中の写真はゴール直前、スタート8時間たって絞りきった状態で撮られることが多い。マトモに真似してはいけません。
 
問題は、どれだけか? 数字がほしいよね。
ありますよ〜
 
オフシーズン中にはどの程度体重を増やしても構わないのでしょうか?
約8%程度まではOK
例えばドイツのヤン・ウルリッヒのRacing Weightは71kg程度でしたが、オフシーズに80kg以上に体重をふやし、結局その体重を戻せずにシーズンを棒にふることがありました。(いわゆるデブリッヒ
 
僕も2011−12オフとギリギリ8−9%=5kgくらい増やしたけど、春に戻すのに、割と苦労した、苦笑、、
 
この「8%公式」はアイアンマン世界王者Macca選手も、実際の数値で語っている。
この話はまたいずれ。
 
(つづく)

2013年12月10日 (火)

【体重論2】 レース体重の考え方 ("走る頭脳"西薗良太選手を引用して)

KONAからはや2ヶ月、相変わらず移動ランと少しの筋トレだけ。途中、3-4年か前のガラケーで写真撮ったりしながら。 DocomoはWindowsにしか写真を移せないのが不便だけど(そのためにXP機を今後も残さざるをえない。ネット接続なしでね)
 
この1枚は先週の新宿御苑脇道。
補正なしでここまで撮る、人呼んで「えごころ八兵衛」とはオレのことさ。Tokyoのストリートで出会ったら覚悟しな。ポケットのガラケーで美しく撮っちまうぜ。

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えー、、本題。

昨日書いた体重論は、その前に書いた定義論でいうところの、「基準」=競技ごとの差、「価値観」、がみんなそれぞれ違うだろう。そんな時は、「事実」=基本理論から理解することで、混乱を防ぐことができる。

そこで紹介するのは、日本トップレベルの自転車ロードレーサー"走る頭脳"西薗良太選手のブログだ。2年前の、ちょうど震災を挟んで、英語本の内容を紹介されている。
http://blog.nishizonoryota.jp/blog/2011/03/racing-weight.html
彼は自転車競技について書いてるけど、本は耐久スポーツ全般について書かれているようなので、トライアスロンやランニングでも同じだろう。
 
全部読んでいただきたいのだけど、大量なので、ここでは重要な点だけ引用しながら(段落下げ部分)、コメントしていこう。
 
まずは、基本的な考え方。 
数ヶ月、数回のトレーニングサイクルを経て、ピークパフォーマンスに身体を持っていくことを想像してみましょう。切れ目なく、徐々に負荷を上げながら僅かずつ、しかし確実に超えるべきバーを上げていく段階です。
オーバートレーニングに気をつけて、傷害を避け、食事に注意を払い、嗜好品を最低限に抑えましょう。
うまくレースの日にピークパフォーマンスへ身体をもっていくことができたなら、当日の体重計は現在より軽い値を示していることでしょう。
 
すなわち、適正体重は身体的な能力のピークと密接に関わったものなのです。
ハードなトレーニングに適応するために、身体は心臓の筋肉の強化、血管の柔軟性、筋肉に貯蔵するグリコーゲンの増加などと共に、体重を落とすのです。
 
→ 昨日書いた、「体重減は、目的ではなく、結果にすぎない」という根拠の1つがこれだ(ハッタリ八兵衛、思いつきだけでモノは書きませんぜ)
 
では、その適正体重は、どのように設定すればよいのか?
トップレベルでレースを行うサイクリストの体脂肪率は男性で6-11%、女性で12-16%が標準的。
あるコーチは現役時代3%までいって、細胞膜が弱くなって(細胞膜は脂肪酸によって構成されているので)マッサージするだけで内出血!
 
(唖然・・・)
 
BMIなどに比べれば、経験や鏡をみて身体の状態をチェックし(腹に肉が付きすぎている!)て評価するほうがまだマシですが、もっと良い方法があります。
身体的なパフォーマンスの指標と、体重、体組成を記録して身体の機能に着目するという手法です。(表を作って記録)
・・・・
日付, タイム,  体重,    体脂肪率
3/7, 43:02, 63.9kg, 22.1%
4/4, 42:29, 62.1kg, 21.0%
6/27,40:43,58.9kg, 19.7%
....
このタイムは、10Kのタイム、ロードレースなら20min Maxのアベレージのパワー、ローラー台で条件を同じにした平均時速、など。
少なくとも一月に一回は体組成計に乗り、パフォーマンステストを実施しましょう。これをプロットすることでピークパフォーマンスにおけるRacing Weightを把握し、パフォーマンスと身体構成の関係を理解できるでしょう。
 
 「自分にとっての正解/妥当解」を、事実をもとに、探るということだ。これが、身体との双方向の対話。トレーニング全てに共通する思想だと思う。
「軽ければいい」という発想は、外から入ってきた情報を、身体に一方通行で押し付けているようなものだ。いつか身体が反抗するだろう。
出典は、おそらくこの本:

(つづく)

 
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2013年12月 9日 (月)

【レース体重論】 トライアスリートはランナーより20%体重を増やしていい

日本のアスリートは、痩せようとし過ぎている、と思う。
(と言うと安心しちゃう人ほど、痩せたほうがよかったりして)
マラソンで「体重1kg3分」説ってあるけど、だったらベスト+4kgで福岡で2:09出した川内優輝選手は2時間切ることになるぞ。その程度のもんだろう。
 
良質なトレーニングの結果として体重が減る。体重減を目的とすべきではない。
 
なのに、高校女子の駅伝/長距離なんか最悪だ。出身者から直に聞いた減量のさせかたは酷かった。体重を削って作った競技成績は、同時に未来も削ってる。もしも娘さんが中学生で、ひくてあまたの長距離トップランナーなら、進学先は選手が痩せてないことを最優先基準にするべきだ。陸連は駅伝メンバー平均BMIを公表させていいかもしれない。
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<新宿御苑の脇道の紅葉>
いわんやトライアスロンをや。
アイアンマン世界選手権'13の総合Top15のデータがある。
 
男は体型がみごとに似通っていて、180-184cm/70-74kgに集中。

女は背がバラバラだけど、161cm53kg〜165cm57kgが1つの標準かな。

重いほどSwim,Bikeが有利なのは当然だけど、Run記録がポイントで、軽ければ速い、というランニング界の公式は、ここでは無意味だ。つまり、
トライアスロンのRunは、ランニングとは別競技。
 
日本のマラソン選手と比べてみると、女子では有森裕子164.5cm47-8kg、高橋尚子163cm45-6kg。 https://masujiro.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/vol2-ab69.html  あと中山竹通180cm58kg。
サンプル数は少ないけど、おそらく
トライアスリートはランナーより2割くらい重い。
内蔵、脳、骨などの重さは一定だから(どれくらいだろう?)、筋肉量を計算すると、猛烈に多くなるだろう。
 
ただ日本人の頭と身体には、「ランナー文化」が、マラソンやら駅伝やらの中継とかで、日々、根強く刷り込まれていて、どうしても、そっちに向かいがちなのではないかな?

本人が「持久力不足」、と言ってるけど、単に必要な筋力が不足してるだけ、というケースも多い気がする。

とりわけ女性トライアスリートの場合、表彰台に上がりたいなら、あるいはKONAに行きたいなら、
まず「太る」、そして「筋肉量を増やす」ことから始めてみる
のは、1つのアイデアだと思う。
とはいえ、オフシーズンの増量は8%以内に抑えるのがセオリー、ほどほどに。

2013年12月 7日 (土)

言葉を定義することの意味

議論が混乱する理由は、
1. 事実を共有できていないか、
2. その事実の判断基準が違うか、
3. もっと深いレベルでの価値観が違うか。
 
言葉の定義とは、事実確認のための基本。LSD錬の話がすれ違うのも、「種目・本人の実力・練習の負荷レベル」を定義してから語るというアタリマエをサボるからだ。
 
前回記事では「LSD錬」の基本について、ほぼ決定版、といえる情報源を集約したつもり。これで、
  • 8時間ライドでの目標心拍を、135以下に抑えるか、140-155中心に攻めるか
  • ロングジョグを、「歩くより遅い1km8分の浅井式」とするか、「最後1km3分まで上げるQちゃん式」とするのか
自分の目標と現状に応じて、判断できるだろう。
(背景の生理学理論を理解すると、更にわかるけど、知らなくても練習はできるから)
 
仲間うちなら説明なんて要らない。そんな関係は居心地がよく、効率もよい。日本社会みたいだ。
ただ、その中にいつも居ると、「仲間内の思考パターン」に囚われ、「情報を自分なりに解釈する姿勢」を忘れる、というリスクもあるかもしれない、
 
すると例えば、「MTB世界王者ホセ・ヘルミダ」のインタビューを、「平均的な走力の市民トライアスリート」が普通にシェアし、それに普通にコメントし、、、なんて状況がおきる。
でも、それはオカシイことは、これまで当ブログにお付き合い頂いたみなさんには、もう、わかるでしょう?
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 <移動ランの途中、新宿御苑の脇道>
でも、ネットで情報をやりとりすれば、そんな誤解が起きてアタリマエ。
 
リアルの人間関係では、「それ、どの競技レベルの話ですか?」なんて、まず問題にならない。知人ならお互いレベルを知ってるし、練習やレースで始めて会った人でも、その場の雰囲気やらで、たいてい判るだろう。
 
しかし、ネットでは、筆者/読者ともに、競技レベルや参加目的がわからない。実名制SNSならまだしも、ブログでは特にそうだ。結果、長文を読み進めて、なんだ僕には関係ないね、とかなりがち。
 
そんな環境で、中途半端に語ると、誤解も生まれやすい。「みんなが共感できるようなきれいな話」だけしてれば良いのかもしれないけど。(いや、それはそれで荒らされることもあるのかな)
でも僕は、意見が分かれることなら、自分の好み全開で投げるのが好きだ。思いっきり尖らせて、ね。
 
そのスタイルで発信するために必要なのは、徹底的に説明しきることだと思う。そして、目線をより高く保つことで、全体状況を見下ろすこと、そして基本から解きほぐしてゆくこと。定義の明確化もその1つ。
その結果、このブログを読むべきでない人が離れるならば、お互い良いことだ。
 
和やかなブロガーさんたちが作る「和」のおかげで、コミュニティの輪は育つ。でもそんな成長は、想定の範囲内に収まりがちだ。だから僕は、尖らせて、投げ続けるのさ。

2013年12月 5日 (木)

【LSD錬の基礎知識】 〜週40時間? Bike遅すぎ&Run速すぎ?

「LSD論争」=ゆっくり長く走るトレーニングは不要なのか、という伝統の議論に再び火を付けたのは、THE BIKE JOURNAL 2013/11/29のMTB世界王者ホセ・へミルダ選手インタビュー → http://bikejournal.jp/main/?p=7475
 
あくまでも世界王者の話。これを以って「だから不要」と言うのはおかしい。マイク・タイソンの真似をして歌舞伎町の怪しいガイジンにストリートファイトを挑む馬鹿はいない。
 
しかし「LSD完全否定」とFacebookでいっぱいシェアされ、その日のうちにネット界に拡散。僕のもその一つだ。おかげで良質な情報が集まった。 よい機会だから、LSD理論の基本を、自転車とランニングとに分けて、理解するとしよう。
 
1. 自転車のLSDトレーニング
その基本は、「じてトレ」がほぼ完璧にまとめている。
競技レベルごとに明確に分けてるのが良い。(ただ参考サイトは読む必要ないかな。問題あるのもあるし。でも以下紹介するのは重要)
これに照らして、日本の実態を考えると、初心者を除けば、練習強度を落としすぎなケースが多い気がしている。
 
問題は、「自分はどう使いこなすか」、だ。
 
ここで市民アスリート目線での指針を示すのが、大阪のシルベスト山﨑店長。
引用)
  • LSDが悪いなんて思っていません・・・・でもそれは冬のシーズンに週3~40時間くらい以上コンスタントに乗れればのこと
  • 強度を落とすところだけが「LSDのまね」では、貴重な冬場の時間の無駄遣い
  • 夏の暑さが半端で無い日本の大阪の自転車乗りにとって冬こそが唯一追い込んだ練習が出来る季節
  • 陸上競技なら2時間でもLSDになるんですが自転車じゃそうは行かない
  • 私は
  1日に7時間乗れるなら(明日も効率よく走れるために)LSD
  4時間チームメンバーと走れるなら・・・インターバル練
  2時間ならローラーでパワトレ
  1時間なら潔く筋トレ
 
これら、所要時間の長さ、強度の落としすぎ、冬の重要性、競技の違い、が「自転車のLSD」の4つの落とし穴。
 
「その練習ナンボすんねん」
 
と時間数を示されるのがさすが。アマチュアにとって、練習時間とは、ある意味では「練習の値段」のようなものだから。彼は「幻のモスクワ五輪代表」の元トップ選手であり、今は市民レースを熟知されている。最も信頼できる1人で、僕は彼のネットのコラムは最近まで分は全部読んでいる。100号くらいあったっけ?
その中で、世界の最新理論にくわしい柿木コーチの言葉:
 
「最近の理論では冬場のLSDはごく初心者を除いては無意味で効率が悪い、というのは一般的になりつつある」
 
ただ、お二人とも、「心拍ゾーン」は定義されてないのだが・・・(練習量から推測すると、低負荷を想定されてるのだろうけど)
 
2. ランニングのLSDトレーニング
ランニング界には別の事情があるようだ。その基本と、落とし穴は、こちらで:
基本的に、「浅井式のランニングLSD」を前提として書かれた記事だと思う。この考えに沿うと、速く走り過ぎるランナーが多いそうだ。僕が前書いたのも割と合ってるかな。
1つ注目は、最後の
 
考え事をするにちょうどいい
 
あたってる!
だから、頭や心を酷使する仕事で、目的が速さより健康な方には、LSDは明確にオススメできる。
またこれが、LSDファンが多い一因なんだろう。変なものが見えるお薬は禁止されたが(・・・発明した製薬会社の研究者さんは自らハードな人体実験を繰り返しつつ102歳まで生きられたらしい・・・)、こっちのは、もっとマトモなものを見せてくれる。
 
なお、より新しくより速い、有森→Qちゃんの小出監督は、笑いながらこう語った。
 
「LSDのSはSpeedのS」
 
定義がちょっと、違うね。。
 
 
3. まとめ
ここまで見てわかるのは、自転車もランニングも、LSD錬は知られた方法論であるにもかかわらず、それぞれ限界があり、誤解・誤用も多い、ということ。自転車でのLSDは遅すぎ、ランでは速すぎる(浅井タイプの場合)、という逆の傾向があるようだ。
そしてトライアスロンには、これらが混ざって流れ込み、混乱に拍車をかける。
これでは、「LSDは必要か/不要か」という議論が成立しようがない。
僕が決着させたいのは、そうゆう状況です。
 
でも、その効果、限界、時間対効果を正しく理解すれば、自分の使用目的に応じた1つの道具として使いこなせるようになる。
そうすると、「速くなりたいなら気をつけてね」と言わざるをえない。でも向き不向きや好き嫌いがあるから、これは自分で決めてね。
 
と状況を整理して、なお残るのは、「じゃあ、トライアスロンではどうなの?」って論点だ。これが核心なんだけど、、後日でいいよね?

 

2013年12月 3日 (火)

「ある種のLSD練習」をすると良い場合を説明するね。

みなさんの疑問が残らないよう、徹底して説明していこう。中途半端な情報発信は災いのもとだ。
前書いたことを言い換えると、「LSDという練習法」は存在しない。
 
今LSDと呼ばれているものは、「30年前の日本のプロマラソン選手のアクティブ・レスト法」から、「欧米の自転車プロツアー選手のシーズン前の中負荷ロングライド」まで、全く別のトレーニング法を含んでいる。
動作、練習目的、強度、タイミング、時代、背景の生理学的理論、、いろいろ違い過ぎるものに、同じ名前を付けるのは、言語としておかしいでしょう。
唯一の共通点は、長距離であること。ただ浅井選手に由来する超スロー走だと距離すら稼げない。あえていえば「Long」だ。エル。
 
そこで、僕の第一の提案は、もうLSDと言わずに、「練習目的」と「心拍ゾーン×時間」で説明すること。
 
なぜそれが必要なのか。
 
トレーニング理論とは、道具であるからだ。自分の現在の課題を解決するために、幾つもの道具の中から最も適切なものを選び、そして実際に作業する。自分で使いこなせることが大前提。
「LSD」は、あまりにも抽象的で幅広い目的を含みすぎている。効果、限界、コスト(=時間対効果)を理解した上で、でないと使いこなせない。どれだけ認識されているだろうか?
 
その曖昧さゆえに起きている問題とは、「Slow」という言葉に引っ張られ、必要以上に緩い練習をしてしまうこと。実際、今回の僕の情報発信で、気付かされました、と何人かからフィードバックを頂いている。
(だから、僕のこのブログは、みんなに読んでもらえる価値がある思っている)
 
また、その曖昧さゆえに、今回のタイトルも、「ある種のLSD練習」としか書きようがない。
で、「すると良い場合」とは、「レース/練習で、十分に補給食を用意したのに、ハンガーノック=エネルギー不足により、大失速」という失敗経験=課題を持つ方だ。
この課題を克服するためのトレーニングとは、「代謝効率の向上を目的に」と表現するのが正確だろう。
 
ロングレース特有の身体能力とは、大きく分けると、
1)「FTP」=一時間以上平均して維持可能な出力、つまり「走力」と、
2)エネルギー供給能力=いわゆる「代謝効率」。
 
もしもあなたの課題が、後者であるならば、負荷を落として長時間練習することで、脂肪活用能力を上げ、エネルギー=糖分の枯渇を遅らせることができる。別の手段として、朝食前のエネルギー枯渇状態で、水分補給だけで少しトレーニングする手もある。
 
僕のアイアンマンレースでの課題は明確にFTP(=長続きする走力)だし、僕の周りも、多くはそう。だから、僕の情報発信は、FTP向上を中心としたものになる。(そこは読み手の側で割りきってね)
 
FTP向上を目的としたトレーニング法は、最新のものほど、より短時間高強度のインターバルの効果を強調している印象がある。
実際、KONAでも、時間の限られたエイジ選手が、年々、プロに食い込んで上位に上がってきている。今年は男子16位、女子ではなんと10位入賞だ。
 
こうしたもろもろを判断して、僕は、長距離レースでも、短時間高強度トレーニングを活用するのが、2013年という今の流れと見て、発信しているわけですよ。それは、練習時間の限られた僕ら市民アスリートにとって、良い流れであるはずだ。
その中であえて、低負荷長時間トレーニングをするのなら、自分の課題を明確にし、かつ、「いわゆるLSD、とよばれるもの」をより具体的に定義した上で、場面を限定したほうが、速くなると思う。
 
意見や反論があればコメントくださいね。
 

2013年12月 2日 (月)

LSD論争に決着! 3つのマチガイを突き止めたぞ

耐久スポーツ界では、「LSD」=ゆっくり長く走る練習=が必要かどうか、論争が長く燻ってきた。なぜか。議論が咬み合わってなかったからだ。しかしそこはハッタリ八兵衛、その3つの原因を突き止めたぞ。順に、
  1. 定義の誤解
  2. 競技差の混同 (BikeかRunかTriathlonか)
  3. 競技レベル差の混同
だ。
1つだけでも十分咬み合わなくさせるものが、3つ重なって混乱に拍車がかかっている。
 
つまり、 「LSD」と誰かが言う時、その意味は、言う人ごとに違う。LSDの中身も、目的も、する人の状況も、違う。「僕だけのオリジナルLSD状態」だ。にもかかわらず、「みんな同じLSD」のつもりで語るので、「マイLSD押し付け合い状態」が発生し、話は咬み合わない。
 
まず始めに、1.定義、LSDとは何か、歴史を紐解いて確認しておこう。多くの議論は、ここからズレているから。
 
その起源は、1950年代NZのリディアード監督だろうか?  800mの選手にゆっくり長く走らせたりして、金メダルを量産し、60年代にはアメリカの市民レンナーにゆっくり走らせてジョギング・ブームを起こした。その理論は今でも基本として浸透している。
それから進化したLSDの流派はおそらくコーチの数だけあるのだろうが、ランニング理論として完成させた1人が、1980年代の佐々木功監督。
それをシンプルに説明したのが、この古典的名著: 
浅井えり子選手の活躍から30年経った今でも、合理性があると思う。
 
『LSD→コンディション・コントロール(スピードとか)→オーバートレーニング(ポイント)』 の3日の基本周期の中で、LSDはたしか、男子なら1km3分で3−40km走り通せれるトップランナーに、あえて1km6−8分で走らせる。この落差が特徴だ。
身体の使い方が全く変わるよね。おそらくはランナーなりの「クロストレーニング」なのだ。
さらに、高負荷錬の後の疲労回復効果も意図している。ゆえにシーズン中の練習サイクルに取り込みやすい。
日本のランナーがLSDという場合、多くは、この方法論(とその傍系流派)を指している。
 
この本で感心したのは、LSDに限らず、いろいろな動きの中から、新たな動きを引き出そうとする自由な創造性だ。表紙の写真もそうで、頭になにか載せて落とさずに歩く練習をしている。そして方法論がとてもシンプル。トレーニングとは、こうあるべきだと思った。
 
さて一方で、自転車レーサー達も、リディアードのLSDを彼らなりに取り入れ、主にオフシーズンからのトレーニング立ち上げ期の練習の中心としている。
ただし、その特徴は、心拍域が65〜80%くらいで高め。そして6−8時間。いわゆる「L3」の中負荷持久走だ。
また途中でスプリントとか挟んだりもするという情報もある。
それって普通に「ロングライド」ぢゃん。
 
どうですか。
LSD=心拍120以下、って思い込んでませんでした? 
 
このように、LSDという同じ言葉は、ランニングと自転車とで、全く違うものを指す。
落語か!
これが、LSD論争を咬み合わなくさせる第一の要因、「競技の違い」。
 
誰が、どの場面で、どの目的で、LSDするのか
それを明確化する作業を怠るから、同じ土俵にすら乗ってないのだ。
 
 
<追記@12.8>
結局、「LSD論争の3つのマチガイ」とは、
  • 言葉の意味を「定義」しないので、
  • 別の「競技」の話が混ざり、
  • さらに、「本人が目指す競技レベル」、つまり、参加目的、現状の体力・経験、などを無視して語ってしまう
「定義」が全てなのだ。
その定義は、「競技」や「レベル」という変数によって異なる。

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