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2012年11月の2件の記事

2012年11月 5日 (月)

救急車体験の振り返り、そしてスポーツの危険と身体感覚について

“Pain is inevitable, suffering is optional”

身体を危なっかしく使ってると、リスクの何たるかを、身体で知ることもある。
そして、神経細胞がPainfulな刺激いっぱいの電気信号を、脳へ送ってくる。

 

それを、どう受け止めるかは、僕の自由。
たとえば「苦しむというオプションを僕が選んだ」ということだ。

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病院に着けば、麻酔を打ってくれるだろう(たぶん)。それまで、この状況を楽しんでみるとしよう。 と、15時の事故から16時半の処置までの間、考えてみた。

って楽しくないでしょ!

ま、否定も肯定もせず、ニュートラルに捉える事はできるだろう。まず珍しい体験、には違いない。 ここまでの極限状態ってレースにしか無い。そうゆうのを楽しんできたわけだし、それはこれまで上手く行き過ぎたくらいだ。下手な方に振れた最悪が今だとしたら、それでバランス取れるくらいか。

そんな結論に落ち着いた。

 

自転車の身体感覚はリアルだ。「移動して、辿り着き、新しい景色を見た」「ミスれば、痛い」と、徹底してシンプル。

(今回のような巻き込まれ落車はミスかというと、「落車が起きそうな場所に居た」のは、十分にミスだ、自転車レースの世界では)

対して、野球・サッカー・テニス・ゴルフ・・・など西欧近代スポーツの1つの特徴は、数値化と社会化だ。プレイヤーの技術の優劣を得点に換算し、あなたは勝者です、と社会的承認を与える。それが日本を含めて普及したのは、近代社会が求めるものと重なったからだろう。そんな抽象化を極めてるのが、TVゲーム、ソーシャルゲーム。。

でも、それじゃ生ぬるい、て人は増えていて、走ったり、登ったりしているんだろう。そこでは、一定レベルの危険は必然。ランニングだって交通事故に巻き込まれる。自転車レースは危険に乗って危険の上を危険と一緒に走るようなもの、だが限度がある。

登山だと、危険と名声が無限正比例するから大変だ。尊敬する山野井泰史さんは8,000mの氷壁を命綱も使わないフリークライミングで超速登攀して世界的名声を得た(その方が安全だから、とのことだが・・・)。栗城史多さんの低リスクなパフォーマンスは斬新だと思ってたが、それでも、プレッシャーが判断を歪めてはいなかっただろうか。

僕は想定リスクの範囲内に居る。その極限に少し近づいただけ。Painfulな刺激と共に。それから、確かな身体感覚と共に。

・・・

記録 2012/10/21 15:00-24:00】

集団後ろのオートバイの役員がすぐに状況確認し、転がったボトルやメーターも集めて、ブレーキの歪みも戻してくれる。「いけそうだね、がんばって!」とクールに応援され(?)、何百mか、片脚ペダリングで本部へ。

レース会場の看護婦さんは、縫合が必要と判断し、救急車が呼ばれる。到着までの間に、Cクラスの落車で脳震盪が発生し、その対応で僕の搬送が遅れた、まあ仕方ない。。

恐らくそのせいで、搬送先は脳・心臓手術の専門病院。当初は「後回し」を告げられたが、当直の若手エリート脳外科医(後日お名前検索した)は様子を見て、脳震盪とほぼ同時進行で処置いただく。麻酔・洗浄・縫合。脳かっさばくプロは普通のお医者と雰囲気から違う! 

6時頃かに終わり、ロビーで携帯からFacebookに

”転がっちゃったよ〜。

 沼田へぴーぽーと運ばれ処理済みなう

 ペインイズイネビィタブル、サファリングイズオプショナル。”

と一報。タクシーで沼田駅へ、前橋〜大宮〜新宿と乗り継ぎ、Facebookのコメントを見たり返したり気を紛らわせながら、夜遅くに帰宅。 ラップとタオルで足首を包んでシャワーを浴び、無事就寝に成功した。「めし、ふろ、ねる」は生活の要だね。

やれやれ。

2012年11月 1日 (木)

【自転車レース】人生初落車→初救急車。。JCRC2012第6戦@群馬CSC

もう11月か。

話は1月前に遡る。「惨敗で王者獲得」というイヤラシさは、僕を次のレースへと向かわせた。2012.10.21. JCRC2012第6戦@群馬CSC、昇格直後のB級102km。

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くしくも横浜の3日後から絶好調。DHバーを外した少し遅い自転車で、いつもの往復路を連日Avg.45kmh超え。伊良湖/村上の超回復がイマサラきたか。この走りを横浜でしたかった!!

好調は3週続くはず、丁度レースあるじゃん、と10/21の自転車レースに申込。残り3席くらい、運命の滑り込み! 7月に表彰台に上がった群馬CSCを17周102km。今後進出するかもしれない長距離トライアスロンの予行演習も込めて。

【コース対策】

尾根幹のUP-DOWNを、10月第二週頃に何度か走って備える。例によって毎回ポジション調整をしながら。最後の調整でアタリが来たが、さらに欲張って平坦のスピード重視に修正、これは結果的にハズレ。ロードの超基本は集団走行だ。
 

【当日】

7時半過ぎ出発、新宿〜大宮〜上毛高原駅。ゆっくりトイレ(超綺麗)に入り、自転車をセット、昼ごはんを食べてたら、11時くらい? 

そこから自走で会場へ。これ大ハズレ。標高差は500m。いつも登らない急傾斜で脚を、重いリュックで体幹を消耗。。途中で気付き、急坂は歩くが、少し遅かった。しかも体幹の消耗が続く。。3-4kmかの急坂部分だけでもタクシー使うべきだった。ま、トレーニング目的もあり、負荷を多めに掛ける意図はあって、その点は意図通りなのだが。。

スタートは最前列、写真中央のオレンジ。

レース戦術的には前半は体力温存(てゆうか回復)すべきだが、トレーニング目的からは攻めるべきだ。で選択したのは、ちょっと中途半端に集団前方に位置する感じで、定まらない。しかし戦術以前に、自走の疲労か登りがキツく、体力が追い付かない予感。。

  • 2〜4周) 平均38kmh前後、今回の最高速75.9kmhを記録
  • 6周) 10人近くペースアップ。体力温存モードなら集団と一緒に上がるべきだが、攻撃スイッチが入ってしまい、単独で追う。でも登りで離され、ちょっとの差が追い付かない。自分を追い込み、彼らに追いつくが、みんながすぐに追いついてきた。無駄に消耗した小さな戦術ミス。1周9分13秒、平均39.0kmhの最速ラップを記録、最高速は74.9kmh
  • 7〜10周) 平均37kmh前後、背筋がキツく、いつもの体幹で回す走りができない。足攣り気味なのは回復させたが、体幹は回復しない。平坦や下りからの登り返しで前に出ても、登りでズルズル落ちる。これは集団走行のマナー違反でもあり、「おいおい」とか軽いツッコミを受ける。ま、この蓄積がレース経験ってやつで、ツッコミ入るのは有難いこと
  • 11〜13周) 平均時速35.1-35.3-32.8、登り終わりで10-20mくらい集団から離され始めた
  • 14周) 登り終わりで30mくらい離され、バックストレートの平坦で戻す。スピードが上がり過ぎ、集団後ろに付くのに不本意ながらブレーキを要した。そして、、

【事故】

スタート2時間経ち集中が落ち気味の高速・密集でのコーナリング。平常時なら平凡なカーブでも、警戒度の低さが逆にリスクを作る。前々車が接触か何かでフラつき「あーやばい」とか呻いた。この瞬間に僕は回避操作に入るべきだったが、時間がなかったのか、余裕がなかったのか。前車が怒鳴りながら急ブレーキ。次の一瞬で投げ出された。人生初の落車。

以下、推測を交えた状況:

  • 急ブレーキの前車と衝突、左側に自転車ごと回転。時速は4-50kmかな? (GPSに残る最後の瞬間時速は58.2kmだが、これはアテにならない)
  • ファーストインパクトは、ハンドルを路面に叩きつけることで、自転車が吸収
  • 伝わった衝撃波は、サドルに右内モモをぶつけることで、僕の身体に吸収された
  • そのままゴロンと転がり、セカンドインパクトは、路面vs.僕の背中
  • これを背中ポケットの3本目のボトルが吸収。ボトルの角が強烈にアスファルトに擦り付けられてた
  • ヘルメット後部とも衝撃分散し、1.5万円を御釈迦とすることで、身体は概ね守られたが、例外もあった

Img_3448_2 身代わりのボトル・・

つまり、横回転の受け身は完璧。

ただその途中、跳ね上がった右足首でガードレールか何かを蹴り上げた模様。ペダル固定状態だったかもしれない(=重量エネルギーが増え、回避動作は制限される)。靴下の数ミリ上の素肌を、ざっくり、やってしまい、救急車送りとなった。。

【レース視点からの反省】

その後、レースは十数人の集団スプリントで、現役競輪選手ぽい方が優勝。
仮に事故なく、残り3周18kmを走れていても、集団についてくのが精一杯だったろう。会場までの自走でやり過ぎた時点で、レース終了した感じ。B級ともなるとコンディションを最高に合わせないと駄目だ。今の僕の力では。
 
【トレーニング視点からの反省】
↑、ということを思い知ったのも、1つの収穫かな。それでも戦い切る地力があってもいいからね!

 

 ・・・

治療編は次回。(Facebookにはリアルタイムで書いとります)

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

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