理屈は後から、まず強みを活かす ~ NHK「マイケル・フェルプス 世界最強のスイマー」
NHKスペシャル ミラクルボディー第2回は 「マイケル・フェルプス 世界最強のスイマー」
中学時代、水泳部の顧問は素人。「月刊スイミングマガジン」だかの小さな連続写真を、目を凝らして研究していた私。最強イアン・ソープより強いフェルプスを、NHKスペシャルで、ハイスピードカメラで解説してくれるとあらば、そりゃ超チェックです。
Nスペらしく、「普通の一流」選手と丁寧に対比させて、凄さを科学で浮き彫りにしてくれる。
ソープといえども、4年も経てば普通の記録に成り果てるのが、スポーツの面白いところ。目標が明確なら、人間は、実現してしまうのだ。イノベーション=革新はそんな時に生まれる。
フェルプスのイノベーションとは、距離比で通常1割ほどのスタート&ターンの潜水を、ドルフィンキックを使って2割以上に伸ばす、という仕掛け。
潜水は、理屈上、水の抵抗が少なく効率的。でも無酸素2割では、血中の二酸化炭素も筋肉中の乳酸も加速度的に増加するはず。スピードのある自由形の、しかも200mという距離で成功させたのは、キック自体の強さと全身耐久力、2つのブレイクスルーを要する。
例外は鈴木大地の100m背泳ぎだが、背泳ぎはクロールより2割近く遅く、キックの優位性が高い。しかも100m55秒、乳酸を引きずったまま押し通せる。(ちなみに制限されたのは日本人差別じゃなくて、安全のためです。本当に、危険なんです。練習中に失神した選手が何人かいると思う。。)
彼にだけできたのは、なぜか?
思うに、バタフライ出身だったからではないだろうか。
このままでは、ソープに勝てない。勝ってるのは、いつも鍛えていて、他の自由形選手が練習しないドルフィンキックくらい。。
勝てるとすれば、この強みを活かすしかない。
そんな方針を、コーチのボブ・ボーマンはまず決めたのではないか、と思うのだ。
逆に、そうでもしないと、負けてしまう。ライバルは体が柔らかくて器用な「2m、100kg」の大巨人ぞろい。ダイエットした岩木山や水戸泉のようなもんか?
こうして目指すものが明確になれば、次に、「どうすれば試合で使えるようになるか?」 という、手段についての問いが生まれる。
そうして考え出された手段の1つが、オモリを巻いた立ち泳ぎや水中ジャンプ、というユニークな練習。
キツい練習だが、単にキツいだけではない、なぜ必要なのか? が明確だ。
問題が明確になれば、なんとか、対応できる。
そのためには、まず強みを活かすこと、理屈は後から、だ。
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