カテゴリー「'16- 「要素分解」トレーニング法」の11件の記事

2018年8月25日 (土)

「動作の言語化」が長距離レース終盤を救う

/ 終盤はキツい、しかし・・・

マラソンもトライアスロンも、長距離スポーツでは、終盤が最もキツい。過酷、と表現される時、多くはその状態(だけ)を指している。だから、その対応は重要なはずだ。

でも僕は、トライアスロンで最もキツいラン終盤用の練習はしてこなかった。ショートのRun10km用には1-2kmインターバルを計6kmが主で(その量の適切さを6月のDave Scott 講演で知ることになる:下記リンク参照)、アイアンマンのRun42kmに向けても30km走を1回しただけだ。

なぜなら、レース終盤のキツさは、練習で再現することが難しい。再現できなくもないが無理があり、その後の練習の質を落として、トータルで弱くなる。

大事なことなので言い換えておく。レース終盤のキツさを練習で再現しすぎると本番に弱くなる ことがある。少なからずね。

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これは2018年5月のブログで書いたこと。6月に来日したリビングレジェンド Dave Scott も語っていた。

" 練習量過剰で 「脳がロー・パフォーマンス慣れ」 する "

" やはり日本の市民アスリートは練習し過ぎ? - 世界標準Dave Scottセミナー2 "

同様の考えをトライアスロン開始時から知ることができた僕は、成果のレベルを上げながら確信を深め、最終的に、自分に到達できるであろう最も高い目標をいくつか達成することができた。(※お台場のエリート日本選手権とか、世界選手権エイジ表彰台とかは、達成していないが)

その理由を改めて考えると、

  1. 動作の言語化
  2. 筋力&回復力

だと思う。

2つめは前から言っていたし、上記ブログにも書いたので、何?て方はリンク先およみください。

ただ、「言葉」という視点は、いまさら気が付いた。でも後付けの理屈ではなくて、実際、早い時期からレースで実践してきたことだ。僕のトライアスロン初期(2010〜2012年ごろ)のブログやFacebook、さらにそこでの表現力の成長を知っている方々には、納得いただける話かなと思う。

 

// 言語化とは

それは、自分なりの高効率動作を、日常的に、言語表現しておくこと。

そしてレース終盤のキツさの中で、

「このように身体を動かし続ける」

と言語化したことを、確信をもって、脳内リピートする。

 

/// レース終盤のキツさの正体

このことに思い至ったきっかけは、Twitterでの商社マン9時間台アイアンマンさんとの会話。彼の仮説として、精神=より正確には脳の認識=がラン後半のダウンを生むのでは?ということ。このツイートね

僕は精神力を排して考えるタイプなんだけど、仮説として、おもしろいなあと思った。

まずトライアスロン終盤の疲労の正体を確認しておこう:

  1. 2種目で疲弊した身体で、ランを開始し
  2. しかもその終盤、あらゆる面で身体性能が低下
  3. すると、「動作の非効率化」がはじまり
  4. それは複利の借金の金利のようなもので
  5. 非効率動作が、体力のさらなる疲弊を招く
  6. 結果、加速度的に疲労が急上昇する

以上は、身体性能と動作効率の視点からの、いわば「レーシングマシン」としての理解だ。

ただこの過程を「脳」という視点から改めてとらえなおすと:

  • 脳が、この急激なストレス急上昇に耐えられなくなる
  • 壊れる前の緊急セーフガードが発動されて、動きを抑制しにいく
  • だがそれは普段しない動作なので、非効率なものとなりがち
と考えられ、結局、脳と精神の影響は大きいとなる。なるほど。 大胆でシンプルな仮説は、アイデアをうむものだ。
 
 
結論: 「動作の言語化」が長距離レース終盤を救う
 
そんなコメントやりとりの中で、精神無視派な僕が、なぜここをクリアできたのか?と改めて考えると、キツいときほど僕は考えていたなあと思い起こすのだ。
そこで返ツイート↓ 

体力は使い切ってるわけだから、あとはアタマしか残っていないのだから、そうするほかないわけだが。ただ、酸素の足りない限界手前の脳がイキナリ斬新かつ優秀な仕事をしてくれるはずもなく、日頃から用意しておかねばならない。それを僕はたしかにしてきたな。

KONA2013は好例で、『覚醒せよ、わが身体。 トライアスリートのエスノグラフィー』 p222以降で書いたのは、そんな現象です。

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※本はAmazonには入荷がないので、書店注文か、もしくは八田にFacebookでメッセージください。送料込1,944円でサイン入りお送りしますよ。(少々お時間いただきますが)

たまに、わざわざAmazonde新品同様の価格で中古を買われる方がいらっしゃるようですが、まったくお勧めするものではありません。僕が出品しているのは、悪質業者への牽制目的だけです。抜かれる手数料も高いし、売りたくないのです。(でも注文がきたら規約上、私の直送を勧めるわけにもいかないし、面倒なのもあって、出しますが)

「本はアマゾン」という認識は、そろそろ捨てられていいころかな、と思ってます。まあ、新刊ベストセラーはその限りではありませんが。

 

CM: 「幸福のありかた」も言語化しよう

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2018年6月17日 (日)

やはり日本の市民アスリートは練習し過ぎ? - 世界標準Dave Scottセミナー2

「長距離だから長距離そのまんまの練習」なのではなくて、「必要な要素を分解し、それぞれに対策する」要素分解の1つのあり方を、先週デイブ・スコットの"KONA Challenge supported by MAKES" 講演は示していた。世界の市民アスリートにとっての標準の1つであり、かつ、少なからぬ日本人アスリートが気付いていないと思われる部分を含めて。

< 速筋の重要性 >

その核心部が、速筋(2a=中間型)の重要性だ。

稼働時間は25秒〜2分、最長5分。それをトップ選手でも8時間かかる226kmレースに向けて鍛えるのには理由があり、つまりはメインエンジンである遅筋をセーブできるからだ。

2a速筋は遅筋(1型)よりパワー5倍=エネルギー消費も5倍で、乱用は危険なのだが、トレーニングしていれば消費されたグリコーゲンはレース中に回復される。

つまり、長距離レースを高速で展開でき、途中で回復させてタフなレースもできる。それがHIIT系の速筋トレーニング。伝説のマーク・アレンとの死闘も、これ抜きにはありえなかっただろう。

「ウォークブレイク」と併用すれば、さらに効果あるだろう。(とまではDaveは言っていなかったが)

ウォークブレイクについてはこちら過去記事ご参照:

< 高負荷トレーニングのメニューつくりかた >

その練習法は、高強度での稼働時間で25秒〜2分、最長5分。レスト抜きのトータル時間は8−12分でOK、上級者でも20−24分が上限

間のレスト比率は、高強度2:休1、とか。レストの目的は心拍を下げることなので、蒸し暑い日本の夏では時間がかかり、1:1とかでもいい。メニューの数字に縛られたらダメ。

ということは、本体部分が、上級者で36分間くらいが上限となり、ウォーミングアップ&クールダウンを含めて、1時間あれば完了する。

参考メニュー: 

  • アップ12分
  • 2*50s + 6*30s + 3*40s (計6:40)×2、セット間5分イージー
  • ダウン6分=計45分

週あたりでの実行頻度は、Bike-Runは各週1、Swimは2回まで(回復が速いので)。つまり週合計4回=4時間ほどに相当する。

< 長距離トレーニングのメニューつくりかた >

では、長距離専用の練習は? というと、毎週やるのは75分間まで。それ超えると故障が一気に増えるし、疲労の蓄積が動作の質を落とすから、トレーニングとしてのコスパが低すぎる。

その頻度は、BikeとRunでそれぞれ週1として、ウォーミングアップ15mとして、計3時間だ。

4時間のロングライドとかは3週置きくらいでいい。かつての女王、クリッシー・ウェリントンでも、Bikeロングライドは最長4.5時間、2-3週に1度くらいだったとのこと。

参考ロングライド用メニュー(うろおぼえ): 

  • ウォーミングアップ30m
  • 20分ごとにペース変えて、はじめハーフの90kmレースより速いペースで20分
  • 同じく5mを4本(同じだけ休息、だったかな?)
  • 同じく2.5mを8本
  • この set間20m
  • 最後Easy=エアロビックペースよりちょい遅

この時間の短さをおぎなうのが、前回に書いた高脂肪食だ。この点は(僕の考えでは)マフェトン理論の最新形であり、いまだ2018年になってマフェトンをそのまんま実践しようとする危険性でもあるだろう。

< 結論 >

てことは、コアの練習は週に7時間。計算あってる?と3度くらい検算したくなるくらいの時間数だよね。

あとはリカバリー&つなぎの軽めの練習(=これはこれで重要)で埋める。

日本人のトライアスリート、ランナー、長距離志向の人ほど、練習し過ぎではないだろうか?

週当たりトレーニング時間・月間練習量といった総量の数字を気にし過ぎではないだろうか?

< 実例 >

本当にこれでいいの? と思われるだろう。しかしこれが、カリフォルニア大で運動生理学を学び、実践して元世界王者となり、さらにコーチとして複数の世界王者を育てたDaveの教えなのだ。

そしてこの教えは、僕の実体験とも重なる。

僕のRunメイン練習は、1kmのレスト長め(心拍が60−70%域に落ちるまで、時間はみない)での4−6本。3m30s*6で21分間。かなり仕上がってるときでも、これ以上はやりたくてもできない。Bikeでも同様の練習を多用していた。多摩堤通りの2−3kmの直線路を45km/h超目標で、実際にアクセル踏めてる区間が2−3分前後とかになる。ローラーも同じくだ。

実戦での効果は、KONAのレース中に実感したことで、Bikeでレース終了かと思ったくらい消耗してしまったのに、地上に降り立って2分もすれば脚にエネルギーが戻り、Runで暴走を始めることになった。

このあたり詳細は、『トライアスリートのエスノグラフィー』 トレーニング法は2-3章、レースはp205-209あたりご参照。(なお自著の略称を『覚醒〜』から変えてみる、意味がわかりやすいので

逆の失敗例もあって、たとえば2015宮古は高負荷トレーニング不足が主因。3月に出てみた板橋マラソンでもそう思った。

2013年の僕にそれができたのは、51.5kmレース最優先だったのもあるけど、そこからの226km対応法を英語情報から探ったのが大きい。2015年はようするにやる気なかったんだろうな。

2018年6月16日 (土)

" 短時間高負荷 × 低糖質 "によるアイアンマン226km攻略法 by Dave Scott

はじめに断っておくと、この投稿で「糖質制限が良いか悪いか」という話はしない。そんな単純な問いに価値はない。

今から書くのは、30−40歳から、耐久スポーツで速くなりたい人に向けての、トレーニングの中身と栄養補給との複雑なバランスの話だ。いいかえれば、どのようなエネルギー状態の身体でトレーニングに臨むのかという話。

きっかけは、先週デイブ・スコットのセミナー。

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< "The Man" Dave Scott >
Dave ScottはもともとUC Davis(カリフォルニア大デイビス校)で運動生理学を学ぶインテリな海スイムのエリート選手で、ワイキキ大会(初期アイアンマンのスイムパートと同じもの)でも優勝している。

26歳の1980年、最後のオアフ島開催となった第3回IRONMANに初出場し、前年まで11時間台の優勝タイムを9時間24分へと引き上げ、アイアンマンを完走目的イベントから速さを競うレースへと変質させた。ちょうどABCテレビにより全米TV中継された回で、注目が高まるタイミングでのことだ。で全米が「アイアンマンすげー!」てなり、人気が高まってゆく。以後、通算優勝6回、2位3回、最後の完走は42歳で8h28m(5位)。とWikiに書いてあった→ https://en.wikipedia.org/wiki/Dave_Scott_(triathlete)

彼の生きた歴史がそのままアイアンマン&トライアスロンの歴史になる、正真正銘のLiving-Legend。最近は日本語でレジェント言われる人は多いけど、ここまでの人はほぼいないだろう。日本国内での知名度が(トライアスリート以外では)ほとんど無いと思われ、日本のスポーツ界のシマグニ的状況は残念なことだ。

運動生理学を知るインテリが自ら競技の限界を引き上げていった過程に大きな意味があると思う。だから科学的な=つまりは再現可能な手法によって、トライアスロンという競技を発展させることができた。

そんな彼が、ライブで伝えてくるものは、他では得られない。

まず、64歳と思えない身体が、実に若々しい。過酷な耐久競技で世界トップを40代まで戦い続けるということが、むしろ健康に良いということを体現していると思った。もちろん、それで健康を害する人は現実にいるわけで、そこがDaveの凄さの1つとも言えるわけだが。

 
< 菜食&高脂肪食 >
特徴的なのは、ベジタリアンであること。

(この思想からも、実際の取り組みからも、変なクスリとか使ってないのが強く推測される、と余計なことも書いとこうか)

32歳の1986年、当時驚異的な新記録8h28mを出した頃の著書 『デイブ・スコットのトライアスロン』 を読むと、当時は7割超を糖質(穀物など複合糖類)、タンパク1割、脂質1割、くらいの割合。タンパク質は体重1kgあたり1g要らないと少量だ。

現在では、LCHF=糖質抑制&高脂肪食(※良質な油脂に限る)をトレーニング期に試すことを推奨している。推奨しているのは食事法そのものではなく、試すことの方ね。方法論とは何でもそういうもの。

レース中は吸収できる範囲内で(※超えて失敗する人が多い)エネルギー摂取するのだが、その補給食も最近は高脂質化させていて、あるケースでは補給ドリンクの7割が脂質であるという! 油に糖類とか混ぜてる感じ。

ここで重要なのは目的。耐久スポーツのための高脂肪食であるということ。

この目的が無い場合に、、低糖質食が常に良いものだとは、僕は思っていない。実際、2014年発表の海外大規模調査では「糖質制限食による体重抑制」の効果が否定されている。体重は結局のところ総カロリー量で決まるとシンプルに理解しておくのがいい。

このテーマは、 鈴木功医師 が僕の情報網内での最先端で、興味あればFacebookフォローおすすめ。著書『ボーンフロスでやせる間ファスダイエット』も参考になる。(ちょうど今読んでる途中)(ちなみに推奨の地鶏の骨の煮込みスープは昔から僕よく作ってる)

鈴木先生の方法論とは、脂質を極限まで制限して、病的な状態を脱すること。そして糖質を積極的に摂る。

Daveとの違いは、身体性能偏差値70以上の世代最速を目指す耐久アスリートか、偏差値30-40の病的状態か、といったところだろう。

背景や目的が違えば、方法論が変わるのは当然。ただし、なぜそうなるのか? という理由を理解することは、どちらにも有効だ。だから、「糖質制限が良いか悪いか」という単純な問いには、なんの価値もない。

 
< 高脂肪食で速くなる理由 >
「若いフルタイムのプロ選手」であれば、長時間の練習により、長距離レースへの対応ができる。古いトレーニング理論はこのことを当然としているものが多い。なぜなら対象が若いエリートアスリートばかりだったからだろう。

だが少なくとも「35歳以降の市民アスリート」では、それは無理。一瞬できたとしても続けられないだろう。限られた時間での成果を最大化せねばならない。

このテーマは最近現れたもので、最新情報をチェックするメリットが大きい。これは日本語だけを追っていると遅れてしまうのは、英語情報と比べてればわかるだろう。

そんな中で注目されているのが、低糖質食により、トレーニングの初期から血糖値が低めな状態=つまりレース後半の状況をはじめから作ること。
これと、HIIT=高負荷インターバル系トレーニングとを組み合わせる。
すると、短時間でも長距離用のトレーニング効果を出せる、というわけだ。

これら、若いプロ選手も活用している方法ではあるのだけど、市民層がもっともその効果を享受できるだろう。

こうした背景から理解することが重要。低糖質食にはパフォーマンスが落ちるデメリットもあるからね。どちらをどれくらい重視するか、が大事。それは結局、自分で考え、感じて、決めていくしかない。

 

< アイアンマン向けの高負荷トレーニング >

トレーニング内容としてDaveが強調していたのは、高強度トレーニングにより、25秒〜5分間ほど有効な2a型速筋を鍛えること。つまり20秒のタバタ式とは違う。この手法も、僕が2013年に多用していたものと共通する。

長くなったので、この話は次回にでも。

・・・

以上まとめて、「長距離だから長距離そのまんまの練習」なのではなくて、「必要な要素を分解して、それぞれに対策する」という要素分解の発想といえるだろう。

2018年5月14日 (月)

モチベーションの3段階と「きっかけ」について

今春より、「3年でアイアンマン世界選手権KONAに出よう」というプロジェクト KONA Challenge supported by MAKES がトライアスロンLUMINA誌の主催で始まった。そういえば僕も
3年と10日ほど。これくらいが集中力も保ちやすい。やり方が正しい限りね。Yes, we can! Make Anatawo Great Again! w
 
知人も何人か正規&準正規メンバーとして参加し、また刺激を受けたという人も何人か。以前、ブログ記事 覚醒せよ、わが身体。(②レールのないジェットコースター編) で本を紹介いただいたブログ主さんも準正規のフレンドメンバーになり コナ目指します – KONA Challenge supported by MAKES と気合入っている!
 
この様子をFacebook上で見て、モチベーション=動機ってこういうものだよなあ、と思った。
つまりは「きっかけ」に行くつくのではと。
 
 
// 歴史 //

そもそも、モチベーション、とは?

もともとはマニアックだった気もするこの言葉がひろく使われるようになったのは、リンクアンドモチベーション社の貢献もあるだろうか。バブル崩壊から10年、リストラまみれの2000年に創業、もう出世と給料じゃ社員は動かないよ、やる気だよ、という一点突破でブレイクした組織コンサルティング会社。だとすれば、21世紀に突如出現し浸透した概念てことになる。

たとえば「モチベーション曲線を書いてみましょう」なんて研修がある(オリジナルは欧米かな)。自分の意思とは無関係に「モチベーションという独立したもの」があるかのように扱うことで、目に見えない心理状態を可視化し、客観的なモノとして認識させて、操作可能とするような意味がある。もともと入社1年後とか10年後とか、社会人の経験振り返りに行われていたものが、今では、大学生の就職準備とか、もっと下とか、キャリア教育として行われることもある。(※学生にやらせる意味は僕はよくわからない。場合によっては教える方=キャリアカウンセラー側の自己満足に陥ったりするのもこの界隈あるある)
 
あるいは、有名アスリートがメンタルコーチから教わって語る(著書も普通インタビューで作る)影響もあるだろう。
 
 
// いいわけ化 //
 
こうしてモチベーションが概念化され客体化されてゆくと、中には、「最近モチベーション低いっす」とか仕事場でのたまう若手社員が出現したりする。かといって中高年のモチベーションが高いわけでもなく、ダメな中高年はただ無言のままで存在自体からダメだったりもするのだけど、まあ、そんな言葉の使われ方がされている。そして言葉は認識を作るので、思考と行動も引っ張られてゆくものだ。
 
ここまで読んだアナタは、

「モチベーションを言い訳にするな、仕事はどんな気分でもやり遂げろ!」

と内心ツッコミを入れてることだろう。
 
そう想像するのは、僕の読者層の中心は、耐久スポーツに参加するような、30代以降の勤勉な方々が多いから。この市民アスリート種族は、努力すれば報われる、という価値観の信奉者であり、モチベーションは高くて当然、くらいに思っている人も目立つ。
かれらはパフォーマンスも高いことが多く、ゆえに影響力が大きい。その周囲では、「モチベーションぶっちゃけ低い、でも認められない」てなってる人、意外と多いかも? そんな状態はむしろ健全ではない気もする。
 
 
// 概念整理 //
 
こんがらがってる時には、そもそも何か? と概念レベルに遡って整理するといい。
 
モチベーションの日本語訳は動機。じゃあ動機てなんだ?
ネット英英辞典でMotivationをみると、"a reason for acting" = その行動をする理由、が最初に出てくる。たとえばアナタが走ることへのモチベーションとは、アナタが走る理由ということだ。
 
「アナタが走る理由は、なんですか?」
「なぜ、速くなりたんですか?」
「なぜ、KONAに出場したいんですか?」
 
そんな問いへの答えが、モチベーションだ。
 
motif 〜 モチーフ、というフランス語もあり、意味は「動機、理由、主題」とほぼ同じ。絵やクラッシック音楽などで表現の核となる要素を意味する。♪じゃじゃじゃーん、的なのね。すると上記の質問は 「アナタにとっての♪じゃじゃじゃーん、は何ですか?」 と喩えることもできよう←シネエヨ
 
その第一の意味から派生して "condition of being motivated" =モチベ高い状態、という第二の意味も生まれる。日本語の「モチベーション」の用例の多くはこちらだろう。ただそれは、モチベーションとはモチベーションです、という循環論法に陥ってもいる気するけども。
 
// 要素分解 //
 
じゃあ第一の意味「行動の理由」てなんだ?と考えると、「最初の行動の理由」なら、「きっかけ」と言い換え可能だ。そもそも動機という訳後とは、人を行させる契、の略。そして、その最初の行動をし終えて、じゃあ次は? と展開してゆく中で新たに浮かび上がる理由もあるだろう。ただ、初期衝動のインパクトとは大きなものだ。
 
つまり、モチベーションの主要部は、「きっかけ」である。
それだけでわかりにくければ、その裏にある目的まで考えるとスッキリするだろう。つまり、
  1. あるキッカケがあって、行動を開始した、そのキッカケがモチベーション (辞書の1つめ)
  2. ということは、その行動によって実現したいものがあるんだろう、それもまたモチベーション (新設)
  3. その行動の実行度合い、強弱も、またモチベーション (辞書の2つめ)
である。これがモチベーションの3段階。
 
 
// モチベーションを上げるには //
 
現実の場面で考えると、まず、楽しくない、苦しい、という場面では、「目的」に沿って考えるといい。
  1. 「苦痛」を通じて「達成したいもの」があり =a reason for acting
  2. その苦痛的行動をしたことで、「最終的に達成したいもの」に近づけたと思えて、達成感に昇華され、行動の度合いが強化される =condition of being motivated
中学の部活で顧問の先生がいうような初級編だ。
 
ただ、単純な「苦痛=達成感」パターンでは、どこかで行き詰まることが多いもの。スポーツなら故障・ケガにもつながるリスクもはらむ。
 
別の視点で、「この苦痛の先に、本当に望む達成はあるんだろうか?」という不安が生まれれば、行動の度合いを下げる。これらはモチベーションだけでは解決しない領域に入ってくる。
 
そんな時に、そもそものキッカケ、に立ち戻ってみるのは、1つの手だ。
 
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Watanabe-Racing, 2011.11, 大磯
 
// 集団の作用 //
 
キッカケとは人それぞれだろうけど、リアルな人の存在は、大きいものだと思う。いくら情報化が進んだとしても。
 
僕はトライアスロンとかの練習は単独でしかしない主義だけど、それでも集団の作用は大きくて、世界最高峰でレースする人たちが身近に表れたことで、レースをする自分、というアイデンティティが一気に現実化した。
 
これは『覚醒〜』第2章 覚醒の過程〜2節 集団のなかの自己 p76-79で書いた、そのまんまの話。ブログでも2009/11 とかに書いている。この出会いなくして、今僕はこんなことをしていない。間違いなく。
 
練習自体はたまにしか行ってなかったけど、彼らの存在そのもの、そのリアルに達成したもの、この先にそんな世界があったんだと目の前で見たことが、時間をかけて、僕をつき動かしていった。
 
適切な集団には、「この先に望む達成はあるんだろうか?」という不安への対策ともなるものでもある。
 
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Watanabe-Racing, 2009.11, 藤沢
 
 
・・まとめ的なこと・・
  1. 「なぜ、そうするの?」 
  2. 「その時の楽しさは?」
つまり、WHAT、が先にくるものだろう。その高低の程度は、その次以降にくるもの。
 
てことは、「モチベ上げたい」という時に、意識を向けるべきは、その高低という結果側ではなくて、原因側であるWHATそのものに集中すること。結果は原因の結果でしかないものだから。
 
さらにいえば、
  • 感情の高低ではなく、やるかやらないかを分けるものがモチベーション
  • やらないのは、単に行動していないだけ、モチベーションが低いせいではない
  • モチベ低いかなって時、本当にその目的を実現したいのかを考え直してもいいかもね?
1ついえるのは、モチベーションとは、行動が大前提にあるもの。その前提がなければ問題にすらならない。この状況で真の問題とは心理ではなく、自分の存在そのもの、最も重たい哲学的な問いだ。そんな話どっかの本の冒頭にも書いてあったかな笑
 
モチベ、というわかりやすい概念にひっぱれて、真の問題から逃げることがないよう、気をつけたいものだよね。
 
 
// モチベーションの金銭価値 //
 
ところでリンク社は2007年には東証二部、2008年に一部昇格。安定した地位を保ちつつも、リーマンショック以後の経済立ち直りの中、存在価値をアピールしきれてもいない時期が続いたぽいけど、働き方改革ブームの影響か、この2年で株価急騰してて、2018/5/14終値で 時価総額1,400億円
 
日本経済、モチベーション活用にはまだまだ金銭価値が眠っている。
ただグローバル視点の最先端は、Facebookにも書いた こちらの方だと思うけど。上から改革ですよと与えられるものではなく、個として突き抜けてゆくこと。
 

2018年5月 3日 (木)

練習量過剰で 「脳がロー・パフォーマンス慣れ」 する

長距離レースへの伝統的アプローチは「量を積む」こと。

できるに越したことはないと思う。その弊害を避けられている限り。

弊害の1つに「故障」が挙げられるけど、僕は故障経験が一切ないので(外傷除く)、そこはわからない。「疲労蓄積」もいわれるけど、そこまで練習したこともないので、わからない。疲労で「テストステロン低下」ともいわれるけど、さっぱりわからない。

僕にとってリアルな弊害とは、脳が悪い走りを学習してしまうことだ。

逆に、良いレース準備とは、脳と体に「良い走りだけをリハーサルさせる」。良い走り(&泳ぎ)とは、ペースとか数字の話ではなく、「レース状況でできる最も効率的な動作」であることが大前提。その結果として数字が良ければ良いし、疲労蓄積&リカバリーでゆっくり動かしてても、動作スキルのトレーニングになっていれば、それは良い練習だ。

 

<理論的根拠>

『超一流になるのは才能か努力か?』(フロリダ州立大アンダース・エリクソン教授, 2016)

  1. あるところまでは、量を積めばいけるが
  2. 「なんとなくできるようになる」と、そこで上達が止まる
  3. この壁を超えるために、 "deliberate practice" = 目的を持った熟慮されたトレーニングが必要
  4. 壁を越えた成長へ

というのが頂点への道だ。

これを踏まえて僕の考えを書くと、「練習量を最大化すること」を目的にするのなら、2.「なんとなくできるようになる」というレベルの動作を繰り返すことが、近道だと思う。これにより練習量は自分史上最大にまで増やせるのかもしれない。しかし、そこから先へは、上達しづらくなってゆく。それが同書のいう脳レベルでの話。

同時に、スポーツでは疲労によって動作の劣化が進行する。そんな練習を重ねるとは「レースで失敗する状態」を、脳と体に焼き付けてゆくということだ。

かくして、練習量過剰によって「脳がロー・パフォーマンス慣れ」する。

脳*は全ての起点なので、脳ができないこと以上のことを身体がしてくれることはない。(*脳=神経・マッスルメモリー・その他の知的なものを総合的に含む)

※なお日本語訳では「限界的練習」という言葉が使われており、その原語が "deliberate practice" だとはAmazon書評を信頼して書いた。限界、を逆に受け取る日本人多そうで怖い。「もう限界だ! いや根性でのりきる!」 的な限界とは全く逆なのは、文脈からは明らかなので、ちゃんと読めてさえいれば良いのだけど。

※この本は、ネット記事などでよく引用される「1万時間の法則」(マルコム・グラッドウェル, 2008)を発展的に批判したものでもある。(ある種のトッププロはたまたま1万時間の練習をしたかもしれないが、だからといって1万時間で一流になれるわけではないから、粗すぎるし、場合によっては有害)

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<経験的根拠>

僕の2010-2014年のJTUランキングチャレンジはずっとその方針。

とくに実力を大きく上げた2012−2013年に、確信を持てた。

当時の目標設定は極めて具体的で、1位にしか意味はなく、2位なら取る意味がないと思っていた(デビュー年に取れてしまった順位なので)。

しかしそのためには、好調をとりもどしつつあった広島の福元哲郎さんに直接対決で勝たねばならないだろう。直接対決で勝つためには、実力で同等以上にした上で、予想しうる様々なアクシデントも封じねばならない。しかもその締切日は決まっている。

同時にそれは、僕の能力の限界領域ギリギリ(=Marginal)の、チャレンジ度MAX。そんな必達目標だった。

どのようにすれば実現できるか? ということをただただ考えていた。

すると浮かんでいたのは、例えば、「1km3:50ペースで幾ら走ってもダメ、1km3:30を使いこなせるようにならなければ絶対無理」といったイメージ。

こうして、「最高のイメージを更新し続ける」というトレーニングの大方針が自然発生した。

それでやってみて、望む結果を得られたので、2013年8−9月のKONA Challenge 期間* では、さらに鮮明に実行してみた。量的&期間的には不十分だったろうけど、それでも、ロングデビュー&条件の厳しいKONAで9時間35分という程度の結果なら残すことはできた。入賞とかはしてないので、まだ上はあるわけだけれど、自分史上で最高の状態を作り、そのとおりに力を出し切ることなら、実現できた。

逆に、失敗した2015年宮古では、「最高のイメージ」に至らず、なんとなくやってしまった。

この2例があれば、僕にとっての理解は十分。

* 「とはいえロングで量も必要ではないのか?」という質問もよくいただく。もちろん「必要な適応反応のための量」は必要、ただその中身は deliberate に考える必要がある。原理は共通。

 

<詳しく知りたい方へ>

著書 『覚醒せよ、わが身体。トライアスリートのエスノグラフィー』 p95-124, p135-166あたりお読みください。そしてその顛末を第4章で。

最近よく聞かれるので、要点を書いた次第。

読んだ人の数だけ正解がある話です。たとえば「練習量過剰」といったとき、どこからが過剰か、どこまでそうでないのか、そこに正確なモノサシはないわけで。なので、みなさんにとって、そこに至る1つのヒントになれば嬉しいです。

2016年12月18日 (日)

日本の夏は「 朝 練 」ほぼ一択! 〜連載最終回「ハイブリッド期分け」法の提案

ここまで5回にわたり紹介してきた「リバース・ピリオダイゼーション」によるトレーニング法は、練習時間の限られた市民アスリートにこそ魅力ある方法論だ。しかし日本では、酷暑期に長時間トレーニングが重なるという問題がある。最後にこの対応案を示して締めるとする。
 
・・・
 
「朝練習のトレーニング効果」 というまとめ論文がランニング学会の『ランニング学研究』(2015)に掲載されている。一読をおすすめ。過去の関連論文などを整理した "Review  Article" というやつで、新たな発見はないが重要情報だけ濃縮されていて、学者ではない一般アスリートに有益だ。詳細は各自読んでいただくとして(僕のブログは内容紹介だけの文は書かないので)、ここでは、その「日本の真夏のトライアスリート」を中心とした応用法を書こう。
 
(ちなみに論文のようなタイプの長文を読みこなすコツは、一字一句読み込もうとしないこと、ざーーーとページをめくりながら、おもしろそうなことが書いてあるのか最初にスキャンすること。次にその箇所を読み込み、さらに時間が余ってたら頭から読む。て、長文読解が苦手な方はそもそも僕のブログ読んでないと思うのだけど笑)
 
<低体温の効果>
最初にp5に飛ぼう。朝は身体が動きにくいので、一般には、トレーニングには向かない。僕も午後3〜5時くらいが一番好きで、質で勝負する練習なら、そこゴールデンタイム設定でいい。ただ、長距離トライアスロンのランパートでは、どうせ身体が動かない中での動作となるわけで、そこは気にしなくていい。
 
すると、低体温から始める、という(多くのスポーツにとっての)デメリットが、逆にメリットに転じるわけだ。深層体温が限界域まで上昇するまでの時間が長くなるから。しかも朝は外気温が低く、日射のパワーも弱い。
 
週末のロングライドなども、朝5時スタートなら9時までに4時間ライドを終えることもできる。酷暑日だと朝9時でも十分に暑かったりするけど、帰宅寸前のラストスパートなら耐えられるだろう。
 
<低血糖の効果>
さらにp6へ。起床後&朝食前は、「低血糖」だ。 これも質の高い動きには向かない状態だが、長距離レースの後半の状況が、最初から用意されている形だ。ここで、脂肪を活用したエネルギー回路をトレーニングすることができる。このメリットは世界の全ての耐久アスリートに有効。
 
<結論>
しかも時間活用術として、朝は安定して活用可能。必要なのは、夜9−10時とかまでに、早く寝ることだけ。(僕は苦手)
 
結論:夏は朝練。
20161218_135335
例の図はこれにて完成!
 
朝錬だけだと普通はできることが限られると思われ、週末など、まとまった練習枠は別に必要にはなると思う。そこは
  1. 短時間高強度トレーニング
  2. スイムの長時間化による体力向上  
という2つの方向性を組み合わせる。
 
1.は一般的な「Periodization」の流れなので、
  • 夏手前までは、「リバース・ピリオダイゼーション」
  • 真夏は「標準型ピリオダイゼーション」
と組み合わせる。朝練の脂肪活用トレーニングは、リバース型の「長時間低強度」へのベクトルの延長なので、並立もしている。これを「ハイブリッド型ピリオダイゼーション」として、日本の真夏の耐久アスリートに向けて提案しよう。
 
<勝負レースの時期別>
この方法で、8月までの勝負レースには対応できるだろう。たぶん、7週間くらいなら、身体の記憶は継続できるから。
 
9月以降なら、お盆ごろなどに、冷涼地で思いっきり走りまくることを一度入れて、身体記憶を呼び起こすといいと思う。佐渡とかはこのパターン。
 
9月に入れば少しづつ涼しくなるし、暑さ耐性も十分にできているから、普通にロング錬を復活させれればいい。これで10月のKONAにも対応できる。
 
なお、勝負レースが6月までに終わる場合には、トレーニングでの暑さを考慮せずに済むのだが、逆に、身体側のレース時の耐暑耐性が不十分。なので、暑さに慣らすための耐暑トレーニングを意図して行う必要があるだろう。(7月以降なら、耐暑トレーニングは無駄だと思う。いつも書いてる通り)
 

2016年12月 6日 (火)

6月の決戦レースへの長期計画案 〜リバース・ピリオダイゼーション4

前回→ 「トライアスリートの冬マラソン〜 30kmの壁への新対応」  とは、「主トライアスロン+ついでにマラソン」な層を対象とした話だ。「主マラソン+ついでにトライアスロン」 なら、ランのパフォーマンス最優先なので、後半スタミナ強化のための走り込みも有効なのは当然。とくに日本はトライアスロン大会出場コストが総じてかさむ一方で、ランニング系の大会なら気軽に出ることができ、ランに比重を置くのは合理的だし。
 
ただ、ワタシはあくまでもトライアスリートですよ、という場合に、優先順位リストの上にはもっと大きなのがあることが多いので。
 
日本では、ランニング分野の指導者や指導本が豊富。かれらはトライアスロンを知らずに、ランニング至上主義なアドバイスをすることも多く、それは口コミなどにも影響している。でも、トライアスロンには、トライアスロン独自の視点が必要。
 
先の要点である「ペースを低く抑えて我慢すること」は、長距離トライアスロンでは最重要項目の1つ、この実行度の差は、より大きなゴール・タイム差として表れるだろう。ならば、トライアスリートがマラソンに出る場合に、頑張らずにユルいままで=ぶっとばす誘惑に負けずに=抑え続ける能力は、なおさら大事ってことだ。
 
 
<冬春→夏前への3種目トレーニング戦略>
また「Reverse Periodization」は欧米発の考え方なので、殺人的に暑い日本の夏への対応も、日本人が独自に考え出さねばならない。これまで当ブログでは→ カテゴリー 「耐久スポーツの暑さ対策」 の8件の記事で、辛抱我慢に頼らない方法論を示してきたわけだが、まとまった年間計画としては未だ書いていない。 僕がトレーニング計画を持たないことによるのだが、その中で得た経験の断片はたくさんあり、それらをロジックで組み上げて、策を弄してみるとしよう。
 
唯一解のないのがトライアスロン、幾つもある妥当解をあれこれ考え出すのも、楽しみ方だ。
 
てわけで、2つ前に書いた→ 「リバース・ピリオダイゼーション」2. 冬は高強度バイクトレーニング」  の図に「夏前」を赤色部分で足した図がこちら:
20161206_190422
つまり、Bike&Runともに、夏前にロングレースに向けた距離対応を済ませておく。これに尽きる。夏前とは、殺人的酷暑がやってくる前、6月くらいまでのイメージだ。欧米の多くの真夏はこんな感じかな?(ただし雨&湿気は抜きで)
 
よく言われるように、日本の暑さは、努力によって対応できる限界を超えており、トレーニングによって耐暑能力を上げることは、現実的だとは思わない。普通に生活していれば、人体に適応可能な上限レベルまで鍛え上げることができるだろう。
 
僕は暑さに強く、そこには幾らかの体質や育った環境が影響しているかとも思うのだけど(蒸し暑い愛知県で、8月生まれ、高校まで学校にクーラーなし、家でもあんまり使わせてもらえない笑)、ともかく殺人的暑さのレースでの成績は良くて、そのためにしたことは、我慢せずに済ませる「逃げ方」の工夫に尽きる、という事実がある。
まして、「暑さが苦手」という方が、努力によって対応できるようになるとは、どうにも思えない。
 
 
<スケジュール>
ここで想定する各フェーズ時期は:
  • 冬: スピード 1−2月
  • 春: 移行期  3−4月
  • 夏前:距離対応 5−6月 (レースシミュレーション期)
各フェーズは2ヵ月とってみた。これは、人体の環境適応に必要十分な時間だと思うから。人体に適応可能な最高峰であろう「ヒマラヤ8,000m無酸素登頂」では、事前に4-5,000m前後に6週間くらい滞在する高所適応フェーズを取るが、それ以上の期間は不要、という例から考えている。
 
※練習が薄い(=質×量の総量が低い)場合には、各フェーズの仕上げにもっと時間を要する。ただ、薄いと、その間に退化も進んでしまうので、ある時期に集中して練習できたほうが効率は良い。
まあそれは理想であって、薄くしかトレーニングできない場合には、年間コンスタントに、できるときにできる限りやっておくのが良いだろう。
 
このスケジュールの場合、勝負レースが6月後半なら対応可能。6月前半なら、各フェーズを1-2週づつ短縮する、スピード期か移行期かをその分だけ削る、などで対応すればいい。
 
では、決戦が8〜10月の場合、どう考えればよいのか?
 
これは当記事の応用問題となる。また次回書こう。
 
 
以上のように考えると、6月決戦だとして、2月くらいまでは自由にトレーニング内容で「遊ぶ」 or 冒険することができる。 やたら理屈っぽいどっかのブログとか超無視してランニング徹底強化の限界チャレンジしてみるのも良いアイデアだ。それで故障したって治療時間はたっぷりあるのだから。
 
僕のオススメは、動作の探求そのものを楽しむこと。オフロード・ランを薦めているのもその一部。
 
確実にいえるのは、フォーム改造にチャレンジするなら今。そこで・・・
 
<おしらせ:三浦広司スイム講習会>
年内ラスト、動画分析ゼミ: 12/11(日)参宮橋青少年会議室18:15〜21:00→ www.facebook.com/events/160289534440174
 
 
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2016年12月 4日 (日)

トライアスリートの冬マラソン練習法 & 30kmの壁への新対応 〜Reverse Periodization3

前回続き。標準的な「期分け」の逆をゆく手法は、冬春のマラソン出場と噛み合わないようだが、まあ幾らかの修正で対応できるかなとも思う。以下、策を弄してみるとしよう。
 
もう1つ図を作った。下側の現状ペースのラインから、上の目標ペースを目指すトレーニング戦略には、あえて大別すれば「距離型」=右下 と、「スピード型」=左上の2種類ある。
 
20161204_112553
 
この図では、マラソン単体(距離軸の3つめ)では現状が1km4:30(Total3:10)、目標が1km4:00(2:48)、ロング・トライアスロンのラン(右のT42km )は現状1km5:00(Total3:31)から目標1km4:30へ、という感じ。まあ数字はなんでもいい。
 
<「距離型」アプローチ>
マラソンを頑張る方の多くは、なにかしら失敗経験=反省材料をもって取り組んでいると思われ、その大きなものが「後半のスタミナ不足」だろう。その対応として、30km走を繰り返し、42km走などもやってみる。ランニング界での伝統的な実績ある手法であり、これ自体に問題はない。
 
同様の練習をロングトライアスロン対策で行う場合、基本はバイクのロングライドだろう。その後にラン錬をつなげる「ブリック」錬によって補完する。これも、アタリマエの手法だ。
 
ただ、制約の多い市民トライアスリートにとって、それらは必ずしもベストであるとは限らない。注意したいのは、
  1. 時間がかかる (誰にとっても共通)
  2. 非効率な動作を(どちらかといえば)修正しずらい
  3. この12が組み合わさると、故障しやすい
このうち、1.の要素はどこかで必要なものではある。2.は集中できていれば対応でき、ビルドアップ走はそれに向いた方法だ。最も怖いのは3.だ。
 
「スピード型」アプローチ>
もう1つがスピード向上からのアプローチだ。これは「Reverse Periodization」とも整合的で、バイクに練習ボリュームを割いており、ランの時間枠はは控えめ、という場合に、練習効果を最大化すると、スピード系に寄っていくと思う。
 
図のオレンジの流れで、
  1. スピード向上: 4〜500mが、巡航スピードの最小単位かと思う。時間にして1〜2分
  2. スピード巡航: 20分以内、数km
  3. 少し遅く&少し多く: 100分前後だと思う(過去記事に書いている)
  4. レース本番は緩める: 上記123までと、基本は同じだと思う
という順序。
 
僕の2013年の初アイアンマン(と同時に初マラソン=公認されないが笑)チャレンジにあわせてみると、
  1. 2013年、リハビリから基礎ができた後の4月〜8月までのショートレース期間
  2. 僕の場合は1.に含まれる。1km×6本、2km×3−4本、とかのインターバル系メニュー
  3. 9月から、15km走(それまでガチ錬でやったことがなかった長距離)から始めて、30km走まで増やす。上記12の走りのまま、少し緩めることで対応
  4. (レース本番は最初からぶっ飛ばして失敗した泣)
となる。
 
2015年3月に書いたブログも、これを踏まえたものだ→ 30km走しなくても、ロングレースで勝てると思う
 
それによる成果報告は幾つか頂いている。その1つ、この1年後、同ブログも参考に、読者のトライアスリートさんが実際にフルマラソン3.5hから一気にサブスリーを達成した記録がこちらだ→ サブ3.5ランナーが、1年でサブ3を達成するためにやった3つの事
このブログ主さんは、9割インターバル、400mや1kmを重視し、30km走は(風邪のせいだが)一度もやらずに、大幅更新サブスリーを実現させている。
 
「30kmの壁」への新たな対応
このスピード型の4つめ、「レース本番は緩める」のが、後半のスタミナ不足に対する最も現実的な方法だ。後半落ちるのは前半飛ばしすぎたから。小学1年生でもわかるアタリマエ過ぎる理屈なのに、なぜ大人になると「走り込み不足だ」とか、余計なことを考え始めるのかな?
まずは基本書を読もう→
 
前半は抑え過ぎなくらいに抑えまくり、エイドでは歩いて、後半から勝負開始。
前半抑えまくっても、最大スピード(=500m維持できる巡航動作のもの)が上がっていれば、「最大スピード×抑え度」である「レーススピード」を上げることができる。
 
<まとめ
  • ラン錬は、短時間高強度でスピードを上げ、
  • 長距離対応は最大でも100分前後ランに留めておき(※距離ではなく時間基準=世界の主流)
  • レース本番では、前半を超サボって入る
  • こうして、バイク強化(ローラーによる高強度など)のための時間を確保する
という方向性で、冬マラソンと、春夏ロングトライアスロンとを、スムーズに両立できると考えられる。これまで書いてきたことと重なるけど、今回改めてまとめてみた。
 
 
<おしらせ:三浦広司スイム講習会>
会議室の動画分析ゼミ、一回限り:
同ゼミでは「クロールの基本は100m、長距離は緩めていけば対応できる」との考えから
  • 1980年代頃からの世界トップ100m選手の泳ぎを、時代を追って、解説('80-ゲインズ、ビオンディ、'90-ポポフ、等々)
  • 最新の100mの泳ぎ方の解説(マケボイ等)
  • 長距離への応用例(レデッキー、パルトニエリ等々)
  • トップトライアスリート(ジョディ・スワロー、ダニエラ・リフ等々)
と順に動画解説するセミナーを開催します。時代の進化により、速いクロールとは何か、階段を登るように理解します。次に階段を降りるように、長距離の競泳トップ→トライアスリート(=ツッコミどころ多)、と説明します。  
第二部では、各自の泳ぎの動画について個別解説していきます。動画ない方は12/5に撮影を。
 
<おしらせ2:「渥美半島の風」>
僕が寄稿した「潮騒のなかの祝祭」も好評いただく愛知県・渥美半島の情報誌「渥美半島の風」創刊号、月2回での発送です。
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2016年12月 2日 (金)

最先端理論「リバース・ピリオダイゼーション」2. 冬は高強度バイクトレーニング (&マラソンやっぱり非推奨?)

<最新トレーニング理論>

前回紹介した"Reverse Periodization" はトライアスロンのみならず、マラソン・ウルトラマラソン・自転車ロードレース(沖縄210km級のもの)などなど、4時間を超えるような耐久スポーツ全般に有効なもの。Google検索結果数は "reverse-periodization training" 104,000 件, "reverse-periodization Triathlon"10,200 件。論文も幾つか発表されている。

日本語では、耐久系分野では当ブログが一番乗りっぽいので、最新トレーニング理論といって構わないだろう(少なくとも日本語で書く限りでは・・・最新といっても3年のタイムラグがあるのが日本語の壁) なおFacebookでは少し前から少し話題になっていて、情報鮮度はFacebook=つまりは人的ネットワークがGoogle大王さまを凌駕する。

ボディビル分野では既に日本語の情報が。彼らのトレーニング理論への情熱には驚嘆あるのみ。(ちなみに競技雑誌の名前が「IRONMAN」笑)

英語の情報源を再掲すると、フリール先生は2013年に基本的な考え方をブログに書いている。(僕のKONAレース直後で、僕のは自己流)

2つめの「TrainingPeaks」は、彼が指導し、最近日本でも利用者が増えている。そのブログに、より具体的な方法が説明される。(英語苦手な方へ→  Google翻訳かけたリンク 作ったのでご参照。僕も長い英文の速読でよく翻訳かけてます)
 
まとめれば、こんな図になるだろう。
20161202_152850
説明しよう。
 
冬こそ高強度バイク
シーズンインまでの期間、3種目トータルでの最優先はバイクのFTP向上に置くのが、ほぼ全ての日本人トライアスリートにとって最も有効となるだろう。1時間一定ペースで出せるパワーを上げろってことだ。バイク重視なのは当然で、トライアスロン、特に長距離のは、そうゆう競技だから。
 
そのために、
  • 冬は室内ローラーで高強度トレーニング
  • 春になったら、長時間実走に切り替え
と、リバース理論に沿って組み立てる。 
 
冬〜春のラン
バイク最優先なのだから、ランは減らす。いっぱいトレーニング時間を取れるプロ選手ならまだしも、市民トライアスリートにとって、最優先しないものを捨てるのも戦略のうちだ。
 
具体的に、バイクで「心肺能力」という「汎用要素」を向上できているのだから、ラン練習では「ラン技術」と「ラン用の筋力」という「個別要素」に集中すればいい。それは年間計画の中で、緩めでも構わない。
そして春になり、バイクを短時間高強度から長時間低め強度にシフトすると、強度の点から、ランで短時間高強度を行う余裕が出てくる。時間制約の中で、バイクに長時間を取るから、ランは短時間しかできない、ということでもある。ランの本格的な強化はここからでいい。
 
まとめると、
  • 冬はオフロードとかを楽しく走っとけばOK!
  • 春に、強度を上げてゆく
これによりランニングによる身体負荷を軽減できる。トライアスリートの故障の多くはランニング練習過多によるもの。怪我はバイク実走が多く、寒いとリスクが少し上がるかと思う。寒い冬に、室内バイクと緩いランを組み合わせることは、怪我も故障もリスク低下できる。
 
・・・
 
ここまで読んで、賢明なる当ブログ読者の諸氏におかれましては1つの記事を思い起こすことでありましょう。そう、
 
 
もちろんこれは方向性とか優先順位付けについてのものであって、「八田が出るなと言ってるが・・・」的な反応をされても困るわけだが、少なくとも方向性レベルに限っていえば、僕のこの考えは一貫している。
 
結局は目的次第。もしもあなたの目的が:
  • 「マラソンもトライアスロンも楽しむこと」ならば、ランナーへの変身を楽しめばよいのだし、
  • 「トライアスロンだけを強くなること」 ならば、冬はバイク集中して、まあ大会では仮装ランナーへの変身を楽しんでもよいのだし、
と、シンプルに分岐する。みんなちがって、みんないい(微笑)
 
ただ、トライアスロンで高い目標を目指す場合には、時期、大会内容、プライベート・ベスト更新を目指す度合い、などなどによっては、往々にしてトライアスロン側の目標達成を妨げるリスク要因ともなる。中には、ランニング過多による故障事例すらも。せっかく努力しながら、残念なことだ。
 
ついでに書いておくと、僕が(いくらか嫌がれながらも笑)書き続けている大きな動機はこれ。こうした回り道や落とし穴を避けるための「考え方」の一例を示したいから。一人でもそんな人が増えればOK!
 
以上、リバース手法に従う場合に、このあたり整合的でないので、各自工夫してくださいな。
どんな手法も、自分なりの工夫が大事だ。
 
※追記:それでもマラソン出る、という方に向けて、次回、そのための一案を書いてみよう。
どんな手法も、自分なりの工夫は可能だ。  
 
・・・
 
なお、欧米発の情報は日本の真夏の殺人的環境を考慮していないため、ローカライズ作業も必要となる。この点、次回以降に改めて書こう。
 
<スイム
同記事では、冬のスイムは週1でOKと。これ一見、スイム軽視論のようにも見えなくもないが、「いったん記録向上を忘れて、ドリルなど技術向上に集中していい」ということ。これもやはり優先順位の話なので、バイクFTP向上が十分にできていて、空いた時間でスイム記録更新を目指せるのなら、素晴らしいことだ。タイム向上の中で磨かれる技術はあるから。
 
つまり、週1で、技術重視の講習会に出て、泳ぎを改造するのは、この手法からも推奨される。そこで・・・
 
 
<おしらせ:三浦広司スイム講習会>
詳細はFacebookイベントページ(見れない方は、メールアドレス記載でメッセージください)
撮影会;
会議室の動画分析ゼミ、一回限り:
同ゼミでは「クロールの基本は100m、長距離は緩めていけば対応できる」との考えから
  • 1980年代頃からの世界トップ100m選手の泳ぎを、時代を追って、解説('80-ゲインズ、ビオンディ、'90-ポポフ、等々)
  • 最新の100mの泳ぎ方の解説(マケボイ等)
  • 長距離への応用例(レデッキー、パルトニエリ等々)
  • トップトライアスリート(ジョディ・スワロー、ダニエラ・リフ等々)
と順に動画解説するセミナーを開催します。時代の進化により、速いクロールとは何か、階段を登るように理解します。次に階段を降りるように、長距離の競泳トップ→トライアスリート(=ツッコミどころ多)、と説明します。ちなみにリフ選手の泳ぎは「ひどい」(三浦コーチ談)が、現実にレースで戦えるレベルを確保しているわけです。その最低条件も理解していきましょう。  
 
第二部では、各自の泳ぎの動画について個別解説していきます。動画ない方は12/5に撮影を。
 
<おしらせ2:「渥美半島の風」>
僕が寄稿した「潮騒のなかの祝祭」も好評いただく愛知県・渥美半島の情報誌「渥美半島の風」創刊号、毎月5日+20日の月2回での発送とさせていただいております。今週末(12/4)までにご注文・入金いただければ、週明けに発送。
書評はブログ「オカンアスリートの研究室」記事などご覧ください→ 「書評:「渥美半島の風(創刊号)」(著:トライアスリート八田益之氏)」
 

2016年12月 1日 (木)

最新トレーニング理論 「Reverse Periodization」 序説

2013秋のアイアンマン世界選手権KONA226kmは、僕にとってロング初挑戦の一発勝負。
しかしロング用の練習は直前の6週間だけ。その年の目標は51.5kmでのランキング三連覇にあったし、前年秋の救急車事件もあって年末にゼロから身体を作り直し、ショート専用のトレーニングで手一杯という事情もあった。8月末にランキング確定させてようやくロング対策を開始したのだった。
その際の方法が "Reverse Periodization" だ。(といって明確に意図したのでもなく、結果的にそうせざるをえなかったのだが)
 
 
<Periodization=標準的な「期分け」について>
Periodization=期分けとは、月単位くらいの期間で、トレーニング目標を分ける方法で、世の練習計画と名の付くものはほぼ全てそうなっている。
 
長距離でよくあるのは、オフが明けたポストシーズン(orオフシーズン)から
  • 長時間×低負荷のLSD=ロング・スロー・ディスタンスから始め
  • 次第に負荷を上げ、それに伴って練習時間を減らしてゆく
これは耐久系プロ・アスリート達の伝統的な手法。古くは自転車ロードレースがそうだし、最近でも長距離トライアスロンのプロはそうしているケースが多い。
 
ただ最近では例外も目立つことは、僕のブログとFacebookでも紹介してきた通り。
 
端的に言えば、多くの市民アスリートには向かないと思っている。
例外は、基本的な耐久能力が未発達の、つまりは初心者。僕もこの過程を2009年11月頃〜2010年2月頃まで実行している。僕は基本 LSD否定論者 だけど、完全なLSD否定論でもないのです。「それ、状況が違うよね?」という話をしているだけ。
 
プロ選手が僕ら市民と違うのは、冬の時期から、毎日、一日中、トレーニングし続けられること。彼らの多くは、寒い時期に暖かな地方に長期合宿したりもする。全く前提条件が違う。自転車ロードの選手なら、3週間ほぼ休みなしに4,000kmを移動するようなレースにも出るわけで、その状況へのシミュレーションも必要だ。
 
 
Reverse Periodization=最新手法について>
そんなピリオダイゼーションをリバースするので、つまりは、
  • 「短時間×高負荷」から始めて
  • 「長時間×低め負荷」へと移行させる 
その大きな目的は、レース直前に、レース同様の練習を増やすこと。実に合理的だ。長距離レースとは、「長時間×低め負荷」で進行するのだから。
僕の個人的感覚では、51.5kmのスピードでは押しきれない4時間以上のミドルレースから、こうした対応が有効になる。
 
 
<僕の2013年の経験
10月に書いたブログ→ 量と質の関係:序論 〜「ポストシーズンの魔法」に向けて の図に加筆すれば、こちら上側、青いラインの流れだ。
 
20161201_223808  
 
 
<参考文献 

その方法論をブログで何度か説明しているのが、大御所ジョー・フリール先生。こちら公式ブログなどに情報あります(英語)

彼の「トライアスリート・トレーニングバイブル」第4版が紙の英語版ながらも国内でも売れているようだ。詳細は人気ブロガーによる解説シリーズ→ http://rumiokan.com/?cat=14 ご参照。ただしトレーニングの基本に徹しているため、「Reverse Periodization」など応用的な最新理論は深く書かれていないらしい。

 
(つづく) 
 
 
<おしらせ>
僕が寄稿した「潮騒のなかの祝祭」も好評な愛知県・渥美半島の情報誌「渥美半島の風」販売中です→ https://spike.cc/shop/user_3986276548
フォト

『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

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