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2016年9月19日 (月)

最新痙攣対策「クエン酸+塩ポカリ」の実証成功 〜伊良湖トライアスロン'16 vol.2

伊良湖トライアスロン2016、初めてやってみたことは、ざっと1ダースはある。実験は練習で済ませておくべきなのだが、レースも練習だと捉えれば構わない。
 
<実験リスト>
準備 ←先のブログの通り)
  • 直前3週間でレース用の身体を作ってみる
  • 前日に動き過ぎて、疲労を持ち込んでみる
装備) 
  • バイクのDHバーを平行にしてみる (従来のハネ上げでなく)
  • ウェットスーツのサイズを上げる (XSからSへ、ゼロディの場合)
  • 半袖ワンピースウェア(ゼロディTTスーツ)
  • ふくらはぎサポーター(CEP)つけない
  • 移動ラン限定で使ってた古いアディダスMana7のレース使用
補給)
  • ポカリに足す塩を増やし(1L粉末あたり従来推定1-2gを5gに)クエン酸も足す(5g)、
  • ショート以外では初めてジェル等のエナジー製品不使用、
レース運び)
  • スイム: 意図して単独泳しながら周りを見る
  • バイク: 入りをゆっくりめに
  • ラン: 前半5kmを普通にゆっくり、エイド区間5mのミニ・ウォークブレイク
本記事では、補給について書いてみよう。
 
 
<バイク補給>
以前から書いているように、「スポーツドリンク、という名前で販売されている清涼飲料水」は、日本の夏の耐久レースを想定していないので、塩のバランスは自分で考える必要がある。さらに、クエン酸の理論を、もっぱら運動開始後に応用してみたい(スポーツ専用ドリンクと同じような効果を期待できる)。
 
そこで大阪の研究家、石橋剛さんが提唱する、糖・クエン酸・塩の比率をもとに、ポカリ粉末1Lごとに足す量を計算。(塩=ナトリウム:Na100%と仮定)
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バイクパートは2時間ほど、ポカリ2L分をベースに考える。2時間で吸収可能な量を少し超える想定だが、残せばいいし、胃に残ってラン中に吸収してくれてもいいので。結論として、「ポカリ粉末2L分+(天然塩+クエン酸)各10g+水1.5L」を、ボトル2本に、濃度を変え用意した。さらに真水650mlを用意。つまり電解質濃度がゼロから高濃度まで3種類の計2Lちょっとの水分を積む。カロリーは計580Kcalくらい。
 
 
<痙攣防止の最新手法>
(不味い)味覚刺激には、痙攣防止の高い効果があることが、最新の海外の研究で明らかになっている。ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版2016.7.15記事を参照↓↓↓
引用)

「神経系から筋肉に送られるインパルスが何らかの原因で誤って伝達され、筋肉のけいれんを起こし・・・強い感覚入力を与え、口内と食道の受容体を刺激することで、筋肉を制御する運動ニューロンを含む神経系に変化を加える」

「マキノン氏(※ノーべル化学賞受賞者)は自分を実験台とし、キッチンでスパイシーなジュースを作り始めた。材料となるショウガとシナモンの分量に変化を加え、電気的刺激でけいれんを誘発しようとした。それから10年、同氏は自分の仮説の正しさに確信を持ち始めた。スパイシーな調合ドリンクを飲むことで、けいれんが起きにくくなった」

 
 
これを応用したのが、今回の高濃度ボトルだ。痙攣しそうな時に少量でも飲むと、すーっと改善する。クエン酸と塩の不味さに即効性があるからだ。さらにミネラル吸収が時間を置いて効いてくる。
 
※個人差が大きなことなので、各自、ベストな方法を探しあててくださいね。いうまでもないことですが
 
 
<やりかた>
作り方は単純で、出発前には、塩とクエン酸をおおよそ5gづつ入れたジップロックを2袋用意しておく。レース直前にこうゆう面倒なことはできないものだ。そして当日朝、
  1. 1つめのボトルに全ての粉を投入し、ぬるま湯で溶かしてドロドロ液を作り (このドロドロ液とジェルの違いはなんだろう?)
  2. その一部を2つめのボトルに移し、水で薄めて、飲みやすい濃度のボトルを作る。濃度は味見しながら決める
  3. 1つ目のボトルにはより多くのドロドロ液が残るので、水で薄めると高濃度ボトルのできあがり。こちらはどれだけ不味くても構わず、むしろ不味いほどよい
レースでは、時々の体感で3種類のボトルを飲み分けるので、事前に濃度計算してもムダだ。
 
バイク中のエネルギーはこれだけ。ランでもスポーツドリンク(たぶん低カロリーのVAAM)しか取らないので、4時間の全レースを通じて、ポカリの糖分だけしか摂らない、ということ。実際それで十分。
 
 
<レース中>
低濃度ボトルをDHバーに、高濃度ボトルをダウンチューブに、水ボトルをシートチューブにセット。 朝7時過ぎにトランジットにバイク預託する際には地面に置いておき、40分前にケージに挟む。これは、バイクBAYAMOのハンドルが安定せず、早く挟むとブラブラしてしまう(これニールプライドの細かな欠点)ための、窮余の策。
 
朝食はスタート3h〜2.5h前にかけ "僕にしては控えめに" (=周りにどう見えたかは別)。6:30に食べ終わり、9:00スタートで、バイクスタートは9:33ごろ。痙攣の予兆があり、数分後には低濃度ドリンクを少し飲んだ。つまり補給開始は食後3h過ぎからだ。
 
当日は、涼しくて全体の発汗が少なく、高濃度ボトルが半分余ったので糖を2hで400Kcalちょっと摂取した感じ。ただし、CEPカーフスリーブをつけなかったフクラハギには何度か痙攣の気配があり、その都度、高濃度ボトルを舐めることができたのは、よかった。バイクパートは最も長く、また痙攣しやすくもあり、やば!と思った瞬間にとれることが大事だ。
 
 
<ロング対応>
僕のKONA'13と宮古'15では、ジェルを何本か水に溶かしてボトルに入れたが、塩分不足による痙攣を起こした。特に宮古のアクエリは薄すぎてトライアスロンには向かないと思っている。
ジェル的な成分よりも、まずは塩、というのが今の仮説。実際に、常夏な環境で長時間ランを楽しまれるミドルエイジ(カタカナでかけばかっこいい笑)トライアスリートさんが日常的にこの手法を活用され、報告いただいているので、かなりな確信を持っている。
 
長時間の場合、濃度を飽和レベルまで高めて総量を増やし、(溶かしきれなければボトルを追加)、水分をエイドで受け取ることで、水とミネラルの総量×濃度をコントロール可能。濃度は胃でミックスすれば十分。
 
少なくとも、糖類中心と、塩系中心の、2本の高濃度ボトルは必要だ。塩系の所要量は発汗量により決まる。糖系は活動量と吸収時間による。状況が違うので、分けるべきだ。つりそうだったり熱中症気配のときには塩をとり、胃腸の負担を減らす。でも涼しくて筋肉ノートラブルなのに塩とりすぎてもまずい。
 
今回は、塩と糖の濃度を変えるところまではやってないけど、テキトーに作ったら高濃度ボトルに大量の塩が入ったことと、そもそものレース中の糖の所要量が少なかったことから、 問題なし。ここまでを4時間のミドルレースで試せたのが、今回の1つの知的・経験的な収穫。
 
今後は、ジップロックの小袋を作る段階で、塩(とクエン酸)の量を変えたのを別々に作り、個別にボトルに入れることで、もう少し管理の度合いを高めてみよう。
 
レース中に信じられるのは、結局、自分の身体の感覚でしかない。それは自分の体質、その日の体調、レース環境、いろいろなものの複雑な作用によって、その場限りのものとしてのみ生まれ、消えてゆくもの。科学とは、その感覚へと、より少ない試行錯誤で辿り着くためのジャンプ台として存在する。ここで書いたのは、そのための、僕なりの考え方。
 
 
<注意点>
  1. この2本のボトルは、絶対に落とさないこと!!
  2. 少し冷えた時期のレースでは、「暖かい部屋で作って、外に出したら冷えて、飽和点こえて、ボトル口で塩が凝固」という事態もありかねない。ややユトリを持たせて、レース直前に確認するのも大事
ボトル落とさない方法は、次回書こう。これも専用品は必要なく、総コストは2,000円未満だ。
←バンク対応でコスパ高いのはこの2つ。レースと練習それぞれ


『渥美半島の風』 (←公式ショップにリンクします)も各方面から大好評いただいてます、ぜひお読みを〜〜
 ←クエン酸は掃除にも使う。コスパ最高! 歯を痛めるので飲んだ後はうがい必須です

2016年9月15日 (木)

1年ぶりのレース、伊良湖Aタイプ総合8位/エイジ優勝 〜直前3週から前日まで

2016年9月11日、愛知県渥美半島先端の伊良湖、昨9月シカゴ世界選手権以来のレース出場。
 
<結果>
  • Swim 0:32:36 11位 (男子10位)
  • Bike 2:03:09 16位 (通過2:35:45 9位)
  • Run 1:27:17 12位
  • Goal 4:03:02 総合8位/M40-44優勝
10−9−8と種目ごとに順位を上げてくのも僕のパターン。いつもより少し大きな数字なのは置いといて苦笑。結果を気にしない分、いろいろ試してみたことはあり、学びも大きかったかな。そして、レースって楽しい、と改めて思った。
 
<1年間>
7月末に出版された『渥美半島の風』掲載「潮騒のなかの祝祭」  (←公式ショップにリンクします)初稿を書き上げたのが、この年末年始のこと。レースする気もなかった今季だけど、ここまで書いておいてその場にいない選択肢はないよね。
 
僕の競技力と文章力とは、ある時期までは相互作用で同時に上がっていたのだけど、どちらかを極めようとした時には両立したことがない。2014年までの人気記事はシーズン外が多い。読者増の最初のきっかけになった2013秋のKONAシリーズ3万字は、あーもーこれでトライアスロン辞めてもいーわーとさえ思いながら、一切練習せずになまってゆく一方の身体で書いていた。2015年はシーズン中からしっかり書いていて、おかげで読者さんは増えたのだが、競技成績への興味はほぼなくなっていた。最終戦のシカゴの後は、三浦クロール講座など有料コンテンツの制作に踏み出して、以後、レースに出場すらしなくなった。「潮騒のなかの祝祭」の磨き上げは断続的に続き、さらに初夏からは10万字(進行中)、2万字(完了)、とヘビーな書き物が次々と登場し、僕にとっての新たな力試しの場になった。レースって昔やってたなあ、て思いながら。
 
<3週間トレーニング>
5月、伊良湖Aの出場通知。短いBタイプなら前年総合2位のシード権が使えたけど、伊良湖を語るのに、Aタイプにしかない太平洋岸一直線の折返しラン区間を体験しないわけにはいかない。落ちたら今年はレースしないつもりでAに応募したのだった。
 
レース中に脚が壊れたり心臓が止まったりするのもカッコ悪いので、最低限の準備はしなければ、と時々思い出したように動いてみる。まあ、3km以内の移動ランとか、往復30km以内のクロスバイク移動とか、技術だけ考えたゆったり水泳とかは、日常的に続けてはいるのだけど、これは生活習慣の一部なので。
 
練習記録をみると、定番のオフロード5km走の1km平均で、6月末@5:05, 8/4@4:53, 8/8@4:50, と、微妙に上がってはいくものの、依然ピークより1km1分くらい遅い。20kmなら20分。
 
そろそろヤバいぞと、3週前からレース意識の練習を始めた。
  • 8/20: まずバイクのホコリを払い(ええ、そこからです)、700mの緩斜面6往復、からの芝生Runを100分間じんわり計15km、平均6:40/km
  • 8/21: Bike150分間かけて細かい起伏をじっくり(距離は興味なし)
  • 8/22: 休養
  • 8/23: Bike120分間の起伏+700m緩斜面ダッシュ×4、Swim130分、最後に200mがんばって3:07(短水)
  • 8/24: Bike700mダッシュ×4(総距離は10km未満)
  • 8/25: 標高2000m超の高原で2.5hに渡り15kmを移動
この6日間の集中刺激ウィークが、2週後、十分な成果を返してくれたと思う。
 
「これだけで?」と思うだろうか? そう、「目標」が明確なほど、あれもこれもやろうとしてはいけない。その目標達成に有効な「目的」にだけ集中することだ。ここでは、ゆっくりめ&やや長めの動作で、耐久性能を部分的に戻すことが目的。たまに短い刺激を入れて、ほどよく筋力を戻す。その負荷量と休養とのバランスが、目的を実現するための最大のカギだ。
 
こうした急な立ち上げの疲労は、気をつけてはいても、数週間規模で身体の深部で続くものだ。今回では、レース10~5日前頃には全然身体が動かなくなった。Swim200m全力で3:15(長水)とか。でも、やり過ぎてはいないので、レースまでには戻せる確信があった。少し体力が戻った3-4日前、再びレースペース錬を30分以内でのみ復活させる。この疲労感は直前まで続いたのだけど、多少の疲労感なら、意図してレースに持ち込むつもり。特に練習不足の時には、直前まで負荷をかけ続けたほうが、レース成績を上げると思う。
 
<伊良湖へ>
東京生活者の僕はクルマを使わず、移動は全て電車だ。木曜夜、新幹線こだまと鈍行列車を乗り継ぎ、実家へ。自転車以外の荷物はMacとか(もちろん例の電源アダプタも笑)最低限のもの以外は全て送っておき、今回はレース前なのでシートポストとDi2バッテリーも外して送って、担ぐ負荷を減らす。輪行の身体ダメージは大きくて、僕は最近は前日移動は避けており、前日移動時にはバイクを事前にヤマト便で送る。ヤマト便は楽なようでそうでもなく、事前に大型ダンボールを確保し(ソフトケースよりはるかに安全)、分解梱包し、また組み直す手間が大きくて、できるだけやりたくない。
ちなみに、これらの手間は、僕がレース参加数が必要なJTUランキングへの参戦をやめた理由の1つだ。年に1回くらいなら、新鮮で悪くないんだけど。
 
金曜は完全休養、土曜午前に親のクルマで伊良湖に入る。
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受付前の時間でバイクコースを試走。ほとんどクルマのない、たまにあってもレース参加者かゆっくりな農作業軽トラくらいの、海沿い平坦は気持ちいい。赤トンボもいっぱい飛んでいる。たまにヘルメットのバイザーにバチンと当たって可哀想だけど。3回くらいポジション調整を入れながら、14kmコースをほぼ2周。前日に走り過ぎなんだけど、今回の目的はレース成績よりも、レースの体験そのものにある。少しの疲労ならレース中に持ち込んだ方が、次のロングレース対策にもなるし、と開き直っている。速度はせいぜい36kmhくらいまで、全然上がらないけど、それも気にしない。
 
受付ではいきなりマーシャルの方々に次々ご挨拶いただき、参加者さんには「本どこで売ってるんですか?」と聞かれ。「いや僕も知らないんですよ、いってみないとわからないんです」と答えざるをえないような、ユルい仕組みであの本はやっとります笑。
 
宿で荷物を預けると、ロビーでceepoの展示会。ジョー・タナカはどこであれ行くと居て、一体何人いるのか? 同行される岡崎「とらいあんぐる」神谷店長と、最新器材やポジションについて(どちらかといえばその闇について)しばし話し込む。レース前後は、遠くの知人とリアルに話せる貴重な場、時間はいくらあっても足りない。なんでもそんなもんか笑
 
次いでSwim会場で試泳。これも気持ちよくてほぼ2周。およぎすぎ! クラゲはあちこちいて、クラゲよけクリームSAFE-SEAを顔に塗ったのが直前過ぎて(乾かす時間が必要)、一度ピリっときた。浅瀬〜砂浜部分は、干満も考慮し、当日のベスト・ルートを予想しておく。
 
3時に部屋に入り、3時半の説明会に出て、4時過ぎに前夜祭会場へ。本の担当の方を見つけ、
 
「どこにしようか? ここがいいかな? あ、机ないね(笑)」
 
とパイプ椅子に本を並べて販売開始。「ゴール前にいます」とFacebookに投稿。しばらくして机が届いた笑。そんなユルさでも10冊ほど売れてよかった! 見つけれなかった方ごめんなさい!
 
(続く)

2015年9月17日 (木)

伊良湖トライアスロン2015総合準優勝レポート vol.4 Run編 〜振り子走法は「デブほど上りが速い」

シカゴでイラゴのイチゴ。伊良湖’15レポートをシカゴで公開。せっかくシカゴなのにー宿題をやり残してはいけません! と行きの機内で書き終えたです。ただいま1日目の夜9:30。気持ち良くつかれたー!
 
イラゴ最終回はレースRun編と、そこで使った、体重を推進力に変換する「ディフェンス系」ランニング技術についても少し解説。そう速くはないが、少々コンディション不良でも崩れず、そこそこな順位を防御できるしぶとい技だ。
 
◀ Run ▶
レース、Bike3周目後半にさらに一人抜かれ、5位でT2通過。
ランは、入りの1km近くがほぼ唯一の平坦区間。ピッチ重視の力をかけ過ぎない走りで、ラン用の筋肉を落ちつかせたい。GPSが示すペースは1km4分。上がらない。去年はここで3:40くらい出してた気がする。でも、レース中に対話可能な相手は「今ここにある自分の身体」のみ。
 
片道5kmに50mの岡を2つ超え、その間は完全な平坦が殆ど無い。脚は去年のようには動かず、肩甲骨を激しく揺さぶって発生させる遠心力でイモムシのように着実に鈍く進む走法を選択。1つ目の登りに入り4位通過さんが「キツいですね、、」私「そうキツいよーここは!」と声を掛けながらパス。2つ目の上りに入り3位通過さんをパス。ここで今日始めて総合3位表彰台に乗っかる。
 
途中、太平洋を見渡す絶景ポイントでは、強烈な向かい風。山中のランコースでは気付かなかった嵐。Bタイプの多くはバイク中で、大変な状況であろうことに気づく余裕は無かった。ただ、風の抵抗を最小限にするようゼッケンベルトの位置を治しただけ。
 
折返しで、1-2位との差を確認。1位ヤマモトさんは去年のざっと2倍のリード、2位イマエダさんは去年のヤマモトさんと同じか少し近いかな。復路=3つ目の登りに入り、後続をチェック。コンドウさんは見事なスピードだが、安全リードと判断。最終目標を2位と設定し、ペースを上げる。
 
写真は、復路3つ目の上りを終え、なかなか見えてこない前2人を追う緩い下り。
すれ違う背中はいわゆるイケノチヒロとして知られるクラウチめだか選手の往路。上りなのにまっすぐ伸びた綺麗なフォームだ。
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撮影はシバタタクヤ学校(正式名スカッ!とタクヤ、だっけ)応援団の反保 秀明氏。嵐の今回は、応援し続けるほうがたいへんだ。彼らどの大会でも、ゴールまでもうひと頑張り、という苦しい箇所に陣取って応援してくれる。でもカネ払ってない僕まで応援していいのか!?笑
こちらは前後するが、同じポイントの往路=2つ目の上り。1-2枚目の位置関係から、A-typeの後続選手との明らかな速度差がわかるだろうか(エヘン)
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◀ Runフォーム解説 ▶
僕のRunの基本は、たびたび書いてる通り、振り子運動により、体重を推進力に変換するイメージ。
上りでは、体幹で推進力を作る。肩のローリングで腰を回して、その結果として脚が振り回される。デンデン太鼓みたいな。肩が動くのは肩甲骨を動かした結果で、肩に意識は無い。「腕ふり」というが、腕はもっと意識が無い。
下りでは、上体を揺さぶりながら身体を前に放り投げてる感じ。着地でブレーキを掛けない脚の末端に意識を向けるのが上りとの違い。
 
実際には、上りでも脚の末端部をより使う=足で蹴る走りの方が速い。(→足底筋炎などのリスクも上がるけど)
また下りの写真からは「かかと着地ブレーキ」も「ヒザ曲げすぎ筋酷使」が多発してることがわかる。今季、良質のトレーニングが不足している結果だ。
まあでも、今回の保守的レースとしてはこんなもんで上出来かな。
 
◀ 秘技「ナンバ走り」 〜デブのが上りが速い現象 ▶
ゴール1.5km前からの最後の上り、イマエダさん(次に登場)に追い付き2位へ浮上した直後の動画をFacebookに上げている。3人めはA4位のエンドーさん。僕のがドタドタと醜い走りだが、ピッチが高い分だけ速い。GPSによれば1km4:15くらい。
上体をデンデン太鼓のように振って末端=脚を振り子運動させる、先述の走法。しかし、Bikeでの大腰筋酷使もあり、モモが上がらない。すると、摺り足で上体をハネさせない古武道の「ナンバ走り」のようになる。
接地時間が長く筋稼働効率は悪いが、上下動は少なく対重力効率は悪くないため、デブのマイナスは相殺される。
さらに、動力源である体幹部の質量に比例して出力は上がる。
これが「デブの方が上りが速い現象」の理由かな。
 
◀ でも1kmペース25秒落ち ▶
今年のゴール地点を起点とする9.2km区間でペース比較をすると、今年は往路1km4:18, 帰路4:15の平均4:17。去年は3:55-3:49で3:52(はや!) 1km25秒差はトータルで4分超の差。今年の1位とのゴール差は3分55秒だ。Runだけで1位を逃したと言えるが、まあBikeとRunは一体であり、Bike練習不足が効いている。
 
このパフォーマンス差は、結局は目標設定と意思の問題。先に書いた通り。
まあ、何年間も高く保ち続ける気は僕にはないので、まあこんなもんだ笑
 
繰り返しておくと、僕はそう速くはないのです。しぶとく結果を手にするのです。
 
◀ 装備 ▶
起伏が連続するコース特性上、クッション性重視のシューズが最重要で、Brooksのローンチ2を使用。基本使わないヒザから下は、CEPのスリーブでサポートする。
足首丈のショートソックスも用意したものの、トランジション短縮のため使用せず。ただ、これは数秒のロスをかぶってでも履いた方がよかった。シューズ自体は裸足で問題ないのだけど、雨で濡れた砂が靴に入り込む状況では、擦れてしまう。
 
Z3R0D(ゼロディー)ウェアは極上のフィットで「おせーよデブもっと速く走れよ」と急かしてきた。先の在庫処分セールで買った知人も高性能ぶりに驚いてたよ〜

◀ おしまい! ▶
話をレースに戻す。
最後の数百mの下りではデブの僕が絶対有利とみて、峠がゴールのつもりで駆け上がり、下りを体重任せにフリーフォールさせて、そのままゴール。
 
今年の出来で総合2位は、いま出来るベストを尽くした結果。Bike-Run, とくにBikeを、7月に練習しておけば勝つチャンスは十分あっただろうけど、それは客観的な分析としてであって、主観としては大満足。
 
伊良湖へは4度行き、1位1、2位2、台風中止1。ずいぶんと楽しませていただいた。インターハイ予選みたいなJTUランキングシリーズ大会と違って、地元に根づいたローカル大会は楽しい。て両方あるのもあるけど。
 
できれば、少し時間を置いて、この地域と大会の魅力について書いてみたい。トライアスリートではない普通の人達を対象に。
追記: その詳細は、1年後の2016年夏、地域情報誌「渥美半島の風」への1.7万字の寄稿となりました。お買い求めはこちらサイトから ▶ 

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2015年9月16日 (水)

伊良湖トライアスロン2015総合準優勝レポート vol.3 Bike編

シカゴ世界選手権へ向かう成田なう。2010年からのJTUランキング参戦の最後を飾る日本代表公式派遣、5年半よくがんばったオレ。自分を褒めてあげる。いまのうちに伊良湖レースレポート書いとかないと。
 
◀ Swimまとめ ▶
前回、伊良湖Swim編をまとめると、3位への付き位置(=真後ろに付く戦術)を取れたことに満足し、結果、それほどタイムが伸びてはいない。まあそれでも、2位今枝さんとの差は、距離差(GPS実測で去年1.0km、今年1.7kmとか聞いたような)と最後のコースミス15秒?とを考慮すれば短縮しており、また去年少し先行されたヤマモトさんに1分30秒差を付けることはできたけれど。
 
このように、レース中の自信の程度は、レースタイムにも反映するものだ。
練習まで含めれば、もっとそうだ。
 
自分のことを、どれだけのトライアスリートと認識するかで、練習の質は劇的に変わる。僕はその上下ともに経験しているから、確信を持って言える。
パフォーマンスを決める根本は、セルフイメージの度合いだ。
 
◀ Bike ▶
ウェーブ4位通過で、前を追う。前に居るはずの今枝さんとの差を少しでも詰めたい。後から追ってくるであろうヤマモトさんやコンドウさんから、少しでも多く逃げたい。
 
はじめは90回転前後の高回転で直線7kmを38kmh台、折返して少し落ちる。1周目おわりにビューンという風切音と共に一人抜かれ、抜き返すが、再び抜かれる。先の写真はこの頃。
二周目に入って、さらにゴーーーというディスクホイール特有の太鼓が響くような音とともにヤマモトさんに抜かれる。つまり、Swimの1:30差(=Bike1km)を14kmほど(20分ちょっと)で追い付かれた=1km6.4秒、時速差は3km近い?
伊良湖のBikeコースは狭くて混雑するので、距離を10m以内に保って前にペースメークしてもらうのがベスト。
Img_3553Img_3554写真はBike21-2km地点か、Yosuke Kashima氏撮影。
 
とはいえ急場ヤッツケなBike, 次第に離され、3周目に入ると見失う。
でも意外と維持できてるなあという気もして、最後の3周目、55×11のアウタートップにギアをあげて、70回転代でグワングワンと回す。
この感覚が本来の僕の走りに近い。1周めにこれをしていれば、二人に追い付かれるのも、離されるのも、幾らか遅らせることが出来たろう。
さらに練習からそうしてれば、二人に追い付かれることもなかっただろう。ベストパフォーマンスであれば。
 
◀ 技術解説 ▶
写真前からは、僕の「姿勢≒空気抵抗」の低さが見える。も少し小さいヘルメットならもっと減るか。
 
みんなから言われるのはサドルの高さ。
どちらも、しっくりくる位置を微調整した結果とりあえずこうなっただけ、根拠も自信も一切ない。
3周目の低ケイデンス走では、よりサドルの前側に移動した前乗りで、ハンドルからの上体筋力で体重をペダル上に移動して、ペダルに体重を落とすイメージ。
きちんと練習できていれば、この回転数を80台に持っていける。(1−2枚くらいギアは落としてでも)
その中で動作をスムーズにしていけば、筋肉疲労も抑えることができるはず。
そのイメージだけ、思い出した。
 
前日、Ceepoをロング向きアップライト設定で試乗した時、こうゆうポジションは試してもいないなあと少し驚いた。まだまだ探求は続く。
その前に来季は、ITUドラフティングレース仕様を新たに探る。
 
◀ レース経験 ▶
こうゆうのが、直前3ヶ月くらいの期間でのレース経験だ。
去年までは、こうゆうバタバタしたレースを5−6月に経て、トレーニングで修正してから、勝負レースを迎えている。
このように、レースは最高のトレーニング。とくにBikeはコース特性として、1時間の全力平坦走は実質的にレースでないと出来ない。一方で、準備、時間、費用、気持ち、あらゆるコストを浪費する。
効率を重視するなら、日々のトレーニングへの集中度を高めねばならない。
 
◀ ウェア ▶
Z3R0Dのパッド無しモデルを使用。たまたま代理店さんで余っていて、優待いただいたという裏事情があり、少々宣伝に協力しとります。
ISMサドルが柔らかいので(そのぶん重い)、ウェア側にパッドはほぼ要らない。その分、ランで軽快に走ることができる。
このウェアの生地の軽やかさ、柔らかさ=伸縮性、は圧倒的で、従来のASICSとは全く別物。空気抵抗も低いはず。
 
とかいって、転倒時のガードを兼ねてDesotoの掌一体型のアームカバーと、CEPカーフスリーブ(ウルトラライト)をしていて、これは少し空気抵抗を発生するだろう。そこまでは気にしない。
 
◀ 痙攣対策 ▶
痙攣を怖がる人は多いけど、なりそうでならせないのも、技術の1つだと思っている。
練習不足の脚は、レースでの高強度の筋使用にびっくりして痙攣を起こしがちだ。
その理由の1つは、必要以上のパルスを大脳から筋肉へと送っているのだと解釈している。攣りそうなら、筋肉に出す電流の量を抑える。この微妙なサジ加減と、塩ほかミネラル分のバランスとが、両輪だ。
 
ボトルには、750mlの水に粉末ポカリスエット1L分と塩少々の濃いめボトル、650mlに水。時々の状況で飲み分ける。
案の定、バイクで巡航速度に乗せてほどなく、内モモが、次いでフクラハギが、ピクピクし始める。
 
フォームを体幹駆動へと落ち着かせ、脚筋の稼働率を下げることで、モモは落ち着きを取り戻すものの、フクラハギのピクピク感は残る。
濃いめポカリの大部分を前半に飲み、ミネラル分が回るのを待つ。その間、CEPカーフスリーブは薄い生地でフクラハギを強力サポートしてくれる。
これも高性能ウェットスーツと同様に、「装備と技術の相乗効果」で、装備があるから痙攣しない、というわけではない。「技術を装備によって強化する」のだ。言い換えれば、装備抜きでも出来る、ということが基本。
  

2015年9月10日 (木)

伊良湖トライアスロン2015 vol.2 Swim編 〜三浦理論とZ3R0Dウェットスーツの相乗効果 (のキザシ)

もう来週末はシカゴ世界選手権。ブログ書く気力なく、小さな分析報告をFacebookに小出しにしてきたけど、情報として残るのはこっち、今伊良湖を書かないともう書けない気もするし、がんばって書こー。
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撮影:シバタタクヤ学校応援団の反保さん、共演イケノめだか選手
 
◀ 当日9/6
本来、Bikeポジションは直前に悪あがき急変更してはいけない。短距離とはいえレースに近いペースを繰り返すので、疲労が残る。わかっててもやめられないワタシである。
 
当日朝になっても身体は重く、睡眠は足りてるのに、ベッドで寝転がってたい。前夜にちょっと咳も出たのは、新幹線など移動でマスクくらいしとけってことかもしれん。物理的にも重たくて、当日朝食前で過去最重レベルの63.0kg(165cmです)。少々脂が乗っておる。ちなみに過去最軽量は59.5kg。
ただ、こうゆうのは、それほどパフォーマンスと関係なかったりもする。淡々と準備するのみ。
 
7時から朝食、バイキングで、米、味噌汁、魚、トマト、山芋、カレー、珈琲牛乳、甘いもの少々など、30分間ひたすら食べ続ける。かつては1時間近く食べ続けたこともあったけど、最近は控えめにしている。あと最近は、甘いものの割合をかなり減らし、インシュリンが作動しないようにしている。
ゴール予想は13時過ぎ、その5時間前=8時まで食べても、スタートまで3時間あって十分。これだけ食べれば、ショートレースなら途中の補給はスポーツドリンクだけでいい。
まあ細かい変更はあっても、過去30レースか、一度も胃腸系トラブルの兆しもなかった頑丈な内臓さんにはつねづね感謝。
 
招待宿泊の伊良湖シーパーク&スパは、スイム会場をテラスから見下ろせる。伊良湖のホテルでは、山の上の伊良湖ビューホテルが圧倒的に素晴らしく、その差は拡大してるようにも思われるのだけど、レース宿泊なら、会場すぐ近くなのは本当に便利だ。
 
8時過ぎ、当日受付と同時にBikeも置くつもりが、時折激しい雨、直前に持ってくことにした。伊良湖の運営は全体にユルめで、預託時間の制限もなく、Aタイプ選手がSwimアップする中でも遠慮しながら持ち込めばいい。 トランジションに開放的な明るさがあって良い。
 
Aスタートの9時、テラスから見下ろす。しかし選手は出てこない。もしやデュアスロン?と不安になるが、ほどなく隣室さんから情報いただき、AタイプはSwim3周を2周に短縮し30分遅れでスタートだと。Bは予定通り実施。
前回書いた練習状況から、今回はスイムが無ければ困る。短縮でも不利。3種目開催できて本当によかった。
 
◀ SWIM ▶
1.5km(実測1.7との情報も)、25:54、カテゴリ4位(女子2名が速く全体6位)
まだまだ改善余地は大きいが、変化への兆しはつかむことができた。
 
今枝誠コーチは後述するコース特性を見抜き、左端に陣取る。たしか去年は右側でバトルを避けた。的確な判断。そしてその隣に私。
 
スタート3分前の「気合入れ」を頼まれる。Aは谷さん担当、Bはたぶん今枝さんが担当されそうなところが、今枝さんが隣の私に振って頂いて、お受けして、なんかワーワー叫んだけど、どこまで届いたかな? 38度線スピーカー的に遠くに飛ばす体育教師のような発声は難しい。いや、聞こえなくてよかったか。
 
スタートし、今枝さんの後ろにつくが、ほどなく少し離され、かわりに少し外側に良いペースの方が表れて、後ろにつくことにする。
初のZero-Dウェットスーツ、前日に、ぐるぐるピッチを上げるよりも、浮力とキャッチ力を活かした「伸びるクロール」が合うだろうと判断したのは前かいたとおり。まだ開発途中の泳ぎではあるが、パチンとハマった。
少し離され気味なところでは、開発中の「呼吸側ストローク1+反対で3キック」の4キックを使うと、簡単に追い付ける。スタートで今枝さん相手にこれが出来れてれば、もっと迫れたかもしれない。
 
1周めの帰り、前の選手がコースロープの内側を泳いでいる。ブイは回っているで反則ではないと思うけど、一応、僕は外側に出て、ドラフティング効果を失う。けど、意外と速さは変わらないもんだ。
 
一度上がり、最も有利な内側コースロープ沿いまで砂浜を大周りし走ってから泳ぎ始めるが、前の方は、直線上の最短距離から早めに海に入る。先行できたが、再びドラフティング効果を失ったということでもある。ブイで合流し、後ろに付く。
途中キャップが脱げそうになり、頭にクラゲがベチャーと絡まると嫌なので、一瞬キックだけ打ちながらはめ直す。僕はアタマがでかいので、通常キャップでは、耳までかけると無理があり、こうなりがちだ。館山もそう。耳は基本、出していこう。大きめキャップを内側に被ってもいいかもしれない。
 
最後のブイを回ると、途端に周回遅れ組が大量に表れ、前の方を見失い、今度は僕がコースミス=SWIMゴールから離れてしまって、幾らかロスをする。
 
実質的に3位同着でSwim終了。過去2大会は9位くらい前後だったので、すごい進歩だ。
 
新技術と新装備とを、おそるおそる試しながらなので、使いこなせるようになれば、まだまだ伸びる。
 
◀ SWIMのスタート戦術 ▶
9:30のA-typeスタートを、テラスから撮影。
見ての通り、今年は左のイン有利のコースレイアウト。去年が第一ブイまでの距離が短すぎた反省から、斜めにして距離を取ったんだろう。それにしてもちょっと、、、そして参加者は去年の記憶から、アウトに陣取る方が多かった。
 
なお最後5秒は、B-type 3-4位の上陸&再入水。後から走って抜いてゆくように見える(=カメラ位置の関係)のが僕で、砂浜を遠回りしてイン端に走っている。泳ぎ始めると、僕の方が実際に先行できた。
こうゆうコースと潮位に合わせた戦術もトライアスロンの一部だ。
 
◀ Swimドラフティング戦術 ▶
今回の反省を踏まえた結論は
  • スタートなど、前に追い付くためのドラフティングは重要だが
  • 巡航に入ったら、前を攻めていい 
2つ目について慎重になりすぎて、前の今枝さんとの差が拡がってしまったし、そうしたとしても、体力ロスはそれほどでもなかったな、という印象。
 
◀ 新技術 ▶
練習会の元ネタである三浦広司コーチのアドバイスから、このところ新たな感覚が急速に芽生えている。ここから泳ぎこむことで、レースタイムに反映されてゆくだろう。Facebookでは、
と小出しにしてきたので軽くご参照を。シカゴ終わったら纏めます。
 
◀ 新装備 ▶
Z3R0D=ゼロディ社の最高製品VFLEX=ブイフレックスを投入。
 
高額装備も、それだけで劇的な成果を上げることは、ありえないと思う。
ただし、装備が、感覚・技術を伸ばす、ということは十分ある。
今回も、Z3R0Dとと三浦理論、どっちがどれだけ効いてるのか? というと、相乗効果、ということだと思う。
 
まず技術/スキルが普遍的なものとしてあり、Z3R0Dはあるべき泳法技術に基づいて設計されてる印象。この順序に沿って、Z3R0Dを活かす泳法の詳細は、技術論のあとに説明しよう。
 ←大手ショップが投げ売り中。基本構造は同じはず。今回贅沢にも使用したエリートレース用 "o-suit" も6割引。極上のフィット感には周りで買った人達がみな驚いとります。水着は7割。
こうゆうマニアな製品は、大手には向かない気がするから、こうゆう事態はもう起きないと予想。つまり早い者勝ち!
ついでに書いとくと、季節柄かわいいミズクラゲはいっぱいいて、途中、ストロークの手がグニュっと柔らかいものを掴んだり。クラゲの触手は下側なので、上からアタマを抑える限りは問題ない。問題は顔で、たまに頬に軽くピリっとした刺激があるけど、SafeSea塗ってるので痛くない。  (Bike&Runに続く)

2015年9月 7日 (月)

伊良湖トライアスロンB総合2位、超きもちいーー! vol.1準備編

前年優勝による招待選手として出場の伊良湖トライアスロン大会、B-type総合2位でゴールできた。レースは僕がゴールした数十分後の午後2時頃から酷い嵐となり、途中中止。表彰対象者も発表されていないけど、2番目にゴールできたという事実で十分。
 
今年は4月の宮古の後、もーやり尽くした〜!感が出てきて、完走て楽しー! と書き続けてきたけども、やっぱり、今できる範囲内での限界ギリギリまで力を尽くせるのは、気持ちいい。こうゆうのは、レースだけにしかない。
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(Facebook鹿島洋輔氏撮影「2015伊良湖トライアスロン応援」より)
 
伊良湖は、全国的には「佐渡トライアスロンの裏」的なポジションだろうけど、こちらも開催29回目を迎える伝統大会、東海地区トライアスロン界の大きなお祭りだ。最近は地元の若手が運営に入り、毎年、工夫のあとも見える。とりわけランコースは、僕の知る範囲では最高に楽しい。この大会の魅力については、もしかしたら後で、一般人向け媒体=無名ですけども=に書くことになるかも。
 
レースレポート、記録未発表なこともあり、まずはレース前だけ。
 
◀準備▶
自転車は6末の館山大会から7週間、完全にサボる。たまに普通ペダルのクロスバイクで10-20kmくらい走る程度で。今回の3週間前に慌てて1週間ほど山で乗リ始めたのは、Facebookに書いた通り→ https://www.facebook.com/Masuyuki.HATTA/videos/vb.1103416877/10204712737834007/?type=2&theater  その初日は固定ペダルと高いサドルに戸惑ったが、なんとか身体の感覚は戻った。で安心してまた乗らなくなり、1週前に再び慌てて平坦3km走を6本くらい。2日前の金曜に短距離を繰り返してポジション調整。前日にも試走しながらポジションをいろいろイジって、途中シートポストのネジが締めきれておらずズドンとサドルが下がったりして。(それくらいでバランス崩しはしないけど、レースなら大変だー)
 
ランでは、伊良湖の特徴である起伏ばかり続くコースに向け、1週ほど前に想定練習を一度だけして、まあ悪くないタイムだったけど、以後、筋肉痛とか言い訳して、続きを出来ず。去年までよくやってたBikeとの組み合わせも殆どしていない。
 
唯一マトモに練習してたのが水泳。三浦広司さん理論を直伝され、資料化する作業を進めていて、その過程で僕の頭と身体の中にあったクロールというものが、ガラガラと解体され再構築されている途中だ。新技術はようやく掴み始めた途中ではあるけど。
 
さらに装備面で今回、Zero-D社さんの協力で、最高級ウェットスーツ「Vフレックス」を投入。10万円オーバーのハイエンドを使って結果を出さないわけにいかない!
 
◀慣れ▶
Bike-Runとも、これくらい練習すればこれくらいは行ける、という想定が、わりと出来るようになった。「サボってる間も、最低限これくらい続けてれば、3週間であれくらいには戻せるかな」とか。完全に一致することはないけど、8割がた見える感じ。
 
わかっているならやればいいのではないか? という疑問はもっともだが(明日やろうはバカやろう理論)、わかっていることをやる必要もない、ともいえる(明日やればいいことは明後日やってもいい理論)。優勢な勢力は僕の中で時々に入れ替わっている。常時スイッチを入れっぱなしにしてるわけにもいかないし。
 
Swimには、そうゆうある種の自信のようなものが無い。そんな中で、未知の希望の道が表れると、新鮮に取り組むことができる。というか、ハマる。(明日やろうは今日やろう理論)
 
◀前日▶
朝11時頃会場に着き、クルマでBikeコース1周、次いでBikeで。路面が粗い箇所が幾つかあり、タイヤは7.5気圧では高過ぎる。岡崎の有名店とらいあんぐる=伊良湖には顧客67名が出場されたと=の神谷店長に相談すると、「ハッタリくんなら7気圧、あと天気次第かな」と。当日は6.8‐7.0とした。
 
CEEPO田中社長が神谷店長と一緒に試乗ブースを出していた。自分のポジション調整に集中するため試乗する気は一切なかったのだが、田中社長の言葉巧みなセールストークに意思に反してちょっと試乗してしまい、さらに、あーこれなら宮古の失敗はなかったかも! と思ってしまった! 恐るべし田中社長!
社長御自らBayamoに跨って数十m走り、ポケットから巻き尺を取り出しあちこち測り、「やっぱりBayamoはTTバイクだね、うちのはトライアスロンバイクなんだけどね」と。フロントセンター長の差により、Bayamoは加速力はあるが、速度維持がしづらい。自転車レースのTT=タイムトライアルでは、せいぜい30kmくらい、後の無い一発のスピードが大事。Runを後に控えたロングのトライアスロンでは疲れる。これが、TTとトライアスロンとの差。この説明でも超納得、恐るべし!
ここにはポジション設定も影響し、僕のは空気抵抗重視で窮屈なのに対して、Ceepo試乗車の設定はとても楽。
 
12時過ぎに受付、13時過ぎにZero-Dフジワラ社長と会えて新装備入手、14時半に一緒にV-FLEXを試泳して、特徴をつかむ。これが効いた。
僕はピッチを上げる意識が、レースでは出過ぎて、泳ぎを乱し、体力も浪費する傾向がある。試泳でも最初はピッチを上げた泳ぎを試す。その感触をフジワラさんと話す中で、
  1. V-FLEXの浮力を信じて、グライドを効かせる大きな泳ぎでいい
  2. 腕部分の変態的なキャッチ力を信じて、ゆったりとキャッチに入ればいい
  3. スネ部分の変態(同上)、キックを効かせていい
  4. 体幹の横、脇から脇腹ののラインの柔らかさを活かすといい
と、特徴を理解。うち、2と4は「三浦理論」どんぴしゃ。
理想的には、この理解のもとでの泳ぎこみをしたいところだが、本番ぶっつけで挑むほかない。体力を消耗しないように、ゆったりとイメージ重視で泳いで終了。
 
3時半に説明会、4時半から前夜祭に出席、5時半から子供向けクイズ大会に参加、合間にお弁当食べて、ちょっと現地関係者と別件の打ち合わせて。6時半にホテル戻り、少し準備、風呂、夜9時くらいに寝る。
(つづく)
 
◀おしらせ▶
そのゼロディ社のウェットスーツ、普及価格帯のが期末在庫処分で4割引→   試着&試泳するのがベスト。せめてサイズ合わせは慎重に! サイズチャートはこちら リバーシブル水着はほぼ7割引、こんなバーゲンもう二度と無い。本当に無いよー。僕はブリーフ派です(価格と在庫は執筆時点)

2015年6月21日 (日)

蒲郡大会2015、5年前のデビュー戦への「原点回帰」(ある意味では、苦笑)

レースNo.5という最上位級シードを頂いた蒲郡オレンジトライアスロン2015、5年前のデビュー戦の記録を5秒だけ上回る。

2:20:26/総合41位(完走563名)年代別4位。 Swim24:59/30位 Bike1:13:53/43位(34位通過)Run41:34(55位)

2010年は、「初挑戦のトライアスロン2:20:31総合32位!」で書いた通り、 2:20:31/総合32位(スタート448名)、年代別11位(スタート120名)。Swim26:24/36位 Bike1:13:04/68位(通過45位) Run41:03(29位)

「原点」へと5年ぶりに立ち戻った形。まあ当時とは各種目ともコースが少し違うけど、大差ないだろうし、順位でなら客観的に比較できる。

11637978_430901250416079_12144799_211650599_430901240416080_10167151_2 撮影:後藤さん

バイクは雨のクルクルコース。90°89回+180°16回=ターン合計角度は9,450°にもなる(なんて計算ふつうしない)。さらに大型車両が路面を荒らす工業地帯だけに、水溜り、鉄製マンホール、粗い小石ゾーン、といろいろなものを除けねばならない。とはいえ水溜りは避けようがないものも多く、小石対策には溜まりがちな道端をさけるくらいだ。そして、それらを避けようとする人にも備えるべきだ。実際には変な動きをする人は見なかったけど、保険として必要。

クラウチさんはじめ落車相次ぎ、ロング50代の強豪スズキさんもパンク後退。そんな中、バイクは安全運転に終始する。そこまでは、まあいい。

ランに入って脚が動かない。走り出しは、スネの筋肉が緊張して軽い筋肉痛のような感じ。3-4kmで収まったが、そこから全体に重い。普通に会話できるような呼吸感。後半は腕振りでカバーしようとするが、今までのようには脚がついてこない。

上の写真を見ると、左は「腰が落ちた」状態。右はマトモそうだが、モモあたりの筋肉量の低下を感じる。

結果、ラン練習わずか5週間で臨んだ5年前の41:03より遅い41:34、順位もしっかり落としている。

<穴の空いたバケツ>

今年は全体的にバイク練習量が足りない。実走は4月以降、ほぼレースでしかしてないし。愛南で高すぎると感じたステムをやや低めに交換した(=初期バージョンへの戻し)のはレース前日、それに伴いサドル位置、DHバーとブルホーンの各角度、とやっつけで調整したりで、レース中に、あるべき設定はどうかな? とかいろいろシミュレーションしてみたり。もともと僕は細かなポジション調整を繰り返しながらバイクの調子を上げてゆくので、その土台が無い状態になっている。

宮古以降は、ランもレースペースに乗せる回数がかなり減っている。この状態でレースを入れても、身体は遅くなる方向に向かうものだ。

かくして、「練習とは穴の空いたバケツに水を入れ続けること」という山崎敏正先生だったかの教えを人体実験によって実証したといえる。それが、ここ最近のトレーニング理論面での成果か、苦笑。

今回の男子総合6位表彰台には、年上のM45-49のランキング王者を争う二人が上がっている。年齢自体は問題ではない。ただし、付き合い方は変えてゆくべきだろう。

借り物競走>

毎回恒例の忘れ物は今回、ゼッケンベルトと、バイクシューズの中敷き片方。ベルトは初期のように安全ピン留めで、余計なモノがなくてもトライアスロンは出来ることを実証してみようと思ったのだが、クラウチさんにお借りできた。中敷きは、両方揃って外せばチャラかなとも思ったのだが、実家ほぼ隣の姪っ子の22cmスニーカーの中敷きを片方借りたら、違和感無く終了。

あと表彰台を逃して早々に帰宅したものの、ウェットスーツを会場に忘れて、戻ったらちょうど表彰式。なんか大ホールの舞台でものすごく立派だ! みなさんおめでとー!

・・・

それにしても、よくもまあ僕は去年までこんなものをあんなレベルで争っていたもんだと思う!

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2015年6月14日 (日)

愛南’15 東京から総額4万円の高コスパ遠征法と、自転車輸送について

<Youは何しに愛南へ?>
ええトライアスロンをしに。
 
まあ現地では、報道やらトライアスリートやら、「なぜ愛南にまで?」と聞かれ続けた。それは「Facebook借り物競争」的にトモダチの輪を頼った結果の、人生初四国体験なのであった。
 
3月半ば、ちょうど年間レース計画を立てている時、JetStarがセールで破格値を出しているのを、たしかFacebook広告か何かで知った。セール期間内の行き先で、大会はないか?とチェックしたところ、その1つに、成田〜松山2,900円からの愛媛・愛南大会が浮上。日程的にもOK. しかし、松山空港からのアクセスが、ペーパードライバーの僕にとってはダメで、公共バスで5時間くらいかかる。
 
そこで、「安いけど空港から遠いよねー」とFacebookに冗談半分で書いたら、Facebook上でしか繋がっていなかった、松山のトライアスリート、ヤマウチさんから、クルマ空いてるので、よろしければ一緒にどうぞとお誘い頂き、移動問題が解決したのであった。
 
こうゆうのはFacebook上でトライアスリートと繋がることの最大の長所。人間関係含めた相手の人となりがお互いにわかるから、こんなことも出来てしまう。
 
<飛行機>
JetStarは機内持込手荷物が計7kg以内。過去3回くらいノーチェック、今回帰路で始めて計量された。6kgで問題なし。超えそうなら重めの服を出して着まくり、ポケットにも詰め込めば、その分だけ荷物から体重へと変身するので、幾らかは調整可能だ。
 
それ以上は宅急便。空港で重量オーバーを指摘された後で、空港内のヤマトに預けた方が安かったりする。事前に送っておけば、リュック1つで飛行機に乗れるから楽。
 
JetStarは出資するJALとの共同運行便も多く、同じ座席なのに価格差はかなりある。その本体はこの荷物の扱いだろう。超過時の高めの価格で売上を伸ばしつつ、全体の荷物量を減らすことで、他の荷物の受託を稼ぎ、また機体回転率も高めるのだろう。
 
トライアスロンの遠征なら、自転車をヤマト便で別送し、その箱に出来る限り積むのがLCC=格安航空の利用法だ。JALかANAかを使うなら、無料受託の最大サイズに詰め込むべきだろう。それでも空港までの輸送も必要で、ABCなど空港向け運送会社を使うとヤマト便とほぼ同額かかってしまう。(クルマで乗り付けるなら別)
 
なお、マイレージは国内ならせいぜい数百円分。仕事で乗りまくって無い限り、無視するのが得策だろう。
 
成田までは、東京駅から予約して900円のバスで1時間。普通に思われるほど遠くもないと思うよ。もろもろ含め片道4,500円いかない。正規価格でも6,000ちょっとなので大差ない。
 
そう、その値段は五十歩百歩。それはJetStar側にとっても同じこと、巧いマーケティング手法だと思う。空席に空気を載せて飛ばすくらいなら、3,000円でも人を載せた方がいい。しかも客は「破格値だ!」とFacebookやブログで大騒ぎするから(このように)、高額のメディア広告を打たなくても、「Jet-Starは安い」というイメージをばらまいて、将来の売上を作ることができる。
この手法は、エブリデイ・ロー・プライスだけのLCCより、爆裂伝播の効果が高い。また100円とかの極端なのより、体験できる人数が多いから、クチコミ効果も増える。(このように)
 
<ヤマト便>
というわけで、LCCとヤマト便はセットだ。
 
梱包は、バイクショップで、クロスバイク完成車が入っていたという段ボールをいただき、 今年の宮古から使っている。幅20㎝×長さ136cm×高さ74cm=計230㎝てとこかな。
これで橋続きの本土なら1回3,000円ちょっと。所要日数は、帰りはなんと翌日ついた。
 
写真は帰宅後の開封の過程。
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幅を抑えるために:
  • ペダル
  • リアディレイラー(シートステーにテープどめ)
高さを抑えるために:
  • シートポスト
長さを抑えるのに:
  • ハンドル: ステムの先から(右の参照)
  • 前輪(ホイールバッグに入れて。左写真の右)
と外す。
 
つまり、後輪は外さない。他との接触を避けるために、上からホイールバッグを被せる。(左写真の左) その前に、チェーンには新聞紙を巻いてテープ止めし、汚れないようにしておく。そしてスキマに、ウェットスーツ、シューズ、等々の大きなものから順に詰めてゆく。
 
宮古島大会も、まったく同じ。船便が入る分、日数がかかるので、事前確認をしておく必要がある。宮古で1週間ちょっとかな?
 
なお、右写真のトップチューブ「XLAB」とあるのは、スプレー式のパンク修理剤「マルニ クイックショット」。外側に巻いてあるのは、宮古の参加賞のSPECIALIZEDツール缶に入っていた小物整理用の袋。ちょうど巻きつけられる大きさだったので流用。念のためXLABのマジックテープを巻きつけている。
 
そのケースの右に差し込んでいる黄色は、鼻呼吸を楽にする「NEW TURBINE」(タービン)を挟み、バイク中に付けれるようにする。(今回は気楽なサイクリング展開のため使わなかった)
(←普通の日本人ならMサイズで十分)
 
<計算>
つまり、交通費+送料合わせて往復合計1.5万円に収めることすら可能だ。正規料金でも計2万円。大会参加費1.8万円、前日泊は知人宅で、当日パーティー後の宿泊は朝食付き5,000円。ここまでで4万円。実際には、帰りの飛行機が少し高かったり、行きで特急乗ったりで、プラス5,000円くらい。
 
通常、さらにレンタカーも要る。松山市街から愛南へは、当日早朝の移動で2時間。日中だともう少しかかるだろうけど、それほど遠くもない。
また泊まれる知人宅はそうそう無い思うので前日泊も加えれば、5−6万くらいになるかな。
 
僕は年間6−7戦を回ることが多いので、こんな数千円の積み重ねを大事にしている、苦笑。
 
<海外大会の場合>
なおJAL国際線の場合、203㎝2個まで無料なので、この箱の長さを30㎝ほどカットして貼り直し、もう1箱調達すればいい。もちろんこの場合は後輪を外す。ただし、空港まで2個送るわけで、往復1万円ちょいかかるだろう。
 
9月のにほんブログ村 その他スポーツブログ トライアスロンへ世界選手権派遣はこの方法、シーズン終了後に資源ゴミで廃棄予定。

2015年6月13日 (土)

愛南大会は、国内ショート最高レベルの魅力度だと思う

日本の自然の美しさ楽しさを知るために、トライアスロン大会への参加は、最高の方法の1つだ。美しい自然の中を、自分の体一つで進む。そこには、海に入り、道具を使って長い距離を高速移動し、最後には脚で体重を受け止め一歩づつ進む、という多様性がある。
あるいは超大昔、魚が上陸し、四足の陸生生物へ、さらに二本足歩行へ、と進化してきた過程のおさらいでもある。かどうかはともかく。
 
そしてある地域の魅力を伝えるのにも、大会開催は、最高の方法の1つだと思う。今日は、そんな運営側の話を書いてみよう。
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(撮影:元同僚のトライアスリートShimonoさんご夫妻)
 
<愛南という地域>
愛南町は愛媛県の南西端。お遍路さんの通り道ではあったものの、四国はおろか普通の愛媛県民にとって、遠くてなかなか行かない辺境だそう。愛知県人にとっての伊良湖のようなものかな。
10年前の市町村合併後で人口2万、大会会場の旧西海町は合併時3,200人という小さな町。しかもこの10年間で高齢化と人口減少が続いている。中心となる旧城辺町/御荘町でもそれぞれ9000人ほど。かつては真珠養殖、夏みかん栽培、漁業などが儲かった時代もあったけど、今はダメ。さらに交通整備によるストロー効果で松山のような市街へ、また本州へと流出が続く。
 
そんななかで開催される定員360名の大会に、ボランティアさんは900名。バスで山を超えて集まってくる。小さな町にとって目一杯の盛大なお祭りだ。
 
2012年、高速が手前まで開通したことで、愛媛県民にとっての現実的な移動先として浮上した。そのPRイベントとして「愛媛南予いやし博」 が南部地域全体であり、その愛南町の中核イベントとして開催されたのが、この大会。気合が入っていて、大会への町の支出は毎年数百万~1千万円近いそうだ。
 
ちなみに2008年の選挙で今の清水雅文町長が当選した際、公約で新庁舎建設計画を撤回させたという伏線がある。旧町政でのハコモノ優先策が取られていたら、今頃オサイフに余裕がなく、存在しえなかった大会かもしれない。なお町役場によれば、学校の耐震化工事、町内全域のひかりインターネット整備などソフト面を優先させて、これから新庁舎建設に入るとのこと。
 
そこには長年の悲願があり、県内のTV放映もあって、本当に喜んで開催して頂いている雰囲気を感じられた 。
 
<おもてなし、いや「お接待」No.1大会>
先月の横浜では僕のことを知っている方々からの応援が嬉しかったわけだけど、ここでは、町の子供たちがコースのあちこちに並んで、全ての参加者に対し、嬉しそうに応援してくれる。
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(撮影:Shimonoさんご夫妻)
この写真、エイドでの身の乗り出し方に、その気持ちが表れている。
 
1周3.3kmのRunコースのうち、応援のしようがないトンネルと急な下り坂(=応援要らない)以外は、本当に応援が途切れることがない。これは凄いこと。
天草大会の今年の中止を決めた市長は、理由の1つに「応援が少ない」ことを挙げていた。それには賛成しないけれど、でもこうして好例を体験すると、応援はそれ自体で価値になる。
 
景色も良い。コースの動画、39〜48秒あたり、右端に入る豊後水道は、ちゃんと脇見をすれば、しっかり見れる。登り区間なので、ゆっくり見れる。
街中の細い路地も、地元の高齢者と、おそらくバスで町内全域からやってきた子どもたちでいっぱいだ。動画1:50過ぎからは地味な印象を受けるだろうけど、実際には、暖かな雰囲気に溢れている。その「密度」は、他のどの大会にもない、国内最高レベルだと思う。宮古島ストロングマンも応援は暖かだが、こんな密度はない。
 
大会運営も、要所に運営のベテランを配置してるのがわかる。たとえばバイク周回コースでの、周回ミスの際の誘導手順を説明会でも説明していた。周回ミスというのは実際よくあることで、しかも分岐点を過ぎた瞬間に気付く事が多い。そこで急ブレーキ&逆走、ということをしたくもなる(同時期のセントレアの新コースでは多発していたらしい)。これは反則、失格になるし、なにより危険だ。
会場アナウンス=MCてゆうのか=もよく事前調査されていた。(根拠:僕のことを知っていたから笑) セントレアでは、スタート10秒前に興奮したMCが「フォー!」と叫んでフライングを誘発していたそうだが。。
 
小さな町の4回目らしからぬレベルの高さ。ここは、JTUが開催初期から入ってアドバイスしていること(2回めからランキング対象)、日本食研チームが番組スポンサーふくめ全面協力していること、なども影響しているだろう。
 
長く育ってほしい大会。
定員360名は今年はじめて、締切3日くらい前に満席になったけど、来年以降はもっと早く埋まるだろう。(僕がこうして紹介してるからね笑) エントリー競争の幸運を祈ろう。
 
<おしらせ>
スイム試泳時、10-15cmくらいの立派なクラゲがいた。6月はじめだというのに。
かれら目線からは、突然ウェットスーツで武装した巨人どもがバシャバシャ入ってきて恐怖に打ち震えていたことと思うし、もしかしたらその攻撃により命を落としたのかもしれない哀れなクラゲさん。でもその恐怖の中で僕らをチクリとするのはイヤだ。 クラゲ除けクリームで対策可能。正しく使えば確実に効果がある。ただ、いるとわかれば、レース会場では売り切れてしまう。今から準備しておこう。
  ココナッツオイルはAmazon2015上半期ベストセラーに。
 
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2015年6月 8日 (月)

愛南トライアスロン’15第一話 再び表彰台を逃したレースレポート

 
"全てのゲームに勝つべきとは限らない"
 
by ハッタリくん, 2015
 
11426954_762385080545702_1053314649 写真:Yamauchi Mikiさん
、、失笑をこらえて進もうか。。第4回愛南町いやしの郷トライアスロン大会 に初参加。四国入りも人生初だ。
 
<レース前準備> 
横浜大会から3週、腰痛はほぼ消えたものの練習不足は続く。水泳では宮古後には巡航感覚で100m1’18まで伸びていたのが、ほぼ週1の練習で1’33まで急落したり。でもせっかくの遠征、しかも人生初四国。レースを楽しむために、直前1週でギリギリ誤摩化す準備を試みた。
 
レース直前の高負荷錬は、いつもは5日前まで(日曜レースで火曜まで)、でも今回は3日前に10km走、うち5kmは負荷の高い舗装アップダウンコース、しかも途中で駒澤駅伝部(の休養目的ゆっくり走)を追い、心拍170を超え1周1.7km@3’53/km。好調時より10-15秒遅い。そして2日前はクロスバイク移動10km後のローラー30分間高負荷。
 
これらの疲労はレース当日まで残った。でも練習不足の時には、少しだけアクセルを踏み過ぎていいと思う。緩み過ぎた身体でレース途中に壁にぶつかるより、少し重さを引き吊りながらでも最後まで動き続ける方が、その先につながると思うから。このあたり微妙な匙加減。
 
<レース>
今回ワタシは注目の強豪選手という扱いを戴いており、愛媛ローカルTVの南海放送さんにもマークされてて、直前のバイク設定では美人女子アナ+記者+カメラさんと3人がかりでのインタビューも受けた。※インタビュアーは男記者さんです。
 
せっかくの晴れ舞台だけど、競技成績で応えることは出来ない可能性は高い。
でもそれも1つのレースの形、それはそれで楽しもう、とスタートを迎える。
 
2013セントレアでは上田藍選手にも負けなかったワタシが、地元の女子アマ選手に負けた〜〜
 
<トライアスロンの水泳はスプリント大事>
スイム記録を、記録1-2ページの上位者を中心に見直してみた。メモリ増設で息を吹き返した27インチMacで2P見開き表示させ、裏紙にメモをとりながら。
 
上位40人中、ざっと36人が第一ウェーブからっぽい。第一ウェーブはシード選手12名と、2-30代の若めの選手。この中にスイマー出身の関西の大学トライアスロン部が多いようで、層が厚い。
 
第一ウェーブ内では、22'30までが14位、23'20-50あたりに17〜26位の10人集団、50秒おいて24'40からの20秒間に9人集団、24'54の僕は終始その中に居た模様。
ちなみに2分後スタートの第二ウェーブからは27−29位の3人先頭パックがあり、次が40位のノナカさん。ここからシード選手と戦うのは不利だ。
 
僕は、おそらく1周目は、24'40で上がったシモノさんかもう1-2人の後ろについていて、ぴったり付くことはできず2−3mくらい距離が空いていて、そこでアクセルを踏み込めずに2周目に少し下がり、スイム女子3-4位のホソカワ&マツモトさんの二人近くにまで10秒ちょっと後退した感じ。
 
僕の当日の実力では、多少レース展開を改善できたとしても、タイムで14秒、順位で6つ上げられた程度だ。
 
それは結局、スタートでのスプリント不足により、その集団しかつかまえれらなかった、ということだろう。最近のベストコンディションで臨めてたら、もう1つ上の集団への侵入の可能性=タイムで1分30秒の短縮もありえたかもしれないが。
 
<バイク、上りと下りだけ!
バイクコースは1周10km4周、前半4kmが斜度4%程度の登り、残りは全て下り、うち半分以上がテクニカルなカーブ連続。平野の少ない中国四国地方の大会に多いコース設定らしい。DHポジションは全面禁止され、ロードバイク=ドロップハンドルが明確に有利なコース。
 
1周目、下りに入り、飛ばす人たちとの速度差で、勝負にならないのがわかる。
TTバイクでの下りの練習は、特に最近はしていない。「練習でしていないことをレースでしてはいけない」のは大原則。例外リスクをあえて取りにいくべき状況にはない、と判断した。あるいは、そういう言い訳を探り当てた。
 
以降サイクリング(=気楽な自転車遠出を意味します)を開始。カーブ続きとはいえ下りの時速30km前半。1週目の最後あたりで女子の細川さんに抜かれ、そのまま差が開き続ける。女性にバイクで抜かるなんて2013アイアンマン世界選手権KONA以来だ。
 
2周目の登り前半、2年前の天草総合優勝を争った大分竹田の強豪ノナカさんが、スタートの時間差2分を追い付いてきた。スイム差から考えて、ほぼバイク1周で2分を詰めたということだ。いつもなら追いつき追い越すしかない相手なのに、がんばってねー!て気分でお見送り。今おもえば、せめてこの登りだけでも追えばよかったかとは思う。どうせ下りでサヨナラする(される、というべきか)としても。このあたり、緩み過ぎたか。
ノナカさんとはバイクで12分差が付く。2〜4周で10分、1周あたり3分以上に差が拡がったようで、僕のタイムの落ちが感じられる。(データはこれから確認)
 
3周目の最後の下り、TVカメラバイク(モーター付) を引き連れた石塚プロに追い付かれ、すごいスピード差で抜かれる。これが愛南大会の下りでの勝負スピードかー無理無理! タイム差は推定20分ほどか。なら同年代トップ3とも10分くらいは差がついてるだろうなあ、と考え、安全運転に徹しようと再確認。
 
心拍数は、スイムアップ直後の1周目の登り区間だけ心拍170台、2-4周回では150−160くらい。ほぼロングレースに近い。下りでは130から最低110あたりまで下がってると思う。
 
おかげで見ることがきた、最高150mほどの高さから見渡す海は、九州・大分方面に開く豊後水道だろうか。そこから入り組んだ急斜面のリアス式海岸が切れ上がる。
 
<ラン>
横浜同様 “Run Happy!” を決め込み、サングラスを外す。僕のことを知らない町の子供たちがコースのあちこちに並び、嬉しそうに応援してくれる。地元の小学生総出のようだ。高齢の方々も集まり、喜んでくれている。心の中ではハイタッチ、その気持ちを目線だけに込め、応援に応えながら走る。
 
アップダウンは多いが、伊良湖ほどではない。3ヶ月後の伊良湖ではもう1レベル上の速さで走ろうとか思ったりして、気持ちは「今ここ」には無かったってことだな。そしてトンネル前区間から見渡す海は、伊良湖のランコースと同じくらいに、そしてまた別の、美しさ。ここまで来たから見れる景色。
 
1周目の終わり、マーシャルの自転車が、次いでTVカメラのバイク(モーター付) が近づく。石塚さんが2周6.6kの差を付けてゴールへと向かう。コースの左端に寄って追越レーンを右に用意する。今度は速度差はあまりなく、しばらくTVカメラと石塚さんの中間に僕がいた、すいませんTVさん。お詫びのしるしにTV的に美味しい絵を提供しようと、抜かれ際、石塚選手の肩を叩き、おめでとう!と声をかけたら、軽く左手を上げて応えていただいた、すいません石塚プロ。
 
それ以外にランでは抜かれることはなく、ただ最後だけ、誰かが必死に追ってくる雰囲気があった。こうゆうのは数m離れていても、足音とか息遣いでわかる。せめてランは抜きっ放しで最後まで終えようと、ペースを上げる。過去この場面でよく使ってきたストライド伸ばしではなく、逆に、気持ちストライドを狭めた超ハイピッチ走法へ、2段階くらいのギアチェンジ=軽いギアに入れる感じで、ペースを上げる。これは新感覚。
 
観客から「速い」と声があがる。「こんな速いの無理!」と悲鳴を上げる女性がいたのは、同伴ゴールの待機場所だったので、自分の同伴ゴールの相手がこのスピードだと同伴できません、て意味かな? 
 
会場実況アナウンスでは、「速いです! 強豪のハッタ選手です!」的なアナウンス。ゴール後、そのまま実況担当さんにマイクを向けられ、「どうでしたか?」とライブインタビュー。「素晴らしい風景と応援を楽しみました」的に模範的に答えるのがすぐに面倒になり、マイクを奪って、「あいなんさいこー! ありがとー!」など吠えて締めた。
 
後で記録を見ると、4秒後と7秒後に、それぞれ同年代の2人がゴールしている。足音と息遣いの気配は本物だったわけだ。ただしスタートはシード選手の僕が2分速いので、彼ら=年代4位マツダイラさんと5位タカダさんが順位は上。でも前に誰か居る限り、しかも僕の存在を知っているのなら(タカダさんには後でご挨拶いただいた)、抜こう、倒そうと、気持ちを入れてこられてもおかしかない。
 
そんな、敬意を込めた闘いの気配を肌感覚で感じられるのは、レースだけにしかない興奮。トライアスロンの楽しみの本質は、こうゆうところにあると思う。
 
<そして>
最後の走りが続けば、またこれから巻き返せるだろう。宮古以降、(より正確にはそのバイクパート終了時以降)、「完走たのしー!」と言い過ぎな感もあるワタシだけども、40代ほぼ最強という自称名を捨てるつもりもない、笑
 
今回の遠征全体について、愛南大会について、また愛媛、四国という土地については、改めて書いていこう。て宮古レポートもミカンだけど。蜜柑でなくて未完です、てゆうのも愛媛は蜜柑の産地だからね! と失笑必至のオチ。めだたしめでたし。おひたしおひたし。
 
(つづく)
 
<オマケ:おかいもの案内>
レース前には宮古同様にクエン酸を1時間前に摂取。ただ今回はアレンジして直前2-30分前に脂肪とタンパク質を含むエネルギーバーをかじる実験を試みた。結果として余計だった感、正規の用法 通りで良い。
バイクはパンク対策に、マルニ「クイックショット」 を積んだ。ショートレースでチューブラータイヤの交換は無いし。
ちなみにAmazon品切れだった「にほんブログ村 その他スポーツブログ トライアスロンへ マガジン2015」 は在庫戻ってます。結構みんな読んでもらってる。たぶん続きも企画されるんじゃないかな?

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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