カテゴリー「◆ *トライアスロンを考える」の22件の記事

2017年1月22日 (日)

追悼: プロトライアスリート小林大哲さん(享年24)が遺したもの 〜 mourning triathlete Hiroaki Kobayahi

2017年1月21日午後2時前、小林大哲(こばやし・ひろあき)選手が自転車で崖から転落し逝去された。ニュースのタイトルに目を疑い、記事に彼の名を見て、また疑った。本当に、彼なのか。でも何度見ても、そうでしかなかった。

彼のトライアスロンへのチャレンジは、ほんの2年に満たずに、未完に終わってしまった。あまりにも悲しい。それでも、その足あとが意味するものは、日本のスポーツ界すべてに知ってもらう価値あるものだと思う。

 

- 小林大哲選手とは -

JTU日本トライアスロン連合の2016年ランキングでは10位。より実力がストレートに表れる日本選手権では8位。ただ、その潜在能力はもっと高い。2015年にトライアスロンを始めたばかりで、1年8ヵ月ほどの短期間で成し遂げた成果だから。2020東京五輪時点ではトップに位置していた可能性も、そして世界と戦えていた可能性だって、十分あった。

1992年生まれ、千葉県出身。中学では水泳部で400m自由形が4:30−40秒くらいだそうで、競泳選手としては勝負できず、検見川高校で陸上長距離に転向。順天堂大に進み、箱根駅伝ではあと一歩でメンバー入りを逃す。駅伝部の合宿地に日本食研のトライアスロン部も来ており、つながりができた。4年になり、就職が決まっていなかった頃に新人募集のトライアウトがあると聞き、参加したら合格、未経験のままプロ・トライアスリートとなったのが2015年2月だという。

僕が彼に出会ったのは、その4ヶ月後の愛南トライアスロンのこと。表彰式会場への入場を待つ列の隣にいた、一目で鍛え上げられた様子の若者に声掛けしたら、日本食研の新人プロ選手だという。ベテランの平松幸紘選手をおさえて2位に入ったのだが、それが彼の初の51.5kmレースだと聞いて、びっくりした。

「すごい、すごすぎます、そんなことがあるんですか! 次の目標は?」と聞いてみた。

「3週後の酒田のU23選手権での優勝です。」と明確に答えていた。

「U23代表を掴みたいのです、実力的には勝てる大会ではないですが、チャンスはゼロではないはずなので」と。

いくらなんでも、まさかキャリア4ヵ月で、実力者ひしめくU23優勝なんて無理だろう。でも志の高さはすごいなあ、とその時は思ったように記憶している。態度、口ぶりは、謙虚すぎるくらい謙虚で、真面目さがにじみ出ている印象。それと大きな目標とのギャップに、少しびっくりした。

しかし3週後、本当に優勝する。知人のトライアスリートがその場に居合わせて、ゴールでの雄叫びを見ていたそう。その話を聞いて、大哲さんは本気で狙っていたんだと知った。

すごい才能が表れた、と思った。

そして同年9月、シカゴの世界選手権でご一緒することになった。当時のブログはこちら 「カテゴリー「'15- ITU世界選手権Chicago」  ご参照。さすがにU23世界選手権、バイクは実力者が揃う大きな第一集団から遠く離された4人だけの厳しい集団で消耗してしまうが。ランでは周回ごとにパフォーマンスが上がっているのがわかった。世界で戦えるラン。いつか世界大会でバイク第一集団から見たいと思った。

「ひろー!」と熱心に応援される年配の男女がいた。話しかけてみると、 小林選手のご両親だった。大舞台で喜んでいるというより、どこか、心配そうにも見えた。

追記1/24:この箇所をITUニュース "Triathlon family mourns passing of Japanese athlete Hiroaki Kobayahi" 22 Jan, 2017 にて紹介いただきました。引用:

“I met him (Kobayahi) for the first time at one triathlon event just four months after his triathlon trial test. At first glance, I could tell how hard he trained to build up his body and muscles. I was stunned by his performance when he finished second at his first 51.5 k race. To my question of what was his next goal, he clearly answered that he would like to win the U23 Championships in three weeks’ time.

He said, ‘I want to make a U23 national team. I know my ability won’t match the level of the Championships, but I believe the chances are not zero.’

I thought it would never happen as he had only four months of triathlon experience at the time. However, I remember I was impressed by his high spirit and the way he talked in a humble manner. His attitude was so humble and too modest, but, his honest and serious personality appeared through his words. To be honest, I was surprised with the gap between his aspiration and very reserved personality. But, in fact, three weeks later, he won the race.”

そう思わずにいられないような謙虚さ、真摯さを、少しでも世界の「トライアスロン・ファミリー」に知っていただければ。

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- 事故について -

NHKニュース動画 を見ると、スピードの出やすい緩いカーブが続く下り途中に、突如あらわれる急カーブ。こうした山中では、雨や泥を流すために、崖側を下げる逆バンクが設定されていることも多い。下りながら「やばい逆だ」と気付いたときには遅かったりする。山だから砂も浮きやすい。整備された舗装路での浮き砂でのコーナリングは、軽量で細タイヤのロードバイクの弱点。

最大の問題は、ガードが腰の高さもないようなワイヤーだけであること。明らかに4輪車しか想定しておらず(眺めは良さそうだ)、2輪にとっては無いのに等しいとさえいえそうだ。自転車で接触すれば、即その上へ跳ね飛ばされてしまうから。しかもその先は高さ80mという崖。消防が駆けつけて50mのロープを下ろしたら足りず、ドクターヘリを要請したそうだ。

映像では看板を立てる金属製ぽいパイプの1つが完全に折れ曲がり、衝突の衝撃の強さを物語る(今回の事故とは限らないが、たとえば4輪での衝突なら下側がより激しく損傷しているはず)。結構な速さで激突し、その反動で軽く数mは水平に飛ばされたとしてもおかしくない。だとすれば、途中に引っかかることもなく、岩場の川原へ吹っ飛ばされてしまう。

つまり、普通なら、せいぜい鎖骨か肋骨かを折って済むようなミスが、致死率ほぼ100%になってしまう。これほど条件の悪い道は、日本には他にほとんどないのではないだろうか。最悪の箇所だ。

何度か現場を自転車で走ったことがある現地の方によると、

「自動車で走るぶんには何ともないカーブが、ロードバイクやTTバイクで走ると曲がりきれない下り道」
(完熟マンゴーの、トライアスロン奮闘記)

だそうだ。照葉大吊橋からの下りを下記Yahoo!ルートラボで検証 してみた。それらしき危険箇所は640mあたりに1つ。斜度25%と表示される急な下り(※地図の標高設定によるので正確ではない)からの、アウト側で崖に向かってゆく右カーブ。他に3つくらい似た箇所がある。(航空写真モードで拡大可能)

ほんの一瞬の油断が生じる場合もあれば、「この先のガードが怖い!」と見てしまった瞬間にハンドリングがそちらに向かおうとする本能もある。ブレーキングも直行しているうちは有効だが、曲がりながらでは逆に車体を不安定化させてしまう。全て、僕も何度か経験あること。こうしたリスク要因と不運とが重なることは、誰にもで起きうること。

※追記:新記事「小林大哲選手事故現場のネット検証、そして競技自転車の「下り練習」について 」にて詳細な事故状況の分析を掲載しました。(2017.1.27) 

しかも、1/9から(事故2日後にあたる)23日までの宮崎シーガイアでのJTU強化合宿、3週間の疲労がピークに来そうな時期。あまりにも悪条件が揃いすぎてしまった。

僕だったら、ただでさえ下り時速40km制限をかけるような(異常なまでの)怖がりなので、こんな状況ならほぼフルブレーキ停止してから超徐行してそうな箇所。でも、8名で、距離を空けたとはいえ隊列組んで走る中で、それもやりずらい。ブレーキで後ろが乱れてしまうし、そもそも、走りながらその状況が見えるとは限らない。

 

- 彼が日本のスポーツ界に遺した(遺すべき)もの -

1つ言えることは、 小林大哲さんが、ほんの2年にも満たないあいだにトライアスロン界で達成されてきたことは、彼にしかできないものだったということ。

トライアスロンへ転向して、ほんの4−5ヵ月でU23で優勝してみせたという事実。そのデビュー年の日本選手権が19位、翌年には8位。わずかの間に着々と実力を上げていたという事実。今年の10月に、そして2018年、2019年に、どこまで上げれたことだろうかと思う。

この足あとは、これから、トライアスロンへ転向しようとする他種目のトップアスリート達に、そしてトライアスロンにかぎらず、すべての種目で転向を迷っているアスリート達に、たしかな重さを持って、残り続けるだろう。少なくとも、そうあるべきだ、と思う。

日本のスポーツ界では、1つの種目にこだわる文化が強い。種目というより「その組織」といったほうがいいかもしれない。これは再検討されるべき20世紀の遺産だと僕は思っている。スポーツに限らない話だから、根は深い。

欧米のトライアスリートが強いのはその逆で、日本だったら陸上長距離か競泳かに囲い込まれているような10代選手が、子供の頃から、競技自転車もやれば、遠泳大会にも出れば、クロスカントリーの大会にも出ている。結果として、トライアスロンが一番成績いい、という選手がオリンピックへとチャレンジしているのだと、僕は見ている。ランパート10kmを28分台で走る選手が続々と表れているのは、その結果だと思う。

日本でいえば、箱根駅伝に集中する才能の中には、中高から、たまにでも水泳自転車を併用していれば、それくらい出来る選手はいるだろうと思う。ここでは、「1つのことをコツコツと極める」という日本の職人的な美意識が(もちろんそのメリットは大きいのだが同時に)、世界レベルで戦うための制約にもなっている、ということ。

その壁を、現実に破ってみせて、ほんの2シーズンでここまで進んでみせた、という実績は、彼だからこそできた、オリジナルなものだ。

本当は、彼のチャレンジの真価はここからだったのだけど、それはもう、どうしようもないことだから。

ただ、トライアスロンに、スポーツ界全体に、これから活かされてゆく価値のある、チャレンジであると、僕は思う。

・・・ 

あの日、お会いできてよかったです。大哲さんの達成に心からの敬意を捧げます。安らかにお眠りください。

2016年11月30日 (水)

「トライアスロンお金がかかる説」、僕のコスト実績5例から検証しよう

2013年ハワイ島コナの世界選手権会場には、発売から1年半のサーヴェロP5(当時フレームだけで68万円)がいっぱい。コナ空港で自転車いれた段ボールを引きずってるのは僕くらいで(笑)、みなハードケース(海外でシーコンとかのソフトケースは危険)、海外渡航シールをいっぱい貼った使い込んだ物も多い。お金をかけようと思えば、簡単に年間100万円以上の予算を注ぎ込めるのがトライアスロン。その出費に対する満足度も平均的に高いだろう。 

ただそれは、アイアンマン世界選手権KONAだからであって、欧米でも安い地方大会はミドルに7,000円くらいで出れる、とスペイン人が言っていた。たぶんそうゆう会場にはP5とかほとんどない。
 
日本では、警備など大会運営コストがかさむようで、出場料こそ高めだが、それでも、抑えようと思えば抑えることはできる。以下、僕が実際に使った金額でみていこう。
 
 
<例1:宮古島大会2015>
国内でお金かかる代表のように言われる宮古だが、僕が2015年に出た時、8日間の単独行動で食費を含む総費用を10万円台に抑えた。内訳は、
  • 出場料4万
  • 移動・輸送4万円 (飛行機2.3万+成田バス0.2万+バイク輸送1.5万)
  • 宿1.8万 (ゲストハウス「チャーミーズ」 http://www.charmys.jp
  • 食費0.7万
食費抜きで9.8万、食費込みでも10.5万〜むしろこっちが凄いでしょう笑。ちなみに那覇にも3日無銭滞在して計10日で10万。
 
別に節約耐乏生活をしたわけではない。現地の人たちと同じような生活をしただけだ。
ローコスト経営の宿を選び、400m離れた農協店舗に通い、値下げシールくる時間も聞いて、地元価格の沖縄料理を、食べたいもの全部たっぷり買ってのことだ。米は共有キッチンで炊く。これで食費1日千円を実現。もちろん材料から自炊すればさらに安くできる。
 
今は直行便が飛び、たぶんバイクを同行できヤマト便1.5万円を削れそう。 オーバーチャージ払って安い。そして8日間も滞在する必要はないので笑、全費用10万円切りは現実的だ。
 
宿は会場の前浜ビーチから2km、東洋一美しいという真っ白で真っ青な海で毎日泳げた(レース当日を除く泣)。近いからレンタカーも要らない(運転しないのでどうせ使わない)
 
「チャーミーズ」さんは来年レース時、1部屋残ってると昨日言ってたので、よろしければどうぞ(落選したら速やかにリリースを) こちらFacebook→ https://www.facebook.com/guesthousecharmys
 
つまり、年に1度宮古に出るだけなら毎月8,000円。さらに公立プールに毎週2回いって月1万でOK。毎日スタバいったりタバコ吸ったりするのと同レベルだ。
 
<例2:アイアンマン世界選手権KONA>
カネかかる王様みたいな大会だが。
僕の2013予選はセントレア、実家が近いのもあり、宿泊は前日だけ、総費用6.5万円。
KONAは
  • 出場8万
  • 移動14万 (ANA9.4万+オーバーチャージ片道2万+ハワイアン計2万くらい)
  • 宿泊11日間20万 (エアビーで探したコンドミニアム、最安シーズンの2.5倍!) 
  • 現地食費はほぼ自炊=日本と変わらず
で40数万円。なお何人かでコンドミニアムをシェアすれば、宿泊費を10万円以上削ることも可能。そして11日間も滞在する必要はないので笑。
 
僕は贅沢な日程だったが、ついでにトランジット2回ともホノルルに無銭滞在、さらに帰路は定員超過のビジネスクラスで、オトクであった。
 
つまり、予選からトータルで50万円ほどだ。今では予選費用が上がってしまったが、その分、ハワイ滞在コストを削れば、大差ないだろう。
 
さらにオリンピックみたいに出場を5年に1度に絞れば、月あたり8,000円。宮古と同レベルだ。 
 
<例3: JTUエイジランキング>
僕がもっとも注力していたのがJTUランキングで、おカネ的にも多くを費やした。
 
2010〜2014年は3大会のポイント合計、1位を取るには、天草で15点を、さらに13点と12点を取れば確実。アクシデントに備え12-13点大会をもう1つ保険に。天草は移動時間はかかるけど、2013年はバイクと一緒にANAで往復2.8万円くらい。2014年はJetStar+ヤマト便でたしか同じくらい。計6万でOK。(僕は地元知人宅に泊まる裏技をくりだし5万円)
12-13点大会なら、首都圏なら3万円でOK。保険大会込みでも計15万円だ。
 
僕は電車移動なので、クルマ移動ならガソリン代だけ、車中泊ならもっと安くなる。
 
ただ、2015年からの4大会化、さらに2016年のポイント設定変更によるポイント獲得戦術変化により、今なら30万円程度の予算が必要だと思う。くわしくは11/4 Facebook投稿参照→ https://www.facebook.com/Masuyuki.HATTA/posts/10207415481800917
 
<例4:自転車>
僕のレース車は、2010年からの7年間で総投資70万円ちょっとくらいかな。ただし以前から持っていた合計30万円分のロードバイクは除く。レース車としての原価償却費は年間10万円に近づいている。やはり月あたり8,000円。1日267円。毎時11円。5分で1円。
 
ちなみに僕はスマホというものを持っておらず、ガラケーは毎月1,500円くらい。差額でかなりが賄えてるともいえる。(てそれ比べて意味あるのかと笑)
 
最近では高額バイクが次々でているけど、先日アイアンマンの世界最高記録を更新したカナダのLionel Sandersは(ちゃちにみられがちな)ガノーの普通のTTバイク。ステムも丸い汎用品だ。それでBike180kmを4:04:38、平均44.2kmhだ。まあそれでも高いちゃあ高いんだけど!
 
<例5:サプリとかプロテインとか有機野菜とか>
全く要らないというのが僕の立場。特別な食べ物で速くなる、ということはない、言い換えれば、食事内容に減点はあるが加点はない、と思う。普通に近所の八百屋でいっぱい野菜果物を買って、米肉魚納豆と一緒に、食べたいものを食べたいだけ食べてればいい。それ以上は趣味の問題。
 
テーマから少し外れるので=お金使ってないので、改めて書きましょう。(初稿で書いたのはいったん外してます)
 
重要な真実とは、身体を動かすことで、何を食べても美味しくなる、ということである!笑
 
<ついでに:ウェア>
専用品だから高い。ホームセンター、ワークマン等々でほぼ同機能の汎用品は割とある。そこから先は趣味の問題。やっぱり高いものは良いし。
 
 
<まとめ
一定のおカネはたしかにかかるけど、やり方次第では、それほどでもないよね。
月8,000円が高いか安いかは、個々の状況によるけれどもね。
とかいって、僕も最小コストとかいいながらも、やりたいことはおカネかけてやってきたので、総額では200万円に迫るかなあ。
 
1ついえること、ここまでの僕の出費に対する満足度は、最高レベルに高い。
満足度が十分ならば、そのお金を使う価値がある。
満足度を落とさずに済むのなら、そのお金は削って構わない! 

2016年8月21日 (日)

中日新聞紹介! 『渥美半島の風』創刊号、発売開始しました

中日新聞(2016.8.16頃)でも 13935143_1750253595260716_667327679 紹介された『渥美半島の風』創刊号、発売開始しました。

渥美半島(=愛知県の東のほうの半島、伊良湖トライアスロンの舞台はこの先端です)の地域誌、B5版全96p。創刊号の特集は「海に遊ぶ、海に生きる」。

僕はその巻頭、「潮騒の祝祭 〜あるいは、究極の身体マネジメント」を寄稿しています。伊良湖トライアスロンを舞台に、僕にとってのこの競技のリアルを、23ページ、1万7000字を費やし、表現してみました。

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他の方のもおもしろくて、伊良湖という土地を、なにかしら、好きになると思います。

読んで欲しい人は、

  • 耐久スポーツをたしなむアスリートな方々。のみならず・・・
  • 大会を開催する地元の普通の人たち
  • スポーツをからめた町興しに携わる人たち

などなど。

トライアスロンてものを知らない普通の人達が読んでわかるように書いているので、大会の地元で「こいつらは何を考えて走ってるんだ?」的な疑問をお持ちの方々などにも、読んでいただきたいのです。

先行して読んで頂いた方からは、こんな感想が届いています。

「活き活きしている。こんな文章はこれまでにない。」

あの文章力、ニタニタしながら読んでました」

「トライアスロンというスポーツを科学的考察から身体哲学へと持ち込んだあたりは圧巻。さらには、・・・・に見るようなモノローグ手法が効いている。素晴らしい」

  

<ご購入方法>

書店での予約は基本できないようです(それ用のコードを取得していないため)

オフィシャルサイトに先行して、こちらでお申込をお受けします。

販売サイト→ https://spike.cc/shop/user_3351773961/products/Z2ynofYL


(東証マザーズ上場のメタップス社クレジットカード決済システムを使用しております。VISAとMasterカード限定につき、振込ご希望の方は連絡ください)

価格:税+送料込み1,100円。

初回発売分は80部、発送は8月末の予定。株式会社ジェイクリエイトより発送いたします。(100円という破格の送料設定をしておりますので、発送には少々お時間をいただきます)

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よろしければ併せて小川雅魚編集長によるエッセイ集もどうぞ→

朝日新聞の全国版で、人気作家の出久根達郎が大絶賛してます。僕も2014年3月に紹介ブログ 「例えば伊良湖大会が好きな方へ 『潮の騒ぐを聴け』小川雅魚(2014)」 を書いてます。

2016年8月 6日 (土)

スポーツと勉強の両立法

先日、三浦広司コーチ率いる水泳チームのNPO法人「 TEAM HERO'S 」の保護者さんに向けて、表題のお話をしてきた。
僕は田舎の公立中高で3年まで運動部を続けながら現役合格したり、最近チーム員さんの高校受験を手伝ったり(2ヶ月半で2ランク上げて合格)、キャリアデザイン学の修士も持ってたり(法政2014年) 、受験、卒業後のキャリア、スポーツの活かし方について、情報と自分なりの経験を持っている。チームメンバーが、無駄な不安なく、自信を持って、水泳に集中してほしいと願い、お話しした。TEAM HERO'Sは水泳を速くするだけじゃない、その先まで見据えております。
 
以下、メンバーの保護者さん向け(子供向けの表現にはなってません)抄録を共有しておく。
 
なお、ここでは「両立」、つまり、関係のない別々なものを同時に実現するという表現を使っているけど(慣例ですので)、お読みいただければわかるように、両者の共通性、相互関係は強いので、融合、相乗効果、といった表現のほうが本当はふさわしいのかもしれない。
 
その両立の対象は、必ずしも「勉強」とは、また「スポーツ」とは、限らないだろう。ある音楽系スクールさんでは当ページを印刷し生徒さんに配布しされている。(歓迎です)
 
・・・
 
<7つの要点>
  1. 「勉強と、勉強以外の何か(スポーツ含む)との両立」とは、つまりは「時間制約のマネジメント」の問題。そのスキルは、合格→卒業後のキャリアデザイン上も重要な、生涯有効なもの
  2. 「量で勝負する受験」のイメージは一部に残っているだろうが、不要だ (過去問を見ればわかる)
  3. 「勉強と、スポーツとの両立」に絞ると、つまりは「肉体疲労のマネジメント」の問題
  4. その対策は、「寝る」ことが一番。眠気を我慢するのは成績を落とすだけ。きちんと寝た後の時間を、どのように有効活用するか
  5. これらポイント全てを一挙に解決するのが、「授業」を活かすこと、これだけで十分
  6. わからないことは聞く、わかってることは話す。この「おしゃべり法」を活かす (練習で机に向かうと眠くなるなら、なおさら)
  7. 基本は、スポーツも勉強も同じこと、好奇心を持って楽しむものが勝つ
 
 
このお話の目的

最終目的:無駄な不安なく、自信を持って、水泳にも勉強にも集中できる環境を作る

  1. スポーツの「勉強に対するメリット」を知る
  2. 競技向けトレーニングにより生じる「デメリット」の「正体」を見極め、緩和する手段を知る
  3. 教育論、キャリア論からみた、「スポーツにも勉強にも共通するコツ」を知る
  4. 個々の「最終目標」ごとに「戦略」があることを知る
  5. テキトーな勉強でもテストで点だけは取る小手先テクニック」も少し紹介

 

勉強とはなにか

  1. 高校までの勉強とは、「a. 既に知られている情報」を、「b. 自分なりに整理整頓」し、「c. 自分でもできる」ようにすること。(大学以降はa.に「答のわからないこと」が、c.に「自分なりの答をつくる」、が追加される)
  2. 世の中は勉強の積み重ねでできている。例えば、「スマホでLINEする」とき、作った人のことも想像してみる。スマホなら、「a+b.既にあるガラケーやノートPCの作り方を理解し、c,(アイデアを付け加えて)自分でも作ってみた」、LINEも、「mixi(て小学生知らなそう笑)とかの作り方を理解した上で、自分でプログラミングして作った」という同じ関係。
  3. スマホやLINEを作る基本は、英語と数学だと思う。この2つは、世界中どこでも同じ。国語(小6レベル)はそのさらに基本。

 

勉強のモチベーションとはなにか

  1. 「知的好奇心、達成感、自信」、の3つが大事。
  2. この3つを自然にクリアしてるのが、勉強ができる子。このタイプにとってテストは遊んでるのと同じなので、放っておいても、次のテストでも点を取りに行こうと授業を受け、宿題をする。(※レベルの高い高校に進むと、自信を失って急降下する子が出てくるのも、同じ仕組み)
  3. 勉強苦手な子は、こうゆう出来る子と比較して、「義務感」で「がんばる」ことに向かいがちだが、それは悪循環の可能性あり。(受験直前期は別)
  4. 苦手、という事実からはいったん目をそむけ、自分にとっての「知的好奇心、達成感、自信」に集中できればベスト。
  5. できる子にとって、次のテストとは、「少し先にある具体的な明るい未来」である。「少し先にある具体的な明るい未来」を設定できるといい。たとえば、今のレベルでいきそうな学校、もう2レベル上がった場合にいけるようになる学校を、進路、雰囲気、などなど具体的に比べてみる。できれば行ってみる。

 

「机に向かうこと」だけが勉強ではない

  1. 「わからないこと」を、「わかりません教えて下さい」、としっかりと聞けることは、後々も重要な技術
  2. 「わかっていること」は、他人に説明することで、さらに伸びる(勉強も、水泳も)

親から説明するよりも(=出来るに越したことはないが)、まず子に説明させるといい。

わかったつもりで「はい、はい」とうなづくクセがある子の場合に特に有効(笑)

 

運動そのもののメリット

  1. 「運動と、考えること」はセット。文武両道、とは先人の知恵。
  2. 現在、脳科学によって証明されつつあり、酸素運動により、脳の海馬のニューロンが飛躍的に増加するが、放っておくと28時間後には消滅してしまう。でもその生まれたニューロンに知的刺激を与えると、活性化して、脳内のネットワークに結びつけられる (大人も同じ!運動しよう!)

 

生徒たちがスポーツを通じて鍛えていること

運動部員は、一人で目標を立てて進められて塾など不要な生徒が多い、と東大野球部監督&学習塾経営者の浜田一志氏がいっている。(その上で、目的を明確にして塾を活用すればOK=僕は行ったことがないのでよくわからないが

スポーツのトレーニングと、勉強との共通点とは:

  1. 人の話を聞いて、お手本の「マネ」をする
  2. お手本の意味を自分なりに「考える」
  3. できるように「トレーニング」する
  4. トレーニングの成果が出た、という「成功体験」を積む
  5. 水泳は特に、数字、空間図形、物理の感覚が、身体でわかる (東大レベルの数学・物理のウォーミングアップにもなるかも)

 

両立することの、現代的な意味について

  1. 現代社会は、みな忙しい。社会に出れば、どうせ「限られた時間の中でマルチタスクをこなす」ことが求められるようになる。だから、今のうちに慣れておくのは、就職でも、その先にも、武器になる。
  2. 情報も洪水状態なので、「知ること」を極めようとするとキリがない。まず先に「何を求められているのか?」を見抜いて、それに合った情報を探し、組み合わせていくことが大事。なので、「勉強そのもの」よりも、「テストで点を取ること」を優先していい。「全文を読まずに、先に設問と選択肢を読むテクニック」もその1つ

 

がんばらないでそこそこ成果を出す方法、あるいは時間制約のマネジメント

大原則:大事なこと以外はテキトーでいい

  1. 授業と教科書で十分、余計なものに手を出さない(受験前は別)
  2. 「情報の整理整頓」を優先させる
  3. 苦手科目は、「考えない、聞く」
  4. 得意科目は、「教える」ことで伸ばす (水泳も!)
  5. テストの「振り返り」は超大事 〜何ができて、できなかったか、自分から説明させる (※点数だけでほめたりしかったりしない)

 

両立法:肉体疲労のマネジメント

大原則:睡眠は全てに優先する。トレーニングを完結させ、勉強の準備体制を作り、記憶を定着させるもの

  1. 寝転びながら本を読んで、身体の疲れを取る
  2. 眠くなったら15分寝る
  3. それでも眠ければ90分寝る
  4. 朝、早起きして宿題ができればベスト。早起きで作れた「時間内で仕上げる」のは良い頭のトレーニングになる

 

授業の活かし方

  1. 「聞くこと」を楽しむ 〜先生は、何を伝えようとしているのか、どう伝えようとしているのか? (義務感でなく好奇心)
  2. 得意科目は、「自分だったらどう教えるか」
  3. 苦手科目は、「とにかくノートに書く、読んでみる」 〜トレーニング、量稽古
  4. わからないことは、その場で聞く
  5. 眠ければ、休憩時間に寝る

 

情報の整理整頓とは

  1. 自分なりに書いてみる
  2. 完璧なノートを一発目から作ろうとしない。(東大生のノートは美しい、は嘘。美しい人も中にはいるが、僕はノートを作ったことがない)
  3. 落書きOK

 

科目別の勉強法

  1. 積み上げ科目の数学だけは落とさない(たとえば必ず70点以上取り続ける等)
  2. 英語は、教科書を声に出してたくさん読むのがベスト(単語とか気にしない) 〜基本文の暗記は、実践的な英会話の基礎。詰め込み教育が基本です
  3. 国語と英語のテストでは、「全体の空気感」を感じる。状況を絵で想像する。(古文はマンガで読む)
  4. 同、長文では、先に「問題」と「選択肢」を読む。先に全文を読んでから回答できるのは、かなりの上級者に限られる(東大くらいなら楽に入れるレベルだと思う=僕には無理) 〜何を求められているのか? をまず知るのは、社会人でも基本
  5. 数学は、わからない問題はさっさと答を見る、計算式はちゃんと書く
  6. 理科は、水泳との共通点を探してみよう

 

合格への最短距離

  1. まず過去問を知る
  2. 模試で、合格レベルとの距離を知る 〜どの問題を落としていいか、どこを確実に取るか 〜この距離感が全て、偏差値の数字はまったく無意味
  3. 暗記科目は直前12ヶ月の気合でOK(今できなくても問題なし!)

 

受験前の勉強集中期間の使い方

  1. 教科書の読み直し
  2. ノートの読み直し→ 整理ノートを作る(特に社会とか暗記系)
  3. 苦手科目をつぶす

 

水泳への、勉強の活かし方

練習ノートをつけるといい。言葉とイラストで。

  1. レースと練習での、タイム
  2. コーチに言われたことを、
  3. 自分自身の気付き

 

まとめ: 最後は勢いのある者が勝つ。気合で倒せ。

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<参考文献>
今回の参考にしたのは、東大野球部監督の「勉強しながら東大に受かる勉強法」。
僕自身の受験では、和田秀樹氏の「受験は要領」がバイブル。最近話題になった「ドラゴン桜」も、テクニックはその焼き直しだ。受験テク自体は昔から同じ、ただ、自分にとっての現実と認識できるかで差が拡がるのだと思う。だから、アドラー心理学でいう「勇気づけ」で差が拡がっている、とも考えられる。ビリギャルとかはそうゆう物語だと思う。
 
勉強の大前提は「知的好奇心」に尽きる。このテーマは瀧本哲史さんが今、最もイケてるのでは。
テーマ変わるけど「脳を鍛えるには運動しかない!」 もスポーツする大人にオススメ。ページをめくり続けるだけで運動したい気持ちになるかな?笑
 
 
<おしらせ>
伊良湖トライアスロンを舞台に、僕にとってのこの競技のリアルを、1万7000字を費やし、表現した「潮騒の祝祭 〜あるいは、究極の身体マネジメント」、愛知県の地域情報誌「渥美半島の風」に掲載されました。こちら公式サイトから販売中 → https://spike.cc/shop/user_3986276548/products/LUaWObSx

2016年7月23日 (土)

駒澤大駅伝部は「声掛け」が早い 〜トレラン問題を解決するコミュニケーション術

ポケモンGOが国内公開された今夜の砧公園、いつも居ないタイプの若者たちが青いスマホを眺め彷徨っておる。。。トレイルを含めたランニング(ジム内と陸上トラック除く)も、自転車も、「公的な空間を趣味に使う」という点で、ポケモンGOと同じよなもんだ。

<NHK「特報首都圏」トレラン特集>
そのトレインランニング、今夜NHK特報首都圏 「楽しいはずの山道で~“トレラン”ブームに見る公共意識~」 で特集されていた。関東限定と思うけど。番組キャスターさんブログでいう→ 「まるで自分が野生動物になったかのような疾走感」を、舗装路ばかり走っている方々は、是非体験すると良いのだけど、そこには狭い日本&東京圏ならではの問題が出てくるわけだ。
 
「マナー」とは、いろいろな文化やら事情やら背負った人達が同じ場で会する場面のためのもの。そこで生まれがちなトラブルを回避する知恵を整理したものだ。トレイルランニング問題とは、まさにそんな状況だ。
 
特に、人の多い鎌倉と高尾山はマナーの重要度が高い。鎌倉は、地元コミュニティが活発な地域で、自治活動が盛んのようだ。番組で紹介されていた鎌倉トレイル協議会が提唱するマナーは、こちら動画『鎌倉はこう走ろう。』の通り → https://youtu.be/SLqLNJKJojY
高尾山のほうが無法度が高いのかな? → 「噂の現場」2014年の動画
 
やはり大事なのは、追い越しのマナーだ。人間の心理は、後ろから追い越されることが本能的に嫌いだ。暴走族系の輩ならそれがために人さえ殺して自分の人生まで終わらせるのは昔も今も同じ。(そこを終わらせまいと逆転を図った流れから派生したのが今騒がれてるAV出演強要問題かな)
 
そこでのマナーのポイントは2つに絞られる
  1. 歩く
  2. 声を掛ける
迷ったら、とにかく歩くに限る。前書いて反響大きい→  「ウォークブレイク」  を実行するだけだ。鎌倉トレイルのように狭くて密集していれば、減速以外の選択はない。実際、同協議会の推奨もこれ一本で、先の動画では、場面別の歩き方を紹介しているだけ。
 
自転車も同じくで、安全の基本はとにかくブレーキ。かけたがらない人は多そうだけど、加減速も重要な勝つための技術。
 
減速すべき箇所を減速しないことによって、練習の平均スピードは簡単に上げることができるけど、そんな練習は、レースでは全く無意味だからね。バイクの下りもその1つだ。
 
 
<コミュニケーションが基本>
声掛けは基本。ただし、十分なスペースがある場合に限られる。狭いところを声だけかけて走り抜けるのはダメ。
 
ただ、番組で紹介していた「咳払いで存在を知らせる」のは、よくないと思う。しないよりマシだけど。
 
砧公園の僕の練習パートナー(※自称)である駒澤大学駅伝部員さんは、当然、追い抜き続けながら練習してゆくわけだけど、必ず、その10mくらい前までには「追い越します」的なことを明瞭な発音で声がけしている。僕は最初、こんな遠くから?とびっくりしたくらいだ。
 
でも離れていれば相手を驚かせることもない。そして速度差も考慮して、相手が振り返った時にも十分な安全距離を保てるようなタイミングを計算しているわけだ。このきめ細かさが大八木親分!ああみえて?繊細なマネジメントを徹底しているのは、著書を読めばよおおくわかる。
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(春の砧公園〜ランナーはどっかの高校生、フォームが駒大と全く違う)
 
コミュニケーションは全ての基本。やり過ぎくらいで丁度いいんだろう。
 
このことは、公道を使う自転車トレーニングでも本質的に同じだ。たまに、クルマも歩行者も自転車に合わせろ!的な雰囲気を感じることはあるけど、そんなの、ありえない。僕らは「公共空間を使わせて頂いてる」に過ぎず、そこには感謝と謙虚さしかない、でも、周りが見えない自己陶酔、さらには 「スポーツしてるオレ様が偉い」的な心理にハマってるケース多いような気もする。バイク事故なども、幾らかは、そうゆう態度が影響してるのもあるんではないだろうか。
 
公的空間を走る以上は、早めの声を出す。自転車であれ、ランであれ。なおポケモンGOで「捕獲します」と声に出すかどうかは自己責任でご判断を。
 
これはプールでも同じ。少しでも混んでたら、出る前に一言「いきます」と片手上げてつぶやくくらいは、したほうがいいと思う。全く無言の人間よりも、少しでも言語なりジェスチャーなりを発する人間の方が、安心できるというもの。それは、接触や波などのトラブル化も防げるとお思う。声を出した側も優しくなるものだろうし。
 
 
<オフロードを走ろう!>
いつも書いているように、僕のラン錬は基本、オフロードだ。量的に、軽く過半数がそうだと思う。起伏のあるオフロードで、緩急をつけながら、その重力変化を感じることが、ランを磨く最高の方法だと僕は思っている。一時的な外傷をすることはあるとしても(したことないけど)、少なくとも、長引くタチの悪い故障は、これでかなり避けられると思う。
 
人体は2足走行できるように進化してきたけど、「舗装路を一定ペースで走り続ける」ようには進化していない。これは、「ギャロウェイのランニングブック」で「ウォークブレイク」理論の前提として強調されているのは、以前書いた通り。他の洋書でも書かれている。
←それぞれ、おもしろいです。

2016年6月24日 (金)

英国EU離脱の社会心理を、市民アスリートと比べてみた

※今日のは読んでも速くなりません
 
Facebookで流れてきた写真。
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英国商人さんは左上な感じの世界の素晴らしいものを(たまに中国にアヘンとか)売り買いして栄えてきた。といって多数派は右下(缶詰の大豆煮、まずそー!)な世界に生きてそうで、かれらも本当はその恩恵を受けてきたんだけど、そうゆうのは実感しずらい話だ。それより、突如あらわれた隣の移民・難民さんのが、リアルな不安を生んで、閉鎖的・排他的になってゆく。
 
<EU離脱の心理> 
改めて思うのは、「人は集団を求め、集団は敵を求める」ということ。
 
イケイケな時には、個として合理性を追求できる。EUの誕生もそうで、冷戦崩壊で東欧が同一マーケットに入るというイケイケな90年代のことだ。おかげで、日本が全く経済成長しなかった20年間、ヨーロッパは伸びることができた。EUで増えた移民は確実にGNPを伸ばす。この点で日本は周回遅れをくらっている。(かわりにお札大量印刷してみたのが日本のアレね) 右下の缶詰的だった英国料理は今や左上に進化してるそうだけど、それも移民コックさんのおかげだろう。ただ、その儲けは、まず経営者と金融業に入る。わずかなトリクルダウンを待ってる間に格差が広がる。
 
そうゆう不満・不安の中では、人は、伝統的な価値観や集団に回帰してゆくもの。
そして、集団心理は、不満・不安の原因と思われるものを、共通の敵とみなす。
それは「上手くいかない自分への言い訳」にもなって、好都合だ。
 
前回、精神的ストレスの重要性について書いた。それくらい、心を守るということは、動物としての当然の防衛本能なのだ。だから、こうゆう反応は、不合理だとか愚民だとか批判するのも、わかるんだけど、それだけで割り切れるものでもない気がする。
 
生存本能レベルの話とみれば、「離脱の損失は大きい」とか理性で幾ら説得してもムダだったのも、理解できる。北部スコットランドは残留一色なのも、イングランドへの歴史的反感から、敵の敵だからEU味方、的なこともあるだろう。
そこで残留派さんは、メンタル抱きつき戦法というか、「移民や難民は怖いよねー!」と離脱派の主張の半分を取り込みにいったりなら展開は違ったかもなんて素人考えしてみたりもするけど、理想を追求したいエリートには難しかったのかな。
 
まあ、数年前の政権交代みたいなもんで、期待が大きいほど失望も大きい状態に数年内に陥るのか。不満のはけ口ってものは、現実世界には存在しないもの。
とかいって、そこは欧州人のこと、こっから老獪な交渉が始まって、なんとか収めるシナリオもあるのかも。
 
 
<市民アスリートの心理> 
これ、耐久スポーツにとりくむ市民アスリート社会心理と、強引に絡めておく。
 
スポーツとは、敵を作ることから始まる。登山などアドベンチャー系も「山への征服戦争」として始まっている(最近は共生ぽく変化してるが)。この時点で、「敵をイメージしたい」という生存本能が充たされる。
 
そして、耐久スポーツとは自分との戦いだ。オノレの内にある敵だ。
その敵に対しては、「言い訳」をすることはできない。一方で、「自分なりの勝利」はなんらか可能だ。コントロール可能な敵でもある。自分の身体に常駐するものだからね。
 
回帰する先は、閉鎖的な集団ではなく、まずもって自らの身体だ。
 
コミュニティの外側に、コントロールできない敵を求めて、言い訳をするよりも、遥かに建設的で、優しいといえるかもしれない。
 
(市民スポーツを楽しめる層は、社会の中で比較的、左上な豊かな人達が多いかも、て面もあるかもだけど)
 
・・・
 
結局EU離脱とは、人は居心地の良い集団に居たい、という単純な話かな。
 
経済学は、集団規模を拡げると全体の儲けが増えること証明する。
公共哲学は、集団内で福祉レベルを保てと情熱的に力説する。
政治学の一部にはきまぐれな大衆を信用せずエリートに支配させたいホンネがある。
これら全部のせしたのがEUて理解。(1つめに極端に振ったのがアメリカで3つめは中国)
 
なんだけど、集団をオープン方向に振り過ぎると、振り子はクローズ方向に戻って、生理的に落ちつける集団性を回復しようとする。
Brexitは、経済・経営目線からは愚かな判断だし、政治目線ではポピュリズムとか排外主義とか劣ったもののように見られるけど、人の集団てそんなもんだろ、という社会学の目線も忘れちゃいけない。
 
なんにしろ、「正しい判断」てものがあるわけではなく、「その判断を正しいものとする行動」があるんだと思う。最大に活かす道をイギリスさんには進んでいただきたく。歴史とはそうゆうものの化学反応で進んでゆくもの。
 
←読んだ、まあおもしろいかな

2016年4月 9日 (土)

「ハセツネ30k問題」にみる異文化対立、そしてSNS時代の「炎上」対応3つのマイルールについて

「ハセツネ30k問題」とでも呼ぶべき論争が、先週から(世間のごく狭い一部で)盛り上がっている。トレイルランニング大会「日本山岳耐久レース」(長谷川恒男カップ)、通称ハセツネの予選30kmレースで必要装備を持たないことで男女優勝者2名(のみ)が失格し、ブログとFacebookとを絡めたSNS時代らしい熱い議論が続いている。

この背景には「登山文化とランナー文化の衝突」があると思う。

<文化の差>
ハセツネの主催は東京都山岳連盟。1993年、著名登山家の故長谷川恒男 遭難への追悼に彼の地元練習コースを走る、内輪の小さな集まり(といってもフル469人+ハーフ299人、トライアスロン基準では十分多いけど)が起点。初回参加者によると、一目でそれとわかる登山者とランナーが混在してたそう。今や国内トレラン界の最高峰レースとなり、マラソンブームを背景にランナーが大挙出場し、「ランニング文化」が数的には多数派。しかし運営は、少数者の間で濃い文化が共有されている「登山文化」だ。
 
両者は実のところ、同席しているだけで、未だに融合しきってはいない。登山文化は、死との共存がゆえに安全を絶対正義とする。ランナー文化は根底が競技で、速さが正義だ。すれ違いで登山者は歩くが、あたりまえのように走り続けるランナーは多い。ただしその縄張りは登山者のものだし、実際そうあるべき=歩くべきだが、分離したままだから問題が残る。メディアは一般客の多い鎌倉ハイキングコースを取り上げるが、登山家こそが憤っている印象もある。今回、 「トレランしない純登山系」の方はトレランの存在自体に厳しいなと感じた。(登山道を走るな、と思われてるのを気づいてますか?) 同じ現象は、流行りのスポーツ自転車にもある。
 
今回なら、登山家なら安全装備をないがしろにするのはありえないし、競争はオマケだから、ルールの明確性、その適用の公平性などは必ずしも重視しない。ランナー文化なら、ルールの表現や適用が曖昧であれば、速さを優先して行動することに、罪悪感がそれほどない(なかった)のかもしれない。
 
異文化が出逢えば、その過程で摩擦も生じるもの。そこで前を向いて議論することで、文化融合が起き、新たに「トレイル文化」が生まれるだろう。だから、議論を通じて意識が高まるのはよいことだ。本来は。
 
なんだけど、「絶対許せない!」とか、「絶対許せないなんて絶対許せない!」(=自己矛盾だよね笑)とか、単なる一時的な感情のムラムラを処理してスカッとしたいかのような、コミュニケーションの意図が全く見えない文字列も飛び交っている。これは、異文化コミュニティが衝突していると見れば、わからなくもない。
 
<炎上の正体>
こんな事態はネット社会で増えて「炎上」と呼ばれ、特に2016年の初めからいろんな分野で、連日続いている。これを「非寛容な時代」と呼んだりもするけど、直接の仕組みは別にある。昔から友達同士ではそんなことを話してたはずだ。そんな会話がスマホ&SNSを介して公開空間へそのまま持ち込まれただけ。実態は同じ、ただスマホによってレバレッジされてるだけ。
 
かってブログ時代の「炎上」は限られたマニア間だけのもの、今はスマホでみんなが参加し、普通の会話がいちいち表に出る。親しい友達でなくても、また他人相手でも、同じ意見なら気軽にコメントできるから、その量はさらに増える。同じ意見の盛り上がりに煽られて、電話で抗議もするようになる。それがネットの10年間の変化、たぶん。ただしこれらは「その場の感情の処理」に過ぎす、すぐ冷めるもの。
 
実際、ハセツネ30Kルールの問題点を大会事務局に問い合わせた方が、「即返信が来てびっくりする位でした。他にも問い合わせしてる人が居るんでしょうかね~?」と書かれている → http://ameblo.jp/u--k/entry-12147529439.html  議論が盛り上がるわりに、実は前向きな変化への 行 動 をしている人は(かなり)少ないのだとすれば、そもそもがその程度のことってことだ。
 
<批判される側の対応>
でも批判を受け取った側は、その数にびっくりして、謝罪やら打ち切りやら、萎縮の度合いを競っているかのようだ。でも数が多いのはアタリマエで、視聴率1%未満の超マイナー番組だって見てる人は万単位でいるわけで、そのうち1%が意見するだけで制作者はビビるだろう。
そうして引っ込めたものには、本来は取るべきだったリスクも含むのでは。真の問題は、運営側の批判耐性、もしくはリスクテイク能力の低さではなかろうか。
 
整理すると、両者には、優劣が構造的に拡大している。
  • 優=批判する側: 人類史上最高レベルで簡単に批判しやすい環境ができ、
  • 劣=批判される側: それを受け止めているのに、耐性=対応能力ができていない
先手は行動者、後手はそこにアラがあった時に限って攻撃する「後手有利パターン」だ。これは堅い構造だから、先手にとっては、十分な力の差が必要。(これを恐れて、発信を控えているケースは非常に多いはず)
 
当事者さんのブログも紹介→ http://ameblo.jp/ochibi0701/entry-12147596467.html 良い文章です。この記事は「立ち直った後」のものだけど、その過程では、結構なストレスがかかることがわかるだろう。
 
「不寛容な時代」とは、個人の性格・行動がキツくなってるのではなく(まあストレス社会でそうゆう面もあるのかもしれないが)、批判されうる側である発信者・行動者・運営者・・・側がこれら変化に対応できていないがための、過剰反応によるものだと思う。
 
こうしたSNS化は世界同時進行。ゆえに「炎上対応」は、今や世界的な企業経営課題になっている。実際ドーピング事件への世界大手スポーツ企業などの対応は、ランスの頃よりシャラポワの方が、圧倒的に手慣れた印象を受けた。予め想定してあったシナリオ通りに淡々と行動してる感じだ。
 
1つの仮説として書いておけば、「日本人は議論や対立が苦手なことにより、あるいは間違いを恐れる心理により、この対応が世界的にも下手なのでは?」と考えられないかな。
 
Dvc00040皇居二の丸庭園
 
でも、批判を恐れていては成長もない。そこに踏む込むべき理由は、
  1. 良質な批判とは「新たなや文化や価値観との遭遇」であり、融合した先の進化へのチャンス
  2. 単なる感情処理で批判するタイプは、多くの場合、付き合うべき相手ではない。無視して実害はないのに、無理して付き合うと疲弊するだけ
  3. 批判もされないような意見なんて、たいてい、毒にも薬にもならない
などによる。もちろん、改善すべき問題点は改善することは当然の前提としてね。
 
この1ー2の境目は微妙なもので、人それぞれに違う。政治家なら小選挙区の3割に投票させれば残り7割は敵でいいし、ミュージシャンなら1億人の99.9%を敵にまわしても残りがファンになれば大成功。主婦向けのCMタレントなら不倫はありえない。自分で決めるしかない。
そんな見極めの結果として大撤退するのならよいのだけど、炎上回避自体を自己目的にしてるような面も見えなくもない。
 
<再び、文化の差について>
ただ、一見タイプ2.の無益にみえる批判にも、なんらかの「文化の違い」は探ることができるはず。所属するコミュニティ内で当然とされる価値観ならば、ロジックで説明する必要がない。リアル人間関係の中でなら、ただ感情を吐き出すだけでいい。共感を得られるし、相手もそれでハッピーだ。ただ、みんなが見てるSNS情報空間に対しても、同じ言葉を当然のように投げ入れてしまう。ある種の集団心理だ。それが作用するコミュニティとは、「登山 vs. ランナー」ほど明確でなくとも、「主婦が不倫を糾弾する」とか、いろいろあるはず。
 
もしも、「自分の考え(=たとえば怒り)は当然でもないかもしれない」と客観視できていれば、その違いをロジックで説明しようと試みるのではないだろうか? そこでは、「自分とは違う価値観」への想像力が必要。
 
そしてそれは上記の構造から、まず批判を受け得る側にとっての必須スキルとなっている。ただ現状では、その想像が「怒らせる相手を減らす」ことに向けられている気がする。それによって、その相手との関係が、お互いにとって利益をもたらすものになるのであれば、それでいい。しかし、、(略
 
一方で、SNSには「やりすぎだ」というバランス回復も速い。どちらにも振れる諸刃の剣であり、毒でも薬でもあるもの。使いこなすほかない。
 
 
<一ブロガーとしての僕>
ここまで書いたことは、主張を明確にした文章を心がけているブロガーとしての僕にとって、切実なのです。
 
僕は、僕なりの価値観に基づき、それを共有する読み手に向けて、「良く効く薬」として書いている。実際、良く効く。ということは、相手と使い方によっては「毒」ともなりうるということ。また異なる価値観の相手にとって、なにかいやなものもあるかもしれない。
 
そんなリスクっぽいものとどう向き合うか? 
僕はこうゆう耐性が強い人間だけど(いろいろな意味でね)、3つの基準を持っている。
 
1. 大前提は、合目的である、ということ。
「目標達成のための僕なりのアプローチを、必要する相手に届ける」という目的に沿っているか、ということ。裏を返せば、「それを必要としない相手は存在しないのと同じ」ということ。存在しないものに何をどう批判されようが、それは「日本語にとてもよおく似てるけど決して日本語ではない何か」、に違いない。
2.「相手にコミュニケーションの意図」があるかどうかを見極めること。 
コミュニケーションを意図していない文字列など言語ではない。謎の漢字タトゥーを彫るガイジンさんにとって日本語はミステリアスなデザインでしかないわけで、それと同じことだ。むしろ路上の犬がワンワンと鳴いてる方が、よっぽどコミュニケーション性がある。
3. 成長の機会としてとらえること。
そんなリスク=つまり毒っぽいものの存在は、同時に薬にもなる。先に書いた通り、「批判される(可能性のある)側」は「する側」よりも、相当に高いスキルを要するわけだ。この立ち位置に身を置くことが、思考力、表現力とを、成長させる。
このブログはもともと自分のために書いているもの。「自分自身が読みたいと思える文章であること」が、ほぼ唯一の基準になっている。そこに他者の視線が入ることには、僕の思考を冷静で客観なものとする効果がある。だから、コミュニケーションの意図を持った指摘はとてもありがたい。どんなに厳しかろうともね。では、意図の見えないツッコミがあったらどうするか?というと、まあ、たぶんきっと長期的には前を向いたものに違いないと仮定しておくのがよいだろう。
 
 
<オフロード走ろう!>
 
なんにせよ、トレランはもっと普及発展すべきもの。日本人ランナーは舗装路を走り過ぎだと思うし。参考「駅伝マン〜日本を走ったイギリス人」→
 
このハセツネ30k事件を機に、人数的には圧倒的多数派となったランナー文化の方々が、登山文化を学ぶ良い機会になるといい。それが両文化の融合体としてのトレイル文化を育て、ひいては、日本人ランナーとトライアスリートを強くすると思う。

2016年3月10日 (木)

トライアスリート目線から見たシャラポワのドーピング問題

この問題は、今のドーピングの「微妙なイヤらしさ」が象徴的に表れていると思う。「3ヶ月前には "クリーン" であると "定義" された選手が、ルールにより "再定義" されて150億円を失う」というジェットコースター感だ。
 
世界の耐久スポーツ界、特に1990年代からの自転車や馬軍団(長距離走)など増血剤「EPO」まみれの分野では、「使ったもの勝ち、ただしバレない限り」(※たまに競技団体が隠蔽に協力してくれる場合あり)、なんて状況があった。他種目、例えばトライアスロンではどうかというと、情報=摘発事例がないからわからない、というほかない。
 
ドーピング薬は巨大市場である医療用に先に進化する。スポーツ界では極悪扱いの「EPO」なんて医学的には超普通で、そこらじゅうの病院にゴロゴロしてる。医者が一人で世界中の新薬情報をチェックし、効果ありそうなのをスポーツ目的でアドバイスする程度ならネットで簡単に始められるし、そこで顧客を捕まえてこっそり送るのも簡単。そもそもは合法なごく普通のクスリなのだから。それを取締側は、限られた予算内で後追いせざるをえない。今後もゼロになることはないだろう。
 
それでも包囲網は確実に狭まっており、その件数も影響度も小さくなっているとも思う。そのせめぎあいの中、オフサイドラインのように境界は明確に引かざるをえないが、その実態は曖昧なものだ。それにより巨額マネーの行き先が変わってしまう。シャラポワはまさにそう。
 
 
< メルドニウムの仕組み >
メルドニウム/meldoniumは、心臓病治療薬として1970年代(?)の旧ソ連(現ラトビア)で開発され、80年代アフガン戦争で兵士のストレス対策と疲労回復に広く使われた という。(この順は逆かもしれない=戦争薬として開発され心臓に効くぞと転用された的な)
アスリートが使えば耐久力とメンタルを向上できるという「副作用」があり、「ドーピング効果があるのに(まだ)禁止されていない美味しい薬」として、地元ロシア中心にいろんな種目で使われていた。
 
医学的には、脂肪活用を抑制し糖質をより多く活用する仕組みらしい。糖質は数十秒〜数十分間くらいで大きなエネルギーを出せるので、エンジンにターボチャージャーを付ける感じかな。以下は製薬会社による説明動画(英語)。
なお心筋について説明されており、骨格筋にどの程度あてはまるのか不明(というか私の英語力と医学知識の限界orz)、ただミトコンドリア代謝レベルなので共通性はある気がする。
糖質を大量消費するわけで、総カロリー消費の大きいトライアスロンやマラソン以上のランには、糖の供給(体内ストック+消化吸収フロー)が間に合わず不向きかと推測する。90分を超える耐久的な動作では、脂肪活用能力の方が重要だから、逆効果とも思える。(摘発されたアフリカのマラソンランナーは知ったのだろうか?)
 
だが、テニスや自転車集団走のように回復時間が多く挟まれる形態なら、その間に糖の再供給ができ、アクセルを踏んでいる間のパワーが上がるだろう。本来は脂肪エネルギー主体になるであろう数時間のゲーム終盤で、糖エネルギーを使えれば強い。
だとすれば、アイスダンスで摘発されたのも理解できる。長時間の練習で「数分間の集中力」を繰り返し維持出来るのなら、メリットが大きい。長時間練習の大きな副作用とは集中力の低下だから。これはテニスも同じ。
筋肉増強剤や増血剤では、能力の絶対値を増やすことができた。こっちは同じ能力レベルのままで、偏らせるだけの選択的なもの、という印象。効果はあるとしても、限られてもいるのではないだろうか。
Youtubeのコメントによると、1年のうち1ヶ月程度の連続服用を4回し=2/3の期間は服用しない仕組み。なにかしらの残留効果があるとも思われる。シャラポワはそれで検出された可能性もあるかな? 

ちなみにここのYoutubeコメントは少数ながら強烈で、 

" I know a couple of MTB guys who take it --- they say it really helps with their stamina. "
 
"I am a pro cyclist and I use Meldonium/Mildronate. Our whole team does. It has very calm side effects and we all notice improvements when out on the road."
 
そしてリンク先のFbページから「120錠149ドル送料無料」で世界中から買える。(この手の詐欺は多いけどね) 真偽はともかく、日本語だけ読んでると限界あるよね。  
 
< クリーンな選手、という曖昧さ >
確認しておくと、マリア・シャラポワ選手は2015年12月31日までは「クリーン」だった。世界のエリート・スポーツ界では「禁止リストに入っていないクスリ」は普通に使っていることを、欧州プロレーサー経験をふまえ土井雪広選手が「敗北のない競技」(2014)で証言している。それにどんな効果があろうともね。クリーンて一体なんだ?て話なんだけど、それが世界の現実であることは知っておかねばならない。
 
アスリートの使用率が異常に高いことをWADA(世界アンチドーピング機構)も掴んでおり、昨年9月に禁止薬物リストへ入れた。WADAによる最近の対ロシア包囲網の一環としての意味もあるかもしれない。その発効は今年1月1日。元旦の朝めざめたシャラポワは突如としてDoperへと変身したわけだ。カフカ的不条理。
 
彼女の「合法ドーピング」の目的は明らかだとは思う。心臓の治療「も」必要だったとしても、純粋にそれだけなら生活してるアメリカ西海岸には世界最高レベルの専門医が何人もいるはずだし、彼らがロシア近辺でしか認可されていないこのクスリを使うことはないだろう。そして、普通は数週間で止めるクスリを、彼女は10年間だ。
 
念のため、シャラポワは17歳でウィンブルドン制覇。服用は20歳頃の故障が出始めてからと言ってて、さすがにトラブルのない17歳でクスリに手を出さないと思うのでこれは真実だろう。テニスという競技の性質からも、こんなもん使わなくても十分に勝てるはずの選手だ。ただ、長時間のゲーム終盤に体と心を少しでも上げられるのなら有利なのも間違いない。不安の中から手を出したら効果を感じて、て経緯かな? 
 
それでも普通、去年までで服用は止めるはず。それに成功してれば相変わらず「クリーン」でいられたわけだ。
 
 
< なぜ発覚した? >
シャラポワの検査は今年1月26日。自転車カチューシャの選手は同14日のレース外での検査で摘発されている。このタイミングでロシア選手に検査するのは、ロシアの組織的問題もあったし、WADAが温めていた計画に違いない。狙い通りに速攻勝利。
 
2015以前のも再検査し公表してほしいものだけど、それは法的に難しいんだろうな。過去に遡っての実名での情報公開があれば抑止力になるはずなんっだけどね。
 
ここで謎なのは、使ってる側の無策ぶりだ。禁止直後は最も警戒するはずなのに、スピードスケート、アイスダンス、自転車、マラソン、と同時多発に摘発されている。
 
シャラポワは「服用前に禁止リストを確認しなかった」と弁明してるけど、「4年間の資格停止処分を受けた場合、1億ポンドもの広告契約収入を失う」 という中での発言だ。日本では年初にベッキーさんも同様に大企業スポンサー収入を失わない目的での会見でハマってたけど、こっちは軽く数十倍だ。お金に変えられない「世界女王」としての名誉もある。「チーム・シャラポワ」は粗利だけで年間20億円以上を安定して稼ぎだす超優良企業なわけで、某国の自転車競技連盟のようなポカ をするとは思えない。
 
仮に、年が明けても飲んでたとすれば、担当者は無能過ぎる。(医療系チームはアメリカだが、薬物調達の「ロシア・ルート」が別に存在し、その担当者がウォッカのみながらWADAの告知メールを削除してた的な)
 
この点、WADAの元会長は「言葉にできないほど無思慮だ」 と語っている。このインタビュー内容はいちいち的確。原文は “reckless beyond description” かな。「説明不能なほどアホ」とは、「現実にはアホじゃない=故意犯だよね」ということを欧州セレブらしくお上品に表現してる感。受験英語の「Too〜To構文」とか古文の「二重否定は強めの肯定」的な。
 
そこで「昨年内に服用を止めていた」と仮定すると、それでも検出されたのは、先に書いた残留効果である可能性があるかも。骨髄や内臓などに残ったり。ちなみに血液は入れ替わりに120日かかるそうだ(※メルドニウムは血液そのものを変えるわけではないが)。
 
使用者が多過ぎるから、中にうっかりしてたのもこれだけいた、という理由もありうるが。
 

< 社会の変化 >

もう1つ言えるのは、1990年代から比べて、取締が圧倒的に厳しくなっているということ。この主因は、検査技術や住所管理など手法(=馬軍団はこれで逃れた)の進化だろうけど、背景にスポンサーの変化もあると思う。

ないものとして見ないふりする態度から、リスク管理としての積極的排除へ。過去の大きな事件で結構なブランド毀損してそうな大企業も思い浮かぶ。ネットであっという間にプラス数字にマイナス符号が付いてしまう時代、最近のスポンサー社の対応はとにかく早い(下記ロイター記事参照)。予想されるリスクとしてシミュレーション済なんだろう。WADAへの資金提供も、できれば削りたい単なるコストから、広告活動に伴う「戦略的な保険料」のようなものに変わっているのではないだろうか。

凄い選手が表れると「やってるのか?」と疑ってしまうようでは、明らかに競技の魅力を、そして広告価値を損なう。

スポーツとシャラポワの広告価値について、ロイター記事では

  • スポーツのスポンサー・ビジネスは世界全体で投資額600億ドル(約6兆7500億円)
  • シャラポワのコート外収入は通算2億ドル以上

FT記事では

  • シャラポワ選手は、米誌フォーブスの世界で最も稼ぐ女性アスリートとして過去11年にわたって毎年1位を獲得
  • スポンサー契約料などで年間2000万ドル以上の収入を得ており、その数字は15年のテニス獲得賞金を上回る
  • フェイスブックに1500万人以上、ツイッターにはさらに200万人のフォロワー

と、ビッグビジネスぶりがよくわかる。これ以上カネあっても使い切れん気もするのは凡人の想像力の限界で、有名人さんたちは平気で100億円くらいを溶かして破産なされる。。マトモな人なら引退後に投資などで影響力を維持・拡大できるだろうし。

 

< シャラポワ選手について >

とここまで書いてもう一度確認しておくと、こうした状態は「3ヶ月前まではクリーンとされるもの」であったということ。そのクスリにどれだけの効果があるにせよ、シャラポワは服用前の17歳にウィンブルドンを優勝してる正真正銘の世界トップ選手。何らか復帰し、再び活躍してほしいと思う。

そして深刻な副作用が残らないことも祈る(どうやら、副作用の低いクスリであるようだが)。一般に、効果の強いドーピング薬物はかなりの高確率で深刻な健康被害を残している。たとえばEPO服用の自転車選手には性ホルモン系統のガンが多発している。

たぶん効果と健康被害は比例し、たいしたことないクスリならダメージもそうは大きくはないだろう。そしてドーピング対策が進むことで、強いクスリほど使いにくく、問題になるのは効果も弱いものになってゆく、その途中ではないかと思う。

 

< 僕らにとっての結論 >

だから僕らは、「観客として」は、そう悲観的に見ることもなく、幾らかの距離感を持って見ていればいいと思う。

そして「競技者として」の立場からは、結局効果の高いものとは、リカバリーには「睡眠」が最高だし、サプリメントなら野菜果物。競技中にパフォーマンスを上げられるとすれば、クエン酸、ココナッツオイル、最後にコーラ、等々、ごくアタリマエなもの。なにより練習!

  

2015年11月22日 (日)

宮澤崇史さん講演 「日本人が世界で戦う術」

<日本のトライアスロン・スイムを底上げしよう>

11/15夜のオリンピアン三浦広司コーチの「体幹クロール講座」 は、座学に最も向かないであろう水泳の、しかも初回としては、集客も反応も上々。12月の2回めも発表直後にキャンセル待ち。その先を準備中。

この対応もあり、しばらく情報発信をFacebookに集約している。今、トライアスリートの間のコミュニケーションは、Facebook内部での「閉じた相互コミュニケーション」が主流になっているように思う。そこで、独自価値のある情報を提供できている限り、マスメディア抜きにでも、ある程度の発信は可能だ。

さらに、Facebookのイベント主催機能はなかなか優れている。これは実名制SNSならではで、参加希望者がどうゆう方かわかるのは大きい。欠席者も必ずメッセージを頂け、無言ドタキャンがゼロ。今回のような実験的な試みをSNS内でほぼ完結できるのはとても便利だ。

3回目は年明け以降。Facebook内の募集だけで満席になる可能性は高いので、興味ある方は、八田のFacebookをフォローしといてください。

・・・

翌11/16夜は、「プロアスリートと欧州のエコノミストに学ぶ日本人が世界で戦う術」なるサクソバンクFX証券のセミナーへ。会場は青山通りと外苑銀杏並木の交点、華やか。東京駅から6kmバタバタ走って移動。

皇居の玉砂利エリアでウォーキングしてから、と入ると、ちょうど天皇陛下がお帰りになる直前で止められた。せっかくなので見学エリアに移動し、ほか6名の通りすがりの見学者と共に待つと、アンテナを幾つも立てた黒マークXに挟まれ、あの黒塗りクルマが登場。夕暮れの中、室内を明るくされて、鮮明に陛下の笑顔を見ることができる。こんな7名だけの野次馬にまで手を振られて。感激。

皇居〜国会議事堂〜246と走り、Tシャツ短パン汗まみれという場違いな登場をキメる。(で着替える)

12219617_555625287919790_66271720_4 (写真:浅海健太さんFacebookより)

<宮澤崇史さん講演:海外で生き残るということ>

高卒後すぐイタリアに渡った宮澤さんは、空港で待ち合わせてチームに連れてかれ、以後は日本からの連絡なく半年間放置されたと。世界で戦うとは、一面でそうゆうことだ。

自転車ロードレースは「個人を勝たせるチーム競技」なので、コミュニケーション=語学力+関係構築力が重要。

語学について、周りはイタリア語しか使わず、全然わからないとこからのスタート。競技と生活の合間に勉強し続けるほかなく、自転車の練習中に知らない言葉が出てきたらイタリア語の辞書をハンドル上でめくったりしてたそうだ。

その上での関係構築は 、「まずチームの、お山の大将に話しかけて、仲良くなること」から人間関係を作っていったと。すると周りの扱いも変わる。サバイバル能力高い。

外国語がわかるようになるのは、ある日突然すーっと入ってくるようになるわけではなく、幾つか聞き取れる言葉を繋いで、その場の雰囲気とあわせて、想像し続けることが大事、とも。この食らいつく姿勢はすごく大事なことで、英語苦手、という方は、この曖昧領域に耐えられない、という面があるかもしれない。

僕も最近、高校受験を控えた知人のお子さんの英語テストを見直して、思った。公立高レベルの英語は、英文解釈がテキトーでも、「似たシチュエーションでの、日本人同士の会話」に置き換えてイメージさえできれば、テストで8割以上を正答できる。でも、英語苦手という意識があると、2-3行目に「あーわからないもうダメ!」と思考停止しがちだ。ただその子は実際には、「日本人同士の会話」をイメージできるレベルでの英文読解力はあった。もったいない。そうゆう状況下でも上位3割くらいにはねじ込める受験テクニックはあり、それを教えたら、たちどころに理解してくれた。

その数十分間の変わりようを見ながら、同じような罠にハマっている日本人はかなり多いんだろうな、とも。

11114320_986958801364836_7284163129 (写真:宮澤崇史さんFacebookより)

<欧州の日本人自転車選手というキャリア戦略>

ヨーロッパではもともと競技レベルが高い上に、フランスのチームなら当然フランス人選手を優遇するので、日本人が選手キャリアを続けるのは難易度がかなり高い。

この成功要因を宮澤さんは、「1つのピースとしての自分」が、「チームにとって必要なピースであること、ただし大きなピースである必要はない」と説明される。自分だけの強みを明確化し、そこに徹底集中する、ということだ。あれもこれでも中途半端にできます、という選手は、すぐに契約を切られてしまう。

講演の質問タイムで訊いてみた。「生き残れた日本人選手と、そうでなかった選手との違いは何ですか?」と。すると踏み込んだ回答をいただく。

10年後なりたい自分の姿を明確にしておくことだと。そこから逆算して、5年後、3年後、1年後、1ヶ月後、、、とやるべきことが決まる。この時間軸がズレるのは一向にかまわない。でも、なりたい姿からブレたらダメ、そこだけは絶対にこだわり抜かなければならない。

また、最近の若い選手は、すぐに「幾ら貰えるんですか?」と気にすると。でも実際、条件を考える事ができる立場にいるのは上位数%で、それ以外は、相手(チームとスポンサー)が望むことを徹底的にやりきるという以外に、選択肢はない、とも。

つまり、自分の将来という軸、相手の期待という軸、いずれも徹底実行する、という当たり前ができるかどうか。

海外進出も視野に入れる若手アスリートからの質問では、さらに熱を込めて、ずばっと切り込んでくる。メモしてないのであやふやだけど、たしか、こんな感じ。

「一番伸びる時期に、日本にいることのメリットとデメリットは見えている? 

現地に居続けることで、始めて蓄積できるものがある。日本にいて、それと同じレベルのことができる?

日本にいれば(休学等を抜きに)大学を卒業できる、親もそう期待するだろう、でもそれは親が「本当に望んでいること」だと言い切れるか?

みんな、自分は違います日本でもできます、と言いながら、何も出来ずに終わってゆく。もちろんキミがその例外となる可能性はあるだろう。でもぼんやりとした期待でなんとなく考えちゃダメだ」

一般向けの(しかも金融業主催の)講演→ その枠内での一般人の質問(=私)→ 懇親会での将来を賭けた立場からの質問、と、場が深まるほどに、やりとりも深くなる。スリリングな過程。まじかで接することができるのは、なかなか無い。

<レールの上の速度競争ではない世界>

日本国内の人気スポーツの多くは、「レールが敷かれた世界」だ。レールの上でより速い者から順にキャリアが用意される。(ただし現役アスリートである間に限る)。一方で、海外自転車プロ選手というキャリアにはそれがなく、戦略から実行まで、自分で考え決めてやりきる、ということが重要になる。

そして、日本国内でも、そんな世界がこれから増えてゆくはず。その最前線を18年間にわたり体験したのが宮澤さんだ。そのキャリア論は熱く尖っていて、日本の高校・大学生世代にも、ぜひ伝わってほしいと思う。

 

<世界経済の行方は?>

宮澤さんとご飯との合間の、いや、、、メインイベントであるスティーン・ヤコブセン氏のマクロ経済分析は、パンチが効いててかなりおもしろい。やはり経済の王道とは、

教育→ 国民のIQ向上→ (女性参加度up ※必要な国の場合) →生産性向上→ 通貨価値向上

という流れだと確認できた。ほぼ同趣旨の概要はロイターのインタビューで読める。アベノミクス的なものは、短期的にはイージーマネーを動かすことはできるけど、長期では上記のシナリオが勝つだろう。

「世界経済がドル建ての(実物による裏付けのない)債務により膨れ上がるが、資産価値が上がってるわけでもなく、資本コストも既に上昇中、さらに上がる。

そんな中でのドル高は米国外での債務を増大させ、世界経済の巨大なマイナス要因。

1年後には2-3割の調整が入るべきだ。さもなくば不況突入。IQの高い国の生産的な会社なら生き残れる。」

というシンプルなストーリー。実際どうなるかは誰にもわからないのが金融マーケットだが(中でもSAXOBANKは大胆予測で有名)、骨太なストーリーを幾つか理解しておくことは大事だ。

最後のアドバイスはチャーチルの言葉、"If you are going through hell, keep going." 投資家にとっては修羅場が始まるかもしれない。そんな時には、戦い続けるしかない。怖がってすくんだら負け。なかなかシビアな認識だ。

 

文字で読むのと、生で見て聞いて伝わるものには、大きな違いがあるものだ。適切な話者によるものである限りは。そう感じることができたのは、良いセミナーだったてことだ。

・・・

 

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2015年11月 3日 (火)

ハロウィンと耐久スポーツ、急成長の共通性

<ハロウィン急成長の理由>

去年、今年と大ブレイクした感のあるハロウィン仮装、「ハロウィンから一晩あけた日の考察」 が納得の考察をしている。(BLOGOS, 森口朗, 2015.11.01)

国内では少数派の宗教のお祭りが、日本社会にするっと普及してる点につき、

換骨奪胎して意味なんか考えずに受け入れる。これが極めて日本的です。
 
宗教そのものを意識せず、宗教行事の空気感だけを味わう。これが多数派日本人のあり方なのです。
正月の厳かさ、縁日や神輿が出る祭の盛り上がり、クリスマスの「聖夜っぽさ」。それぞれ空気感だけを味わう。そして、今そこにハロウィンの「バカ騒ぎ」が加わろうとしている。まさに日本的ではありませんか。
 
と的確に解説しつつ、
 
ハロウィン以外の全ての祭が、実は「会員制パーティー」と化している
 
どんな人でも、日常とかけ離れた時を楽しみたい。そのためには、全ての人を受け入れる空間や時間が必要です。ハロウィンの盛り上がりは、「富」「社会的地位」「家族」「恋人」等々の価値あるものを何も持たない人が楽しむ空間と時間が、現在の日本にいかに少ないかを象徴しているようにも思います。
 
と、流行の深層をえぐる。
なるほど。ハロウィンの流行について、最も的確に解説していると思う。
 
<耐久スポーツとの共通点>
 
僕なりにつけ加えたい。
ハロウィンの、お正月やクリスマスには無い独自性とは、「自分が主役になれる」という、「参加型イベント」である点にあると思う。
 
その点で、マラソン・自転車・トライアスロンなどの耐久スポーツの流行と共通する。
 
同じスポーツでも、野球やゴルフやテニスでは、見るのには向いているけど、「大勢で参加できるお祭り」にならないし、参加する全員が主役にもなれない。
 
ただし、耐久スポーツでは、日常的な努力の継続という条件が加わるため、「誰もがすぐに参加できる」わけではない。参入障壁が高いのだ。
これは、「会員制」に似ているともいえそうだけど、「会員制」が「自分と同じ程度にリア充な仲間」が前提になっているのだろうけど、耐久スポーツは自分との戦い。自分の「意思と時間」との戦いかな。少なくともランニングなら、シューズ1つで走りだせばいい。
 
この日常的努力という要素がゆえに、一過性のお祭りに終わらないのが、耐久スポーツだ。
あらゆるスポーツは、真剣に上達しようと思えば、日常の中にトレーニングを組み込む必要がある。それは苦しい努力という一面もあるわけで、そのイメージが一般には強いのだろう。
 
でも同時に、レースというお祭りの延長が、日常の中に埋め込まれる、ということでもある。この「効力の長さ」の差も、ハロウィンとの大きな違い。
 
ただ、耐久スポーツ系の大会は、お祭りではあるのだけど、基本は「個」であり、そのまんまでは「パーティー」とはならない。
 
もちろんチームに入ってれば、チームの中でパーティーできる。でもそれだと「会員制のお祭り」そのまんまだ。すると、僕のように常に単騎参戦する者は、孤独なパーティー、てことになってしまう。
 
実際、僕も初期は、一匹狼気分で参戦してたし、その感覚を楽しんでもいた。(当時の湘南ワタナベレーシングという、支え的な存在は大きかったけれど)
 
ただ、レースを重ねるにつれて、仮想チーム的なものが、少しづつ膨らんでいった。
それは、レース会場でお喋りした相手であり(2戦目から表彰台に乗り続けることができたので、表彰式では必ず誰かと話すことができた)、毎回こってり書いたレースレポートの読者であり、それらを含めたFacebookの繋がりであり。
 
そうして、僕にとっての孤独なレースは、大きく拡がったパーティーへと、膨らんできた。きっと今この瞬間もそう。この記事で始めて僕のブログを読んだ、という方は何人もいるだろうし。
 
つまり、個人的行為をパーティー化させるのは自分次第だが、ネットはそのための有効な手段だ。
 
<まとめ>
 
このように、国民的お祭りを対比させると、
  • お正月やクリスマス: 閉鎖的なパーティー
  • ハロウィン: 誰もが「自分が主役になれる」お祭り、ただし一過性
社会人スポーツでは、
  • 野球やゴルフ: 開かれた、ただし、見るだけ (主役になれるのはごく少数)
  • 耐久スポーツ: 誰もが「自分が主役になれる」、しかも、継続的に。ただし、日常的な努力を継続できる限りにおいて。パーティーになるかは、自分次第
そして、ハロウィンと耐久スポーツが共に急成長している理由の共通点とは、みんな自分が主役になりたいってこと。
 
一方で、そうゆうのを冷笑する人達も、確実にいる。
 
どっちに回るかは、自分で決めればいい。
これは、経済的先進諸国に共通する大きな流れの一部とも考えられる(社会学でいう後期近代における再帰的プロジェクト)。であるとすれば、ハロウィン自体がどうなろうとも、「ハロウィンぽいもの」の拡大は続くと思う。
 
・・・
 
僕はというと、被ったり塗ったりしなくてもハロウィンできるかな?との問題意識のもと、Facebookプロフィール写真でささやかに参加。
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先月からのシカゴ2015Run写真を、週末、2007年オフィス撮影のものに切り替えたら、よもややの反響。笑
 
Facebookでの友達+フォロワーは只今1,700名ほど、圧倒的にトライアスロンなど耐久系アスリートが多く、ふだん書いてるのもそんな話ばかり。そんな中で、世間的には普通の写真を上げると、仮装として成立するという。。
 
人のイメージっておもしろい。
 

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バイクは己の野生を信じよう。お勉強するなら本より映像かな

フォト

『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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