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2018年7月の2件の記事

2018年7月15日 (日)

サッカー評論界の新星、林舞輝コーチ(23)の存在・行動・思考

<すごい若者はなぜ生まれるのか?>

「今の若者トップ層は、僕らの頃と比較にならないくらい超すごい!」と最近あちこちで見聞きする。ニュースとかでなくリアルで接して驚いているのは、40代以降の社会的にそれぞれ成功しているといえる人達が多い。(リアルで接する機会がある時点で既にそれなりの立場であることが推定されるともいえるが)

スポーツとか将棋とか、実力が数字ではっきりあらわれる分野で目立つけど、氷山の一角であるわけで、僕らに見えないところでも、いくらでもいるわけだ。

そんなことを思ったり言ったりしている時に、サッカー2018ワールドカップで、すごい記事を連発してるのが23歳と知ってまたびっくり。月刊footballistaオンライン版での
 

ベルギーとの差は高さではない。「抗プランB」がなかった日本 (2018.07.06)

 
とかのシリーズ。僕は4年に1度だけ湧いてくるニワカなワールドカップファン(=サッカーファンとは書かない)だけど、これら記事の論理の的確さ、現場感覚の確かさは、理解できている気がする。
 
それが林舞輝コーチ。彼のインタビュー記事(2018年4月)がおもしろい。
 
 
おもわずニワカ解説したくなる言葉が続く。「すごい若者はなぜ生まれるのか?」という視点から、引用していこう。
 
<キャリアの視点>
すごいものには理由があり、彼のここまでの過程もやはり納得:
  1. 両親はサッカー選手&留学や海外在住経験あり
  2. 生まれた時からずっと両親がサッカーの話してる家庭
  3. 14歳から小学生相手のサッカー指導開始
  4. 高2で選手引退し指導専念
  5. 大学からイギリスへ
  6. イングランドの有力クラブのJr.コース指導インターンに
  7. チームを3つに分けて強豪チームと練習試合をした時に、自分が指導するチームが全勝、正スタッフ昇格
  8. 大学を首席卒業
  9. 指導者養成の名門であるポルトガルの大学院へ
  10. ポルトガル1部リーグのU-22のアシスタントコーチ
  11. モウリーニョの指導者養成コース(実質15枠)に日本人初の合格 ←今ココの23歳\@@/
前半だけみれば、家庭環境に恵まれていた、と言える。ただそれもせいぜい5.イギリス行きまでの話だろう。それぞれの転機で、
 
「サッカーを職業にすることを考えたら日本の大学は選択肢から消えた」
 
「イングランドで肌身で感じていた『チェルシーユースのような選手たちに、日本のユース世代が10年後にどうやったら勝てるんだろう』という思いに対する答えを、どうにかして見つけたかった」
 
と、目標像が明確に見えているがゆえの大胆な選択をされている。こんな行動ができている時点で、既に、家庭環境が恵まれていた点は完全にリセットされている、といっていいだろう。だとすれば、そこから先は条件は同じ、できないことの言い訳にはならない。
恵まれた環境を活かせない人間は幾らでもいる。その環境の中で得たものを、別のものに転換することで、ステージを変える。それが自分でできるかどうか、が差をつけるのだと思った。
 
<日本との文化差>
 
「大学でも元プロ選手とそれ以外の生徒は完全に平等ですね。同級生と食堂に集まれば、いろんなものが机の上に並べられ、机を戦術ボード代わりにして議論が始まります。逆に、日本では年功序列的な文化がありますし、自分より優秀な若者を評価するのは簡単ではない。」
 
も大事なところ。グローバル化の中で、地球上の最適地にストレートに向かう、という選択を普通にとるようになったことが、今の若者層の一部に共通するかなとも思う。将棋ならそれは日本だし、「日本語のネットサービスの起業」でも日本だし。
 
「日本だとコンビニに行けば何も言わなくてもお弁当を温めてくれるし、お箸も一緒に袋に入れてくれますよね。でも、海外だと違う。彼らにやってほしかったら、ハッキリと『今から説明するから、よく聞け。アツアツの弁当が良いから、そこの電子レンジで30秒間加熱してくれ。それにすぐに食べたいから、箸も一緒に用意してくれ』と強く主張しないと伝わらないし、対応してくれない。」
 
なんて文化差もおもしろい。 
 
「この世界は、結局は結果だと思います。国籍や年齢なんて関係なく、結果を残せば認めてもらえます。」
 
という世界にあって、「オールジャパンチームになってどうだったか?」(NHK中継での記者質問)「次期監督は日本人がいいか?」なんて20世紀なことをいまだにいってる場合じゃない。
 
<試合のように練習する>
トライアスリート目線でのポイントは、(あれ八田さんトライアスリートでしたっけ?笑)
「試合のように練習する」ということ。
 
「日本人選手は練習の中ではトップクラスに正確なプレーをします。ただ、ユース世代もトップも欧州の選手たちは強烈な速さとプレッシャーの中で『普通に止めて、普通に蹴る』能力がある。その差」
 
「モウリーニョの有名な言葉: ピアニストは、ピアノの周りを走らない。だから我われもグラウンドの周りを走る必要はない。サッカーは、サッカーをすることによってうまくなるのだから」
 
日本的な(サッカーをプレーしない)練習では試合で使える技術は鍛えられない・・・練習において常にボールを使ったりプレッシャーを与えたりといったことを非常に重要視して・・・いるからこそ、欧州の選手たちは猛烈な速さや激しいプレッシャーといった中での技術が磨かれている」

日本は、徳川300年の平穏な農耕&職人文化のせいか、時間をかけて基礎を丁寧に積み上げることを善しとする。それはそれで美徳でもあり、一部では世界的な強みともなりうるのだけど、サッカーとは日本でうまれた競技ではないので。(トライアスロン=とくに自転車とクロール泳もね=スイムは海の集団とかね)

 <まとめ>

「地道に階段を登ってゆく」ことの効果は大事にしつつも、そこに洗脳されすぎたいないか、「ほしい結果にダイレクトに迫る」というアプローチに気づけているか、時折ふりかえってみたいものだ。

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2018年7月 7日 (土)

「クロールのバタ足、速くなる効果なし」との虚構タイトル記事を解説しよう

事実が「抵抗となる可能性がある」であるものを、「速くなる効果なし」と表現したのなら、虚構と呼んでも虚構ではないだろう。7/4朝日新聞デジタル掲載 「クロールのバタ足、速くなる効果なし むしろ水の抵抗増」 との記事がこの数日、スイマーに限らず、ネット内で話題になった。ただし多くはタイトルに反応しただけ、中身を読んでいない(or 読めていない)。へんな誤解が広まらないよう、解説しておこう。
 
<ネットあるある>
その前に、社会的背景に触れさせていただこう。昨今のネットニュースでは、おおげさなタイトルで注目を集めるために、事実をねじ曲げたタイトルで「釣る」のが多い。僕はこれを「フェイクタイトル」or「虚構タイトル」と呼んでいる。
 
それを読む方はというと、タイトルだけ見て動物的な反応をして、中身はマトモに読んでないことがまた多い。投稿やコメント内容から明らかにそうとわかる。僕はこれを「一行さん」と呼んでいる。ドラゴンアッシュのボーカルのお父さんの名前ではなくて、いちぎょうさん。一行しか日本語を読めないから。わりと有名な学校とか卒業してても見受けられる現象だ。小学1年生の国語の教科書でも何行か書いてあるんだけどなあ。
 
つまりはみんな、「わかった気分」を消費したいんだろう。スマホ画面にあらわれる刺激的なフレーズみて、一瞬、「世の中を理解する賢い自分」を感じ、気分をちょっとだけ上げて、次の瞬間には忘れ、何も残らない。笑
 
この記事も、そこへの反応も、その好例。
 
<クロールの常識>
「下手なキックは抵抗になる」のはクロールの常識の1つ。だから抵抗の少ないキックを練習する。
ということは、
「抵抗になるような下手なキック」で実験すれば、「キックは抵抗になる」という結論が得られるのも当然。
 
実験画像をみると、腰位置よりもかなり深くキックを打ち下ろし、ふくらはぎのアップキックも水を受けて、「抵抗になるキック動作」に見える。
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トップスイマーはというと、たとえばレデッキーはキックが浅い(画像は2016Rio800m)。これには、「腰を高く浮かさない」という技術が効いている。(4月にブログに書いた話→ 「リオ五輪からのクロール姿勢の変化」
R
 
※ついでに解説しとくと、両者の差となりうるのは、「腰を浮かすフラットな姿勢」だ。腰は浮かさない、沈めにいく、のが最新泳法。この研究が説明しているのは、「腰を浮かせてもキックが抵抗になるよ」ということだ。アップキックも1つのカギになる。(もっとしっかり説明したいけどいろいろ忙しいので、知りたい方は、せめて三浦広司コーチのFacebook フォローしておきましょう)
 
これら前提知識がないと、タイトルで盲信してしまいかねない。
そんなとき=メディアが信用できないときには、原典にあたるべきだ。
 
<実際の研究>
このプレスリリースのPDFによると、ポイントは
  1. これまで困難とされてきた自己推進しているスイマーの抵抗測定に関して、独自に開発した測定法
  2. クロール泳におけるキック動作の役割は泳速度に伴って変化し、速い泳速ではかえって抵抗になる可能性
  3. 速く泳ぐためには、いかに抵抗要素にならないキック動作ができるかが鍵
と、朝日のタイトルとは全然違う。
 
筑波&東工大のチームにとって、最大の成果は、1つめのポイントにあるだろう。流体力学という科学は、船、飛行機など、動かないものが対象。せいぜいプロペラやスクリューのようにシンプルな回転運動をするくらい。泳ぐという動作はそれらよりもはるかに複雑だから、これまで全体の抵抗を計測できなかったわけだ。それが「自己推進しているスイマーの抵抗測定」というキーワードの意味。
 
そんな知見をゲットできた学者さんとしては、世界に発表したい。それで海外の権威ある学会誌に英語で論文を出したわけだ。採用されるのはごく一部で、載るのは学者としての大きな成功になる。とくに共同研究で名の上がる筑波の院生さんにとっては、これで将来が大きく変わったりする。(おめでとうございます)
なお当の論文 "Effect of leg kick on active drag in front-crawl swimming: Comparison of whole stroke and arms-only stroke during front-crawl and the streamlined position" 読むには単独$40, 年間登録$584かかる。海外の学会ビジネスなかなかにえげつない。
 
その技術を使ってみたらわかったのが、「速いほどキックが抵抗になる可能性」であり「キック動作の抵抗をいかに低減できるかが大事」ということ。けっして、「速くなる効果なし」ではないのだ。
 
学者さんは、こうした表現を間違えることはまずない。(実験そのものを捏造しない限り)
 
大手メディアさんにはその信用にかけて、日本語の正確な運用をお願いしたいものだ。とはいえ、この虚構タイトルを駆使することで注目を集めたのだから、目的は達せられたともいえるか。
 
そしてスイマーのみなさん、キックは抵抗少なく打ちましょう。(てことも、この虚構タイトルの強烈さによって強く意識付けられるから、やはり目的は達せられているのか、笑笑)
 

←アウトプット術を今読んでるけど著者の成毛眞さんもよく大手メディア記事にツッコミいれておいでで、結局大事なことほど自分で調べないといけませんな

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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