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2018年3月26日 (月)

フォアフット、低酸素、TOKYO2020暑さ対策… JTU研究会'18メモ

前回続き) ライブの研究報告はいろいろ刺激多くていい。「ここまでわかった」とは、同時に「ここから先わかってない」てことでもあり、文字化されてないニュアンスからわかるものもあるし。なので限界はあるのだけど、当日メモを掲載。

//// 急ですが ////

いきなりCM入ります、名古屋・伏見にて講演的なことをします。

日時: 2018/3/30 (金) 19:00-21:00
会場: トリニティーグループ本社 (名古屋市 伏見)
     名古屋市中区錦二丁目15-22 りそな名古屋ビル9F
     Tel:052-684-4057
参加資格: どなたでもご参加頂けます
参加費: 500円(お茶代等含)
定員: 12名程度(先着順)

詳細は、こちらFacebookイベントページ ↓ ご覧ください:

年度末最後の金曜夜、という悪日程の急遽開催で恐縮至極 ❢ 2月の東京新聞&中日新聞記事、また1月のJTU発表をベースに、「ピーク・パフォーマンス」を新たなテーマに、お話しましょう。
 
//// さて本題 ////
 
個人的におもしろかったのは、名古屋市立大学の飯田さんによる「トライアスロン選手にとってフォアフット走法は有効か」で、なぜなら僕も被験者だから。
 
論文でも何でも、文字になったのはごく一部で、体験したものが一番おもしろいものだ。
 
後半の一部は抜けてるけど、以下、各演題の概要と感想を。
 
・・・
 
「東京五輪に向けたJISSの取り組み」:東京五輪特別プロジェクト暑熱対策 中村大輔(国立スポーツ科学センター)
 
概要: 暑熱環境で最も体温を下げられるのは「アイス スライリー」=水と微細氷のミックス、よーするにフローズン・シャーベット、夏のコンビニでマシン置いて売ってるやつ。カフェインも効くそうだ。
 
感想: 僕思うに、歴代オリンピック開催地の中でも、日本の夏は圧倒的に暑いのだろうけど、鍛えてるアスリートが対策すれば早朝2時間くらいは対応可能だ。TVでは「危険だから外で運動するな」とマイナスばかりを言うけど、それはTVの主要視聴者が運動習慣のない高齢者だから。NHK『ガッテン』が高視聴率なのもその証明だ。TOKYO2020は、「こうすれば運動できる」というプラスを伝えるきっかけになるといい。むしろ危険なのは、暑さ慣れしてない観客の側だ。
フローズンなんとかも、効果あるの身体でわかるから夏に売れるわけだ。かき氷のちょっと溶けかけたのも最高に冷える。本当の効果あるものは直感で十分で、サイエンスは(そんなには)不要、後追いにしかならない。
 
「トライアスロン競技中の深部体温変化に関する研究」:中島大悟
夏のショートレース中の深層体温を測った。スタート前37.4℃、スイム終了時点が最高の38.8℃。(※ウェットスーツを着て泳ぐだけでは体温上昇はない、との先行研究あり) バイクでは終了時37.7℃と十分に冷え(後半下りのコースの影響もある)、ランは水飲んでかぶっても38.4℃と再上昇。水かけただけでは限界ある。
 
感想: スイムは水温にもよるのだろうし、スタート前にフルのウェットスーツを着たまま長時間待っている影響もありそう。熱がウェットの内にこもり(=直後には深層体温まで上がらない)、夏の高い水温によって、水中での放熱が妨げられてしまうのでは?
僕は夏の大会では、スイムスタート10〜5分前くらいまで上半身は着ずに待っている。ま5分前だとちゃんと着れるのか?てプレッシャーが大きくなる笑けど、まあ1分もあれば着れるものなので。着た後は海水やエイドの水を流し込んで冷やすこともできる。何十分も着たままってのは、本当に問題ないか、考え直すといいと思う。
 
「トライアスリートにおける暑熱対策の意識調査と心体の継時的変化の検討」:稲井勇仁
暑さの影響は、水分量に表れ、尿に表れる。そこで早稲田の院生さんがトライアスロン部の合宿で何十人分かの尿を毎日計測し続けて匂いキツかった!という身体張った研究成果、笑。暑さ対策の意識は高くとも、みな脱水が進行していくのが現実。尿検査できなくとも色を見れば結構当たるそうだ。 
 
感想: やはり体水分量は大事だ。まずはトレーニング前後での体重減少量を計るのがいいと思う。どれだけ水が失われるのか、よくわかるはずだ。
よく見かける「1日で体重何kg減」的な報告は、ほぼ全てが水の増減でしかない。直後には激減し、その後に保水方向に振れて増える。腎臓が体水分量を正常化した3日後には戻ってることだろう。
 
「JTUにおける栄養サポートの現状」:森谷直樹
エリートアスリートも意外と?食事への意識はテキトー。
あくまでもアンケート調査なので、実際の内容までテキトーなのかはまた別の問題。
 
感想: 簡単&効果あるのは、全食事を撮っておくことかも、と思った。ドクター中松は35年分を記録してイグ・ノーベル賞を受賞している→ https://wired.jp/2005/10/11/2005年『イグ・ノーベル賞』発表、ドクター中松も/
RIZAPでは、食べる度にコーチに送信させてフィードバック返している。←持続可能性がないからリバウンドするw
 
「市民トライアスリートの社会学 ?大人たちを競技へ向かわせる4つの力」:八田益之

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「エリートトライアスリートにおけるランニングペース,ストライド長,ピッチの変化」:石倉惠介
トップ選手のRunは、後半ストライドが落ちてゆくが、ピッチを上げて、スピードを維持する。
大会別では、2017春の横浜と比べ、2017秋のグランドファイナル(ロッテルダム)の方が、スタート直後の上げがキツく、上位選手が序盤ふるい落としを図ったことがわかる。例外がゴメスで、ペース変動を抑え、いちど後方に落ちてから追い上げて、ゴールでは上位に入る。レース展開が上手い。
 
感想: ゴメスの事例は僕がその場でグラフから読み取って質問して確認←自慢かよ。ランニング長距離では日本女子選手が最近活用して入賞を果たしている戦法でもある。ただ一度知られると使いづらいのと、あと、強風のレースでは少し無理しても集団についたほうが有利なのもあるかな。
 
「トライアスロン選手にとってフォアフット走法は有効か」:飯田博之
フォアフットの有効性が出始めるぎりぎりの速さが、18km/h=3:20/km(=10km33:20, マラソン2:20:39)。むしろミッドフットの方が有効な速度域ともいえる。もっと速ければフォアフット有利。
ランニングエコノミーの高さとは、接地時点は大差なく、それ以外の=特に足の戻しでの、リラックス度の差。地面反発力などを活かしてシュッと戻す。
 
感想: この研究、僕も被験者の一人です。
僕のRunパートのベストが1km3:35-40ペース(36分くらい、レースにより距離が微妙に違うので)。ミッドフット有利の速度域だが、フォアフット新走法を知っておくことは、ランニングの原理を理解するためにも、効果があると感じる。
 
「トライアスロン競技のラン種目におけるペース戦略の検討」:青柳篤
先の石倉研究と同じく、一定ペース戦略の実戦での有効性を示す。
 
感想: つまりゴメスは、理屈を徹底実行できているということ。レース展開を予測できており、自信もあって周りに左右されないのだろう。
 
「低負荷、高回転ペダリングにおける心肺機能と脂質酸化能力」:石橋剛
高回転は効率は低いが、脂肪を活用し、心拍出量も増える。
 
感想: てことは、朝の空腹時の脂肪活用ローラー、リカバリーで疲労物質流す、等の効果が高いのが、高回転バイク。
 
「日本代表および学生日本代表トライアスリートの心臓左心室および有酸素性能力」:生田目颯
ええ、あの生田目選手による研究成果です。" 過去1年間にオリンピックに出場した除脂肪体重が(身長比で)高い男子選手" を流通経済大が測定、となるとあの選手しか想像できない笑
心臓の特徴(壁厚、重量、一回拍出量)が、耐久系よりハンマー投げ等のパワー系競技のものだそう。最大酸素摂取量は体重あたりの「相対値」では学生トップ選手と同等だが、「絶対値」は筋肉の総量が多いため高い。この特徴により、体重増のデメリットの少ないスイム・バイクを余裕を持って終えて、ラン勝負ができるのではないか。(逆にいえば、軽量ランナー型トライアスリートはバイク終了時点で疲弊して、ランの強みを失っているということ)
 
感想: ショートのトップ選手はパワー大事。
Vo2Max値とは通常、体重比で語られるが、それは軽量の有利性が高いランニング中心だからだろう。自転車ではパワー(watt)の方がパフォーマンスにより近く、平坦なら絶対値、登りなら相対値、と使い分けられる。水泳&自転車の力はランにも引き継がれるわけで、トライアスロンでは、ラン単体での理論が通用しなくなるのが、この競技の複雑でおもしろいところだ。
 
「高地/低酸素トレーニングの理論とその応用」鈴木康弘(国立スポーツ科学センター)
低酸素トレーニングの効果は極めて複雑。効果は明確に断言できない。
実は、短距離に効果がある。
長距離向けでは、かなりな長期間が必要で、1日11時間で29泊しても効果なし、という例もある。
個人差が激しく、体質のみならず、プラシーボ効果=俺スゲー練習してる!て自己暗示効果もかなりあるだろう、との鈴木先生コメント。
 
感想: 明らかに環境が変わる低酸素トレーニングでも、身体のみならず心理的な影響が大きい、という見立てはおもしろいし、納得できる。
ちなみに『覚醒〜』p155, 僕の2013年8月は10日間ほど1200mで生活、練習はMax2000m。この効果は涼しかったことと、走って気持ちよい環境なこと。
 
「Science+triathlon in Edmonton参加報告」: 石倉惠介
は英語の発表内容で、おもしろかったのだけどしっかり見れてない。あとでFacebookに書こうかな。(ブログも書きたいんですが、いろいろ、あとまわしに、、)
 
 
・・・
 
「ピーク・パフォーマンス」 系は最近の流行かな。10年前のビジネス書の教えは脳内限定だったけど、今は、身体に関心がシフトしているのが世界的傾向。

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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