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2017年11月16日 (木)

光学式=手首計測心拍計の効果と限界

当ブログ2017年9月の「Apple Watch3の発表、そしてスポーツ時計の3条件について」 では、アスリートに必要なスポーツ時計の3条件として
  1. GPS最高精度での連続稼動時間
  2. 胸着用の心拍ストラップ 
  3. 数個の重要指標だけを直感的に見られる操作性
を挙げた。
 
一方で、手首だけで計測できる光学式心拍(HR)計は、2015年4月のApple Watch登場以来いっぱい出てる。トライアスリートにはGarmin935など人気だ。その性能と限界について理解した上でのことなら問題ないのだが、実態は、必ずしもそうではないようだ。
 
まず結論を書く。
 
光学式HR計で、オススメできること:
  • 初心者の心拍入門機
  • 日常生活での計測(起床時心拍など)
  • リカバリー・つなぎ・LSD、など緩め練習専用(まじめ練習は胸ストラップ使用)
  • SwimとRunはタイム基準、Bikeはパワー基準で、HRは参考として緩く見るだけ
無理なこと:
  • 競技能力を(HR基準で)上げること
できることできないことをわかった上で使い分ければ良いわけで、買うなと言ってるわけではないです念のため。
 
 
<手首だけでOKな場合>
オススメできるのは、まとめていえば、不正確でも問題ない場面だ。
 
毎分HR100でも120でも、運動してるという点では共通するわけで、これくらいの精度(不精度?)で把握できれば構わないシーンだということ。
またこのレベルでなら、計測ミス&不能部分があっても、コンピュータ側で補正しやすい。
逆にいえば、補正によって正確っぽく見せている。
 
これは設計上の限界で、光が少しでも入ると機能しないけど、現行のリストバンド形状でそれは無理だから。特に動きが激しくなる屋外での高負荷トレーニングでは。
LSDのような低負荷一定な場合、光の侵入が少なめだし、光が入って測定ミスが起きても、コンピュータ側で補正すれば大差ない。
 
実際、自転車の室内ローラー錬限定なら、比較的正確に出るという実験結果がある(文末参照)。
この性質がもっともハマるのは、起床時心拍とか、高負荷トレーニング直後のリカバリー度合いとか、生活ログをとりたい場合だ。Apple Watchはまさにここがターゲット。
 
 
<胸ストラップ必要な場合>
逆に、動きが大きくなり、HR値も変動してゆくと、光は入るし補正も効かない。
ここで重要なのは、心拍域が上がるほど、数%差が意味を持ってくるということ。165と175とは、かなり違うよね。ここを間違われたら、トレーニングの指針とはできない。
 
 
<メーカーさ〜ん>
光学式だけでトレーニングを完結させるには、少なくとも今の技術では、手首に圧着できるリストバンドを新開発する必要がある。それはまるでスタン・ハンセンのウエスタン・ラリアート用サポーターみたいなゴツいのを手首に巻かせるデザインになることだろう。
Appleは、ターゲットがカジュアルユーザだし、デザイン方針としてもそんなもの絶対出さないだろう。
スポーツ専用のGPS(=Garmin, POLAR, SUUNTO)各社も研究は進めているとは思うけど、それで実際出てるのは、普通の時計のデザインの域を出ない。(Appleへの意識が強すぎるような気がしないでもない)
POLARから9月に出た腕装着の光学式バンド「OH1」 はその発想によるけど、一体型でないなら(しかも充電まめに必要なのは)メリットが激減する気もする。
 
問題は、スポーツ専用メーカーのマーケティング・メッセージだ。これら限界、使い分けが明確であれば、市場の裾野をひろげる良い製品だと思うのだけど、向かないケースにまで、過剰な期待を持たせるような情報が一部で見られるような気がしないでもない。さすがに悪意はなくとも、現実に情報が行き渡っていない状況はある。Appleに対抗したい経営的事情は理解はできるのだけど、その気持ちが、ユーザ向け情報の正確性を鈍らせる結果となってしまってはいけません。改善すすむとよいなと思う。
 
 
<オススメ>
単に、運動量を増やして痩せたい、とかの場合には、Apple Watch3でまずは十分でしょ。もしくは同様の機能の手首計測タイプ。
 
速くなることが目的で、そのトレーニング基準に心拍を使う場合には、胸の計測ストラップは必須だ。ランでは、平坦ロードやトラックだけで練習する場合、自転車でも室内ローラー中心なら、タイムと心拍の関係が安定するのでなくてもまあ良いだろう。トレイルとか外部環境の変動が大きいほど、心拍は正確に把握するに越したことはない。
 
胸ベルトの快適さ(or不快さ?)は、最新の高級製品ではかなり改善されてる。SUUNTOだと2014Ambit2(デュアルベルト)から2017Spartan(スマートセンサー&スマートベルト)
に変えたら、劇的にストレスなくなった。素材の柔らかさも最高級だけど、大きいのは装着がボタンからフックにかわったことで、これ意外とすごく良い。他社も同様の改善あるかなと思う。
 
それでもスレるなら、ワセリンとか塗って保護するしかないだろう。
どうにも厳しいのは、冬に水で濡らしてから胸に巻くこと。(え温水つかえ?部屋温めろ?
 
 
<海外情報>
これら限界は、海外では 常 識 となってると思うけど、言葉の壁がある日本では情報輸入にタイムラグがあって、過剰な期待してたり、実験に無駄な時間を費やしたりってことがあるかなと思う。実験は既にガイジンさんたちが十分やってくれてるのでGoogle翻訳かけて読んでみよう。
 
<指標について>
なお、先の3条件の3つめ
    • 数個の重要指標だけを直感的に見られる操作性

    とは、僕の個人的な考え方として、ランの場合

    • Vo2Max(の推計値)
    • 接地時間(の推計値)
    • ストライドの幅
    • ストライドの垂直移動(の推計値)
    などなどの指標には意味がないと思っている。
    意味がないとは、それを管理しても(僕の場合には)速くはならないということ。
     
    ここでの判断基準は 「原因」 → 「結果」 の枠組みだ。もしくは、「INPUT → OUTPUT」の流れ。
     
    原因側には、ランだと、ピッチやHR。バイクならケイデンスも。
    接地時間やストライドは、動作の結果。そこを操作しても(=原因として扱っても)速くはならない、と僕は考えている。むしろ、それら指標に振り回される弊害を見たりもする。まあ僕の考え方なので、効果あるのなら使ってくださいな。
     
    このあたりのスポーツ科学的な考え方は、書籍 『覚醒せよ、わが身体。トライアスリートのエスノグラフィー』 の2章で、そのベースの思想を説明してます。一読くださいな。図書館で借りればタダなので笑
     

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    ◆***レース器材を考える」カテゴリの記事

    コメント

    操作しても(=原因として扱っても)速くはならない

    って重要ですよね 因果は難しい それを自分の身体を実験台にして
    試行錯誤するのが アスリートの愉しみです

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    『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

    • 初著作 2017年9月発売

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