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2017年11月12日 (日)

初のラン大会は世田谷ハーフ、高岡寿成さんに4km並走しゴールスプリントに敗れるの記録

ランニングと比較してみよう。走るとは、簡素さのなかに奥深さを見出してゆく、求心的、求道的な競技だと私の目には映る。それは人のもっとも基本的な、誰でも本能的にできる動作を、長時間継続するものだ。日々の練習では、仕事や家庭のバランスをとり、練習時間の確保さえできれば(それが大変なのだが)、その枠中でどのような練習をするのかについては、比較的容易に決められる。またそのレース会場はトラックや舗装路など工業的に整備されアクシデントを排した場であり、また目標タイム何時間だから目標ペース一㎞何分何秒、といった明確な目標設定がしやすく、環境要因に左右されずに自分自身を向き合うことができる。だからこそ、ランニングは多忙な現代人を捉えているように思われる。
こうした競技形態の違いによって、トライアスロンでは複雑性・無限性が、ランニングでは簡素さ・有限性が、特徴となっているのではないだろうか。
 
では、そんな市民アスリートたちが、その実践を通じて確かに得ているものとは、何か。・・・
 
 
なんて天下に書き散らかした以上はランニング大会てものにも出ざるを得ない。安くて近い世田谷ハーフへ申込んでみたら当たってしまい、マジで出ざるをえなくなった。
 
なんだけど、さあこれから練習を、という大会2月前に本ができあがり、宣伝販売に熱中してて(おかげで出版社の最速増刷記録を更新してレース優勝てかんじだったのだが)、走るのは日常生活でのジョグ程度、最高で1日5kmを平均5分台というくらい。あとクロスバイクを週2くらい1〜3時間とか乗ることもある。そこで、レースの目標は身体が壊れないこと、ランニング大会の雰囲気を知ること、と現実的に再設定、タイム度外視で迎えた。
その要点をまとめると:
 
感想: 世田谷ハーフは、ハワイ島コナの再現だ。
 
結果: 高岡寿成さんに4km並走しゴールスプリントで敗北。
 
成果: 覚醒した。
 
 
・・・ スタートまで・・・
 
前夜に準備を始め、そういえば封筒きてたな、どこだっけ、と探しながら部屋を掃除し始めながら、無事見つかり(←アタリマエだ)、開封して詳細を確認(←前夜に開けるな)、鶏胸肉トマトカレーを特急で作り(皮むきが面倒でたまねぎとか抜き)、駒澤公園への道順を確認して、12時過ぎ無事に就寝できた。やれやれ。レース前の1日くらい睡眠時間短めでも問題はない。普段寝れている限りは。
 
5時半過ぎ起床、いつもの珈琲でなくカフェインが柔らかな緑茶を飲み、2合の米と昨夜の残りカレーを食べる。ハーフで2合も米は要らんと思うが、美味しく食べられる限りは食べる。食べすぎて困ることはない胃腸なので。
7時10分に家を出て、クロスバイクで6kmちょいの駒澤公園へ。ギアは超軽いのを高回転、心拍は120くらい、二箇所の軽い登りを使い150と140にまで上げてみる。この20分ちょっとの自転車を以てアップ完了とする。走るアップはレース開始後だ。
人生初の市民ランニング大会、まわりを観察しながら、受付、ゼッケン付け(トライアスロン用のゼッケンベルト使ったが周りに誰も見なかった)、荷物預け。合間に動的ストレッチで身体をほぐす。
 
これがレースだなあ、と思い出す。
トライアスロンほど色々ややこしくはないけど、大人が真剣に取り組んでいるって点でレースはレース、同じものだ。
 
スタートのトラックに移動。申込時点では超やる気があったので(←市民アスリートあるある)、速すぎる予想タイムを申告してしまい、スタートはBブロック。周りがみんな速そうであるのみならず、後方Cブロックのランナーも明らかに僕より速い。ブロックほぼ最後尾(その後ろには僕よりもっと遅そうな方)の大外に位置し、全身あちこちほぐしながらスタートを待つ。
 
 
・・・ スタート〜序盤 ・・・
 
スイムと違って、ランニングのスタートは平和だ。激しく抜かれることもなく、淡々と進む。逆に、ランニングからトライアスロンに移った方はスイムの「お化け屋敷感」(覚醒〜p20)にびっくりするんだろうな。
公園内ではゲストの大島めぐみ、川嶋伸次、と往年の著名ランナーとしばらく一緒に走る。いきなり楽しい。
はじめ2kmウォーミングアップを兼ねて、ペース4:17-18/km, HR150台で抑える。Cブロックのランナーが次々抜いてゆくけど、実力相応、気にしない。KONAのバイク序盤みたいだ。
246号の高架下に入り、下り基調へ。重たい僕は下りが得意。脚にとって無理のないペースを選ぶと、自ずと前に出てゆく。平坦に入ると位置は変わらず、また下り始めると前へと出てゆく。抜かれたランナーが(もしも)見ていたら、ペースの不安定なヤツだなあと思ったことだろう。ま実際そうなんだけど。
3-5kmのSUUNTO表示ペースは3:46-46-33, ただしGPS軌跡には高架とビルの影響かやや蛇行があり、実際はもう少しだけ遅いとは思う。無理のないペース、といっても身体活動レベルは上がるので、HRは170前後へ。以降このペース感が残り16kmまで続くこととなる。
 
世田谷の台地から多摩川沿いの低地へと降りる坂で、高架下を外れると、視界が開ける。
思った。
ここはKONAだ。
見通しの良い幅広で緩やかに上下するこの高速道路的なものはハイウェイQUEEN-Kだ。(実態は国道246)
てことは4km地点の表示は、残り17km=25km地点のナチュラルエナジー・ラボってことだ。
ふたたび、あの場所へと、僕は戻ってきたんだ。
 
5km通過20:23(正式計時、NetTimeはマイナス11秒)
 
5km過ぎて、多摩川沿いの平坦へ。ここで「1:30ペース」と記されたゼッケンと風船を付けたペーサーさんに追いつく。スタートを抑え、ペースを上げたことで、フルマラソンのサブスリーぎりぎり、1km4:16ペースにまで戻ったということか。ここから4:16を保てばサブスリーペースでゴールできるんだ。ちょっと安心。タイム度外視とはいえ、できればこれくらいは、て数字もあるのでね。。
数名のパックが10mおきくらいに続く位置関係、向かい風では後ろに回って体力セーブ。
 
このペーサーさん、目印の金色の風船は帽子につけてるのだが、二度に渡り帽子が強風に飛ばされ、戻って拾って、ペーサーさん大変だ。。まあ走力的にこれくらい平気な雰囲気だったけど。
 
 
・・・ ウォークブレイクは胃腸に優しい ・・・
 
喉の渇きを感じる。朝のカレーの塩分に対して、緑茶の量が少なかったか。
6kmの第一給水ではスピードを緩めてコップ2つを確実に取り、エイドのテーブルが終わった後で道路端に寄せて、歩き、確実に飲んだら、また走り始める。「ウォークブレイク」だ。
もともと筋肉の緊張をほぐすことを目的にした手法だが、今回気付いたのは、とても飲みやすいということ。喉や胃がリラックスした状態で水分を受け入れてくれる感覚だ。
この目的だと、飲み終われば即走り出すので、歩く時間は短くて済む。歩き始めた時に横にいた相手との距離をチェックしてみれば、実際たいした差はつかず、少しだけリフレッシュさせた脚ですぐに無理なく追いつくことができる。
 
※「ウォークブレイク」については、僕の2016年2月ブログ
 
 
など参照いただきたい。(どうやら僕のこの記事が、国内普及にいくらか貢献しているらしい)
レースで実際どこまでできるかはコース状況によるが、今回のエイドでは、テーブル前での急減速はランナーの流れを妨げるので避けるべきだが、最後のテーブルを過ぎてから端に寄るなら、いくら歩いても流れには全く問題ない。
 
・・・ 中盤以降、もしくは本当のレースのはじまり ・・・
 
7−8kmを過ぎて、いつもの練習コースの多摩川サイクリングロードの土手の、その下側の一般道へ。見上げる土手では、ほどなく先導自転車が登場し、青学など大学生を中心にした先頭集団が通過してゆく。これもKONAアイアンマン世界選手権みたいだ。
9km過ぎ、砧浄水場で折り返し、今度はいつもの練習コースがそのままレースコースになる。ペースは1km4分ちょっと。4年前、本に書いた9月のラン練習はこんな感じだったかな。また戻ってきたのかな。
残り12kmてことは、KONA30km地点のQUEEN-K復路、でも足が路面に吸い寄せられるかのように動かなかったあの時よりもはるかに楽だ。
ただ、序盤下りをぶっ飛ばした影響で、太もも前側に疲労感が強くなってゆく。明日の筋肉痛は予想されるものの、まあゴールまで持たないほどじゃあない。少し慎重に、1km4:10前後までペースを落とす。
 
10km通過、5kmラップ20:59
 
11kmを過ぎ、残り10km、これは最後までいけるな、と1km4:00ちょいへ少しペースを上げる。いつもの二子玉川の公園内へ。第二給水では少し暑くなっていたので、コップを3つ取り、道路端で歩きながら、飲んだ残りを頭と首に少しかける。あいた差はほどなく埋まる。ウォークブレイクは楽だ。
公園を抜け、楽天ビルの前に出て、こんどはバイクの定番コース多摩堤通りへ。本当になじみの場所が連続するコース設定だなあ。
残り7kmとなり、本ではあの決め台詞が登場する場面だけど、なにしろ練習不足で無茶しちゃあいけません。本レースでは僕は覚醒しないのだ。腕振りだけ強化、脚筋の負担を抑えて、終盤のペースアップに(もしできたなら)備えるとする。
15kmの第三給水でもウォークブレイク。スポーツドリンクも気合い入れの目的で少し飲んだ。
 
15km通過、5kmラップ20:36
 
多摩川を離れ、パラニ・ロード(p214-215)のような急な登り。負荷の高いランを一切していない今の僕の脚が耐えられるものではない。骨盤を大きく回転させ、モモの動きを最小限に抑える走法で、筋肉への負担感を上げないようにする。16km区間4:46までペースを落とし、少し抜かれ離されてゆくが、気にしない。
登りきり、目黒通りへ入ると、緩い下り。さあ、ここからハッタリくんタイム。
 
ペースを上げると、ゲストランナー高岡寿成さんが音もなくすっと抜いてゆく。ちょいとキツいが、できる限りついてみたい。
無敵の日本記録を誇った彼がこの位置ってことは、練習してないんだろうけど、ランニング技術は身体に染み付いているはずだ。脚の運び、骨盤と背中の動き、観察しながら追う。淡々とスムーズに運ばれる脚は、力が明らかに入っていない。そのユニットを駆動するのは骨盤から上。この走りで、世界トップまであと少しまで迫ったんだなあと考えると興奮する。
 
ヤバい、覚醒した!
 
モモの酷使感は強まっているけど、そんなの問題ではない。モモが終われば全身を使え。未稼働の筋肉オール・イン体制に入る。心拍数は180前後にまで上がり、ペースは1km4分を切ってゆく。沿道からは「たかおかさーーん」という(主に同世代女性と思われる)声援。明らかに真剣でない相手とはいえw背中を追い続ける。力の差は明らかだし、彼に勝つ必要はないなあとは思ったのだけど、姿が見えることろで、できれば一緒にゴールできれば最高だ。がんばってみよう。
 
そう、これだ、この感覚だ。
 
駒沢通りに戻る。駒澤公園が見える。敷地内に入る。ああ終わる。ここはアリイドライブに違いない。応援のガイジンのかわりに銀杏並木の黄色い葉っぱが応援してくれている。高岡さんも目の前だ。
 
20km地点は公園内。もう終わるようでなかなか終わらない。
 
20km通過、5kmラップ21:06
 
この区間は登りを抑えたことでタイムが膨らんでいる。
高岡さんとちょっと並走し、僕が強い腕振りで大きめのストライドで走ってるのを見て、「ピッチ上げた方が安定して速く走れるよ」的なアドバイスいただいた。うれしー! ありがとうございます、と調子にのってハイピッチ化して加速し、加速し過ぎて、少しペース修正。でも、こんな限界域での微調整こそがレースのおもしろさ。これだ。この感覚だ。
 
スタジアムへ。駒澤・日体・日大の応援団がいい。
ゴールスプリントをかけてきた高岡さんにばびゅーんと突き放され、10mくらい後でゴール。その場面だけ切り取れば日本トップ選手にぎりぎり負けた感あってSNS映えする。
 
FINISH 1:27:15 (1.1kmラップ4:11)

NetTime:1:27:04

 
総合順位:293位、40歳~59歳男子:32位、という順位は、アイアンマン世界選手権KONA2013とだいたい同じだ!
 
結論:やっぱり世田谷ハーフは、KONAだった!
 
 
・・・ 使用用具 ・・・
 
上は背中ポケットの付いた自転車用半袖ジャージ(タテトラ2014優勝賞品)、下はUNIQLO短パン、シューズBROOKSの厚くて柔らかいの、ソックスCEPハイソックス。防寒用にnewbalance長袖Tシャツを着てスタートし、暖まったら背中ポケットにしまう。
移動時は上は長袖ウインドブレーカー(10年くらい使ってる!)、下は長ジャージを重ねて、預け荷物に入れた。
これら、当日朝の温度感で適当に決めている。トライアスロンなら前日までにちゃんと考えておくのだが。
 
 
・・・ SUUNTOデータ ・・・
タイム度外視のレースだけど一応: 
20171112_141358
 
レースとはいいものだ。
マラソンちょっと練習してみようかなと思った。
 
なおレース後、ジャージはくときにフクラハギが強烈に攣って困ったのと、自転車をどこに置いたのかわからなくなって広大な駒沢公園をウロウロした。迷子になったのは僕じゃなくて自転車のほうなので僕は悪くないです。

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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