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2016年7月24日 (日)

トライアスロン用ランの「腕振り」とは骨盤起点の「振り子」 〜上田藍&ジョーゲンセン選手フォーム分析

トライアスロン用のランニングでは、「腕振り」が3つの意味で重要。
  1. もともとスイムで鍛えている上に、
  2. レースでは、バイクパートで脚筋を消耗し、
  3. かつスイムでの上体疲労がバイク中に抜ける
から。こうゆう身体感覚は自分なりに掴んでいただくほかないのだが、それ言っちゃあオシマイなんで、今回はITU公式Youtubeサイトの動画「2016 ITU World Triathlon Yokohama - Elite Women's Highlights」より、今春横浜の上田藍&ジョーゲンセン先生にお出ましいただこう。
ランは1:26から。
 
なお上田藍選手が真っ先にランコースに出ているのは、バイクを先頭位置で終えたから。これは集団内でのアイ・ウエダ個人に対する信頼がないと実現しない。ホームゲームなことも影響してるかな。以前、 「NHK「アスリートの魂〜佐藤優香」 Bikeの描き方には大きな問題がある」  で指摘させていただいた話ね。そして、この差を守ることで表彰台に上がった。エリート・ショートでのバイクは、マネジメント要素が強い。
 
その上でランニングフォームを見ると、
  1. 肩の回転量が大きい
  2. 上下動はけっこうある (GarminやJinsのデータを気にし過ぎないようにね)
という印象をうける。これは追撃の巨人ジョーゲンセン選手も同じだ。
 
こちら1:28〜からのキャプチャー、巨人の捕食から逃れる我らが藍選手にMacプレビュー機能で補助線を引いてみた。迫るジョーゲンセン選手も、まったく同じ線で理解することができる(けどハイレグウェアを強調してしまうので、、)
Uedaj_y20163
腕振りの「動作原理」について、僕の理解は、
  • 大目的は、骨盤を回転させること
  • そこで骨盤の中心を起点に「逆の振り子」をイメージし、
  • その中間点が肩で
  • 腕は、一度、まっすぐ上に(逆三角形に)上げたあとで、折りたたむイメージで理解する (ヒジでさらに折り畳むと、腕振りの形になる)
ここで「振り子」とは、背骨中心の「回転型の振り子」運動であり、骨盤を中心とした「ねじれ動作」(のように表面的に見えるもの)を通じて、「モモの振り子」へと受け継がれるものだ。
 
こう理解すれば、腕の動きはどうでもいい。そこじゃない。動画を見れば一目瞭然で、上田選手は、とにかく肩のローリング量=回転移動の距離が大きい。巨人ジョーゲンセンも実は同じで、長身なので目立たないが、肩の移動距離はかなり大きい。
 
つまり、腕振りの目的は、まず「中間目標」として、肩を移動させること、と考えられる。これにより、胸郭(=肩甲骨+鎖骨)が大きく動かされ、骨盤に回転力を与えることが「ほぼ最終目標」だ。ほぼ最終、とは、本当の目標は「足のキック」であり、その手前の「モモの前後運動」であるわけだが、それらは、骨盤回転の結果として自ずと導き出されるものだから。
 
以上を言い換えれば、ランでは脚筋は(ほぼ)使わない、ということ。
 
これにより、バイクで疲労した脚筋でも、回転を落とすことなく、高速ランニングを実現することができる。
 
そして上田選手は、小さな身体のハンデを、この大きな肩移動(=腕振り)によって克服し、高回転かつ身長の割には大きなストライドを実現している。それを支えるのは、この上側の大きな動きを受け止め、制御する腹筋・背筋のパワーと調整能力だ。
 
ジョーゲンセンはといえば、肩の前後の移動距離は、実は同じくらい大きい。身長が高いのでバランス的に「ねじれ」が見えにくいだけ。それから、これは僕の想像だが、背筋系がとても強く、小さな動きでも大きな力を引き出すことができている。
背中全体が、剛性の高いカーボン製の1枚の板バネ的な働きのイメージだ。前半で、骨盤を中心とした「ねじれ動作」(のように表面的に見えるもの)、と書いたのはそうゆうこと。ネジる意識ではなくて、結果的にネジられる。
20160722_131014_2_2拡大コピーか笑
 
こうして、腕振りの「役割」とは、以下2点に集約される。
  1. 「ピッチを作る」ことが第一だが
  2. 「ストライドを作る」こともできる
「腕振りは、ヒジを引け」とよく言われるようだけど、こうした動きを引き出すための「1つのトリガー」にすぎないと僕は理解している。経験あるコーチがいろいろ指導する中で、引くことで改善した事例が多い、ということ。だから、それはそれで試してみればいい。
 
ここで書いているのは、では、なぜそうなるのか? という根本。
 
ランニング単体の世界では、「青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ」などで、(体幹コアを安定させた上で)肩甲骨を動かすことの重要性は言われている。
ただトライアスロンの場合、より大胆な補助線を引いて、より大きく動かしてみるといいと思う。まずは大き過ぎるくらいの動きで、過去の運動感覚をリセットしてみる。そこから適正動作に戻していくイメージで。
 
その上で、脚の動きは、前後での振り子運動。これは時計の振り子と同じ。引き上げではヒザ曲げるけど蹴りではヒザ伸ばすから、蹴る時だけ地面に接地する。
ここで「蹴る」という表現を便宜上使っているけど、実際には蹴らない。地面に接地するだけ。上体からのパワーが伝わっていれば、それで十分。
 
足の着地は、上田選手がカカト、ジョーゲンセンはフォア気味かな。そんなのは、どっちでもいい。末端は気にしたらダメ。(まあ、そうゆうのをキッカケに中心側の動作を改善できるケースもあり、気になれば、やってみればいいとは思うけど)
 
・・・
 
腕振りについて、過去ブログでは、 
 
〜 遠心力を高め その波動を、肩&肩甲骨を経由し骨盤に伝える
 
〜 その原点はたしか、1-2年目かのどこかのレース中、終盤でギリギリ粘るために編み出した苦肉の策にある。その活用技術は、細かな起伏のあるオフロード中心にラン練習するようになってから、さらに上がった。
 
〜 腕振りがピッチを作り、それにより速度を上げる (長距離トライアスロンでストライド走法は無理)
 
〜 重量を活かした大きめの振り子運動をさせている。僕はお腹も太いので大きな動きに耐えやすいのと、腕振りも多用することで振り子運動をサポートしている。
 
など書いている。お時間あればご参考に。
 
 
<おしらせ:「渥美半島の風」>
僕のランニング技術と、それを支える哲学について、しっかり書いてます。こちら販売サイトから購入いただけます:
 

読者さん感想は、例えばこちらブログなどご参照  
 
八田哲学に触れよ!「渥美半島の風」面白い!!!  「オカン、アスリート始めました」
 
渥美半島の風、宮崎に届く 「完熟マンゴーの、トライアスロン奮闘記」
 

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