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2016年7月 5日 (火)

【OWSクロール】 トップトライアスリートの泳ぎは意外と雑 〜Daniela Ryf編

「綺麗なフォーム」の動画で泳ぎかたを勉強するのは良いことだけど、「前提条件を欠いた根拠なき憧れ」に陥っていないか、気をつけた方がいい場合がある。
 
「前提の違い」とは:
  • 幼少期からの競技経験
  • 技能レベル 〜たとえば50mプール板キックが20秒台(トップスイマーではよくある)か、30秒台(上級スイマーではよくある)か、55秒か(ワタシとか)、の違いは、姿勢やストローク動作にも影響する
  • 体格差 〜身長180cmの男性と155cmの女性では、腕のリーチ長は肩幅も含めて2割くらい違うわけで、同じ技術で泳げばストローク長も2割の差がでる
環境差もある。
  • プール×単独の競泳か
  • 海×集団のトライアスロンSwimやOWSか
プールで超速い人は、まちがいなく海でも超速い。ただ、プールでは超速でなくとも海だと結構泳げる人もいる。後者の典型が、海外の一部のトップトライアスリートかと思う(といって、プールでの記録を知らないので、フォーム見た印象として)
 
<事例研究:雑な入水>
こちらプロ女子でトップレベルの泳力を誇る(らしい)Daniela Ryf 選手、競泳エリートと比べて、フォームが雑だ。 (以前紹介したジョディ・スワロー選手よりは綺麗だが)
0:46-, 2:59-あたりがお勧め。
 
雑、という表現は、入水〜キャッチを競泳エリートと比べてみるとわかるかな。泡を手に絡めたまま、どぼーーんと沈めている。上の動画サムネイルは泡切れがよいけど、呼吸しながらの下のではしっかり泡つきだ。これでも、世界トップレベルの泳ぎなのだ。
20160704_195129
この「雑に沈めるストローク」のメリットは、
  1. 海×集団の環境において、表層の乱流に影響されない
  2. 重力に任せて水をつかめるので効率的
  3. 回転を上げやすく、やはり乱流環境に向く
  4. 常時パワーを掛けられる 
など。
 
特に1は重要。海では入水した腕が、波や前泳者の乱流を受けるからね。
(流されないパワーとバランスを持つ上級者は別)
(なんだけど、競泳オリンピアンですら、グライドは海では乱されるので控えめにしてるそう)
 
なお、3−4は必須ではない。体力も使うので、僕もこうゆう泳ぎは基本しない。ただオプションとして使えるのなら、いいと思う。
3. の回転スイムは、女性のトライアスロン&OWSのトップスイマーに目立つ。腕の長さもパワーも男子に劣る分、ピッチでカバーするタイプ。ただし高い有酸素能力が必要。もっとはっきり言えば、練習量と若さが必要。 
4. は、この画像でも、左手フィニッシュと右手キャッチとが連続していることが見える。競泳では、50mのスプリンターとかはこうゆう泳ぎをし、距離が長いほどグライド時間が増える傾向があるのだけど、海では長距離でもこうゆう泳ぎはけっこう多い。
 
一方で、世の水泳の解説では、「綺麗なフォーム」だけが使われる。それはあくまでも「見世物」であって、そのままマネるべき「お手本」ではない。
そんな「見世物」では、リカバリー腕を早く入水してグライド姿勢を保つのが普通だ。でもこれは、プールの静水環境に最適化した動作だと思う。もちろん、それを極めた方ならば、海でも使える技術となっている。これも冒頭の「前提の違い」の1つだ。
 
<体幹>
もう1つ、Ryfを前からみると、身体は真っすぐではないよね。昨今の体幹ブームでは、こうゆうのは悪い例とするんだろうか。でもこれは、三浦クロール理論での胴体の使い方と同じ。
20160705_114355 100分の1秒を削る競泳選手は、抵抗増大要因は徹底排除するので、こんなフォームは見せない。でも海では、パワー増大を重視したほうがいい、という違いだと思う。
 
ただ僕の最近の考えは、両者の動作は、実は同じだと思っている。競泳選手も、こうゆうパワーの出し方をしていて、ただ同時に、抵抗を極小化する形=フォームも徹底している。そしてトライアスリートならそこはあまり気にしないだけ。いわば着ている服が違うだけ。
 
 
<水上の動画>
同じくDaniela Ryf、先週末 アイアンマン・フランクフルト2016レース動画もツイッター より紹介。(スイムはトップ通過したが、寒過ぎてバイクでリタイアしたっぽい)
これが彼女の3.9kmでのレースペースだ。ストロークは程よく伸び、かつピッチも速い。この水上からの映像でも、三浦クロール受講者さんにお伝えしているポイントが見て取れる:
  1. リカバリーのパワー起点
  2. リカバリーの軌跡
  3. ストローク中の体幹位置
ここで、2. のリカバリー腕の入水が遅いことが、前半で書いたキャッチのしかたに直結しているわけだ。
 

【おしらせ:7月の練習会日程】

7月は2回、いずれも三浦コーチ登場です。

7/10(日)16:30-19:30 三浦コーチによる技術講習&撮影

  • 横浜国際プール 2レーン貸切 定員14名
  • 1レーンで三浦コーチ集団講習
  • 同時に隣レーンで個別に撮影(動画は後日ネット解説)
  • ロビーでの講習 16:30〜17:15
  • プール17:30〜19:30
  • ¥5,000(当日現金)

7/16(土) 20:00-22:00 三浦コーチによる技術講習
  • 代々木青少年スポーツセンター1レーン貸切 定員10名
  • 三浦コーチ集団講習, 八田補助講師
  • ロビーでの講習 19:00〜19:50
  • プール20:00〜21:50
  • ¥4,000(当日現金)

お申込: こちらコメント(メアド記載ください)かFacebookメッセージにてお問い合わせください。

 

<おまけ:海練習ではクラゲ除けましょう>
(このパドルはソフトタイプ、普通のプールで使えるならすばらしい)

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