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2016年6月22日 (水)

Nスペ「キラーストレス」特集から、耐久アスリートの突然死を考える

1988年、森高千里は言った。ストレスが地球をダメにする。
あれから四半世紀を過ぎて森高は江口になり、オバサンにもなり、その間にオバサンという概念は大きな変貌を遂げたのであるが、ストレスの恐怖は増大する一方だ。
 
先週末のNHKスペシャル「キラーストレス」特集 要点を僕の興味に沿って説明すると、
  • 精神的ストレスで、人は死ぬ
  • 小さなストレスでも、重なると、人は死ぬ
  • ストレス対策に運動は効果がある
そこから、耐久アスリート(特にトライアスロンのスイム)にとって、
  • リハーサル不足の状況が複数重なると、突然死を招く
と解釈できると思った。以下、説明しよう。
 
 
<キラーストレスとは>
精神的ストレスとは単なる気分の問題ではなく、現実に身体を攻撃するものだ。
脳が不安や恐怖を感じると、身体は「ストレス反応」を起こす。ストレスホルモンの分泌、自律神経の興奮により、心拍数が増える、血圧が高くなる、などだ。
一つ一つは小さくても、多くのストレスが重なると、体内の常在細菌暴走による血管の破壊、脳卒中や心筋梗塞、大動脈破裂などを引き起こす。がんなど長期的な悪影響もある。
 
「病は気からは」とは、気で治るという精神論よりも、気で病が起きる、という事実にまず注目すべきものだ。
 
 
<ストレスの心身バランス>
ストレス反応自体は、野生動物としての本能的防御反応にすぎない。このおかげで弱い人間は生き延び繁殖してきたわけだ。しかし野生において、ストレスを受ける状況とは、同時に身体的なストレスもセットだ。このことは番組では触れていなかったけど、結局のところ、問題はここに根差していると僕は思っている。
 
現代人にとってストレスとは、精神面の負荷だけが切り離され肥大化している。身体サイドとのヒズミが発生しているはず。それでも単独攻撃ならばやり過ごすことができるが、脳神経がリカバリーしきる前に2度3度と連続攻撃を受ける事態は、人体は想定していない。
野生動物であれば、精神疲労=肉体疲労というバランスが保たれるので、こんな時は身体も疲労困憊し、ヤバいもうムリ!と自覚できるわけね。ま身体が動かなくて狼さんに食べられちゃうのかもだけど。
でもメンタルだけの場合には、それに気付けない。そして、まじめな人=傍からはメンタル強そうに見える人ほど、この危険な多重攻撃を、真正面で受け止めがちなんだろう。
 
番組でも説明されていた運動の効果とは、この心身での負荷のバランスを回復させるものと理解できる。
 
 
<耐久アスリートの突然死との関係>
身体ストレスについて、もう少し考えてみる。
それはアスリート目線でいうと、普段練習でしていない身体環境だ。たとえば最大心拍数比90%以上、僕なら毎分160以上レベルは、練習が十分なタイミングでなら良質な負荷だが、完全に緩んだ時期ならそうともいえない。まして運動習慣ない方なら悪いストレスだ。
 
心拍170なのに良質な負荷になるのは、精神的なストレスがないからだろう。高層ビルに渡した30cm板をそれで走らされたら心臓止まる。
 
しかし、トライアスロンには、特にスイムでは、人によってそうゆう状況が生まれる。突然死が相次ぐのは、こうゆう状況なのかなと思う。
等々。これらは単独なら問題なくとも、多重複合化することで、血管を破壊したりする。それが、番組から示唆される事態だ。
 
 
<どうすればいいのか>
1つ1つ、心身ともに「想定内とするリハーサル」を、積んでゆくほかないと思う。レースは練習のように。
 
うねりに対しては、かつて江ノ島・片瀬海岸で波に揉まれた経験から、一般論として:
  • 波のトップの力には絶対に逆らえない
  • 潜ればたいていの波は平気
といえる。日本の海水浴場は少し荒れるとすぐに遊泳禁止になるけど、サーファー・ボディーボーダーはボードが浮きになるので、少々なら攻めることができる。あと自己責任エリアだし。(遊泳禁止になるのは、管理者が安全責任を負っているから)
 
この経験から考えると、使える泳法は:
  • バタフライ的な体重移動型のクロール
  • 背泳ぎ、もしくは背泳ぎ的なクロールの呼吸
だと考えている。
 
特に2つめはスイム苦手な方ほど練習しておくべきだ。苦手な方ほど平泳ぎをしたがるけど、重たい頭を上げるために消耗する泳法だ。本当に楽をできるのは、脱力したまま呼吸できる背泳ぎ。荒れた海での仰向けは口から水が入ってきそうだけど、クロールで波の来る側を見ていればOK。
 
4月ブログ 『歩くように、泳ぐ 〜「側転イメージ」の新泳法プロトタイプ動画公開』 で紹介したこの動画は、その両方のイメージで泳いでいる。前後の体重移動はバタフライ、呼吸は背泳ぎイメージ。
 
 
<参考文献>
  • 運動の抗ストレス効果については、「脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方」 (2009)
  • Nスペ後半でも取り上げる「マインドフルネス」の概念は「GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス」 (2014)
ともに、ハーバード医学部のジョン J.レイティ氏が取り上げている。
「マインドフルネス」自体には僕は興味ないんだけど(緩めのトレーニングはまさにそれだと思う)、本買うなら、CD付いて安いのがいいとおもう! 本質的に感じるものなので、情報の量とか正確性とか要らないはず。

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コメント

今年のケアンズでも47歳の日本人がスイムでなくなり
19日のバラモンキングで意識不明重体の方がでてしまいました。
できるだけリスクを下げられるように練習していきます。

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