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2016年4月24日 (日)

ストロークは後半勝負 〜驚くほどできてない水泳の超基本を解説しよう

水泳のストロークの大基本は、水圧を高め続けること。これは水の物理的な性質に由来するもので、個々人の個性とかは全く関係ない普遍原理だ。水は押せば逃げる。ただし、逃げる前により強く押せば、反発力を返してくる。厳密には「渦による抵抗力」の複雑な作用によるが、つまりはそうゆうこと。その究極は高飛び込みで、急激な力に対して液体は固体のように作用し、飛び込み角がちょっと狂うと重大事故にもなりかねない。(なので飛び込み用プールは下から泡=気体を混ぜて緩和させる)

だから、ストロークは水に対し、絶えず新たな加速度を与え続けねばならない。トップスイマーほど、あたかも壁を押しているかのような強烈な加速度を与え続けているわけだ。

ここで、「ストロークのパワー」=「a.フォーム」×「b.速さ (or加速度)」 と分解することができる。

1.まず、ストロークの「a.速さ」に注目するとわかりやすい。
  • 初期=キャッチが、最も遅く
  • 終期=フィニッシュが、最も速い
のであればよい。と簡単に書いているけど、最後まで速度を上げ続ける(=落とさない、のではなく!)のは、簡単ではない。
 
2.そのために「b.フォーム」は:
  • 初期=キャッチは(肩を軸とした)円運動で構わない
  • 終期=フィニッシュは後ろに向けた「壁」のように垂直に水を押す
となる→ Thum_01フェルプス先生模範演技、ちょい古いが基本は同じ)
肩を中心とした円運動ストロークでも、加速さえできていれば、十分に力は伝わる。
さらに、より直線的に水を押すことにより、水に伝わる力はさらに増大する。
ここでの目的は、力を徐々に上げてゆくこと。序盤は緩いほうが、終盤に向かって加速させることができるよね。
 
しかし、これらは驚くほど実行されていない。
 
多くのトライアスリートのスイムは、ストロークは等速、むしろ後半に失速する場合すら多い。さらにフォーム面では、手を身体側にひねって水を逃したり、 回る水車のように空に向けて沈もうとしたりする。
つまり速く泳ぐための法則をガン無視しているわけで、遅くなるべくして遅くなっているとさえ言えるだろう。ここから脱出できれば、「初回限定の先発投手」 の抱えていた借金は突如として貯金と化すことだろう!

このあたり、4月から2度開催した撮影会からの発見。「三浦広司コーチの泳法理論を資料化し、座学で伝え、プールで実践し、その成果を撮影して見せて自分で考えてもらい、そこにフィードバックして…」と(手間のかかる)過程を一段づつ上がってきたことで、よりクリアに見えてきた。

<原因>
できない理由は、順に:
  1. 序盤で力を使い果たし、
  2. 後半にかけて強くなる水圧に負ける。
1.は、「キャッチ重視」の罠にはまっていると思う。日本のスイミングスクールの選手コースではキャッチ感覚を鍛えるためにスカーリングなどを重視している。その文化が、市民トライアスリートにも伝播しているのではないだろうか。もちろんキャッチは上手いに越したことはないのだけど、現実に、パフォーマンスに対する寄与度は低いはずだ。(その理由は上述の通り=てゆうかタイトルご参照)
 
同時に、「ハイエルボー」の呪いもあるかも。現実に必要なハイエルボー度合いはたいしたことはなく、ストローク前半は真っすぐの腕を回しているだけの上級スイマーは結構多い=特にトップトライアスリートの場合には。その実態以上に凄い技術であるかのような誤解がないだろうか?
 
※念のため、私の過去ブログではこれらを推奨している場合もあるのですが、私は常に進化しているのであり、最新の見解をご参照ください。
 
2.そして序盤で筋力を使うことで、後半には筋力が残っていない。ここには、「腕+肩の筋力に頼ったストローク」の弱点も加わる。腕肩の小さな筋肉だけでは、大きな筋肉を使う泳ぎに勝てるはずがない。
 
<対策>
それらの裏返しが、そのまま対策になる。
  1. ストロークの入力=パワーポイントを遅らせる
  2. 体幹=胴体側の筋力、体重移動など、より大きなパワーをストロークに持ち込んで、水圧に勝つ
「表面の動作」をそのまま真似しようとしても、その裏側にある「真の動作」の仕組みを理解していないと、似て非なるものに陥りがちなので注意が必要だ。(見たまま出来てしまう人は、天才と呼ばれる)
 
三浦コーチの泳法理論は、こうした水の物理法則、人体の構造の理解の上にたって、そして世界トップの舞台を戦った最高の身体感覚に裏付けられて、設計されている。
 
それをより広く伝えるのが僕の役割。そのために、新たな概念、これまでとは違う言葉が、必要だと思っている。 「体幹パワーを活用したクロール」と言っているのもそう。今回のテーマでは、
  • 「ハイエルボー・キャッチ」より、「後半勝負のストローク」を
  • 「フラットスイム」より、「体幹エンジン」を
だと、強調していきたい。
 
 
<参考:練習道具>
こうしたパワー感を理解するのには、「ハードパドル」が使える。パドルは単なる筋力アップの道具ではないのです。(なおソフトタイプ or アクアミットは現在、推奨してません)
最も推奨するのが、ゼロディ社の「ハンド・パドル」Mサイズ。左右非対称で、親指部分の機能性が他を圧倒しており、競泳トップレベルの選手が溺愛しております。(僕のが取られちゃいました笑) 3,000円くらいだっけ? あんまり売ってませんが、私は秘密ルートを持ってるので、試してみたい/買いたい方、お問い合わせを。
20160424_212648 ただ使えないプールが多いので、その場合、尖った形のプルブイを掴むことで、ある程度、代用できます。(丸い形のでは難しい)
 (海ではクラゲ除けも忘れずに!)
 

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コメント

フカさん、嬉しい報告です!
いかにも、流通する情報では、「なぜそうすべきか」という体系的でロジカルな説明が不足していると思っており、
私はその隙間を埋めるつもりでやってきました。

今後、さらに踏み込んだ形で発表していきます、よろしくです!

いつも参考にさせて頂いてます。

今回の記事は行き詰まってたスイムへの突破口となりそうです。
実際に昨日行ったトライアスロントレーニングバイブルのテストで試させて頂いた所、過去3回含めて最高の得点となりました。
プッシュが速くなると自ずとリカバリーもスムーズになり、良い事づくめでした。


去年か一昨年のルミナの実践スイム特集で、田山選手が「僕はキャッチよりもプルからプッシュを意識している」と述べておられたんですが、一部のエリート選手かスイムを得意としてる人のみターゲットの事だろうと思い込んでいました。

奥野景介さん著のクロール本でも後半に向かうに従って早めるとありましたが、ハッタリさんの詳細な解析のお陰で納得でき、意識を変えてみる事ができました。
今回の記事を読んで素直に試してみて本当に良かったです。


ウォークブレイクの記事も信号の多いランコースでもマイナスととらえず、崩れをリセットできる良い機会と捉える事ができる様になりました。

これからも参考にさせて頂きます。
長文失礼しました。


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