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2016年1月 3日 (日)

箱根駅伝にみる「腕振り技術」、2×2=4パターン

トライアスロンのバイク直後のランをエリートランナーと比べた特徴は:

  1. バイク走力にラン走力も影響されること
  2. 腕振りによる上体パワー活用の重要性

2.につき、「パワーの起点としての腕振り」が使えるようになると、レースペースを上げ、後半にありうる大崩れを防ぐこともできる。

僕は腕振り重視だ。その原点はたしか、1-2年目かのどこかのレース中、終盤でギリギリ粘るために編み出した苦肉の策にある。オーバーペースで終盤にヤバくなってきた時に腕振りで強引に運んだことも何度か。ロングデビューのKONA2013も最後15kmを腕振りで強引に運んだ。

これら経験から、ランパート後半の持久力は、走り込みよりも、まず腕振り技術を磨いたほうが上がるとさえ思っている。その技術は、細かな起伏のあるオフロード中心にラン練習するようになってから、さらに上がった。これら踏まえ、腕振り技術について、箱根駅伝を見ながら書いてみよう。

まず腕振りの役割を確認しておくと、脚の回転は骨盤を通じて体幹に伝わり、暴れてしまうので、腕振りの逆動作を返すことで、姿勢を制御する。脚のピッチ=回転数を上げたい時には、まず腕振りを高回転化する。

分類すると、2×2=4パターンがある。

パターンの1つめは主従で、

  • A) 普通エリートランナーの腕振りは、脚の縦回転を制御する「従」なものだが、
  • B) 1.まず体幹上部でパワーを発生させ、2.骨盤を横回転させ、3.脚に伝える「主」としの腕振りもある。
また、どの位置から腕振りパワーを発生させるかで、2タイプ:
  • X) 中心=背骨に近い位置から、求心的な力を発生させるか
  • Y) 末端=手先から、遠心力的な力か

箱根ランナーは高校時代のトラックのエリート揃い、平坦20kmという規格もあり、みな同じような走りをする。体型もで、170cm56kg的な細身の身体は、一緒に走ると(たまに駒澤さんあたりと一緒になるので)、僕の胴体に肩まで収まりそうな感じ。そこで、基本はAパターン。

ただ、規格外のケニア系、と5−6区ランナーは、腕振りをよく活用していることが多い。

この"B × X"型イメージを、まず日本人トライアスリートは試してみるといいと思う。(欧米の長身トライアスリートはY型=腕は動くが胴体が安定している場合が目立つ)

好例は、2区山梨学院ニャイロ選手。他と比べて動作の起点がより背骨=体軸側。後ろからの映像では肩甲骨がよく動いてるのがわかる。クロールでいえば、肩を回すのではなく、鎖骨と肩甲骨から起動している感じ。1km入り2:40=100m16秒!はやりすぎで、終盤に落ちたが、この攻めの姿勢がケニアンの真髄かもしれん。世界で戦えるのはああゆう超高速レースを仕掛けられる選手だろう。

上りはパワーが必要なので(軽いだけではダメ)、みな腕振りをよく使うから、トライアスリートは注目しがいある。「山の神」系で卒業後伸び悩む選手は、デュアスロンに適性高いだろう。実業団を引退する前に一度チャレンジしないかなあ。さらに泳げればKONAで優勝してほしい笑

Img_3053

写真はITU世界戦シカゴ'15のU23、順天堂駅伝出身トライアスリートの小林大哲選手と、奥はたぶん先頭集団。彼も体軸駆動のみごとなフォームで、バイク走力向上によりさらにランが伸びることだろう。

"B ×  Y" の末端駆動(もしくは遠心力の利用)では、2区でたまたま目に入った駒澤工藤選手は中間スパート、上りへの入りなどで、手先を大きく振って加速していた。箱根ランナーとしては身体が大きく、トライアスリートが参考になる動きだと思った。

遠心力活用タイプの代表は青山5区神野。彼は体重45㎏、パワーの絶対量の不足を遠心力で補っているのかな? ただこの場合でも、パワー発生は体軸に近い位置から=Xタイプのほうがいい気もする。その上で、腕が体軸から遠い距離を移動している、という差かな。

上り下りの走り方は、弘山勉コーチが最近考察している→ http://athlete.evolu.co.jp/wp/9137 全部理解する必要はなく、「腰の活用」という1点に集中すればとりあえずはOKかと思う。 それよりは、起伏のあるオフロードをたくさん走ることが効く。(舗装路の起伏は故障リスクが高い)

・・・

箱根駅伝の観戦は、実家居間のエアロバイク(エアロなTTバイクではなくてTV通販アルインコ)回しながら、駒澤の大八木監督が去年出した本をパラパラ読みながら。これを読んで速くなる系の本ではないだろうけど、こうゆう当事者の生々しい語りは、観戦を楽しむのにいい。青学の原監督の本はこれから。

箱根スペシャリストのライター酒井さんはこの業界の激しい競争をよく取材している。日本中の高校の5,000m記録上位ランナーは関東の30大学がごそーーーっとかき集めている。過当競争な面もあるだろう。

僕の理想をいえば、距離のバリエーションを増やして、より多彩な選手に活躍の場が与えられると、日本のエリート陸上のレベルが上がると思う。5kmくらいの区間があれば1500−5000mのレベルも上がるだろう。長距離も、まずはスピードだと思う。

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