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2015年9月29日 (火)

【技術解説】サガンそこ振り向くとこじゃナーイ\(@@)/ UCIロード世界選手権に表れた妖怪2匹を解剖しよう

今回は脱線し、世界選手権でも UCIロード世界選手権2015 。2匹の異常生物を発見したので解剖を試みる。
 
<妖怪「ふりむき」、別名サガン>
ロードレース エリート男子動画。注目は最終アタックのかかる4:30からの4分間。
石畳の急坂アタックで付けた差は、ゆるい下りに入った5:10時点で数m。そこから30秒間で50mほどに広がり、このリード分で逃げ切っている。下りの得意なピーター・サガンとはいえ、ほんの数百m、しかも直線で、これほどの差を付けるとは。ここまで高い下りスキルには、集団の追走力も通用しない。
途中でみせた妖怪技。そこ振り向くとこじゃない! レース局面的にも、乗車技術的にも、、
20150928_234009
まず基本から説明していくと、下りの傾斜がきつくなった時、サドルからトップチューブ(=競輪みたいな自転車の上の水平なパイプです)へ、座り直している。
 
これは下りで空気抵抗を激減できる技術。ここでは時速6−70kmでてそうなので、かなり速くなる。試しに時速70kmのクルマから上半身を乗り出してみると、幸運なら警察に逮捕され、不運なら死神さんに逮捕されると思うけど、まあ、どれくらいの空気の重さがあるのかわかるだろう。まあ良い子は掌くらいでお試しを。
 
もちろん不安定極まりない。自転車を自在に操れるプロだからこその技術だ。たまに衛星のTV中継で目にすることもある。ただし、まっすぐにペダル回すだけならば。
 
問題点を3つあげよう。
  1. ただでさえ下りで前荷重する場面で、さらに前荷重させる乗り方。ハンドルと前輪に体重が乗った状態で、上体を揺さぶるのは、危険な力を伝え、コロンとイキかねない。ほぼ刑罰レベルだ
  2. 空気抵抗を減らすためにやってるわけで、頭を横に突き出す分がブレーキになり、もったいない。試しに時速70kmhのクルマから頭をつきだしてみようか。ギロチン注意で
  3. レース局面的には、世界王者の座をかけた一番大事なところ、差を少しでも開くことに集中すべきで、後ろ確認なんていう自己満足なことをするべきじゃない
1.の前荷重の危険性については、人気の過去記事、【図解】TTバイクの重心特性を理解すれば、IM北海道もTTで乗りきれる! (カモ? にて説明した通りだ。
 
・・・そんな常識が通用しないのが、妖怪の妖怪たる所以である。。
 
後を追う集団では危険過ぎて出来ない技なので(サガンが先頭ならやりかねないが)、想定外の差を付けることができる。急坂を上り終え、さあこれから追撃、と気合を入れた瞬間に見せつけられた坂の下の小さなサガンに、集団は世界王者の夢を諦めたのではないだろうか?
その後の高速直角コーナーも、集団ほどスピードを上げられないため、差はさらに拡がる。ここでのサガンのコーナリングは実に美しい。時速どっかに出てないかな?
 
Facebookで紹介したら、上記記事でもコメントいただいている安藤隼人コーチから早速解説を頂いた。(こうゆうのも、トライアスリートにFacebbook必須という理由です)(そこのコメントの流れ、福山ショックに揺れる世間からそーとー浮いている気もするが、、)
  • 一見、トップチューブに座っているようだが、内股で軽く挟む程度
  • 実際は、左右のペダルにバランスよく荷重してるはず
  • これにより、BB付近に重心を保ってる
  • ハンドルに荷重したらダメ (振り返るときにバランスを崩すはず)
つまり超絶技とはいえども基本には忠実らしい。とはいえ、どうしても前輪に荷重するわけで、実際、後輪が振られている、怖い! それでも平然と走り切る妖怪。
 
1つの注目は、5:18、サドルからチューブ位置へドスンと降りる感じで、この瞬間に重力落下エネルギーを利用して加速度を得ているように見える。その直後、3回転くらいペダルをまわして、さらに加速している。傾斜が急になることで得られる加速度と、タイミングを合わせて。
20150929_194332_2
肘を外に張り出し、腕と胸で、腿を引き付けて、押し出す。窮屈なようだけど、「腿と体幹との角度」は、Castroviejo選手のDHポジションと同じ程度かと思う。そしてチューブは身体を合わせてるだけで、ダンシング同様に体重はペダルに架けている。こうして、幾つもの「加速度」を積み重ねてゆく。こうゆう物理法則を身体で感じ、自在に操っている。
 
それら動作の1つ1つが、いちいちキマっている。かっこいい!
 
<妖怪「まえのり」、別名Castroviejo
こちらは、UCIロード世界選手権2015タイムトライアル エリート男子、Jonathan Castroviejo=ヨナタン・カストロビエホ選手。よなタンとは有名フィギュアスケート選手のことではない。
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西薗良太選手が
 
世界戦TT、前々から着目しているモビスターのJonathan Castroviejo選手は4位。なにがすごいかというと、あの重戦車が活躍する1時間TTの間で、172cm、64kg(Wiki)しかないのにトップレベルで戦っているところ
ちなみにフォームが異次元

とツイートする映像は2:58-3:13あたり。


アゴがサドルより低いのでは。ヒザは上腕の中ほどにぶつかりそうなくらいに、上体が低く、かつ、腕と脚が近い。
 
時速50kmh近くで走り続ける個人タイムトライアルでは、最大のマイナス要素は、「脚の回転動作が生む乱流」だ。
 
このスタイルでは、前方から衝突してくる空気の圧力を、前腕で切り裂き、上腕で拡げてエアポケットを作って、その後ろにヒザから上の回転部分を収めることができる。
さらに、低い頭が、胴体下から腰へと巻き込む風を押し退ける。
どちらも、FIマシーンなどの先端の「ノーズ」のような働きをする。
 
最新の超高額な自転車は、ハンドルやブレーキなど、「ノーズの後ろ側」の空気抵抗を極限まで下げることをウリにしてるけど、こうゆう身体レベルでの抵抗削減効果は、それらを圧倒的に上回る。パーツのサイズも、動きも、比較にならないほど大きいよね。しかも、最初に空気を切り裂くノーズ部分で作用する。
20150929_31105_2
ただし身体がついてこれるかどうかは別問題。腿がほぼ胸に付いてるし、腹筋と同時に攣ったりして。このあとラン走れる気もしない。。
 
ただ、サガンの下りのフォームと共通する動作もあり、ここにも普遍的な学びを得る可能性はあるのかもしれない。
 
結論1:よいこはマネをしてはいけません
結論2:バイクは器材じゃない、技術だ
 
あれ微妙に矛盾?
そうゆう僕はCastroviejoスタイルを秋冬に少し試してみようかな?
 
・・・

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