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2015年8月10日 (月)

パルトリニエリの「1キック・クロール」はトライアスリートに向く 〜TV中継より詳しい泳法解説

<リオ2016追記> 

Paltrinieri、自転車ロードでNibaliが目前で滑らせた金メダルを獲得。イタリア国歌はオペラみたいで陽気だ!

泳法のポイントを改めて書き直すと、最大の特徴は、巨大な胸郭を大きく&速く動かせること。

ストローク数は39(片カウント・浮き上がり込み&ターン直前除外)。身長がより低いレデッキーの1キック使用時とほぼ同じで、1ストロークが(身長比で)短いピッチ泳法だ。

なぜ、こんな泳ぎが可能なのか? まとめ直すと、こうゆことだと思う:

  • 呼吸サイドは"Hip-Driven" 〜呼吸のための腰起点の回転を使い、 「ストロークの後半勝負」 (←過去記事リンク) を実現。キャッチでは小さなカーブ(外→内)を入れ、時間をかけて水をつかまえて、準備動作とする
  • 反呼吸サイドは"Shoulder-Driven" 〜 ①呼吸動作により、キャッチ時の肩に腰起点の沈む力がかかり、②さらに呼吸側リカバリー動作の「両肩連動」によって、③ストローク前半から強い力を入れる
  • 1キックは、呼吸直後に入れて、一連のストロークの起点になっている

そして、「側転イメージ」 (←過去記事リンク) により、キックほぼ無しでも、腰位置の高い姿勢を保っている。

なお、"Hip-Driven" という技術は、どちらかといえば、競泳エリート向けの技術と思っており(僕できません泣)、また乱流の海の集団泳では外れがちな気もして、普通の市民トライアスリートならば、2016.06.に書いた 「「2軸クロール」の終わりと、新たな「スノボ」泳法について」  の動作でいいと思う。 

※ちなみに、イタリアのジャージ前面の大きな「7」とは、エンポリオ アルマーニのブランド「EA7」に由来する (GQ誌サイトより)。EAはイニシャルだが、7とは、元ACミランのシェフチェンコの7番に由来するとイタリアの知人。

それだけでこんな派手に、7、とは、、、でもカッコいい!

 

<水泳世界選手権カザン2015>

ロシアからの映像は平凡だけど(悪くもないけど)、さすがは五輪前年、新たな泳法がたくさん見られた。と三浦広司さんが仰せであった。でもそうゆう情報、TVではあんまり解説してくれないよね。

トライアスリート的に最大の収穫は、男子1500mイタリアのグレゴリオ・ パルトリニエリ(Gregorio Paltrinieri)選手。無敵の悪役孫楊が負ける瞬間を生で見れるかもしれんwと期待してたのだが、、、まあそれはそうと、実に興味深い。
 
こちら数秒間の動画が手っ取り早い→ https://vine.co/v/ew2KQDA77pT 下の2014ベルリンの動画では、1:37から水中映像。こちらの中継映像はバリエーション豊富。西欧のTV局はスポーツ中継のレベルが総じて高い。 
 
<史上初の「1キック」泳法王者? >
パルトリニエリ、呼吸側=右のキックを、ほぼ全く打ってない。右脚だけ浮かす程度には動かしてるけど、推進力を一切感じない。左キックを、呼吸直後の減速をカバーするタイミングで打つだけ。つまり、ほぼ「1キック」泳法だ。
 
過去、ハイピッチ2キック泳法では、ジャネット・エバンス、キーレン・パーキンス、日本では柴田亜衣など、8−90年代頃にはわりといたけど、最近は高速化の中で、4キックが主流になってきたと思う。孫楊もレデッキーも、緩い2キックで流す局面もあるけど、基本は4キックでスピード調整してる感じ。
 
1キックの理由を、Facebookで教えてくれたのが、市民トライアスリートとしてスイム最強レベルのハルさん
  • 彼の泳ぎが1キックっぽいのは、毎回右呼吸のため、体のローテーション軸が常に呼吸サイドに偏っているから
  • (ニュートラルまで戻さないと反対の脚は打てない)
  • パーキンスは左右とも呼吸するので、ローテーションがニュートラルに出来る
この左右の偏りの効果として、「ピッチが上げやすくなる」ことをハルさんは指摘する。
 
これ、典型的な「ギャロップ・クロール」、つまり、「呼吸動作を起点とした "左右で一続きのストローク" を最適化」する(=片ストロークごとの最適化ではない)泳法だ。
 
ギャロップ泳法の解説はこちら人気の過去記事を参照→ 「フェルプス的なクロール」のより正しい分析 リンク切れ修正済_(._.)_
 
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つまり、右ストロークは
  1. 大きなS字ストローク
  2. 軌跡は長く、その間に浮力(天井の方向)も発生させることで、呼吸の時間を稼ぐ
  3. エントリー後、すぐにキャッチに入ることで、左ストローク終了(=推進力喪失)による減速を抑える (これがギャロップの最大の目的かな)
  4. プル中盤では、身体の中心ラインあたりまで手を持ってくる (体軸が、呼吸する右側に常時開いているので、手を内側にもってくるほうが中心軸に近づけることができる)
  5. 呼吸のための腰ローリングとタイミングを合わせて、腕を体幹近くでフィニッシュさせ、強い推進力を作る (Hip Driven)
左では
  1. 直線的なストローク (下からみればI字、横からは楕円)
  2. 軌跡は短く、後ろ向き動作の抗力による推進力が中心
  3. エントリーでは一瞬の溜めがある (呼吸してる時)
  4. 想像だが、上記3での減速を補うために、キャッチ〜プル序盤では大きなパワーを必要とし、よってI字ストロークを選択するのでは? 
  5. プル中盤の軌跡は身体の外側 (体軸の傾きのため、そのほうが安定する*2)
  6. フィニッシュは、体幹から離れているが、腰ローリングと一致させて強いパワーを出す。これはこれで腕力必要
と分析できる。
 
左3で減速が起こるため、直後に左キックを入れて、補正するわけだ。
左4については、「I字ストロークでは、短く強い力を出しやすい」といえるのでは。だから、キックと併せて、左3での減速を補いやすい。
 
また、上体の姿勢は、水面スレスレからストロークする萩野選手に似ている。ただし、キック力は全く違うのには注意。
 
<ハイピッチ >
彼は191cm72kgの細身長身(スイマガ5月号)、ということは両腕リーチもおそらくは2mくらいあるだろう。それで50m41ストローク?(片手カウント)。そして、ターン除く実質泳区間を「44m、26秒」と仮定すれば(ここテキトーです)、1ストローク0.63秒のハイピッチで、ストローク長は1.07m、と試算できる。腕リーチを2mと仮定すると対するストローク長の比率は53.5%? かなりの短さ。
 
こうゆうハイピッチ泳法なら下手でも真似できそうな錯覚もわくが、、少なくとも、彼は20歳の若者、倍以上の歳のオッサンでは心臓が持たんが。。
 
<結論: トライアスリート向きの泳ぎ!>
まあそこまでいかなくても、キックに頼らず体幹を活かしたハイピッチ泳法は、トライアスリート向きの泳ぎだ。孫楊の泳ぎは海では通用しないと思うけど(=オリンピックで金狙えないという意味で)、彼はOWSに転向してこそ活きる気もする。あの上下動のタイミングを波に合わせることができれば最強。そしてもちろん両サイド呼吸できるようにして。
 
<予告>
これら解説した泳ぎは、「体幹パワーを活かしたクロール」ということができる。その解説の国内第一人者だと思う、三浦広司さん(ソウル五輪5位、伝説と悲劇の名選手)による技術セミナーを、9月から開催していきます。
  
<おしらせ> 
ゼロディ社ウェットスーツは3−4割引放出中!   ←ここの浮力水着はあっというまに売り切れ。代替品はこれでいいかな?
クラゲ除けクリームは既に必須。塗らない結果の被害報告も幾つか…
 

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