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2015年7月19日 (日)

真夏の耐久スポーツ4 〜「熱中症ビジネス」に騙されない? 補給製品の選び方

*** おしらせ ***

最高1日訪問者4,000&ページ閲覧6,000超えを記録した人気シリーズを、独自カテゴリ「耐久スポーツの暑さ対策」として http://masujiro.cocolog-nifty.com/blog/cat23897989/index.html へ整理してます。昔の記事2つオマケつき。先日NHK「ためしてガッテン」でも暑さ対策やってたけど、メディアでに出てくるのはマジョリティー=はっきり言えば「運動不足の高齢者」=向けばかりなのが日本のマスコミだ。アスリート向けの知識なら、アスリート同士で補いあうべきだ。このブログもその1つだ。

いよいよ真夏到来。
 
「暑さ対策の新常識」といっても、当ブログで書いている1つ1つは、知ってる人にとっては当然のことの寄せ集めに過ぎない。その程度でも過去最高の反響があるのは、それだけ「旧常識」が多くの人に染み付いているからだろう。それを進めてきた一角が「熱中症ビジネス」なのかもしれない。
 
たとえば、アミノバリューによるランニング情報サイトの最新記事:夏の水分補給は毎年おさらいを。水分補給を制するものは夏ランを制する。 これ、商品を買わせることだけに集中した記事だ。その商品を買えば全てが解決するかのようなイメージを振りまいて。(長くなるので、詳しくは文末参照)
 
こうしたイメージを刷り込まれたシリアスレーサー達が、レース中にスポーツドリンクを飲み過ぎておなかを壊し、さらには低Na症でつぶれてゆく。
 
提言:「体系的な知識」を持てば、業者のトラップを見抜ける。
 
そこで、この図1枚でどうだろうか?
 
3
(著作権は僕です、図も文も)
 
この図での主役は、オレンジの曲線。運動が進むにつれての「汗中の塩分濃度」をカーブの傾きが示し、その際の「体内の水と塩分のバランス」を縦横で示す。
  • かきはじめの汗は塩分濃度が低く、少しくらいの発汗なら、普通の食事と、そして体内のNa貯蔵量(後述)とで十分賄える。よって、麦茶でも飲んでおけばOK
  • 発汗が進み、Na流出が増えてゆくと、スポーツドリンクのメリットが出てくる。ちなみにアクエリアスほか大手の「ジュース会社」系のものはミネラル濃度が薄め、製薬会社によるポカリは2割ほど濃い。意外と健闘するのが「ソルティライチ」だ
  • 通常、レースのコース上にはここまでしか置いていない。発汗が進んだ場合には、塩のタブレットや、塩そのもので補完しよう
  • 発汗が進むと、汗の濃度が高まり、同時に、飲むべき濃度も上がる。正常時には不味い「OS-1」が美味しく感じるようになったら、OS-1が最適だということだ
  • 極限状態では、「小型容器に携行した25%濃度の雪塩」が「甘く感じた」という報告例あり
※なお、ここで商品名に付記する「%」は塩分濃度。Na=ナトリウム濃度は「塩分の約4割」に相当する。商品パッケージにはNa量が表示されるので、「2.5倍」すれば判りやすい。 (以前の記述と図で混乱があるかも、最新のが正しいということで)
 
結論として、「今、美味しく感じられるものが、身体にとって最適なNa濃度」だろうと考える。いいかえれば、「知識ではなく、体感」。
 
僕は天然素材そのまんまが好きなのだけど、長時間になるなら、何でもいいから、常時携行はしておくべきだ。水なら公園の蛇口でも日本ならOK、でも塩はそうはいかない。
 
そして、練習前後の計量を是非。体重が2-3%減るというリミットは、知識として持ってても意味がない。それがどんな感覚なのかは、安全な環境下で試して、感じておいたほうがいい。
 
4回続いた暑さ対策シリーズは、たぶんこれで最終回。
 
暑い夏を、楽しもう。
 
 
<体験談>
読者のみなさんから報告いただいた経験談も紹介しよう。
 
例1)
「フルマラソン完走後に足が攣ってどうしようもなくなったときに、救護室でOS-1を二本もらって飲んだら、ものの数分で足攣りが収まりビックリ」
 
ゴール後には、アクエリやポカリを配る事が多いけど、大塚さんスポンサー大会なら、むしろOS-1を配った方が、その後の売上増につながる気もする。そうゆう極限状態向きの商品なのだから。
 
例2)

「同じ50代の男女二名が、31℃90%という高温多湿下で20km走を実施。

同じ時間、同じ距離、同じタイミングで補給したのに、男性だけひどい熱中症に、女性は平気。男性は肌の露出が多く、途中で赤い自販機でジュースやスポーツドリンクをたくさん飲み、結果、汗が大量に流れ続けていた。女性は肌を覆い、水を掛け、飲んだ水の量も少なめ」 

「そのリベンジ戦で、男性は25%濃度の塩水を携行し、ちびちちびり飲みながらで、無事帰還に成功」

極限状態もそこまで行き着くと(それも自由てものだ、笑)OS-1どころではなく、25%濃度にまで、本能のメーターが上がるわけだ。
 
<アミノバリューのサイトの問題点、続き>
冒頭の記事の問題点についても、以下説明しておこう。
 
あらかじめ断っておくと、商品の機能自体にも問題はない。正しい場面で正しく使えるのなら、十分に優れた商品だ。そして実際、気軽なお散步テニスゴルフなどの場面なら、この方法「でも」許される。接待ゴルフとか、ご近所さんが見てる犬の散歩とかで、そんなに水掛けれないだろうし。
 
そうゆう一般さん限定なら問題ないのだけど、アミノバリューのサイトでは、「マラソンにはスピードトレーニングも必要」とか、明らかにレースレベルでの情報提供もしている。このレベルの真夏のトレーニングでは、「水かけ冷却」は最優先にくるべきだ。それに犬のお散步程度でも、首に濡れタオルくらい巻くといい。
 
そこに一切触れないのは、「発汗量が減り、補給すべき水分量が減って、商品が売れなくなるからじゃないの?」とつっこまれる(実際にはそんな邪念はなく、単なるライターさんの知識不足だと思うけれど)。また最新記事なのに、あの重要な海外学会を踏まえてる様子がないのも痛い。
 
しかし、こうゆう記事が、ほぼ主流になっているのではないだろうか。しかも有名企業が、それなりの専門家を用意し、最新デザインのウェブサイトで発信するから、信じない要素を見つけるのが難しい。
 
さらにこの季節、商業メディアにとって彼らは大量に広告出稿してくる超VIP客だから。ニュース原稿作成でも配慮されないとも限らない、という皮肉はさておき、実際メディアでは「普通の人達」が対象なので、耐久系アスリートの存在は考慮されない、これは間違いないだろう。
 
そんな情報が渦巻く中で。僕らは、「自分なりの判断基準」を持つ、独自に磨いてゆく必要があると思うのだ。
 
もう1つ付け加えておくと、大塚製薬さんは、むしろ「OS-1」を、今のような医療系ではなく、耐久アスリート向けの日常使いとして、もっと激しくアピールしたほうがいいと思う。「水をかけながらOS-1を飲む」なら、売上はそう落ちないかも、笑。
 
<医学的なお話> 
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※お知らせ: 次回の代々木プール練習会は7/26(日)午前、初の日曜都心開催です。

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コメント

良い記事をありがとうございます。
私自身は琵琶湖やコナで痙攣等になったことがないので今まで考えたこともありませんでした。
でも、皆生や佐渡でよく痙攣をおこしている人を見かけるのでやはり多いんでしょうね。
インドのピンク色の岩塩は甘みがあってよい味があるのですが、あれはどう思われますか。
あれが良ければ、ミネラルが多くものすごく安く済むと思いますが。

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