« ソープとレデッキーの比較から「ハイエルボー」の最新形を考える | トップページ | 水泳フォーム分析の限界2つ、そして「力感」について »

2015年5月10日 (日)

萩野/フェルプス/レデッキー泳法比較、4つの視点

このところ抽象的な理論が続いて、みなさんアタマが煮えてる感じですかね(_ _;)書いてる僕もですが。お口直しに、有名選手の、目に見える部分での違い、について説明してみよう。
 
<1.入水時の手の深さ>
マイケル・フェルプス選手(2008年NHKスペシャル)は、水中に腕を沈めてから伸ばす。
 
一方、ケイティ・レデッキー選手は、水面スレスレ位置からキャッチ動作を始める。この特徴はたしかスイミング・マガジンか何かで解説されており、今年の日本選手権で女子長距離では似た動作が目立った印象もある。萩野選手も同じく。
Thum_01_220150506_132500_2向かって右がレデッキー選手
レデッキー選手のキャッチ開始直後の写真をみると、掌側に泡はなく、水圧は高い。下に押しているので、上向きの「抗力」を得ている。(萩野選手も同様だが、NHKの解説はこの点のみ、残念)
手の甲側は渦巻いて、水圧が低い。この圧力差で前腕は低圧=つまり前方向へ吸い寄せられる。それが「揚力」の作用。こちらが主だろうか。
両者が複雑に合体し、すさまじい推進力を作る。それが水泳トップ選手の超絶スゴ技だ。
 
この水深20cmくらいの区間は、フェルプス選手は活用していない。これが2つ前に書いた『水面スレスレから「揚力」を発生することができる高度なキャッチ技術により「有効ストローク長」を伸ばす』技術。
 
なお、僕ら凡人にとって、この技術は絶対解ではない。肩まわりの柔軟性、揚力を使いこなす高度なセンサー、などなどが必要だと思う。これと全く逆のアプローチを取るのが初心者に人気の「TIスイム」だ。このストローク区間をボディバランスを取ることに専念させる。この推進力を犠牲に、全身抵抗の削減によるトータルでの効果を狙う発想は、「うまく浮けない初心者」にとっての最適解となりうる。
 
「ハイエルボー」の角度はみな抑えめかな。
( 2012年頃の女子長距離は、肘角度が大きい選手が目立った気がする、もう一度見なおしてみよう)
 
<2.グライド>
先のNHK映像をみると、荻野選手の上半身は、「フェルプスの写真を腰を起点に時計回りさせ、それ以外はほぼ同じ形」だ。その姿勢のまま少し前に伸びる=グライドするので、その間、飛行機の主翼のように、上への揚力を得ているようにも見える。それが2つ前に書いた、NHKが取り上げない話。
 
レデッキー選手では、あまりグライドせずに、早めにキャッチに入るため、荻野ほどの上浮力は得ていないようにも見える。いわゆる「フロント・クワドラント」の姿勢は取らず、常時どちらかがストローク中、というイメージだ。
 
これは、グライドしないことにより、加減速を抑えて、慣性力を活かしていると考えられる。前回の連続写真のサンディエゴ州立大学サイト"How Champions Do It" でも解説されていた。
 
荻野やフェルプス選手が長めのグライドをする(orできる)のは、強力な6キックにより、常に推進力を得て、グライド中の減速が少ないせいかな。
 
ただし、弱い2キックの場合でも、グライド姿勢の抵抗が少なければ、グライド減速の悪影響は減る。また、トライアスロンの集団泳についてゆく場合にも、悪影響は減るかな。
この結論としては、「グライドし過ぎによる減速感」があるかどうかで判断すれば良いだろう。プールより海のほうがグライドは不利になるので、海錬で確認しよう。
 
<3.S字ストローク>
女のレデッキーと、男の萩野&フェルプスを比べると、男の方が筋力が高いせいか、ストロークの横動作=いわゆるS字カーブが大きいように見える。
レデッキーは男子より筋力は低く、距離も長いので、筋力を後方に動かす動作に集中させている。ただし横動作が少ないだけで、「ゆるやかな曲線」を描いている点は共通する。
 
昔はやった「I字ストローク」理論は、結局、絶対解ではなかった。2008年時点でフェルプスは片腕だけI字のハイブリッド。それを両腕化すると言ってたけど、それで速くはなってないよね。萩野は今もハイブリッド。
 
<4.ストロークの力感>
みな共通に、お腹下あたり、真後ろに水を押す部分で、最大パワーがかかっている感じだ。パワーの絶対量では、やはり「抗力」が大きい。これが有効な区間に限っては「I字ストローク」理論は有効。
それ以外の区間も高速化するために、揚力を活かす曲線的ストロークも併せる流れなのだろう。
 
とはいえそれらはすべて天才のなせるワザ。
凡人な僕らは、実際どうすればいいのか? を次回書いてみよう。
<おしらせ>
プールの練習では、ウェット素材水着で浮く感覚を近づける事が出来る。  ←フランス・ゼロディ社の水着もかっこいい! 
 
5/15発売→ ココナッツオイル、実践された方に好評です→
 
ブログランキングは1日10名ちょっとのクリック戴いとります→にほんブログ村 その他スポーツブログ トライアスロンへ よろしく!

    « ソープとレデッキーの比較から「ハイエルボー」の最新形を考える | トップページ | 水泳フォーム分析の限界2つ、そして「力感」について »

    ◆* クロール/OWSの技術」カテゴリの記事

    コメント

    そう思います。海ではべた凪であればプールと同じ大きい泳ぎでいけますが、波があれば少しピッチを上げた泳ぎにしています。うねりが大きいときはうねりのリズムに合わせてピッチを上げたり下げたり。
    少々小さい泳ぎになるのはやむを得ないかと。
    基本は波のリズムに合わせるようにしてます。波に逆らってプールの泳ぎをしようとしても疲れるだけですし、タイミングが悪ければ呼吸できなかったり、水飲んだりと大変ですので。

    ハルさん、プールだと男子長距離はぐわんぐわんグライドしてますね。
    ストロークにパワー感あります。

    すれ違いで書き足した点ですが、海だと荒れるほどグライドが不利になると考えられますが、ハルさんは感じませんか?

    長年競泳に携わってますが、女子選手のクロールは、今も昔も、どのレベルの選手でもグライド時間を長く取る人は少ないですね。抵抗の少ない姿勢でグライドして、ストロークの速度を上げる方がエネルギー効率的に高い推進力を得られる(中長距離向き)と思いますが、キャッチープル初期の局面は相当筋力要りますし、グライドで「溜め」の時間を作ると、キックの回転力にプルのスピードがついていかないのかな?
     やはり筋力的な問題が一番大きいのかな〜と思います。

    コメントを書く

    (ウェブ上には掲載しません)

    « ソープとレデッキーの比較から「ハイエルボー」の最新形を考える | トップページ | 水泳フォーム分析の限界2つ、そして「力感」について »

    フォト

    全て公開設定

    おかいもの

    Blogランキング

    無料ブログはココログ