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2015年3月 3日 (火)

アイアンマン主催団体WTC、売却or株式公開で投資利益500億円超? (ピケティ先生も納得!?)

ロイターの2015/2/24付スクープ記事によれば、 「アイアンマン」シリーズを統括するWTC(World Triathlon Corp)は、現在、売却もしくは株式公開を極秘に検討中だと。

 
驚くべきはWTCの財務状況だ。年間営業利益$50million=60億円以上。株式公開すれば推定時価総額は最低600億円以上となるらしい。これはワタミとかより高い。そんな金額でも、買いたい会社/ファンドなどは普通にいる感じらしい。
そんな経緯を、ちょっと纏めてみた。
 
〈トライアスロンの経営史〉

(データ等は、http://triathlon.competitor.com/2015/03/news/ironman-sale_112925 記事のリンクより)
 
〈トライアスロンで大儲け!〉
つまり、Gills氏は20年かけて「アイアンマン」ブランドを育てることにより、60〜100億円ほどを手にした。
そして現オーナーのProvidence Equityは、7年間でおよそ10倍の価値(600億円以上)に育てた。そして既に差し引きで1億4,000〜7,000万ドルの利益を手にし(=投資額の3-4倍の利益)、残りの6-7倍相当の儲けを、現在、狙っている最中。
WTCの借入金でファンドへの配当を出した時点で、ファンド側は「既に儲け終わっている」。その帳尻合わせ=借入返済のために売却、というところが、さすがのアメリカンビジネス。
 
もちろん、こんな話は秘密で、誰かが守秘義務を破ってリークしているんだろう。気持ちはわかる、笑。さすがにアメリカ人にとっても、やり過ぎじゃね? てとこかな。
 
〈正当な権利?〉
彼らの利益は、市場全体の成長に対する貢献に対する、当然の利益という見方もできるわけだが。Gills氏在任の1989-2008年は、おそらくトライアスロン界が急成長した時期。総本山の価値も上がるのは自然なこと。
 
すると、「Gills氏が権利を(おそらく創成期のメンバーから)獲得した」という一点が、ものすごい転換点であったわけだ。これにより、本質的な創業者であるはずのJohn Collins氏に数十億円が行くことはなくなった。ただ、Gillsの経営努力によりアイアンマン市場がここまで成長し、それを追いかけてオリンピック市場も生まれ、、、ということへの正当な権利という面もあるだろう。
 
それにしても、今のファンドの利益、美味しいところを徹底的にさらった感がある。
 
〈結局「資本」が強い〉
そんなトライアスロン市場の拡大の中で、プロ選手も含め、いろいろ儲ける人達が出てくる。その中で最も儲かるのは、「中核の会社の資本を握っている人」なのだ。まさにピケティ先生が説く通り。
 
そもそも資本主義とは、ビジネス活動における意思決定を「資本」=株にさせる、という仕組みだ。投票により意思決定する仕組みを「民主主義」と呼ぶのと同じくに。
株主=資本家は、儲けをどう配分するかの決定権も持つので、そのポジションが一番儲かる。もちろん損したら損をかぶる役割でもあるわけだが、しかし、経済全体が成長している時、平均として富がまっさきに回るのは株主。一方で、経済が停滞してしまうと、世の中全体がヤバくなってしまうので、マトモな政府ならなんとしてを阻止する。いわゆるアベノミクス(というか黒田総裁ノミクスかな)もそうだ。
つまり、どちらのシナリオに転んでも、資本家は先に儲かるポジションを占める。例外は、革命や大戦争くらいだ。
 
そしてお金はすぐに移動できるから、衰退産業の株を売って成長産業を買う、ということが瞬時に出来る。一方で、衰退産業で働く人は、そうそう転職できないよねー。この点でも資本は労働よりも強い立場にある。高偏差値大学の学生が金融業界に行きたがる大きな理由は、その前者の側に回りたいからだろう。
 
〈ほどほどに儲かる大会運営を〉
こうゆうことを書くと、「だから金儲けはいかん」的に流れる向きもありそうだけど、僕はそこには賛成しない。金儲け要素が、日本には足りなすぎる、と思っている。
「スポーツ大会だから儲けなくていい/儲けちゃいけない」という発想が、ボランティア動員と補助金頼りの大会運営につながり、結局枯れていくよりは、収益を確実に上げることで持続可能なものとした方が、スポーツ文化は育つから。
 
とはいえ日本では安心安全を追求し過ぎる文化もあり、コスト高となりがちだ。とりわけ長距離になるほど、警備コストは響く。
 
 
なんて話もある。
一方で、アイアンマンの本部WTCは年間180レースを主催するそうなので、1大会あたり3,000万円ほど儲け続けてる計算だ。KONA予選レースはたしか年10万人以上参加(それ以外のレースも多いが)、それで割ると1人あたり5万円相当か。ここでもやはり、「資本(WTC)は労働(白戸さん)よりも強い」のか。。
 
とはいえ、時代の流れは、こうゆうビジネスを必要としているのは確か。
なぜなら、「感動」はライブに「参加」しなければ得られないから。
ロイター記事にも
 
"Live events and sports brands are some of the most attractive and fast-growing areas of the media industry."

あるように、ネット社会が進むほど、人は「ライブ」へと引き寄せられてゆくもの。ネットは課金が難しいけれど、ライブにかかるコストなら、「参加者の感動」に見合うだけの利益を乗せて、回収することができる。プラチナ・チケットを獲得して福山雅治のライブを見るよりも、あるいはゴルフでベストスコアを出すよりも、確かな感動が、そこにはあるはずだ。

WTCまわりのビッグ・マネーは、あのレベルの人気大会を育てればカネになるぞ(ただし資本を握っている限り)、という資本主義からのメッセージでもある。
 
なんでもいいから、日本のレース文化と産業が、育ってゆくことを祈る。
 
 
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