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2015年2月10日 (火)

 「痛み」を活かして「技術」を高める方法

抽象度の高いトレーニング哲学論は少々わかりにくいかもしれないけれど、まずは自分なりに考えてみることが大切。「わかりやすい正解めいたもの」があふれるネット時代だが、「哲学」にこそ価値があると僕は思う。

「哲学」とは、始まりの方向性をセットし、迷った時に立ち返る「考え方」。間違えると、無駄な努力もするし、怪我もする。だから、耐久スポーツで何かの目標を持った時に、最初に理解すべきもの。そこを間違わなければ、具体的な練習法も、テクニックも、後から付いてくる。
 
僕も5年前にそこから始めたし、そこで徹底して情報収集し考えたことは、今に至るまでの最短距離になったと思う。100m走が運動部現役時代に15秒の駄馬である僕がね。
 
など言い訳しながら今回も続けます。
 
〈日本の長距離界の思い込み〉
まず、サプリ会社DNSのコラムを紹介しよう。筆者は元短距離日本代表の早大元主将。
 
 
同記事では冒頭、長距離選手はメシを食え!と主張する。当然だよねー。読んでて大学生選手大丈夫かと不安になる。この点についての僕の見解は、シリーズ「耐久スポーツの理論 〜 体重編」 をご参照。まあでも未だにエリートランナー界でも続いているなんてがっかりだよ。
 
そして、それによる貧弱な身体がもたらすと思われる故障について語られる。以下引用:

痛みは自分から発せられたサインです。そこがなぜ痛んだのかを、考えなくてはいけません。そこで『ああ、こういう動作をしていたからかも...。』『こういう生活をしていたからかも』と考えることが大事です。

それをせず病院に頼り、間に合わせのような治療をする。それで痛い箇所は多少治るかもしれないけれど、原因は体のひずみですから、結局またケガをする。その繰り返しです。自分の身体の使い方が悪かった結果なんです。

走るとは、自分の身体を最大限に使うこと。だから、何かがおかしな状態にあることが負担となって表れる。その積み重ねがケガになるのだと思います

〈痛み、の意味〉
その通り。僕なりの理解では、「痛み」とは、「何かがおかしな状態にある」ことを、身体くんが親切にも語りかけているわけだ。
 
たとえば飼い犬は日本語を喋らない。一生懸命にワンワンと吠えているとき、何を言おうとしているのか、人間の側が考える必要がある。ただお腹が空いてたり、かまって欲しいだけなのかもしれないけど、もしかしたら病気で死んでしまうかもしれない。
130104_193456(わんわん)
同じく、あなたの身体からのワンワン(=痛みの比喩です)を無視していると、いずれ、ぐしゃっと壊れたりしかねない。これはド基本だけれど、しつこく書いておく。だって出来てない人が多すぎる。
 
だからといって、いきなり休養に入る必要もない。これが、第二の僕の主張だ。
 
身体くんが言いたいのは、「ちょっとおかしいよ」というだけ。ただそれだけ。
 
これが日本の役所なら「そりゃあ大変だすぐに止めろ」となりそうなもんだが、僕らアスリートならば、自分の行動にはピュアな自己責任を100%貫徹できる立場にあり、そのおかしな箇所だけを探ればいい。
 
僕も、ランニング中、膝や腰や足底に軽い痛みを感じることは多い。それを、不合理な動作を示すサインと仮定し、その改善を試みる。どうゆう動作であれば、痛みは消えるか? それを、走りながら、ペースも落とさずにすることも多い。ただしスピード練習なら、レストを長くとり、十分にほぐし直す。
 
もちろん、その痛みが「物理的な損傷」が既に発生してしまった結果ではないことを入念に感じ取った上でね(言うまでもないド基本)。また、走りながらの修正はけっこうな高等技術かと思うので、自分のセンサーに不安があれば、一時停止した方がよい(言うまでもないか)。
 
〈具体例…〉
  • 膝の痛み… 「着地から蹴りだし」までの非効率な鉛直方向への力の大きさを物語る。これほどありがたいサインはない。ここで痛みをガマンしたまま走ってしまうランナーは、僕のブログ読者には居ないと信じるけれど、逆にそこで止めてしまう人なら結構いるかもしれない。それももったいない話なのだ。対応は、ベクトル成分を垂直から水平方向へとシフトさせる動作をその場で考えること、これに尽きる
  • 腰の痛み… 「骨盤から背骨まわりの骨の歪み」がたいてい伴っている。「蹴りだし動作」の非効率が作用している場合、「腕振り」が変=肩周りの固さを示す場合もありうる
  • 足底筋… 着地時の緊張を示す。やわらかい芝生でリラックスして走ってみる
あくまでも「僕の場合」であり、みなさんにとっての正解ではない。哲学は共通するとしても、個別解はそこからそれぞれに考えるしかない。
 
これらの対応で、「僕の場合」、100%痛みは消える。
のみならず、より楽に、ないしは速く、走れるようになってゆく。
 
ここでもしも痛みが消えなければ、その時点でトレーニング終了。
その場合を想定し、ラン錬は周回路が基本。そこまで2kmあれば自転車でいく。ランで遠出をして痛めると、痛い脚で戻らないといけないわけで、その事態を僕は徹底排除している。ただし、そうなったことは一度もない。
 
〈ケガをしないための哲学〉
こうして、「軽い痛み」が出た時点で「動作を修正」していけば、ケガ(=物理的な身体の損傷)を未然に防ぐことができる。
その奥にある哲学とは、「やると決めたことを や ら な い 柔軟性」だと思っている。僕はそもそも練習メニューを持たないし、なんとなくその場で決めても、やっていておかしければすぐに変えるし、スピードが出なければ、止める。がんばらない。
このイイカゲンさがケガを遠ざけ、レースでの成功への最短距離となる。というか、実際にそうなってきた。
 
僕らが最も避けるべきは、「やると決めたことはやり抜く」というスポ根漫画やらビジネス書やらにありがちなフレーズだと思う。
マジメな人、あるいは社会的に成功した人ほど、この罠にはまる。これは美徳のように見えて、実は、「自分の身体と対話する」という最も大事なことを放置しているだけ、「脳内の妄想」を現実の身体ちゃんに押し付けているだけだ。
 
他にも、
  • 「3種類のストレッチ」を、目的に沿って使い分ける
  • スピード走は、徐々に上げてゆく
  • 最終局面で、脚を使い終える
  • 途中で脚が終わったら、即中止
  • お腹が空いたら、即中止
といった個々のノウハウはあり、それで高負荷スピード錬もケガなくやり続けている。おいおい書いていこうと思うけど、今回書いたことは、トレーニング哲学として最重要レベルに位置づけられると思う。これは、僕のような勝利中毒者に限らず、楽しく完走したい人にも共通する基本だと信じている。
 
・・・おしらせ・・・
  • 痙攣防止には塩分に加えてマグネシウム(大豆とか)+カリウム(バナナとか)が有効で、錠剤なら数百円から。クエン酸は脂肪燃焼回路に、BCAAは、まあ牛乳や納豆でもいいんだけど、筋肉ケアに大事ですね。

 
 
 

 

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コメント

返答ありがとうございます。
自分自身と対話して自分で答えを探していかなければいけないということでしょうか。
集中力の切れない練習を高い頻度ですることによって、効率的に自分の体や動作を理解していけば、痛みの原因も分かり、理想的なランに近づくと解釈しました。

脚の振り下ろしに気をつけながらトレランしてみようと思います。
ありがとうございました。

あれきさん、これもまた「哲学」レベルの話をしとりまして、これという正解は無いです。
唯一あるとすれば、「最も効率的な走りが出来ていれば、その痛みは出ないはず」ということ。

そこで、日々の練習から理想の走りを追求する、痛みが出た時にその過程全ての中からそのヒントを探る、というくらいしか、実際できません。

そのために、オフロード中心に走ったり、集中力の落ちるような長距離を避けたり、かわりに練習の「頻度」を増やす、ということを、日々積み重ねています。それら全部大事ですが、オフロード錬が一番有効な気がします。

そうした蓄積の上での僕なりの方法は、着地点の修正、脚の振り下ろし動作の改善、が多いかな?

はじめまして。いつも興味深い内容のブログ楽しませてもらっています。
今回のブログで質問がありコメント致しました。

膝の痛みへの対応は、ベクトル成分を垂直から水平方向へとシフトさせる動作をその場で考えること、これに尽きる とありますが、具体的にはどういうことをおっしゃっているのでしょうか?

膝に負担がかかる脚の状態で、足裏から垂直方向に衝撃がかかると膝を痛めることは分かるのですが、どのように水平方向にシフトするのでしょうか?

足を体の真下に下ろすことで、衝撃を体幹で吸収するのことで、膝を痛めないようにすることはできそうです。

もしよろしければお返事待っております。

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