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2015年2月28日 (土)

東洋経済online記事『ついにブーム終焉?東京マラソンの「功罪」』への批判3点

東洋経済オンライン2015/2/28付の記事、
が、同サイトの同日のアクセスランキング1位。
 
酷い記事だ。
 
東洋経済オンラインは最近急激にアクセスを伸ばし、今や日経ビジネスオンラインの約3倍でこの分野のリーダーだ。その人気記事ともなれば、何も考えずに、「へー、ランニングブームも壁かー」と思い込む人も多いだろう。スポーツジャーナリズムの発展のために、以下、問題点を順に指摘させていただく。
 
1. 「ランニング人口の急減」
 
2013年は前年と比べて、全体的にスポーツ人口が減少。ランナー人口も例外ではなく、2012年の2450万人から、2013年は2080万人と大きくダウンしているのだ。(p1)
 
その根拠は『レジャー白書』(公益財団法人日本生産性本部)だが、ここでの「ランナー人口」とは1年に1回以上、ジョギング・マラソンを行った人」と定義される。これは、今のランニングブームの実態から明らかにかけ離れたものだ。つまり、引用先として不適切だ。
 
『レジャー白書』には、そんな定義を採用する理由があり、それはレジャーが主目的である以上、「ボウリングやテニスやゴルフ」などの遊び系スポーツが主対象となるからだ。「ゴルフ人口」を探るには、年に1度プレーすれば十分だろう。ただしそれは「自転車は新しいゴルフ」という21世紀の変化に対応できていない面もあるとは思う。ただそれは日本生産性本部さんの経営判断だ。
「今のランニング・ブーム」を論じたいのなら、そもそも引用すべきデータではないということだ。
 
2.「大規模大会の申込の停滞」

東京マラソン・・・抽選倍率はこの数年ほぼ横ばい状態(2012年9.6倍、2013年10.4倍、2014年10.3倍)(P1)

大阪マラソンも、フルマラソンのエントリー総数は第1回の15万4822人から年々減少。第4回は13万7768人の応募にとどまった。長く続いてきたランニングブームは落ち着きを見せており、もしかしたら終焉を迎えつつあるのかもしれない。そうなると、この10年で一気に増えた大規模都市型レースは、東京、大阪などメジャー大会を除くと、定員を集めることが難しい大会が出てくることも考えられる。(p2)

a) 普通、この状態を日本語では、「5〜10倍で高止まりしている」と表現するだろう。「落ち着きを見せる」とも言うだろう。それがなぜ、「もしかしたら終焉を迎えつつある」のか? 「もしかしたら・・・のかもしれない」と混ぜれば何を書いていいという新しい言語が日本に生まれているのか? 
 
b) なわけはなく、普通、こうゆう場合に持ち出すべきデータは、「全国のマラソン大会への申込者数の推移」だ。東京マラソンどうせ出れんだろ、とより遠くの、よりマイナーな大会へと、みなシフトしているのだから。それがエントリー合戦の実態だ。
 
c) つまりエントリー合戦を取り上げた時点で、記事には新たな矛盾が発生している
 
d) また、P2最後に横浜マラソン1.5万円が高い、さらにローソンPonta入会と手数料966円まで必要(=ここへの反感には同意)だとハードルの高さをボヤきながら、倍率3.4倍に驚いている。この文脈からすれば、倍率が高い、と驚いているようだ。
ちょっと待て。その前では、倍率が低くなっている、と書いてでしょう? その流れからすれば、「東京大阪よりも低い倍率だよ、ほらやっぱり低くなってるよんだよ!」という根拠付けに使うのが、論理一貫した文章というものではないか?
 
社会的な問題をデータに基づき論じる、ということには、それ相応の「知的技法」が必要だ。あちこちにその欠如が露れてしまっている。
 
3. 「裾野が拡がったがトップは伸びない」
 
フルマラソンに参加するランナーは大幅に増えた。ピラミッドの裾野は広がったはずだが、トップは伸び悩んでいる。この9年間で日本人選手のレベルはまったく上がっていないのだ。(p3)
 
ここで言わんとするテーマ自体は正論。
しかし、東京マラソンに題を採った記事でいうことではない。
なぜならば、 「トップ選手育成のために必要な裾野」とは、「10代選手を中心としたトップレベルのランニング競技者数」だからだ。
あるいは、市民ランナーの増加と、トップレベルの競技力向上との間に、現実的な因果関係が存在しない、ともいえる。
 
社会人ランナーが増えることにより、5年10年20年という時間の流れの中では、マーケット全体が広がるし、指導者も増えるし、ランニング愛好家の子供から強豪選手が育ちもするだろう。中長期の話だ。直接的な影響はない。
この問題を議論したいのなら、中高の陸上部、あるいは箱根駅伝など大学の陸上部について論ずるべきだろう。 ターゲットのごちゃ混ぜだ 。
 
問題点は以上。
 
<ネットメディアの限界>
ネットメディアは、僕は基本(お笑いネタとか除いて)無視している。実際、酷い内容のものがとても多い(迂闊なFacebookのいいね!とかシェアとか慎重にね)。ただ、有料メディアが運営するものは比較的安心していたのだが、、
 
東洋経済オンラインは、ネット部門専任の編集チームが、アクセス数を最大化するためにテーマ設定し、ふさわしいライターに依頼して、大量の記事を日々掲載する。「アクセスを集めれそうなテーマについて書けるライター」であることが優先されているわけで、やはり、有料誌に掲載された記事とは、クオリティーが違う。
 
この記事のライターさんは、ランニングについて書く力量は認めるが、「ランニングを通じて社会を論じる力量」が、現時点では不足したまま、このテーマを引き受けてしまったのではないかと推測する。
僕が実名でこんな批判記事を書くのは、彼が優れたスポーツジャーナリストへと成長してほしいからでもある。今後の記事に期待したい。
 
それよりも、この記事を「書かせて」「通した」のは誰か、ということをこそ、問題にすべきだろう。そこには、ジャーナリズムの責任、というものがあるはずだ。
 
<ところで、「スポーツ人口の急激」とは?>
1.に挙げた『レジャー白書』指摘の点だが、僕は、2つの可能性があると思う。
  1. 少子高齢化の影響
  2. 「遊びのスポーツ」から「本気のランニング」へのシフト
1.は文字通り。身体が動かなくなってくる年齢の人達が増えたための自然減。
2.は、「週に4回くらい走る、21世紀型のランニング人口」は実は急増しており、彼らがゴルフやボーリングなどの「レジャー型スポーツ」をしなくなった、という仮説がありうると思う。
そして実態は、1-2の複合要因なのではないだろうか。
 
「レジャー白書」も、発想が20世紀に留まっているかな。もはやスポーツは「レジャー」ではない。真剣に仕事や生活に向き合う大人達による、同じくらいに人生の価値をかけた、真剣なライフスタイルそのものなのだから。 
 
・・・おしらせ・・・
最近読んでおもしろかった本。
  
 
痙攣防止には塩分に加えてマグネシウム(大豆とか)+カリウム(バナナとか)が有効で、錠剤だとマグネシウムとカルシウムはセット販売してる。
 
「クエン酸」は、脂肪燃焼回路の向上に効きます。30分~60分前に体重あたり0.05gを水で飲む。たぶん飲みにくいので、カプセルを使う手も。

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