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2015年1月の7件の記事

2015年1月26日 (月)

プロ選手のキャリアvol.2 〜夢を叶える営業力

前回のには、現役プロ選手からも幾つかの反応をいただいた。全体では3日でざっと2,000人に3,000ページほど読まれ、それはそれで嬉しいのだけど、本当にその渦中で戦っている3-4人に確実に伝わるほうが書いてよかったと思える。そんな何名かに直接伝えるつもりで、続きを書いてみる。
 
「アイアンマン」系大会にプロ資格で出場できるWTC登録選手は800人を超えるという。そのほぼ9割が「要バイト」レベルの収入だと推定される。彼らはフルタイムでプロ活動に専念できる日を夢見てレースに臨んでいることだろう。
でも、必要なだけの収入を得られている限り、兼業プロであることのデメリットはそれほどでもなく、実はメリットも大きいと思う。
 
<フルタイムのプロ選手だって「商売」に忙しい>
アメリカでも、トライアスロン選手をサポートする仕組みは存在しない。
だから選手は自ら、「自分というブランド」を作り、営業し、スポンサーとの関係を構築し、その製品販売を伸ばさねばならない。その「自分ブランド」の基本は競技成績なので、超トップレベルならば良いのだが、世界トップ何十というレベルなら工夫が必要だろう。実際そうゆう仕事量は結構多いらしい。
 
つまり、「広告&営業代理店の社長業」を、プロ全員が兼業しているようなものだ。
"Triathlon Competitor.com"より、What It’s Like To Be A Professional Triathlete (著者は同サイト編集者)、How Do You Get Sponsored As A Professional Triathlete?  (Jesse選手)、など参照
 
この点で、日本の「オリンピック枠」に入れる男女各数名の方が、環境的に恵まれているのかもしれない。ランニング界まで広げると、日本では実業団駅伝&マラソンという大口の「プロ枠」があるけど、アメリカには無い。ときどき、「日本ではアスリートへの支援が薄い」とかの意見を目にするけど、耐久スポーツに限れば、それは激しく逆かもしれない。
 
ただアメリカでは、「アイアンマン」人気が高いため(アメリカ人はアメリカ地元産の競技が大好きだ)、スポンサーの理解を得やすい。またトライアスリート人口が多いために競技関連市場が大きく、主要メーカーの本社も多いから、営業活動は多少は楽だろう。
 
もう一つ、あり得る仮説は、選手側が営業慣れしていること。
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<プロ志望者の夢を叶えるのは営業力>
では、日本のプロ志望者は、どうすればよいのか? 
大前提は、世界のプロを相手に戦う意思、ビジョンではないだろうか。国内市場だけに囚われない方がいい。その上で:
  1. まずは国内の戦績を上げつつ
  2. 支援者をかき集めて(タニマチ・足長おじさん・ヒモ=英文記事中の"Sugar-mama"=などなど手段総動員で)、世界参戦資金を集め、
  3. 世界レベルの戦績を上げ、世界からスポンサーを集める
という階段を登ってゆくことだろう。レベル3は難易度が高いけど、そこはチャレンジ自体に価値がある、って領域。英語はなんとかなります。
 
その手段として、競技力を高め、自分ブランドを作り、営業してゆく。必要があればSugar-mamaも探す、かどうかは各自のご判断だが。それが「夢を叶える営業力」。
 
<売り込むということの価値:とくに文系大学生>
ここから脱線する。俺が言うな的な自分へのツッコミを流しながら。
 
就活大学生とかの間で、「営業」=販売職は、あまりイメージが良くなくて(僕もそうだった)、文系学生はかわりに「事務職」を、エリート大学だと「企画職」をやりたがる。しかし現実は「文系=営業」。
 
このギャップに輪をかけているのは、変わりきれない教育界かもしれない。
大学界を賑わせた「L型大学論争」の仕掛け人による記事が話題だ。
(※教育界から見れば雑な論だろうが、彼は破綻企業の再生が仕事なので、潰れそうな田舎のバス会社とかに使える人材を送れていない、という現実から学校を見ている。あと、次の破綻候補=取引先としてもかな? いろいろな目線から見ることが大事)
こうゆう、世間が求めるスキルと大学で教えるものが一致していないという状況、とりわけ文系の、「営業職種」で顕著なのではないだろうか。士農工商?
 
なお「専門職なら文系でも営業やらなくていい」という誤解もありそうだけど、難関資格である弁護士税理士などは、大手事務所に就職できるエリート組を除いて、営業力が極めて大事な仕事だ。士農工商の頂点が商の勝負なのだから、希少価値がない資格なら、なおさら営業力勝負。
 
しかし、大学という世界は2018年頃からの激しい淘汰が予想され、これから変わらざるをえない。それこそ富山氏が経営支援に乗り込むところも出てくるかもしれない。この中で、「普通の学生に泥臭いサバイバル能力を伝えられること」が、より強く&幅広く求められてゆくだろう。
 
<その経験は、指導者としての価値も高めるだろう>
そんな変化の中では、環境を与えられてきた純粋エリート組より、環境を創ってきたサバイバル組の方が、指導者としても、強みが出る。引退したスポーツ選手が大学で教えることは多いけど、これまでのような「過去の経歴が華やかな有名スター選手」というだけで、その大学側のニーズに応えきれるだろうか。
「体育会は就活に強い」とよく言われるけど、これはさらに高いレベルでのこと。体育会学生の就職先のレベルを、今以上に高めることができるかもしれない。
 
自分が良いと信じるものを、自信を持って「売り込む」ということ。それは、敷かれたレールの上での競争を避け、何か創造的なことを自由に続けるための手段。
 
(その理解を深めるには、トム・ピーターズの最高にエキサイティングな古典的名著をおすすめ:中古本なら激安
15年前かー。新しい本だと何がいいですか?)
 
「世界で一つだけの花」を咲かせるために、営業力で、また使えるものを何でも使って、愚直に戦う。こうして、いろいろな選手が多彩な活動を拡げてゆくことが、競技の世界も長期的に育ててゆくだろう。その成果=市場拡大分の一部は、育てた者にも還ってくるもの。
 
(栄養は競技力を短期的に育てます)

2015年1月23日 (金)

世界Top20でも収入はJリーガー平均? プロ・トライアスリートは「商才」勝負

世界の長距離トライアスロン(ハーフ113km〜フル226km)プロ選手の収入について、自らプロであるJesse Thomas選手が書いている→ Things To Know Before Turning Pro
 
トライアスロンは、野球サッカーテニスのような一般人がお金を払う興行スポーツではないという点で、少なくともビジネス的にはマイナー競技だ。そんな市場を職業とするのは、"I’m living my dream" と心から思える素晴らしいものである一方で、おカネ的には、なかなかに「商才」を要するキャリア選択だと思った。 
 
※念のため、商才、て言葉にマイナスイメージある方いるかもしれないけど、お金を動かす=人の心を動かすということ。僕は100%肯定で使ってます。
 
<世界のトライアスリートの収入>
記事によると、男子Top100レベルでのプロとしての収入(スポンサー・賞金など)推定値は
  • 1‐20  $200,000以上  (ごく少数のトップなら、もっと多いかな)
  • 21-40 $100,000–$200,000
  • 41-70 $50,000–$100,000
  • 70-100 要バイト
あくまでもJesse選手の個人的感覚だけれど、選手ともスポンサーとも通じたインサイダーだから、「実感」レベルであたってるだろう。
 
20万ドルとは、日本のトライアスロン界からすれば多いのかもしれないが、日本のJリーガー数百名の「平均」年俸程度だ。「世界のトップ20」でね。上位70人レベルなら5万ドルを超え、ぎりぎりプロ活動だけで生活出来るが、それ以下のプロ登録選手の方が圧倒的に多く、また日本人選手はこのレベルに入れていない。
 
しかも旅費だけで2.5万ドル(Jesse選手実績値)かかったりするのがプロ活動で、コーチ、身体メンテ、などなどの諸経費もそこから賄わねばならないから、実収入はより低い。この点、日本の実業団では諸経費は会社が出してくれるわけで、(手取り額が低くとも)相当に恵まれているといえる。まして引退後に社員として残れるところなら圧倒的に。
 
賞金の比率が低いのも特徴。
Jesse選手の2014年実績では、ケガの影響で年後半からが中心だが、
1位  Wildflower Long Course: $5,000
1位  Ironman 70.3 Mont-Tremblant: $3,000
2位  Ironman 70.3 Princeton: $2,000
3位  Ironman 70.3 Buffalo Springs: $1,000
4位  NYC Triathlon: $750
6位  Ironman 70.3 Vineman: $1,500
12位 Ironman 70.3 World Championship: $0
Total: $13,250 (税抜き前)
 
計150万円では子供のオムツも買えません。

※USAトライアスロン協会による賞金ランキング

https://www.teamusa.org/USA-Triathlon/Elite/Prize-Money-Leaders

ITUは提供賞金が多く、選手もランキング上位に来るが、Topでジョーゲンセン級の20万ドルほど(まさに上限で栓)。上田藍選手が$86,258で14位/女子6位だ。2016年男子20位で4万ドルなので、このレベルで、スポンサー等々の収入が20万ドルほどある計算だ。

WTC=アイアンマン系列は低めで、KONA上位での一発勝負。選手は自分で勝手にスポンサーつけてね、というアメリカンな仕組み(で高収益を実現) 

 
 
<スポンサーについて>
つまり、スポンサー獲得がプロ活動の(そして子供にオムツを買ってあげるための)生命線となる。速けれりゃいいってもんではないのだ。企業にカネを出させる「法人営業力」(いわゆるB2B)が必要なのだ。
 
スポンサーがカネを出す理由は明白、それ以上に儲かるからだ。だから、スポンサー獲得後にはその商品の「営業マン」に変身することになり、次には「個人向け営業力」(いはゆるB2C)の勝負となる。
トップレベルの競技成績なら、それが最大の営業力となり、スポンサー獲得も、売上貢献も、楽にはなるだろう。でもそれが出来る選手数は限られるし、そうでなくとも商品を売る力のある選手も、結構いるよね。
 
女子選手の場合、賞金こそ法的な理由により男子と同じだが(ITUなども競技規則として定めているはず)、スポンサーがつきにくいので、収入レベルはより低い。
女子へのスポンサーは儲からない、ということだ。おそらく、選手人口として女子の方が少ない=競技関連商品の市場サイズが小さいこともあるし、プロ選手の数が少ないから競技レベル自体が低いとみなされ、「女子5位より男子10位のが格上」的な認識がされてるのかもしれない。
ここは僕も推測で、本当の事情はスポンサー企業が知っていること。彼らが儲かった一部がプロ選手に回るのだから。
 
なおこの記事では、スポンサー獲得の方法までは書いていない。ある程度は向こうから持ち込まれるだろうけど、それだけで十分な支援を賄えてる選手は少数の上位選手に限られるのではないかな。このあたりJesse選手に質問メール投げてもおもしろいかも。
 
ここまではもっぱら記事の解説。どこから僕の私見かは、元の英文記事でご確認。以下、考えを進めてみよう。
1394807_10202197925368623_259209488(KONA'13往路急坂暴走ノ図by純田柴)
 
<競技力「だけ」で勝負できる世界は限られている>
「強ければいい」とは、多くのエリート選手が陥りがちな心理だろう。
しかし、それが通用するのは、興行としてのビジネスモデルが確立している分野(野球・サッカー・ゴルフ・テニス・競輪くらい?)、そして実業団チームが充実した分野(長距離走・ラグビー・バレーなど)に限られる。
 
ただし、国民的な知名度のある選手なら、どれだけ選手人口が少なくとも、一般企業がスポンサーにつく可能性がある(たとえばフィギュアスケート)。
 
その意味で、「オリンピック枠」ならば安定している。その枠を現実に争えているレベルならば、一般企業が支援してくれる可能性が高い。
これは日本人のオリンピック・ブランド信仰心の高さと、日本経済の総量の大きさとの掛け算によって成立している。
この場合、必ずしもその商品が売れる必要はなく、ただ本人がオリンピックに出れさえすれば良い。たとえば社員だけで数万人以上いるような大企業にとっては、我が社はオリンピアンを支援する立派な会社です、と関係者に宣言できるだけで十分なメリットがあるからだ。
 
トライアスロンでは、出場枠は男2+女3てとこ。その2〜3倍くらいはプロ枠があるだろう。具体的なレベルは、代表チーム強化を担当する中山俊行さんが、

蒲郡、大阪、村上・・・ まずはここで3位以内に入ることは必須条件だ。

と明言されている。まさに限られた枠だ。
 
(なお、オリンピックのトライアスロンは51.5kmの短距離タイプのみ、ルールも違うので、長距離トライアスリートには無関係)
 
<マイナー競技では、その小さな競技関連市場の中から、支援を得ねばならない>
アイアンマンは、競技自体は知られてるけど、中身までは日本人は(たぶん欧米でも)全然知らない。そうゆう分野では、スポンサー料とは最終的には、「その競技の愛好者」が支払う中からの分け前となる。それでも、世界トップ選手なら「世界のトライアスロン市場の全体」から分け前を得ることができるが、日本トップ選手くらいだと、分母は国内トライアスロン市場に限られる。たとえ最高の日本王者であったとしてもだ。現実的にコーチなどプロ活動以外の収入を得る必要があるだろう。
逆にいえば、はじめからコーチとして活動する目的で、そのブランディングとして、プロ活動をする、というキャリア戦略があるような場合には、現実的な手法だろう。
 
<アメリカの場合>
アメリカ在住の友人の話では、エイジ選手のパーソナルコーチをして収入を得るプロは多いそうだ。
エイジ選手の事情はというと、アイアンマンのようなお金と時間を食う分野には、管理職以上が多い。成果主義が徹底しているので、仕事できている限り、時間を工面しながら十分な収入を得ることができる。KONA出場者の平均年収が15万ドルくらいという情報があるくらいだ。
一方で平社員レベルでは、有休も、収入も、限られる。そこで近場のローカルレースを選ぶ。その受け皿となるレースの数は多く、参加費も安い。
両者あわせて市場は大きいから、プロ選手(兼コーチ)の広い裾野が形成される。銀行のような一般企業も大会スポンサーになるメリットが生まれ、大会も安く多く開催できて、市場を支える。
 
<商才>
ちなみに記事を書いたJesse選手は栄養バー(=カロリーメイトのブロックみたいなの)の製造販売会社を経営して売上を伸ばしてるようだ。売上規模は不明だが。これは上記の「競技愛好者の市場」を開拓してるわけだ。
 
なんらかのビジネスと関連付けすることのできる商才が重要なのだ。
 
スノボなどマイナースポーツでは、実家の家業と結びつけながら支援を得て、競技環境を作ってる冬季五輪メダリストが複数いたと思う。観光飲食のような人気&イメージ商売なら相乗効果がありうる。このように「スポンサーは自分」と出来るのが、最も強い立場だろう。
あるいは、ゆるキャラやアイドル同様に、地域密着型「ご当地アスリート」として活動し、地元企業からの支援を受けるという手もある。広島とか山梨とか。
「自分が圧倒的No1になれるようなターゲット市場を絞り込む」のは、起業における基本の一つだ。
 
結論1: マイナー競技でのプロ生活の条件とは、トップレベルの才能、もしくは商才。
 
かといって、野球やサッカーでも、一生それでいけるのは本当に少数だ。引退後のセカンドキャリアでは、結局なんらかの商才(もしくはキャリア戦略)が必要となる。だから本来は野球エリートでも、プロになる前からその意識は必要なのだが、多くは野球漬けのままなって、壁=契約打ち切りを前にして焦る。プロに転向する前からその意識を持たざるを得ないマイナー競技には、早くからそれを意識でき、タフに生きてゆける強みがある、とさえ言えるかもしれない。
 
結論2: プロを目指すのなら、ビジネスを理解せねばならない。
法人営業・消費者マーケティング・キャリアデザインにより、プロ選手の人生全体が決まる。
 
結論3: それでも、"I’m living my dream" と心から思えるのなら、そんなに素晴らしいことは無い。
 
最後のは説明不要だよね。さて、この話には、「プロとアマの差」という続きがある。長くなったので、また次回にでも。もしも興味があるのならば。それまではまあネットショッピングでもどうぞ!

2015年1月19日 (月)

BikeとRunの「動作特性」から考える、トライアスリートへのBikeレース効果

2つ前に書いた「トライアスリートは、フルマラソンしないほうがいい」 は過去最高量の反響。ページ閲覧数が2日続けて2,400を超えた。そこでの視点は「過労」だ。レースは極限まで追い込むものだけど、だからといって普段から追い込み続けてはいけない。かわりに僕が重視しているのは、フレッシュな状態で良質な動作を保ち、素早く回復させて、トレーニング頻度を上げること。この状態に対して、身体は確実に「適応」を進めてくれる。

マラソンを走る/走らない、という結論は個人の自由というもので、どっちだって良いのだ。僕が書きたかったのは、その奥にある考え方のほうだ。

さて今回の視点は、トライアスリートとしての「成長戦略」。ここで戦略とは、選択と集中であると定義する。すると、「平均的な日本人トライアスリート」にとって、Bikeレース出場が最も戦略的ではないだろうか。このことを、それぞれの競技動作の特性を踏まえて、考えてみよう。

 

<1.トライアスロンRunは「ゆっくり効率」を競う>

長距離トライアスロンのRunは、世界トップでも1km4分のスロー走行。最小限の体力でギリギリ維持可能な「ゆっくりラン」の勝負だ。マラソンが1km2:50に突入する時代に、4割も遅い。

そのブレーキ要素の多くはBikeに由来する。Bikeの筋疲労によりRun動作が変わる。エネルギー生産力も落ちてるので、走行速度はさらに落ちる。速度が変われば荷重も変わり、動作がさらに変わる。それが「トライアスロンRunは、Runとは別競技」と言われる所以。

ブレーキ4割増し分に占める上記バイク要素を7割と仮定するならば計28%相当(乱暴な計算だ…)、すなわち、「トライアスロンRunの2-3割は、Bike力である」くらいかもね?

だから、Runを戦略的に強化するのなら、レースならデュアスロン、練習なら連続させるブリック錬が、第一の手段となる。Run単独レースは、その戦略手段を補完する程度の位置づけではないだろうか。

 

<2.Bikeは「高速」が基本>

世界トップレベルでは(アマチュアであっても)、180kmでも「高速走行」が基本だ。多くの日本人トライアスリートはプロ・アマ問わず、ここで世界と一番差を付けられている。
 
Bikeでは、短距離でも長距離でも、動作は共通する。常に体重が道具によって支えられてるし、速度差もギア選択で打ち消されるためだ。またトライアスロンでは、前競技=Swim疲労の影響度は、Runとくらべて圧倒的に少ない。
だから、Runのような、「トライアスロンと単独競技の違い」も、「レース速度による動作の違い」も、はるかに少ないはず。よって、短距離のスピード練習には、長距離にも即通用する効果があると僕は思っている。(実際、1日50kmを超える練習は殆どしない)
根本的な違いは、エネルギー生産回路の違いくらい。それは後からトレーニングで適応させていけばいい。
 
つまり、「スピードを上げられるのならば、なんでもいい」のがBikeだ。
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<3.レースにしかない体験>
レースには、特別に設定された環境がある。道路を専用使用できるBikeレースでは特にそうだ。レース中でしか出来ない走りができる。その中で見えるもの、感じるものを探ってみるといい。
 
レース数が少ないし、移動も面倒だけど、競輪からの補助金(年々減っているけど)がある場合もあり、トライアスロンよりははるかに安く出れる。メーカーからの賞品も多いし。
 
冬はBikeレースは少なく、あってもクリテリウムのような短く特殊なものだけど、そこで集団走にびびったり、ちぎれる経験だけでも、十分な効果があるだろう。
 
 
<4.僕の経験>
ついでに書いておく。2年目の2011年秋に出たBikeレースのスプリント経験を通じ、僕のトライアスロン全体の競技力は、がくんとレベルアップした。
 
 
推定1分30秒ほどのアタック対応(=Vo2Max域) で勝ち残り、推定10秒ほどのスプリント(=クレアチンリン酸回路域)に絡む。そこには、レースという特殊な状況だからこそ踏み入れることができた極限域があった。
 
その中で、全身の筋力を余さず使い切る、という動作が始めてわかった。その時に高額レース用ホイール「BORA」はかつて見せなかった挙動を示した。バネがぱちーーーんと弾けて車体を押し出し始めたのだ。しかも、ペダルを回すたびに。そうして追いつき抜かす相手との速度差は圧倒的だった。追いついた先頭2名は、そのレベルでの動作感覚をわかっていた。濃密な数秒間で勝負は決着した。
 
そこで得た感覚は強烈だった。冬の終わり頃からトレーニングを再開した時に、その記憶を呼び起こし、再現するつもりでトレーニングを積んだら、2012年はBike中に総合2位にまで上がれたレースが3つ。この位置まで上がると、見える景色が違う。それが僕のセルフイメージというか、「ごく自然に目標設定されるレベル」をハネ上げた。てゆうか、「僕には総合優勝できる実力がある」とアタリマエのように思うことができた。翌2013年以降の成績は、その延長にある。
 
 
さあ、あなたに必要な成長戦略とは何だろうか?
 
 

2015年1月15日 (木)

ノロ罹患体験から考察する、ポカリのアクエリアスに対する優位性

<ノロ罹患!>
私の最大の武器である強力な胃腸が、この月曜朝に壊れる。どうやらノロウイルスの侵入を許したのであった。
 
昼過ぎ、平熱、前夜の食あたりだと思っていた。何か飲まねばと、5L特売248円か何かで買い置きしてた粉末アクエリアスをお湯で飲む。なんかスカスカだ。なおエネルギー枯渇感が強く、少量の牛乳に蜂蜜を入れて暖めて飲み、布団乾燥機で暖めながらベッドに潜ってると、15分くらい後から、牛さんの赤ちゃんが育ってゆくかのようなエネルギー感が全身にふわーーーと行き渡る。まだ足りないので、オレンジも食べて寝てるとやはり、オレンジの糖分とビタミンがすーーーと全身に浸透してゆくのがわかる。CMなら金色のキラキラ特殊効果が付く勢いで。 
 
残念ながら、ノロ発症後数時間の胃はその全てを受け入れるほどには回復はしていなかったのだが。
 
夕方になり37℃に上昇。ノロは高熱は出ない。他の症状もあわせてどうやらノロ確定。気力は少し戻り、林檎とポカリスエットはなんとしても今日中に身体に入れねば、と自転車で買い物へ。最初の500mが何倍にも遠く感じる。ドラッグストアでは薬剤師さんに聞いて胃粘膜を補修するというセルベールを入手。 計3kmを軽いフラフラ感の中で帰宅すると37.5℃。おもいのほか消耗してしまったが、苦労して獲得した林檎とポカリ湯はすーーっと身体に入る、ああ、これが製薬会社とコーラ会社の違いだなあと。
 
風呂にも入れて、寝て起きたら食べれるようになっていた。火曜朝の体重は激減し61.5kg、水曜朝は脱水から回復し62.6kg、短時間で心拍あげながら9km走れた。木曜朝は62.8kg。週末まで筋力回復系、週明けから本格耐久系のトレーニングに入れそうだ。
 
ノロが半日ちょいで治るとは胃腸側の勝利ともいえるかな? ここまでが経由。
 
<考察:極限状態の身体が要求するもの>
まず果物についてちょいと調べると、弱った胃腸に柑橘系は刺激が強いらしい。やはり病気には林檎だ。2日経って蜜柑を再開すると、なるほど刺激感がわからんでもない。次に良いのはバナナかな。走りながら食べれるくらいだし。
 
より重要なのは水分補給で、ノロで乳幼児と高齢者が亡くなるのは主に脱水による。僕も脱水は火曜昼まで続き、冷たいジュース(ふだん飲まないコーラとか!)一気飲みしたい気分だった。
スポーツ系ドリンクが良いわけだが、こんな極限状態で飲み比べると、違いが身体でわかる。結論として、ポカリとアクエリの二択ならば、ポカリだと判断したのだけど、いきなり書くと問題ありそうなので、まずは成分表示から事実関係を確認していこう:
 
  • 炭水化物=糖分量が多く、ゆえにカロリー高め
  • しかし吸収が遅い複合糖類であるデキストリンを含むので、血糖値変動は緩和されている
  • ミネラル系の成分が濃い
  • 痙攣防止のマグネシウムを含む
  • 人工甘味料アセスルファムKによりカロリーを抑えている
  • 単糖類のみ、血糖値変動が急でエネルギー枯渇を起こしやすいと想定される
  • ミネラル類は総じて少なめ
  • BCAAを微量含む
  • その他、海藻エキスやらローヤルゼリーやら
これら明白な事実を元に、論理思考に基づく考察を進めていけば、炎上するスキを与えないであろう!
 
当日昼に飲んだアクエリでは、成分上のミネラルの薄さ、そして人工甘味料の存在は、スカスカした印象を与えると推測され、僕の感覚はそれを実証した。
 
<人工甘味料とは?>
とりわけ甘味料とは「高効率エネルギー源としての糖分の衣を被っているけど中身はカラッポ」という化学物質によって「偽の甘さ」を演出し、「脳を騙す偽エサ」なわけだ。(もともと農薬として開発されたものが、偶然そうゆう性質を持っている事が判明して食用に回されたりしてる)
 
食べるとどうなるか? 脳はエネルギーが入ってきたと喜ぶ。だから甘いモノは美味しいのだ。しかし、血液レベルでは期待したエネルギーが入ってこない。
ここには2つの問題がある。1つは、脳と血液センサーとの感覚のギャップが想定されれること。この連動性は医学的に証明はされていないが否定もされておらず、統計的に「うつ病を誘発する可能性あり」という研究成果もあるくらいだ。
そしてその感覚ギャップは、トライアスロン級のより大量のエネルギーを必要とする場面では、さらに拡大するであろうと考えられる。僕らアスリートは、競技レベルが上がるほど、身体の感覚のわずかな差異に対して敏感になってゆくもの。わざわざ感覚を狂わせることがわかっているものを取り込むべきではない。
(ちなみにアルコールは脳と血液が「同時に同程度に狂う」ので、ギャップの問題はない)
 
<歴史を紐とこう>
大塚製薬はもともと病院向け点滴の会社だ。私の記憶が確かならば、1950年頃の朝鮮戦争特需で大儲けした後の反動不況を、「オロナイン軟膏」という一般消費者向け商品の大ヒットにより乗り切り、その後、やはり医療用ビタミン剤を一般向けに展開した小さな巨人「オロナミンC」もヒットさせる。「それほど高度ではないプロ向け製品を一般人向けに売る」というマーケティングが同社の伝統だ。その流れで、点滴液を日射病(今でいう熱中症)対策など一般消費者向けに展開できないかと開発され、当時国内に存在しなかった市場を苦労して開拓したのがポカリ。スポーツドリンク自体は「ゲータレード」がアメリカにあったけど、1980年頃の国内スポーツはドラマ「スクールウォーズ」みたいな体罰と根性主義の最盛期で、あんなもんが売れる余地は無かったんだろう。それで、日常生活にターゲットを変更したようだ。
その成功を見て、儲かるぞと同類をぶつけてきたのがアクエリアスだ。このマーケティング手法はシェアNo1企業にとって教科書どおりで正しい。
 
つまり、ある効能を普及させる手段としてうまれた製品か、売れるからというマーケティング戦略の産物か、という誕生の差がある。それはその後の製品開発に大いに影響しているなあと、過去の新製品リストを眺めながら感じたのだけど、説明が難しいので、ここではデータのある部分をとりあげよう。アクエリだけが含有する「BCAA」だ。
 
<BCAAについて>
大塚製薬ではBCAA飲料は別製品で発売しており、そのサイトのデータによれば、運動中のBCAAが効果を発揮するためには2000mg必要。しかし、アクエリ粉末1L分では計25mg。1Lがぶ飲みしてもわずか1%に過ぎない。そんな微量でも効果があるという論拠があれば問題ないのだが、その公式サイトにはギャラ高そうな有名選手のかっこいいイメージだけが目立ち、成分の論拠が見当たらない(あれば教えてね)。この事実から、アクエリのBCAAはマーケティング上の演出ではないか?との仮説を提示可能である。
だとすれば、いわんや含有量が表示されていない海藻エキスやらローヤルゼリーをや。と推測してみても、関係筋に名誉毀損で提訴されるスキは与えていないであろう。
 
運動中のBCAAの効果には、実は議論がある。「最近」の流行ではBCAAを摂るのだけれど、「最新」の研究では、「BCAA不要&クエンサン必要説」が登場してる。
 
BCAAは高価なので、運動中不要ならば無駄使いは避けたいところ。いずれにせよ運動直後の摂取には回復効果が認められているので、BCAAだけ別に購入すればいい。高いからオトクなのを選びたい。グラム単価で有利なのは「ファイトクラブ」かな。
レース中のドリンクには、安いクエン酸を別に購入して混ぜればOK。配合量やタイミングなどは改めて書きます。
 
<結論>
というわけで、病人とか本気なアスリートとかは、世の中の少数派であることを十分に自覚した上で(笑)、純粋に「効果」を求めればよい。
二択ならば明らか。ただし選択肢を増やせば、マジで熱中症に入りかけてればOS1(=より点滴液に近く、かつ不味い)とか、競技専門でもっと高い専用ドリンクとか、もちろんいっぱいある。「ポカリよりもどうゆうところがこれくらい良い」というおすすめあれば教えてねー
 
<僕の運動中ドリンク>
僕はトレーニング中は、水道水を沸かしただけの水が殆ど、たまに、水+100%果汁+塩少々、というスペシャルドリンクを作成する。あまり長時間練習はしないのもあるし、夏の暑さ対策は水分補給よりも「身体に水を掛ける」のを重視するのもあるし。
レースでは、昔はPOWER-BARドリンク(ネスレ本社製)を取り寄せてた。しかし日本の真夏では粉末モノは冷蔵庫保存するべきで、湿気で2本連続でドロドロにしてしまった。。しかも円安で高くなって、今年はやめた。
去年は少しアクエリ使ってしまった(?)が、今年はポカリだな。これに食塩を足し、おそらくクエン酸も別途購入して混ぜて、軽くカスタマイズしたものを使う。痙攣防止のマグネシウム&カリウムは錠剤をドラッグストアで安く売ってるので、事前にローディングしておけばいいだろう。
 
<余計な考察: 優秀なマーケティングとは?>
以上、別にアクエリさんを批判しているわけではないよ。
現実に、日本人の多数派には日常的なランニングなど有酸素系運動習慣がないし、ましてや競技能力を求めるのはごくごく少数。東京マラソンの応募者だって「たったの30万人」、日本人の400人に1人という奇人変人に過ぎない。(暗算を間違え4,000と書いてたので訂正! 首都圏からの応募者に限ると100〜200人に1人くらいかな? 十分に変人だとおもうけど!)
そしてコーラ社の最大の営業資産は圧倒的なシェアを占める全国多数の自動販売機たちで、そこで必要とするのは、アスリートなボク&健康志向なワタシ、という気分を消費したい大衆向けの商品だ。彼らは血糖値変動に興味はなく(いやホントは彼らこそおおいに気にするべきなのだが!)、カロリー総量が低い方がヘルシーだと思い込んでいる。そこに、ナントカ茶とかでマーケティング効果を確認した神秘的なエッセンスをちょいと飾る。
こうして「スポーティーでヘルシーなワタシという気分」を消費するお手伝いをすることで、高収益と高株価を生む。これぞ世界超一流の消費者マーケティングの教科書だ。
缶チュウハイとかもそうで、カロリーオフ系のが売れてるそうだ。僕はやはりあの味は無理で、ましてアルコールと混ざることでさらにNG度が高い。でも売れてるわけで、スポーツとかしない普通の方々の感覚はそうゆうものなんだろうし、それに合わせるのがコーラさんにかぎらず優秀なマーケティングというものだ。
 
そう、僕は褒めているのです!w ただ唯一の願いは、アセスルファムKなんて脳を騙す化学薬品をスポーツドリンクには使わないで欲しいだけ。アクエリ関係者さん、読まれてたら、脱アセスルファム商品の開発のアドバイザーに就任してあげますから!
 
なお、大塚製薬も低カロリー系のイオンウォーターとOS-1にはスクラロースなど使ってる。そこは本家ポカリとの選択は消費者に委ねられており、製薬会社なりのコダワリとマーケティングとを両立させてるかなと思う。
<まとめ>
とにかくね、栄養って素晴らしいよねー。枯渇体験の中で価値に改めて気付かされる。

2015年1月10日 (土)

トライアスリートは、フルマラソンしないほうがいい

ただしがき:「トライアスロンの競技成績を第一に狙うのなら、真剣にマラソンに取り組むことで発生し得るマイナス要素は検討しておこうね」て話です。タイムを狙わないエンジョイラン、あるいは川内選手的に週末の練習として軽々と走れる方は、当文書の対象外ですので。

なぜか? 

「レースペース前後でのトレーニング頻度」が重要であり、それを阻害するからだ。

ここで「レースペース錬」とは、3種目すべてについて。特にバイクでのレースペース錬が重要だと思う。

<やりすぎ問題>

よい事例を松丸真幸選手がFacebookに「長時間の高負荷トレーニングのリスク 」として書かれている。彼の一連の投稿は、「良質なトレーニングの頻度が最優先」という点で一貫していると思う。そこから導かれる教訓とは、「頻度を落とすレベルの高過ぎる負荷をかけるべきではない」ということだろう。

でもそんなオーバートレーニングは多いようで、(聞いた話だけど)直近のLuminaでも宮塚英也さんが「酒井絵美さんのようなトップ選手でさえ、トレーニングの大事なところが分かっていなかったわけですから」と指摘されてるそう。日本人だけでなく欧米選手もだ。
 
やり過ぎには2段階あり、
  1. 高負荷をかけた後の身体は、休養に入ろうとするので、次の高負荷練習ができなくなる。いわば、高速道路に出て加速したい時に、エンジンブレーキが掛かってる状態だ。週1ペースで出来れば問題ないだろうが、10日以上空いてくると、成長チャンスを逃す。
  2. このタイミングで根性発揮して高負荷を重ねてしまうと、 筋肉や血液成分中の蛋白質が糖新生を起こして崩壊してしまう=むしろ遅くなる。
生理学的には、筋肉と血液(=骨髄)が回復するまでの間は休養が必要。この局面では、成長のためのアクセルが休養、ブレーキが練習となる。
そこで、1回の練習量を減らしてでも、「良質な練習頻度」を増やすが正しい。だから、特に4月から宮古とか海外アイアンマンとか出る方なら、「1月以降に」フルマラソンなどで「消耗すること」は避けたほうがよい。
 
<レースの使い方>
 
もしも出るなら手を抜く。いや脚を抜くのか。たとえば、練習の一環としてペースを統制しきり、自己ベストを狙わず、トライアスロンでのRunペース(=15%落としくらい?) を維持するペース走として利用するのは、良いと思う。
そして、素早く回復すること。だったら効果あるだろう。
 
レースに出ること自体は良いことで、10km、あるいはハーフマラソンでも、すぐ回復できるならいいトレーニングになるだろう。
 
公務員ランナー川内選手は毎週のようにレースに出てるが、普段はベスト+10%くらい(フル2:20とか)で余裕を残しており、おそらく翌週内には回復できる範囲内でしか走っていない。
 
フルマラソンには達成感があるのだろう。でも、「ワタシが本当に戦うべき相手はそれなのか?」と問い直すと、どうだろうか。アイアンマンのRunパートはマラソンとは別種の動作。そして「いつもがんばること」は、必ずしも正義ではない。
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ちなみに、以上のような話、とくに「Frequency」の強調は、欧米発の(英語)情報では、高頻度で目にするものだ。
 
たとえば、Triathlete.comの、5 Off-Season Rules
  1. Don’t run a marathon in January ・・・今お読みの通り
  2. Focus on short, intense workouts
  3. Gain weight (on purpose) ・・・「オフトレを太れ」という前書いた話
  4. Swim. A lot.
  5. Hit the gym–but not for the elliptical 
5〜10kmのランレースへの出場も、このサイトの別記事で推奨されている。
 
 
僕らはプロでもなく趣味として楽しんでいるのだから、少しの順位を犠牲にしてでも「より多くのレースを楽しむ」のも、よい生き方に違いない。だから、「マラソンも楽しむトライアスリート」には、ぜひ楽しんでほしいと思う。
 
ただ、それで望まない結果を招いている人も少なからずいる。 そして僕の立場は、競技成績への集中。このブログでは、そのための情報をあげていく。
 
それでも走るなら、リカバリー&ケアを万全に!
 
・・・
 
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2015年1月 8日 (木)

トライアスリートがオフロードを走るべき8つの理由

(8田だけに)
 
常々書いてるように、僕のランの基本は、未舗装路、特にトレイル。
「バイクを飛ばした後のランの粘り」という僕の武器はこれで磨いている。
 
2015箱根駅伝でも、記録を塗り替えた青学は1周650mの専用コースを持ち、常勝駒澤は1周1.5kmの公園オフロードを定番メニュー化している。僕も時々後ろにつかせてもらっていて、彼らの体軸のブレのなさ、上下動の少なさにはいつも感心する。僕が勝ててるのは体重くらいで、スリムな彼ら僕の身体の中にすぽっと入りそうだ。上りで引き離されそうになるのをギリギリ追い、平坦を耐えて、下りで重量メリットを活かした自由落下で息をつき、また上り、という繰り返しを、僕の力が尽きるまで。。
 
そのトライアスリートにとってのメリットは、
  1. 弾力のある地面を蹴るため、筋トレ効果が高い
  2. しかし関節には優しいので、量を積んでも故障しない(実際したことない。月間最高で240km、普段は100ちょいくらいだが)
  3. よって、脚筋の落ちるバイク直後のラン(=ブリック)錬でも、思い切り飛ばせて、実戦的な高効率トレーニングを積める
  4. 一歩ごとに路面が異なるため、走りの感覚・技術が研ぎ澄まされる
  5. 上体が常に揺さぶられるため、体幹を実戦的に鍛えられる (=主に左右バランス)
  6. 細かな起伏により、パワーと走技術を鍛えられる (=主に前後バランス)
  7. ぬかるみなどでは、「重心・接地点・力点」の位置関係のズレに気付きやすい。正しい荷重ができていれば滑らない (=これも前後バランス)
  8. 時々つまづいたりで、身のこなしも研ぎ澄まされる (きっとバイク落車への対応力も上がっている=この効果は発揮されないことを祈る)
  9. たのしい
あれ9? つまりは多岐に渡る。というか、最後のを正当化するために、ほかのいろいろを理屈付けてるようなもんか?
 
<追記>
さらに可能性として、「長距離・ランパートの胃腸トラブル」対策の1つにもなりうるかな、とも思う。胃腸トラブルは飲み過ぎ食べ過ぎが主因かとは思うが、加えて、上下動からの振動が内臓ストレスになっている場合もあるかと思う。オフロードの上り下りの大きな変化(=ただし足腰関節への負担は少ない)は、胃腸ストレスを和らげる技術、ないしは耐性を磨く良い方法だと思う。あ十あった!
 
長距離トライアスロンのランとは結局、疲労した身体で効率よく進む技術の勝負なわけで(ラン勝負になるレベルならば、 体力はみな十分あるわけだから)、それを磨くのに、起伏あるオフロードは最適だと思う。
 
<オフロードのデメリット>
悪いことも書いておこう。
  1. 汚れる
  2. 事故リスク:滑ったり躓いたりでダイビング&ローリングを決めたり(=過去数回)、枝に頭ぶつけたり(=これは未経験)
  3. 故障リスク:足首ひねりや急激な筋出力がおきがち(=ありそうでない)
1. 日本人はやたらと舗装路を走りたがる。僕の走る公園でも、多摩川沿いでも。それは清潔好きがゆえかな、という気もする。まあ、お好きなように、微笑。
 
2. 事故リスクについては、ルート選択で対応可能。私は普段、廃棄前のすり減ったランニングシューズで走っているので、ちょっとしたスリップなど毎回のようにある。それでもケガはしない程度に安全な、熟知したルートしか走らない。
150104_155947x_2 <新春キャンプの風景>
 
3. 注意すべきは、故障のリスク。
路面変化の激しい箇所では、足があちこちに不規則に振られ、たまに足首をねじりそうになる。フクラハギの筋肉はもともと弱い上に、粗いトレイルほど頻繁に出力の急変動が加わる。モモは強く安定した部位ではあるが、たまに急出力がかかることがありえる。
 
そんなとき、CEPのような高性能ソックスがあると安心。フクラハギをサポートの主に、できればモモも、包み込んで余計なブレを抑える。CEPのホールド力は優秀で、一度でも履いて走ってみると、不安定な、あるいは過酷な状況ほど、高性能さを感じることができる。この安心感から速度・強度を上げられるという心理的メリットもある。
 
人それぞれ相性もあるわけだが、ランニング用ソックスとしての「作りの丁寧さ」は、誰にもわかるレベルで高い。上質な道具を使う気持ちよさってある。高いけど、これが自転車だと、これくらいの差額は気にせずにばかばかっと買ってたりして笑。
 
こうゆう高機能製品には、「依存してはいけない」という面もあるので、「使わないトレーニング」もすることで対応する。その「差を感じる」ことで、感覚を高めることができるはず。僕も、単に舗装されていないだけの整った土や芝生などでは、補正的機能はまず使わない。
 
結局、実害はほぼ無いと思っている。
 
<外国視点>
イギリス人ジャーナリストは自ら駅伝にどっぷり浸かりながら、日本人のエリートランナーは舗装路を走り過ぎだとつっこんでるのが「駅伝マン」。他に走る場所がないなら仕方ないけど(だったらバイク主体に切り替えていいとおもうが)、両方ある練習場でも、舗装路の方を走るランナーが明らかに多い。高いランニングエコノミーも、また慎重なオーバーワーク管理も必要だと思う。そうわかってやってるのならよいのだが。
 
トレイルランもエリートの世界は、少なくともアメリカでは、なんというか、超ワイルドな部分があるなあとスコット・ジュレク「EAT&RUN」を読んで思う。 元ジャンキーなんてみないし(いたりしてw)、野次る観客なんて聞かないし(野球サッカーなら普通だが)、日本の耐久スポーツ界はお行儀よろしい。

2015年1月 4日 (日)

2015年、「40代最強トライアスリート」の名を懸けて

「生まれるのに忙しくない人間は、死ぬのに忙しい」  (ボブ・ディラン, 1965)
 
5thアルバム"Bringing It All Back Home"より、"It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)"
 
去年の単純な延長としての今年ではなく、新しい何かを生み出す一年に。
それにより、僕らは生まれ続けることができる。
生み出されるものに同じものはなく、その誕生の瞬間は、いつも一度きりのもの。そんな瞬間を大切に。
 
レースへと向かい、日々高めてゆく身体も、ちょっとした誕生を日々続けているのさ。
そのためのトレーニングも、いつも一度きりのもの。
練習距離だけでは何も表現しない。そのペースも動作の質は表さない。微細な変化に対する感覚を研ぎ澄まし、まだ見ないなにかが生まれるかもしれない瞬間を捉えてゆく。
(以上、ハッタリくん, 2015)
2015年シーズン、ショートJTUエイジランキング4連覇中にして、実はロングのがいけるこのハッタリ選手が「40代(ほぼ)最強トライアスリート」であることを確認してみせよう。
 
<初戦: 418宮古島>
申込時の自己アピールは熱意を込める方が多いそうだけど、僕のはシンプルに一行、
「40代最強トライアスリートの一人として、総合10位入賞を頂きに伺います。」
選考係の方も読みやすくてよかったでしょう。
問題は、その後。
 
<JTUエイジランキング5連覇へ>
新制度が発表 された。積算対象が1つ増えて4レースに。9月には招待の伊良湖→シカゴが確定しているので、4戦以上を、5678月に。毎月レース、きついぜ/たのしーぜ
 
ショート6〜7+ロング1というレース数は過去3年と同レベルではある。2014ショート7、2013ショート5+ハーフ1+ロング1、2012ショート6+バイクレース2。
問題は、シーズン始めにロングの宮古があり、次の横浜まで4週しかないこと。2013年はハーフ常滑の3週後の館山は、その間のトレーニング不足もあり(これが難しい)、負けている。
 
4週間で、身体をロングからショートに一気に切り替えねばならない。しかも、切り替わった直後からトップコンディションを実現できでなければ、出場する意味は無い。
かといって出ないのは、シーズン開始前に「1敗が確定」するということ。
どの選択をするにせよ、過去最高レベルの難度となる。
 
今年のポイント設定は、最高Aランク3戦のうち横浜以外の2大会が発表されていない。1つ謎なのは、最大規模の館山・あいずのC大会扱い。あいずは去年の大会時、規模拡大方針が発表されてたから、決定までの暫定である可能性はある。館山も見直しがあるようで、もしや昨今の地政学的・政治的情勢の中での自衛隊さんの位置づけ変更の影響? だとすると、未確定のAランク2戦は、本命蒲郡、対抗ひわさ、大穴の本命あいず、大穴の大穴館山、とみておく。
おそらく僕の出場レースは、517横浜, 621蒲郡, 802長良川, 823あいず、バックアップで館山など。
 
このレース日程を今後も続けるのは大変。JTUランキングは、今年で最後になるかもしれない。もしくは、宮古を最後にする。総合10位に入れなければ、まず次は出ないだろう。
 
その瞬間は、いつも一度きりのもの。
そんな瞬間を大切に、新しい何かを生み出してゆく1年へ。
 

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『覚醒せよ、わが身体。〜トライアスリートのエスノグラフィー』

  • 初著作 2017年9月発売

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