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2013年10月26日 (土)

アイアンマン世界選手権7 Queen-Kとは、どのように、特別なのか

IRONMAN World Championship のBike112mile、およそ180km。獲得標高は1000mを超えるんだっけ。数字だけでいえば、品川あたりから箱根駅伝コースを辿り、箱根山頂で折り返して戻ってくる感じ。さらに強風のオマケ付き。

その大半を占めるのが、ハワイ島北西沿岸のルート19、通称Queen-Kだ。

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写真は35kmあたりのviewing point、手前はKiholo湾? 遠くに島北端が少し霞んで見える。その奥に折り返し地点。

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こちらは同じ場所の道路側。左が海。

<地球の力>

そもそもハワイ諸島とは、水深6,000mの太平洋底に湧き上がった巨大火山が、北西から南東へと移動しながら形成された。今その「火の女王」が在らせられるのがハワイ島の南東、その名も「ボルケーノ」だ。島中央のマウナケア山は、太平洋の海底から数えれば1万mを超える、実質世界一の高さ。

北西岸には、島内では古いほうの溶岩流が残っている。浅間山の北側と似た雰囲気。それが何十kmと続く。

このなだらかな斜面いっぱいに、かつて真っ赤な溶岩が広がっていたんだ。
地球の莫大なエネルギーのカケラ。その隅っこを、Queen-Kは走る。

<道>

右通行の道路の右端に、ほぼ1車線分の広い路側帯があり、自転車レーンをも兼ねている。
写真の通り、右折レーン(=日本の左折)はカーブしていて、その手前で自転車レーンと交差する方式。試走では右折車が無いのを確認して中央寄りに移動し、ちょっと緊張しながら直進してた。それさえ気を付ければ、日本の大抵の道より安全だろう。もっと前にここ試走に来るべきだった。。

移り変わる景色を楽しむようなコースではない。海は見えても距離があり、山側はただただ溶岩が続く。目に新鮮なものといえば、吹き続ける強風で「斜めに生えた」小さな木くらいか。

でも、この広さ。
太平洋の真ん中に表れた地球の息吹を感じるには、この単調さがふさわしい。
そして、自分自身の小ささを感じるには。

そんなコースだからこそ、レースに集中できる。

<同行者たち>

世界から集まった最強のトライアスリート達。次々と、僕の左を追い越してゆく大きな身体と、その一切の無駄のない安定した動き。時にスペイン語やドイツ語やフランス語などを仲間と呟きながら。同じチームウェアを着ているでもなく、同じ言語同士で、その場で繋がったのだろうか。

そして彼らが作り出す、秩序。

視界の先までずらああーーーーと整然と続く車列。
エイドでは、ボランティアが差し出すボトルを、時速50kmを超えてても減速もせずに片手一発で受け取り、姿勢も一切乱さずに飲んだり掛けたり収めたり。

僕ははじめ、ボトルをサドル後ろに収めるのに手間取ったりして、2-3度か、少しフラつくことがあった。するとすぐに後ろから怒られる。

サドル後ろのゼッケンプレートが曲がってるよ、と英語で言われたこともある。「やー、わかるんですけど、ちょっと直しづらいです、、」と内心で思ってると、その後ろの方が、指で自分のプレートを触り、ゆらゆらさせながら、「ノット・ストレート」か何か。だよね、直せるよね、と思い直し、少し触ると、真っ直ぐに戻った。

あからさまな集団に、レフリーバイクが追いつくのが早いのは、前書いた通り。

こうして、乱れた秩序は直ちに修正され、整然と、風と重力に対する力比べが進行してゆく。

<応援者たち>

こんな酔狂なことに熱中する僕らに応え、援けてくれる人達。日の丸を掲げる何人かの日本人応援団も、そこかしこに居て、気持ちが上がる。そして、エイドにほぼ必ずいる子供達。応援て気持ちはグローバルなものなようで、目をキラッキラさせながら、真剣な表情で、ボトルを手渡してくれる。

なるほど、子供の目線からも、おもしろいのだろう。ピカピカの自転車が絶え間なくびゅんびゅんと通り過ぎてゆく。エイドを手伝っていれば、その中の一人と目が合い、時速何十kmかの相手にボトルが渡る。しばしば失敗してボトルが転がり、大人がスキを見て拾ってるが。

高速区間では、助走して速度差を減らそうと必死だ。リレーのバトン渡しそのものだ。ただ、僕の通過は早めだからいいけど、いつまで助走を続けられたのだろうか? そして僕らと一緒に翌日筋肉痛?

<僕>

僕も次第に、そんな秩序に、慣れてくる。

エイドでは始めは脚を止めて少し減速して確実に受け取り、路側帯に入って、確実にボトルをケージに収めてから、コースに入るようにした。路側帯は競技レーンではないけど、この使い方なら許容されると解釈。その間に少しづつ順位を落とすのだけど、まあ仕方ない。

そのうち一発キャッチができるようになり、サドル後ろのボトルケージとの出し入れにも、そのうち慣れてきた。腰をサドル最後部にずらせば、スペシャのZケージは簡単に収めることができる。

水ボトルを受け取って全身にかけ、ボランティアの隙間から捨てて、さらにスポーツドリンクを受け取って空のボトルケージに収める、なんて器用な動作をしてると、"awesome!" =スゲーとボランティアから声が上がる。

だんだんと、嬉しくなってくる。

僕は、アマチュア界世界トップレベルの集団の中にいる。その何人かは、やはり厳しい予選シリーズから勝ち上がったプロ選手にも勝つ人達だ。その中で、同じレベルの動作で、180kmの距離を、一緒に進めている僕。まあ少しは抜かされてるけれども

「出れるだけで価値のあるレース」、そう、こうゆうことなんだ。

僕は、彼らと何が同じで、何が違うんだろう? 何が足りず、何なら勝てるんだろう?

<起源>

その感覚は、3年3ヶ月前、始めてトライアスロンというものに出てみた蒲郡大会のものと、似ているかもしれない。
総合上位(=今は対等に戦えてる人達)たちに凄いスピード差でブチ抜かれ、でも、なんとか走りきれている自分。意外とガンバレてる自分。

僕にとってのルーツが、その競技自体のルーツの地で、シンクロする。

地球のルーツのカケラを残す、太平洋の真ん中で。

(つづく)

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コメント

オレゴンとは素晴らしい環境でうらやましい!
(いや、しらないですけど、たぶん、、
里帰りで洞爺湖ですか?

僕は基本ショートのJTUランキング限定でレースしてますが、去年のKONAは行ってよかったです。アメリカ本本土からも同じくらい遠いんですね。

はじめまして!
アイアンマン世界選手権に出場なさったのですね!私にとっては夢のまた夢ですが、いつかは。。。と思っています。選手権の記事、全て読ませていただきますね!
Queen K、旅行で走ったことありますが、暑くて強風ですよね。ここを選手達が走ったんだと感激しました。
これからもがんばってくださいね!

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