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2008年3月の4件の記事

2008年3月17日 (月)

理屈は後から、まず強みを活かす ~ NHK「マイケル・フェルプス 世界最強のスイマー」

NHKスペシャル ミラクルボディー第2回は 「マイケル・フェルプス 世界最強のスイマー」

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中学時代、水泳部の顧問は素人。「月刊スイミングマガジン」だかの小さな連続写真を、目を凝らして研究していた私。最強イアン・ソープより強いフェルプスを、NHKスペシャルで、ハイスピードカメラで解説してくれるとあらば、そりゃ超チェックです。

Nスペらしく、「普通の一流」選手と丁寧に対比させて、凄さを科学で浮き彫りにしてくれる。

ソープといえども、4年も経てば普通の記録に成り果てるのが、スポーツの面白いところ。目標が明確なら、人間は、実現してしまうのだ。イノベーション=革新はそんな時に生まれる。

フェルプスのイノベーションとは、距離比で通常1割ほどのスタート&ターンの潜水を、ドルフィンキックを使って2割以上に伸ばす、という仕掛け。

潜水は、理屈上、水の抵抗が少なく効率的。でも無酸素2割では、血中の二酸化炭素も筋肉中の乳酸も加速度的に増加するはず。スピードのある自由形の、しかも200mという距離で成功させたのは、キック自体の強さと全身耐久力、2つのブレイクスルーを要する。

例外は鈴木大地の100m背泳ぎだが、背泳ぎはクロールより2割近く遅く、キックの優位性が高い。しかも100m55秒、乳酸を引きずったまま押し通せる。(ちなみに制限されたのは日本人差別じゃなくて、安全のためです。本当に、危険なんです。練習中に失神した選手が何人かいると思う。。)

彼にだけできたのは、なぜか?

思うに、バタフライ出身だったからではないだろうか。

このままでは、ソープに勝てない。勝ってるのは、いつも鍛えていて、他の自由形選手が練習しないドルフィンキックくらい。。

勝てるとすれば、この強みを活かすしかない。

そんな方針を、コーチのボブ・ボーマンはまず決めたのではないか、と思うのだ。

逆に、そうでもしないと、負けてしまう。ライバルは体が柔らかくて器用な「2m、100kg」の大巨人ぞろい。ダイエットした岩木山や水戸泉のようなもんか?

こうして目指すものが明確になれば、次に、「どうすれば試合で使えるようになるか?」 という、手段についての問いが生まれる。

そうして考え出された手段の1つが、オモリを巻いた立ち泳ぎや水中ジャンプ、というユニークな練習。

キツい練習だが、単にキツいだけではない、なぜ必要なのか? が明確だ。

問題が明確になれば、なんとか、対応できる。
そのためには、まず強みを活かすこと、理屈は後から、だ。

2008年3月15日 (土)

役割は絞らない、一貫させる

先日書いた、世界卓球に見る、プロフェッショナルの育て方
で、試合間の平野早矢香選手がやっているのは、「自分に対するコーチ」といえる。

コーチする側、される側、というのは1対の完結した関係だ。
プレイヤーは本来、される側、であるわけだが、その役割を超えて、まずコーチになってみる。
その全体を見て、本物が登場し、コーチするわけだ。

逆のパターンを、早稲田ラグビー部の中竹監督がやっている。
日経ビジネスオンラインの連載 によると、「選手の立場になりきる」イメージングを、専門家と一緒に徹底的にやっている。
(監督は、三菱総研のコンサルから転じた30過ぎの、まさに若手ビジネスマンだ)


プレイヤーにとって、一度コーチになってみて、「なぜ勝てたか」を自分自身で語ってみることには、「勝ちパターンに気づく」 という効果がある。

一度意識したことは、日々、さらに実践しようとするので、経験値も貯まり、勝ちパターンはより強くなっていく。

そして、「なぜ勝てたか」、という勝因分析は、「なぜ負けたか、次はどうすれば勝てるか」、という、失敗を成功に転換する道筋にもつながる。

敗因分析は、辛いし、後ろ向きのようでもあり、なかなか徹底できないものだ。
しかし、「1勝9敗」の厳しいビジネスの中では、9敗の中から得られる経験は大切。
自分の勝ちパターンをプレイヤーが明確に意識できていれば、思わず真剣にできるのではないだろうか?


同じことは、ビジネスでも、また教える/教えられる関係以外でも、いえる。
例えば・・・

  • 営業なら、何かを買う立場を経験する。もしくは、その立場の人の話を聞く。特に、自分のお客さんに、「なぜ自分から買ってくれたのですか?」と聞いてみる。
  • 商品やサービスの開発者なら、宣伝・営業・アフターフォロー・・・等々の一貫したプロセス全体まで、企画させてみる。普通は宣伝の主担当は宣伝部で開発者がアドバイザーだが、開発者に宣伝主担当を勤めさせて、宣伝部がアドバイザー兼こまかいことの実行を受け持つ。営業には自分から行ってみる。
  • 新入社員なら、会社の改善提案をさせてみる。社長や事業部長が相手だ。もちろん、机上の空論にならないような準備立てはしておく。
  • ・・・

行き詰まり感のある時、何かサプライズが欲しいとき、有効な手だ。

2008年3月 9日 (日)

すごいスポーツ番組登場☆NHK「アサファ・パウエル 史上最速の男」

NHKスペシャル新シリーズのミラクルボディー第1回は
アサファ・パウエル 史上最速の男

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ニュータイプのスポーツ番組かもしれない☆
冒頭、100m走の超スローで5mあたりで凄さに気づき、録画したのは30m地点あたりから。
再放送は最初、0mから録画しよう →失敗。。。

今、多くのスポーツ番組は、沢木耕太郎系の人間ドラマか、芸能バラエティー系か、のパターンが多い。
ドラマチックなのは結構だけども、それだけなら、スポーツでなくたっていい。
(村上龍とかキーナートとか、日本的予定調和を許さない系の人達が批判してきたのを覚えている)

これ、全然違う。
スポーツの本質、体と技の圧倒的すごさを、真正面から描いている。
その1つが、100m10秒間を数分かけた、超超超スロー。
1歩2.6m×1秒4.96歩=1秒で12.9m進む姿を表現する、映像と、音楽。

インナーマッスル(大腰筋)の太さ、
腱の硬さ(1cm伸ばすのに通常人の数倍、100kg以上の力が必要!)、
など、科学でも解明してゆく。

ちなみにサイズは190cm88kg。室伏広司が187cm99kgなので、上半身の筋肉を10kg減らした程度?無茶苦茶な筋肉量ではない。かのベンジョンソンやジョイナーのようなサイボーグ感も無い。

人間の能力って凄い。
単純に、感じる。

ジャマイカの練習風景は、ちょっと沢木耕太郎風味?
朝暗いうちから、キングストンのゆるい坂に集まり、坂道ダッシュを繰り返す選手達。

田舎町のパウエルの実家の前にも、同じような坂道。
子供達が、無邪気にかけっこしてる。

「子供の頃、兄達とこの坂で競走するのは、何よりも楽しかった」
語るパウエルは、少し苦しそうだ。

大阪世界選手権の100m後半の写真は、苦悩そのもの、である。
大舞台では必ず勝てない、無冠の最速男。

今夏の北京、克服する姿を見たい。

・・・

これはすごい! というスポーツ番組あればオススメくださいね。

世界卓球に見る、プロフェッショナルの育て方

ちょっと前の世界卓球。

世界No2コーチこと谷口貴彦さんが、おもしろい状況を発見している。
メルマガ 『部下のやる気に火をつける!経営者の為の7つの秘伝書』 3/3の記事を引用。

世界卓球で日本女子チームが活躍しました。

それで、その試合を見ていて気づいたことは、準決勝まで9戦全勝の平野早矢香選手のゲームとゲームの間の監督やコーチとのやり取りです。

ゲームが終わるなり、平野選手は監督とコーチの下に駆け寄り、今のゲームで上手くいったこと、どう攻めようとして、その結果どうだったかかと云うこと、何をもっと続けて、何をどう修正したらいいかと云うこと、相手をどう感じているかと云うこと、など、直前での体験を、まだ体が記憶しているうちに一気に話していました。

監督やコーチは、平野選手が話し終わるのを待って、客観的視点でアドバイスをしていました。

選手のアウトプットが先で、外部からのインプットはその次なんです。

平野選手がわーっと話したのは、彼女なりの『勝利へのストーリー』だ。
それを、試合中という極限状態で、語らせる。

これがトッププレイヤーへの指導術の最先端だ。

レベルの低い争いなら、『先に結果を出した人のやりかた』をそのまま、練習量をこなしてコピーさせれば、勝てる。

例えば東京オリンピックの頃のような、まだ世界のスポーツが純粋なアマチュアリズムで動いている中で、日本だけ企業チームというほぼプロ環境で立ち向かえた頃は、そうかもしれない。

それはたぶん、当時支援していた企業にとっても、好都合だったのだろう。欧米の先行例をコピーして、より早く、たくさんの仕事をこなせば成長できた高度成長期。社員達をノセるために、『スポ根で勝てる』 といことには大きな価値があったんだろう。

いまや、人気競技のトッププレイヤーは個人でもスポンサーをつけられるので、練習環境では差がつかない。

そのプレイヤーならではの才能をどれだけ活かせるか、の勝負。
指導法も、『プレイヤー自身が感じたもの』 を起点に組み立てるわけだ。

指導者のやり方だけでは、そうゆうクリエイティブな成長に枠をはめてしまう。
決して指導者を越えられない。

・・・

ビジネス的にいえば。

平野選手がわーっと話したのは、
『先に立てた仮説の検証結果、成功と失敗の分析、新しい発見、次の仮説』
である。

そして、普通の商売でライバルは、少なくとも同じくらいには、強い。まともな会社なら、管理職もトップ営業マンも、経営戦略、マーケティング理論などなど勉強しているから、打ち手もそんなに変わらない。(戦略が、戦略的ではなくなってしまうわけだ)

こんなビジネス環境では、スポーツのトッププレイヤーのやり方は参考になる。

・・・

もちろん、例外もある。
例えばライバル不在のケース。

  1. 本当にライバルがいない。一時のケータイ販売とか、ネット系とか、競合の消えた有線放送とか。→ これは、量とスピードだけで勝敗が決まる。
  2. 「負け癖」がついてしまった、もともとやる気のない人たち → そもそも勝てるとも、勝ちたいとも思っていないから、指導する側が空回りしかねない。(ただし、指導者が彼らのレベルまで目線を下げていないだけのケース、実はやる気はあるのに空回りしてるだけのケースもある。見間違い注意)
  3. 公務員さんとか・・・

このあたりは、別の機会に。

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