2016年12月 4日 (日)

トライアスリートの冬マラソン練習法 & 30kmの壁への新対応 〜Reverse Periodization3

前回続き。標準的な「期分け」の逆をゆく手法は、冬春のマラソン出場と噛み合わないようだが、まあ幾らかの修正で対応できるかなとも思う。以下、策を弄してみるとしよう。
 
もう1つ図を作った。下側の現状ペースのラインから、上の目標ペースを目指すトレーニング戦略には、あえて大別すれば「距離型」=右下 と、「スピード型」=左上の2種類ある。
 
20161204_112553
 
この図では、マラソン単体(距離軸の右2つめ)では現状が1km4:30(Total3:10)、目標が1km4:00(2:48)、ロング・トライアスロンのラン(右のT42km )は現状1km5:00(Total3:31)から目標1km4:30へ、という感じ。まあ数字はなんでもいい。
 
<「距離型」アプローチ>
マラソンを頑張る方の多くは、なにかしら失敗経験=反省材料をもって取り組んでいると思われ、その大きなものが「後半のスタミナ不足」だろう。その対応として、30km走を繰り返し、42km走などもやってみる。ランニング界での伝統的な実績ある手法であり、これ自体に問題はない。
 
同様の練習をロングトライアスロン対策で行う場合、基本はバイクのロングライドだろう。その後にラン錬をつなげる「ブリック」錬によって補完する。これも、アタリマエの手法だ。
 
ただ、制約の多い市民トライアスリートにとって、それらは必ずしもベストであるとは限らない。注意したいのは、
  1. 時間がかかる (誰にとっても共通)
  2. 非効率な動作を(どちらかといえば)修正しずらい
  3. この12が組み合わさると、故障しやすい
このうち、1.の要素はどこかで必要なものではある。2.は集中できていれば対応でき、ビルドアップ走はそれに向いた方法だ。最も怖いのは3.だ。
 
「スピード型」アプローチ>
もう1つがスピード向上からのアプローチだ。これは「Reverse Periodization」とも整合的で、バイクに練習ボリュームを割いており、ランの時間枠はは控えめ、という場合に、練習効果を最大化すると、スピード系に寄っていくと思う。
 
図のオレンジの流れで、
  1. スピード向上: 4〜500mが、巡航スピードの最小単位かと思う。時間にして1〜2分
  2. スピード巡航: 20分以内、数km
  3. 少し遅く&少し多く: 100分前後だと思う(過去記事に書いている)
  4. レース本番は緩める: 上記123までと、基本は同じだと思う
という順序。
 
僕の2013年の初アイアンマン(と同時に初マラソン=公認されないが笑)チャレンジにあわせてみると、
  1. 2013年、リハビリから基礎ができた後の4月〜8月までのショートレース期間
  2. 僕の場合は1.に含まれる。1km×6本、2km×3−4本、とかのインターバル系メニュー
  3. 9月から、15km走(それまでガチ錬でやったことがなかった長距離)から始めて、30km走まで増やす。上記12の走りのまま、少し緩めることで対応
  4. (レース本番は最初からぶっ飛ばして失敗した泣)
となる。
 
2015年3月に書いたブログも、これを踏まえたものだ→ 30km走しなくても、ロングレースで勝てると思う
 
それによる成果報告は幾つか頂いている。その1つ、この1年後、同ブログも参考に、読者のトライアスリートさんが実際にフルマラソン3.5hから一気にサブスリーを達成した記録がこちらだ→ サブ3.5ランナーが、1年でサブ3を達成するためにやった3つの事
このブログ主さんは、9割インターバル、400mや1kmを重視し、30km走は(風邪のせいだが)一度もやらずに、大幅更新サブスリーを実現させている。
 
「30kmの壁」への新たな対応
このスピード型の4つめ、「レース本番は緩める」のが、後半のスタミナ不足に対する最も現実的な方法だ。後半落ちるのは前半飛ばしすぎたから。小学1年生でもわかるアタリマエ過ぎる理屈なのに、なぜ大人になると「走り込み不足だ」とか、余計なことを考え始めるのかな?
まずは基本書を読もう→
 
前半は抑え過ぎなくらいに抑えまくり、エイドでは歩いて、後半から勝負開始。
前半抑えまくっても、最大スピード(=500m維持できる巡航動作のもの)が上がっていれば、「最大スピード×抑え度」である「レーススピード」を上げることができる。
 
<まとめ
  • ラン錬は、短時間高強度でスピードを上げ、
  • 長距離対応は最大でも100分前後ランに留めておき(※距離ではなく時間基準=世界の主流)
  • レース本番では、前半を超サボって入る
  • こうして、バイク強化(ローラーによる高強度など)のための時間を確保する
という方向性で、冬マラソンと、春夏ロングトライアスロンとを、スムーズに両立できると考えられる。これまで書いてきたことと重なるけど、今回改めてまとめてみた。
 
 
<おしらせ:三浦広司スイム講習会>
会議室の動画分析ゼミ、一回限り:
同ゼミでは「クロールの基本は100m、長距離は緩めていけば対応できる」との考えから
  • 1980年代頃からの世界トップ100m選手の泳ぎを、時代を追って、解説('80-ゲインズ、ビオンディ、'90-ポポフ、等々)
  • 最新の100mの泳ぎ方の解説(マケボイ等)
  • 長距離への応用例(レデッキー、パルトニエリ等々)
  • トップトライアスリート(ジョディ・スワロー、ダニエラ・リフ等々)
と順に動画解説するセミナーを開催します。時代の進化により、速いクロールとは何か、階段を登るように理解します。次に階段を降りるように、長距離の競泳トップ→トライアスリート(=ツッコミどころ多)、と説明します。  
第二部では、各自の泳ぎの動画について個別解説していきます。動画ない方は12/5に撮影を。
 
<おしらせ2:「渥美半島の風」>
僕が寄稿した「潮騒のなかの祝祭」も好評いただく愛知県・渥美半島の情報誌「渥美半島の風」創刊号、毎月5日+20日の月2回での発送です。
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2016年12月 2日 (金)

最先端理論「リバース・ピリオダイゼーション」2. 冬は高強度バイクトレーニング (&マラソンやっぱり非推奨?)

<最新トレーニング理論>

前回紹介した"Reverse Periodization" はトライアスロンのみならず、マラソン・ウルトラマラソン・自転車ロードレース(沖縄210km級のもの)などなど、4時間を超えるような耐久スポーツ全般に有効なもの。Google検索結果数は "reverse-periodization training" 104,000 件, "reverse-periodization Triathlon"10,200 件。論文も幾つか発表されている。

日本語では、耐久系分野では当ブログが一番乗りっぽいので、最新トレーニング理論といって構わないだろう(少なくとも日本語で書く限りでは・・・最新といっても3年のタイムラグがあるのが日本語の壁) なおFacebookでは少し前から少し話題になっていて、情報鮮度はFacebook=つまりは人的ネットワークがGoogle大王さまを凌駕する。

ボディビル分野では既に日本語の情報が。彼らのトレーニング理論への情熱には驚嘆あるのみ。(ちなみに競技雑誌の名前が「IRONMAN」笑)

英語の情報源を再掲すると、フリール先生は2013年に基本的な考え方をブログに書いている。(僕のKONAレース直後で、僕のは自己流)

2つめの「TrainingPeaks」は、彼が指導し、最近日本でも利用者が増えている。そのブログに、より具体的な方法が説明される。(英語苦手な方へ→  Google翻訳かけたリンク 作ったのでご参照。僕も長い英文の速読でよく翻訳かけてます)
 
まとめれば、こんな図になるだろう。
20161202_152850
説明しよう。
 
冬こそ高強度バイク
シーズンインまでの期間、3種目トータルでの最優先はバイクのFTP向上に置くのが、ほぼ全ての日本人トライアスリートにとって最も有効となるだろう。1時間一定ペースで出せるパワーを上げろってことだ。バイク重視なのは当然で、トライアスロン、特に長距離のは、そうゆう競技だから。
 
そのために、
  • 冬は室内ローラーで高強度トレーニング
  • 春になったら、長時間実走に切り替え
と、リバース理論に沿って組み立てる。 
 
冬〜春のラン
バイク最優先なのだから、ランは減らす。いっぱいトレーニング時間を取れるプロ選手ならまだしも、市民トライアスリートにとって、最優先しないものを捨てるのも戦略のうちだ。
 
具体的に、バイクで「心肺能力」という「汎用要素」を向上できているのだから、ラン練習では「ラン技術」と「ラン用の筋力」という「個別要素」に集中すればいい。それは年間計画の中で、緩めでも構わない。
そして春になり、バイクを短時間高強度から長時間低め強度にシフトすると、強度の点から、ランで短時間高強度を行う余裕が出てくる。時間制約の中で、バイクに長時間を取るから、ランは短時間しかできない、ということでもある。ランの本格的な強化はここからでいい。
 
まとめると、
  • 冬はオフロードとかを楽しく走っとけばOK!
  • 春に、強度を上げてゆく
これによりランニングによる身体負荷を軽減できる。トライアスリートの故障の多くはランニング練習過多によるもの。怪我はバイク実走が多く、寒いとリスクが少し上がるかと思う。寒い冬に、室内バイクと緩いランを組み合わせることは、怪我も故障もリスク低下できる。
 
・・・
 
ここまで読んで、賢明なる当ブログ読者の諸氏におかれましては1つの記事を思い起こすことでありましょう。そう、
 
 
もちろんこれは方向性とか優先順位付けについてのものであって、「八田が出るなと言ってるが・・・」的な反応をされても困るわけだが、少なくとも方向性レベルに限っていえば、僕のこの考えは一貫している。
 
結局は目的次第。もしもあなたの目的が:
  • 「マラソンもトライアスロンも楽しむこと」ならば、ランナーへの変身を楽しめばよいのだし、
  • 「トライアスロンだけを強くなること」 ならば、冬はバイク集中して、まあ大会では仮装ランナーへの変身を楽しんでもよいのだし、
と、シンプルに分岐する。みんなちがって、みんないい(微笑)
 
ただ、トライアスロンで高い目標を目指す場合には、時期、大会内容、プライベート・ベスト更新を目指す度合い、などなどによっては、往々にしてトライアスロン側の目標達成を妨げるリスク要因ともなる。中には、ランニング過多による故障事例すらも。せっかく努力しながら、残念なことだ。
 
ついでに書いておくと、僕が(いくらか嫌がれながらも笑)書き続けている大きな動機はこれ。こうした回り道や落とし穴を避けるための「考え方」の一例を示したいから。一人でもそんな人が増えればOK!
 
以上、リバース手法に従う場合に、このあたり整合的でないので、各自工夫してくださいな。
どんな手法も、自分なりの工夫が大事だ。
 
※追記:それでもマラソン出る、という方に向けて、次回、そのための一案を書いてみよう。
どんな手法も、自分なりの工夫は可能だ。  
 
・・・
 
なお、欧米発の情報は日本の真夏の殺人的環境を考慮していないため、ローカライズ作業も必要となる。この点、次回以降に改めて書こう。
 
<スイム
同記事では、冬のスイムは週1でOKと。これ一見、スイム軽視論のようにも見えなくもないが、「いったん記録向上を忘れて、ドリルなど技術向上に集中していい」ということ。これもやはり優先順位の話なので、バイクFTP向上が十分にできていて、空いた時間でスイム記録更新を目指せるのなら、素晴らしいことだ。タイム向上の中で磨かれる技術はあるから。
 
つまり、週1で、技術重視の講習会に出て、泳ぎを改造するのは、この手法からも推奨される。そこで・・・
 
 
<おしらせ:三浦広司スイム講習会>
詳細はFacebookイベントページ(見れない方は、メールアドレス記載でメッセージください)
撮影会;
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僕が寄稿した「潮騒のなかの祝祭」も好評いただく愛知県・渥美半島の情報誌「渥美半島の風」創刊号、毎月5日+20日の月2回での発送とさせていただいております。今週末(12/4)までにご注文・入金いただければ、週明けに発送。
書評はブログ「オカンアスリートの研究室」記事などご覧ください→ 「書評:「渥美半島の風(創刊号)」(著:トライアスリート八田益之氏)」
 

2016年12月 1日 (木)

最新トレーニング理論 「Reverse Periodization」 序説

2013秋のアイアンマン世界選手権KONA226kmは、僕にとってロング初挑戦の一発勝負。しかしロング用の練習は直前の6週間だけ。その年の目標は51.5kmでのランキング三連覇。前年秋の救急車事件もあって年末にゼロから身体を作り直し、ショート専用のトレーニングしかできなかった。8月末にランキング確定させてようやくロング対策を開始。その際の方法が "Reverse Periodization" だ。(といって明確に意図したのでもなく、結果的にそうせざるをえなかったのだが)
 
その方法論をブログで何度か説明しているのが、大御所ジョー・フリール先生。
 
彼の「トライアスリート・トレーニングバイブル」第4版が紙の英語版ながらも国内でも売れているようだ。詳細は人気ブロガーによる解説シリーズ→ http://rumiokan.com/?cat=14 ご参照。
 
注意したいのは、”Training Bible”であるという点にあり、忠実にトレーニングして得られる状態とは”Training Champ” に留まるであろうこと。この話はどこかで改めて書きたい。また、トレーニングの基本に徹しているため、応用的な最新理論は深く書かれていないらしい。「Reverse Periodization」もそのひとつだ。
 
<Periodization=標準的な「期分け」について>
Periodization=期分けとは、期間ごとにトレーニング目標を分ける方法。
 
一般的には、
  • オフが明けたポストシーズン(=オフシーズンともいう)に長時間×低負荷のLSD=ロング・スロー・ディスタンスから始め
  • 次第に負荷を上げ、それに伴って練習時間を減らしてゆく
これは耐久系プロ・アスリート達の伝統的な手法。古くは自転車ロードレースがそうだし、最近でも長距離トライアスロンのプロはそうしているケースが多い。
 
ただ最近では例外も多いことは、僕のブログとFacebookでも紹介してきた通りね。
 
端的に言えば、多くの市民アスリートには向かないと思っている。例外は、基本的な耐久能力が未発達の、つまりは初心者。僕はこの過程を2009年11月頃〜2010年2月頃まで実行している。僕は基本 LSD否定論者 だけど、完全なLSD否定論でもないのです。
 
プロ選手の違いとは、冬の時期から、毎日、一日中、トレーニングし続けられること。彼らの多くは、寒い時期に暖かな地方に長期合宿したりもする。全く前提条件が違う。
 
Reverse Periodization=最新手法について>
それをリバースするので、
  • 「短時間(=短距離)×高負荷(LT以上)」から始めて
  • 「長時間×低め負荷(LT以下)」へと移行させる 
その大きな目的は、レース直前に、レース同様の練習を増やすこと。これほどに重要な練習はないだろう。つまり、「長時間×低め負荷」で進行する長距離レースのための準備法だ。採用の目安は4時間以上のレースであること。
 
詳しくはこちら公式ブログご参照(英語)
<僕の2013年の経験
10月に書いたブログ→ 量と質の関係:序論 〜「ポストシーズンの魔法」に向けて の図に加筆すれば、こちら上側、青いラインの流れだ。
 
20161201_223808  
もう少し書いてみようか。
(つづく) 
 
<おしらせ:スイム講習会>
この理論からも、今の時期は、スイム技術改造に取り組むべきです。
 
三浦広司スイム講習会、年内はあと1回です。詳細はFacebookイベントページ(見れない方は、メールアドレス記載でメッセージください)
撮影会も開催
会議室の動画分析ゼミは、一回限り開催。
クロールの基本は100mで、長距離は緩めていけば対応できます。レデッキーも孫楊も100mでも超速いのです。そこで、
  • 1980年代頃からの世界トップ100m選手の泳ぎを、時代を追って、解説('80-ゲインズ、ビオンディ、'90-ポポフ、等々)
  • 最新の100mの泳ぎ方の解説(マケボイ等)
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第二部では、各自の泳ぎの動画について個別解説していきます。
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2016年11月30日 (水)

「トライアスロンお金がかかる説」、僕のコスト実績5例から検証しよう

2013年ハワイ島コナの世界選手権会場には、発売から1年半のサーヴェロP5(当時フレームだけで68万円)がいっぱい。コナ空港で自転車いれた段ボールを引きずってるのは僕くらいで(笑)、みなハードケース(海外でシーコンとかのソフトケースは危険)、海外渡航シールをいっぱい貼った使い込んだ物も多い。お金をかけようと思えば、簡単に年間100万円以上の予算を注ぎ込めるのがトライアスロン。その出費に対する満足度も平均的に高いだろう。 

ただそれは、アイアンマン世界選手権KONAだからであって、欧米でも安い地方大会はミドルに7,000円くらいで出れる、とスペイン人が言っていた。たぶんそうゆう会場にはP5とかほとんどない。
 
日本では、警備など大会運営コストがかさむようで、出場料こそ高めだが、それでも、抑えようと思えば抑えることはできる。以下、僕が実際に使った金額でみていこう。
 
 
<例1:宮古島大会2015>
国内でお金かかる代表のように言われる宮古だが、僕が2015年に出た時、8日間の単独行動で食費を含む総費用を10万円台に抑えた。内訳は、
  • 出場料4万
  • 移動・輸送4万円 (飛行機2.3万+成田バス0.2万+バイク輸送1.5万)
  • 宿1.8万 (ゲストハウス「チャーミーズ」 http://www.charmys.jp
  • 食費0.7万
食費抜きで9.8万、食費込みでも10.5万〜むしろこっちが凄いでしょう笑。ちなみに那覇にも3日無銭滞在して計10日で10万。
 
別に節約耐乏生活をしたわけではない。現地の人たちと同じような生活をしただけだ。
ローコスト経営の宿を選び、400m離れた農協店舗に通い、値下げシールくる時間も聞いて、地元価格の沖縄料理を、食べたいもの全部たっぷり買ってのことだ。米は共有キッチンで炊く。これで食費1日千円を実現。もちろん材料から自炊すればさらに安くできる。
 
今は直行便が飛び、たぶんバイクを同行できヤマト便1.5万円を削れそう。 オーバーチャージ払って安い。そして8日間も滞在する必要はないので笑、全費用10万円切りは現実的だ。
 
宿は会場の前浜ビーチから2km、東洋一美しいという真っ白で真っ青な海で毎日泳げた(レース当日を除く泣)。近いからレンタカーも要らない(運転しないのでどうせ使わない)
 
「チャーミーズ」さんは来年レース時、1部屋残ってると昨日言ってたので、よろしければどうぞ(落選したら速やかにリリースを) こちらFacebook→ https://www.facebook.com/guesthousecharmys
 
つまり、年に1度宮古に出るだけなら毎月8,000円。さらに公立プールに毎週2回いって月1万でOK。毎日スタバいったりタバコ吸ったりするのと同レベルだ。
 
<例2:アイアンマン世界選手権KONA>
カネかかる王様みたいな大会だが。
僕の2013予選はセントレア、実家が近いのもあり、宿泊は前日だけ、総費用6.5万円。
KONAは
  • 出場8万
  • 移動14万 (ANA9.4万+オーバーチャージ片道2万+ハワイアン計2万くらい)
  • 宿泊11日間20万 (エアビーで探したコンドミニアム、最安シーズンの2.5倍!) 
  • 現地食費はほぼ自炊=日本と変わらず
で40数万円。なお何人かでコンドミニアムをシェアすれば、宿泊費を10万円以上削ることも可能。そして11日間も滞在する必要はないので笑。
 
僕は贅沢な日程だったが、ついでにトランジット2回ともホノルルに無銭滞在、さらに帰路は定員超過のビジネスクラスで、オトクであった。
 
つまり、予選からトータルで50万円ほどだ。今では予選費用が上がってしまったが、その分、ハワイ滞在コストを削れば、大差ないだろう。
 
さらにオリンピックみたいに出場を5年に1度に絞れば、月あたり8,000円。宮古と同レベルだ。 
 
<例3: JTUエイジランキング>
僕がもっとも注力していたのがJTUランキングで、おカネ的にも多くを費やした。
 
2010〜2014年は3大会のポイント合計、1位を取るには、天草で15点を、さらに13点と12点を取れば確実。アクシデントに備え12-13点大会をもう1つ保険に。天草は移動時間はかかるけど、2013年はバイクと一緒にANAで往復2.8万円くらい。2014年はJetStar+ヤマト便でたしか同じくらい。計6万でOK。(僕は地元知人宅に泊まる裏技をくりだし5万円)
12-13点大会なら、首都圏なら3万円でOK。保険大会込みでも計15万円だ。
 
僕は電車移動なので、クルマ移動ならガソリン代だけ、車中泊ならもっと安くなる。
 
ただ、2015年からの4大会化、さらに2016年のポイント設定変更によるポイント獲得戦術変化により、今なら30万円程度の予算が必要だと思う。くわしくは11/4 Facebook投稿参照→ https://www.facebook.com/Masuyuki.HATTA/posts/10207415481800917
 
<例4:自転車>
僕のレース車は、2010年からの7年間で総投資70万円ちょっとくらいかな。ただし以前から持っていた合計30万円分のロードバイクは除く。レース車としての原価償却費は年間10万円に近づいている。やはり月あたり8,000円。1日267円。毎時11円。5分で1円。
 
ちなみに僕はスマホというものを持っておらず、ガラケーは毎月1,500円くらい。差額でかなりが賄えてるともいえる。(てそれ比べて意味あるのかと笑)
 
最近では高額バイクが次々でているけど、先日アイアンマンの世界最高記録を更新したカナダのLionel Sandersは(ちゃちにみられがちな)ガノーの普通のTTバイク。ステムも丸い汎用品だ。それでBike180kmを4:04:38、平均44.2kmhだ。まあそれでも高いちゃあ高いんだけど!
 
<例5:サプリとかプロテインとか有機野菜とか>
全く要らないというのが僕の立場。特別な食べ物で速くなる、ということはない、言い換えれば、食事内容に減点はあるが加点はない、と思う。普通に近所の八百屋でいっぱい野菜果物を買って、米肉魚納豆と一緒に、食べたいものを食べたいだけ食べてればいい。それ以上は趣味の問題。
 
テーマから少し外れるので=お金使ってないので、改めて書きましょう。(初稿で書いたのはいったん外してます)
 
重要な真実とは、身体を動かすことで、何を食べても美味しくなる、ということである!笑
 
<ついでに:ウェア>
専用品だから高い。ホームセンター、ワークマン等々でほぼ同機能の汎用品は割とある。そこから先は趣味の問題。やっぱり高いものは良いし。
 
 
<まとめ
一定のおカネはたしかにかかるけど、やり方次第では、それほどでもないよね。
月8,000円が高いか安いかは、個々の状況によるけれどもね。
とかいって、僕も最小コストとかいいながらも、やりたいことはおカネかけてやってきたので、総額では200万円に迫るかなあ。
 
1ついえること、ここまでの僕の出費に対する満足度は、最高レベルに高い。
満足度が十分ならば、そのお金を使う価値がある。
満足度を落とさずに済むのなら、そのお金は削って構わない! 

2016年11月23日 (水)

水の「重さ」を制御する 〜三浦クロール講座あと2プール+1ゼミ

昨日の東北余震で、改めて津波の威力が話題になっている。津波とは、「波」と違って海面全体のせり上がりなので、地球に押されているようなもの、しかも凶器の混ざった乱流であるわけだ。
 
僕も実感したのが、以前に水流プールで撮影した時。100m1:20設定、時速数kmでも、水はとても重かった。これが時速30km以上になればどうしようもない。
 
スイマー目線でいえば、引きずる水はそれだけ重たい、ということ。
巨大タイヤを引いて走るトレーニングがあるけど、ほぼそんなようなものだ。
 
上の動画では、たぶんヘッドアップした瞬間が切り取られている。
20161123_145943
アタマの重みが下半身にかかり、腰が沈み、後方に巨大な泡が発生している。足も深く沈んでいる。横のメモリでみると、モモが30cm、足先では40cmくらいの水深だろうか? これだけの水を押すのはすごいエネルギーが必要。全部ブレーキだ。(今はもっと上手くヘッドアップできている)
 
ストローク面での最大の問題は、脇を早く締めすぎていること。手を「掻く」意識の空回り、もしくは、水の重さに負けて、水を逃がす形をつくることで腕を回している。
S14
ストロークの水はより重く、ひきずる水はより軽く。
単純な基本原理ほど難しい。
 
・・・
 
大人になって水泳を始めたトライアスリートのクロールでは、
  1. 正しい姿勢が取れない
  2. 呼吸が正しくできていない
  3. 肩が致命的に硬い
といったストローク以前の姿勢レベルの課題が多い。これら技術は相互に関連するもの。
 
このままでは、レースでも、抵抗が増えてタイムを膨らます上に、体力的・精神的な負担も増えて過度なダメージをバイク以降に残してしまう。
 
 
<プール講習会>
以上の考えから、三浦クロール講座では従来、どちらかといえば「ストローク」について説明してきたのですが、年内の最後2回、より基本に立ち返って説明することにしました。
  1. 基本姿勢の徹底
  2. 参加者それぞれが考える自己課題
  3. 強いストロークの作り方
という優先順です。
 
【プール練習会】 年内残り2回
詳細はFacebookイベントページからご確認ください。
11/27(日)プール20-22→ www.facebook.com/events/285161848547833
12/4(日)プール18-20→ www.facebook.com/events/594540980754901
(見れない方は、メールアドレス記載でメッセージください)
次回は年明けです。
 
 
<会議室の動画分析ゼミ>
12/11(日)18:15〜21:00→ www.facebook.com/events/160289534440174
 
クロールの基本は100mで、長距離は緩めていけば対応できます。レデッキーも孫楊も100mでも超速いのです。そこで、
  • 1980年代頃からの世界トップ100m選手の泳ぎを、時代を追って、解説('80-ゲインズ、ビオンディ、'90-ポポフ、等々)
  • 最新の100mの泳ぎ方の解説(マケボイ等)
  • 長距離への応用例(レデッキー、パルトニエリ等々)
  • トップトライアスリート(ジョディ・スワロー、ダニエラ・リフ等々)
と順に動画解説するセミナーを開催します。
時代の進化により、速いクロールとは何か、階段を登るように理解します。
次に階段を降りるように、長距離の競泳トップ→トライアスリート(=ツッコミどころ多)、と説明します。
 
ちなみにリフの泳ぎは「ひどい」(三浦コーチ談)が、現実にレースで戦えるレベルを確保しているわけです。その最低条件も理解していきましょう。  
 
第二部では、各自の泳ぎの動画について個別解説していきます。
 
 
<三浦コーチ個人指導ご希望の方へ>
最新情報は、こちら「三浦コーチの個人指導」専用のグループページにて更新していきます。非公開設定なので参加申請ください→ www.facebook.com/groups/1149370821818723
 

2016年11月20日 (日)

五輪トライアスロンは既にスプリント勝負 〜リオ男子バイク勝負の「140秒」を徹底分析

前2回からの続き。五輪トライアスロン距離半減化案は、やはり既にIOCの根回しも済み、あとはミックスリレーをどうすれば正式導入できるか? くらいの進捗感 (英文記事より)のようだ。ITU総会での決定待ちではあるが。

ただ、リオ男子を映像と記録からみてゆくと、既に「スプリント種目」になっている、と思った。この作業は単なるエクセルいじりではなくて、レースのスリリングさが伝わってきて、興奮した。

映像はこちらダイジェストのYoutubeが見やすい。「NHK見逃し」でフル中継  も見れる。

<記録の見方>

記録を順を追ってみていこう。順とは、ゴールから逆算するということだ。

まず注目するのは右端のゴール地点。メダル、入賞、と分類して色分け。

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バイク終了時点での第一集団10名に残ることがメダルの絶対条件。Joao Pereira/POR,  Richard Murray/RSAが第二から猛追したが、それぞれ7〜9秒だけ届かなかった。

そこでバイク終了時点で並べ替える。(画像は入賞圏内のモーラまで切り取ってみた〜バイク第二集団は19名、ここまでで29位)

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バイク開始(=Swim+T1)15位=18:18の銅スクーマンまでが、バイク終了時の第一に残れた最終ライン、同タイムのDodds/NZL以下は、まるごと第二に落ちている。この数字の雄弁さ&冷徹さ、ヤヴァすぎ。

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<五輪バイクはスプリント勝負>

動画で見ていこう。まず、バイクスタートは18:07ヴァルガから18:23まで16秒間の26名がひとかたまり。金さん銀さんご兄弟が仲良く18:14(6-7位)、銅スクーマン18:18(15-16位)、田山選手は23位に入っていてさすがだ。なおスイム第一集団は27名といえるが、その27位はバイクスタートで5秒という致命的な差を付けられ脱落している。

1分後(右下のタイム参照)のコーナーでは、第一集団は縦一列20名。この最後尾から3秒遅れでスタートしたモーラは後ろの集団にいると推測される。

B1

つまり、バイク最初の60秒間で6名がトーナメント敗退したということだ。

そして20秒の直線の後のコーナーを、20人目が1秒ほど遅れ始めており、彼はこの直線での1秒差によりトーナメント敗退したと思われる。スクーマンは16位通過。順位的には、彼がいわゆる「最終列車」ラインとなる。

Bike2

ヤヴァいのはここから。急坂に入り、待ってましたとブラウンリー兄弟が猛ダッシュ。50秒後の20:33-37にかけて15位までの集団が通過。金銀ご兄弟のバイクスタートから140秒ほど、ここまでに勝負のかなりな部分が決している。

B3

スクーマンはこの8〜12位集団の後ろに付けている。坂で順位を上げたわけだ。さらに2秒差で13-15位の3人集団が追うが、彼らはこの2秒差により、既に敗退している。(少なくともウェアからわかる二人、カナダとオーストラリア2人目は第二に落ちている)

以上はYoutubeダイジェストでも確認できる。フル動画みると、22分時点=スタートから3分半=では既に10名に絞られ、そのまま最後まで後続に差を広げていった。

バイクは40km、55分(平均時速44kmくらい?)だが、現実に勝負を決めたのは、スタートからの3分ほどだ。メダル争いの大きな部分もね。

(じゃバイク残りの50分以上は意味ないじゃん、半分に削ってOK、と思う一般TV視聴者がたくさんいても不思議ではない…)

<スクーマン危機一髪!>

スクーマンはスイムアップは17:25、金銀兄弟に次いで7位。ただトランジションに53秒=最速より8秒も余分にかけてしまったため、バイクスタートが15-16位に落ちてしまった。おそらくバイクスタート順を概ね崩さずに最初の急坂に入っていると思われる。

差がつきやすい急坂だが、前を塞がれることもありえるし、入った時の位置取りは無関係ではない。やはり前にいたほうが残りやすい。

16位から10位までジャンプアップできたのはかなりなグレートジョブで、これによりトランジットの失敗を取り戻すことができた。

この程度の「敗者復活」ならありえる。

逆にいえば、敗者復活は、この程度以上には、起こらない。

同様に、モーラは46秒の超速トランジションで猛追を狙うも、バイクスタートでの3秒差を追いつくことができなかった。ここに成功していたら、金銀兄弟は「銀胴兄弟」に降格した可能性もあるだろう。

<スイムの要件>

ふたたびタイムに戻ると、結局、スイムアップで先頭11秒差の15位(Kanute/USA)までしか、バイク第一に残ることはできなかった。

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上のタイムで、1つの注目はバイク20位スタートのRyan Bailie/AUS。急坂前の第一にはいたと思われるが、第二に落ち、バイク終了前に小アタックして9秒リードした3名の一人。つまりバイク力は本来は高いはず。それでも落ちてしまうのが、集団最後尾のデメリットなのかもしれない。

つまり、スイムは先頭集団ならOKなのでもなくて、その中での位置取りも大事になる。こちら5分30秒頃、第一ブイ手前の先頭集団。

Swim1b

仮にこのままゴールしたと仮定してだが(実際、そんなに大きな変動は無いような気がする)

  1. 上位3名のスイム・スペシャリストは、このまま最後まで固定して引き続け
  2. その後ろにメダル組=バイク第一に残れた10名ほどのグループ
  3. 直後に、あと一歩で逃したグループ(ほぼ全滅かと思われる)
  4. ついてるけど、まったくかからなかったグループ(左上)

と分かれるわけだ。

 
この差はどう着くのか? 何があれば上記2.のグループに入れるのか?と考えれば、答えは明らかだよね。
 

<まとめ>

五輪トライアスロン、特に男子は、既に「スプリント動作」の勝負。急坂というリオ特有要因もあるけど、この戦法の有効性が明らかになった以上、この展開は何度と見ることになるだろう。

もはや、「耐久スポーツ」として見ると、間違うことが多いのではないだろうか? 

では、スプリント化するとどうなるか?については(今度こそ)次回に書こう。

 

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